B 級プッシュプル(SEPP)と効率 びーきゅうせっぷ
特性の相補的な NPN と PNP(コンプリメンタリ)を縦に積み、正の半周期と負の半周期を 1 個ずつが受け持つ B 級の電力増幅回路。出力トランスなしで負荷を直接駆動でき(SEPP)、最大効率は π/4 ≒ 78.5〔%〕。
令和8年7月期 問13 は RL = 9〔Ω〕、V = 18〔V〕の理想 B 級 SEPP で、Tr₁ のコレクタ電流の最大値 ICm1 = V/RL = 2.0〔A〕と負荷の最大電力 Pmo = V²/(2RL) = 18〔W〕を求める計算。最大効率 78.5〔%〕、コレクタ損失が最大になる条件、クロスオーバひずみの原因と対策(わずかな順バイアス)も穴埋めで出ます。
B 級は、信号が無いときにコレクタ電流を流さない動作です。1 個のトランジスタでは半周期しか増幅できないので、2 個を使って上半分と下半分を分担させます。NPN と PNP を縦に積み、2 つのエミッタのつなぎ目から負荷へ出力するのが SEPP(シングルエンデッド・プッシュプル)です。出力トランスが要らず、無信号時の消費電力がほぼ零なので効率が高くなります。


Vm は出力電圧の振幅(最大値)。理想では電源電圧 V まで振れる。電力は実効値で計算するので 2 で割る。片側のトランジスタは正の半周期だけ ICm まで流す
半波の平均電流は Im/π で、それが 2 個分。Vm = V で効率は最大の π/4 ≒ 0.785、つまり 78.5〔%〕。A 級の最大 50〔%〕(トランス結合)・25〔%〕(抵抗負荷)より高い
損失は最大出力のときではなく Vm = 2V/π(約 64〔%〕の振幅)で最大になる。PCmax は Pomax の 4/π² ≒ 0.405 倍。1 個あたりはその半分 ≒ 0.2 倍

典型問題の解き方(RL = 9〔Ω〕、V = 18〔V〕の理想 B 級 SEPP)
手順
- 出力電圧の振幅 理想動作なので Vm は電源電圧いっぱいの 18〔V〕まで振れる
- コレクタ電流の最大値 ICm1 = Vm/RL = 18/9 = 2.0〔A〕(Tr₁ は正の半周期にこの値まで流す)
- 負荷の最大電力 Pmo = Vm²/(2RL) = 18²/(2×9) = 324/18 = 18〔W〕。Vm²/RL = 36〔W〕は最大値で計算した誤り
- 電源電力と効率(確認) PDC = 2VVm/(πRL) = 2×18×18/(π×9) ≒ 22.9〔W〕、η = 18/22.9 ≒ 0.785 = 78.5〔%〕
- コレクタ損失(確認) PC = 22.9 − 18 ≒ 4.9〔W〕(2 個合計)。最大損失は Vm = 2V/π ≒ 11.5〔V〕のとき 4V²/(π²RL) ≒ 14.6〔W〕
最大効率は 78.5〔%〕(π/4)です。50〔%〕は A 級の値。電力は振幅の 2 乗を 2 で割ります。「コレクタ損失が最大になるのは最大出力のとき」は誤りで、振幅が電源の 2/π のときです。クロスオーバひずみは「B 級で無バイアスのため VBE ≒ 0.6〔V〕以下の入力で両方とも導通しない」ことが原因で、わずかな順バイアスを与える AB 級で減らします。SEPP は出力トランスを使わない(OTL)ので低域まで平坦で小型です。

この用語を押さえる問題
図に示す理想的な B 級動作をするコンプリメンタリ SEPP 回路において、トランジスタ Tr₁ のコレクタ電流の最大値 ICm1 及び負荷抵抗 RL〔Ω〕で消費される最大電力 Pmo の値の組合せとして、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、二つのトランジスタ Tr₁ ...
正答: ICm1=2.0〔A〕 Pmo=18〔W〕
正しい。理想 B 級 SEPP では出力電圧の最大振幅は電源電圧 V = 18〔V〕まで振れる。Tr₁ は正の半周期を受け持ち、そのコレクタ電流の最大値は ICm1 = V/RL = 18/9 = 2.0〔A〕。負荷の最大電力は正弦波の実効値から Pmo = (Vm/√2)²/RL = Vm²/(2RL) = 324/18 = 18〔W〕。
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