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交流回路の複素表示(インピーダンス・位相・電力) こうりゅうかいろのふくそひょうじ

3アマ 一陸技

交流の電圧・電流を大きさと位相を持つ複素数で表し、Ż = R + jX にまとめる考え方。電力は有効電力 P = VI cos θ〔W〕、無効電力 Q = VI sin θ〔var〕、皮相電力 S = VI〔VA〕で S² = P² + Q²。

試験ではここ

令和8年は 2 期とも並列負荷の皮相電力と力率(7月期 問7:誘導性 400〔W〕/0.8、300〔W〕/0.6、抵抗 700〔W〕→ 700√5〔VA〕、2/√5。1月期 問6:誘導性と容量性で無効電力を引き算 → 500√5〔VA〕)。7月期 問9 は CR 並列+L の合成インピーダンスの虚部が 0 になる条件。有効電力は足し、無効電力は符号付きで足す。

交流では電圧と電流の「大きさ」だけでなく「ずれ(位相)」も計算に入ります。複素数の実部を抵抗、虚部をリアクタンスにすると、直流のオームの法則と同じ形で足し算・掛け算ができます。コイルは +j(電流が遅れる)、コンデンサは −j(電流が進む)です。

インピーダンスの複素表示
\dot{Z} = R + jX \qquad |\dot{Z}| = \sqrt{R^2 + X^2} \qquad \theta = \tan^{-1}\dfrac{X}{R}

X = ωL − 1/(ωC)。X > 0 は誘導性(電流が遅れる)、X < 0 は容量性(電流が進む)。並列は 1/Ż の和(アドミタンス Ẏ = 1/Ż)

インピーダンスとフェーザ
インピーダンス三角形と電圧・電流のフェーザ。誘導性では İ が V̇ より θ 遅れ、容量性では進む
交流電力
P = VI\cos\theta \quad [\mathrm{W}] \qquad Q = VI\sin\theta \quad [\mathrm{var}] \qquad S = VI = \sqrt{P^2 + Q^2} \quad [\mathrm{VA}]

V、I は実効値。cos θ が力率。P は抵抗で消費される分、Q は L・C と電源の間を往復する分

並列負荷の合成
P = \sum P_i \qquad Q = \sum Q_i \qquad \cos\theta = \dfrac{P}{\sqrt{P^2 + Q^2}}

Q は誘導性を +、容量性を − として足す。皮相電力は単純に足せない。各負荷の Q は Q = P tan θ = P √(1 − cos²θ)/cos θ で出す

電力三角形は P と Q で足す(令和8年7月期 問7)
電力三角形。有効電力 P は横に足し、無効電力 Q は縦に符号付きで足す。斜辺が皮相電力 S

典型問題の解き方(並列負荷の皮相電力と力率・令和8年7月期 問7)

手順

  1. 各負荷の皮相電力と無効電力 Ż1:S1 = 400/0.8 = 500〔VA〕、Q1 = √(500² − 400²) = 300〔var〕。Ż2:S2 = 300/0.6 = 500〔VA〕、Q2 = √(500² − 300²) = 400〔var〕。R:Q = 0
  2. 有効電力の和 P = 400 + 300 + 700 = 1,400〔W〕
  3. 無効電力の和 どちらも誘導性(遅れ)なので同符号。Q = 300 + 400 = 700〔var〕
  4. 皮相電力 S = √(1400² + 700²) = 700√(4 + 1) = 700√5〔VA〕
  5. 力率 cos θ = P/S = 1400/(700√5) = 2/√5

誘導性と容量性が混じるとき(令和8年1月期 問6)

  1. 各負荷 Ż1(誘導性):P1 = 400、S1 = 500、Q1 = 300(遅れ)。Ż2(容量性):P2 = 600、S2 = 1,000、Q2 = 800(進み)
  2. 符号付きで足す P = 1,000〔W〕、Q = 800 − 300 = 500〔var〕(進み)
  3. 答え S = √(1000² + 500²) = 500√5〔VA〕、力率 1000/(500√5) = 2/√5

合成インピーダンスの虚部が 0 になる条件(令和8年7月期 問9)

CR 並列 + L の合成インピーダンス(令和8年7月期 問9)
C と R の並列に L を直列。並列部を有理化して実部と虚部に分け、虚部 = 0 で İ と V̇ が同相

手順

  1. CR 並列部 Ż_CR = R/(1 + jωCR)。分母分子に (1 − jωCR) を掛けて R(1 − jωCR)/(1 + ω²C²R²)
  2. L を足す Ż = R/(1 + ω²C²R²) + j{ωL − ωCR²/(1 + ω²C²R²)}(A)
  3. 虚部 = 0 ωL(1 + ω²C²R²) = ωCR² → L/(CR) = R/(1 + ω²C²R²)(B)
  4. 同相のときの電流 Ż は実部だけ。①より実部 = L/(CR) なので İr = V̇/(L/(CR)) = V̇CR/L(C= L/(CR))
ひっかけ

皮相電力は 足せません。500 + 500 + 700 = 1,700〔VA〕は誤りです。足すのは P と Q で、Q は誘導性を +、容量性を − にして足します。「力率 0.8 の負荷の無効電力」は P × 0.6/0.8 = P × 0.75 で、P × 0.6 ではありません(0.6 は sin θ であって Q/P ではない)。

ポイント

有理化は「分母の共役を掛ける」の一手で終わります。1/(a + jb) = (a − jb)/(a² + b²)。虚部 = 0 が「同相」「共振」「力率 1」の言い換えです。

上部の看板「皮相電力は足せない
P は足す、Q は符号付きで足す、S は斜辺。皮相電力は直接足さない

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学の基礎 問7

図に示すように、交流電源 V̇ = 100〔V〕に誘導性負荷 Ż₁、Ż₂ 及び抵抗負荷 R を接続したとき、回路全体の皮相電力及び力率の値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。ただし、Ż₁、Ż₂、R の有効電力及び力率は表の値とする。 負荷 有効電力 力率 Ż₁ 4...

正答: 皮相電力=700√5〔VA〕 力率=2/√5

正しい。Ż₁: 皮相電力 400/0.8 = 500〔VA〕、無効電力 √(500²−400²) = 300〔var〕。Ż₂: 300/0.6 = 500〔VA〕、無効電力 √(500²−300²) = 400〔var〕。R: 無効電力 0。全体の有効電力 P = 400+300+700 = 1400〔W〕、無効電力 Q = 300+400 = 700〔var〕(ともに誘導性なので同符号で加算)。皮相電力 S = √(1400²+700²) = 700√(4+1) = 700√5〔VA〕、力率 = P/S = 1400/(700√5) = 2/√5。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学の基礎 問6

図に示すように、交流電圧 V̇ = 100〔V〕に誘導性負荷 Ż1〔Ω〕及び容量性負荷 Ż2〔Ω〕を接続したとき、回路全体の皮相電力及び力率の値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。ただし、Ż1 及び Ż2 の有効電力及び力率は表の値とする。 表:Ż1 は誘導性、有...

正答: 皮相電力=500√5〔VA〕 力率=2/√5

正しい。Ż1 は P1 = 400〔W〕、力率 0.8 なので皮相電力 500〔VA〕、無効電力 Q1 = √(500² − 400²) = 300〔var〕(遅れ)。Ż2 は P2 = 600〔W〕、力率 0.6 なので皮相電力 1,000〔VA〕、Q2 = 800〔var〕(進み)。合計の有効電力は 1,000〔W〕、無効電力は 800 − 300 = 500〔var〕(進み)。皮相電力 S = √(1000² + 500²) = 500√5〔VA〕、力率 = 1000/(500√5) = 2/√5。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学の基礎 問9

次の記述は、図に示す回路の交流電源電圧 V̇〔V〕と電源から流れる電流 İ〔A〕の位相について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 回路の合成インピーダンス Ż は、Ż = R/(1+ω²C²R²) + j([A])〔Ω〕で表...

正答: A=ωL − ωCR²/(1+ω²C²R²) B=R/(1+ω²C²R²) C=L/(CR)

正しい。CR 並列部のインピーダンスは R/(1+jωCR) = R(1−jωCR)/(1+ω²C²R²)。これに jωL を加えると実部 R/(1+ω²C²R²)、虚部 ωL − ωCR²/(1+ω²C²R²)(A)。虚部 = 0 とおくと ωL(1+ω²C²R²) = ωCR²、整理して L/(CR) = R/(1+ω²C²R²)(B)。このとき Ż は実部のみで、それは①より L/(CR) に等しいので İr = V̇/(L/(CR))(C)。

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問われた問題 14

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