基礎 20
オームの法則と合成抵抗おーむのほうそく
電圧 V、電流 I、抵抗 R の関係 V=IR のこと。複数の抵抗をひとまとめにした値が合成抵抗で、直列は足し算、並列は「積÷和」で求める。
電力(電圧・電流・抵抗)でんりょく
1 秒あたりに消費される電気エネルギーで単位は〔W〕。電圧×電流で求め、オームの法則を代入すると P=I²R、P=V²/R にもなる。交流の電圧・電流は実効値で表す。
コンデンサとコイル(リアクタンス)こんでんさとこいる
コンデンサは電荷を蓄え、コイルは磁界を蓄える部品。交流に対する流れにくさをリアクタンス X〔Ω〕といい、コイルは周波数が高いほど、コンデンサは周波数が低いほど大きくなる。
共振回路(直列・並列)きょうしんかいろ
コイル L とコンデンサ C を組み合わせ、特定の周波数で XL と XC が打ち消し合う回路。直列共振では電流が最大、並列共振ではインピーダンスが最大になる。受信機の同調回路や発振回路の心臓部。
インピーダンスと整合いんぴーだんす
交流に対する流れにくさを抵抗 R とリアクタンス X を合わせて表した量 Z〔Ω〕。送信機・給電線・アンテナのインピーダンスをそろえることを整合といい、そろっていないと反射が起きて電力が無駄になる。
デシベルでしべる
電力や電圧の「比」を対数で表した単位〔dB〕。電力比は 10 log₁₀、電圧比は 20 log₁₀ で換算する。掛け算の倍率が足し算で扱えるので、増幅器の利得や給電線の損失、アンテナの利得に使う。
電波(電磁波)と波長でんじは
電界と磁界が互いに直角に振れながら空間を光の速さで進む波。1 周期で進む距離が波長 λ で、λ〔m〕=300/f〔MHz〕。電界の向きを偏波といい、垂直偏波と水平偏波がある。
電気の単位と接頭語(V・A・Ω・F・H と k・M・μ・p)でんきのたんいとせっとうご
電圧〔V〕・電流〔A〕・抵抗〔Ω〕・電力〔W〕・静電容量〔F〕・インダクタンス〔H〕など、量ごとに決まった単位。k(10³)・M(10⁶)・μ(10⁻⁶)・p(10⁻¹²)などの接頭語で桁を表す。
直流と交流(周波数・周期)ちょくりゅうとこうりゅう
向きと大きさが一定の電気が直流、向きと大きさが周期的に変わる電気が交流。交流が 1 秒間に繰り返す回数が周波数 f〔Hz〕、1 回にかかる時間が周期 T〔s〕で、T=1/f。
位相と位相差いそう
交流の波が 1 周期のうちのどこにいるかを角度で表したもの。1 周期が 360°(2π〔rad〕)。同じ周波数の 2 つの波のずれが位相差で、ずれのない状態を同相、180° ずれた状態を逆位相という。
起電力と内部抵抗(電池・計器)きでんりょく
電池などが電流を流そうとする力が起電力 E〔V〕。電池の中にも抵抗(内部抵抗 r)があり、電流 I を取り出すと端子電圧は E−Ir に下がる。計器では電流計の内部抵抗は小さく、電圧計の内部抵抗は大きい。
電磁誘導(磁束と起電力)でんじゆうどう
コイルを貫く磁束が変化すると、コイルに起電力が生じる現象。起電力の大きさは磁束が変化する速さと巻数に比例し(ファラデーの法則)、向きは磁束の変化を妨げる向き(レンツの法則)になる。
短絡・開放・断線・導通たんらく
2 点間を抵抗ほぼ 0 でつなぐ(ショートする)のが短絡、何もつながずに切り離すのが開放(オープン)。電流の通り道がつながっていることを導通、線や部品が切れて電流が通らないことを断線という。
回路図の図記号(部品の早見)かいろずのずきごう
回路図で部品を表す決まった記号。抵抗は長方形、コンデンサは平行な2本線、コイルは山の連なり、電池は長短の線(長い方が+)。記号が読めると回路の問題の図がそのまま読める。
抵抗器(固定・可変・カラーコード・定格電力)ていこうき
電流の流れにくさ(抵抗値 R〔Ω〕)を決まった値で回路に入れる部品。電流を絞ったり、電圧を分けたりする。値は色の帯(カラーコード)で表し、耐えられる電力(定格電力〔W〕)でも選ぶ。
コンデンサの種類(電解・セラミック・可変)こんでんさのしゅるい
電気をためるコンデンサには、材料と形の違う種類がある。容量が大きく+−の向き(極性)がある電解コンデンサ、小さく高周波向きのセラミックコンデンサ、つまみで容量を変える可変コンデンサ(バリコン・トリマ)など。
電界・電位・電位差(点電荷・平行平板)でんかいとでんい
電界 E は単位電荷が受ける力〔V/m〕、電位差 V は電界に逆らって単位電荷を運ぶ仕事〔V〕。一様な電界では V = Ed、電子は F = eE の力で加速度 eE/m の等加速度運動をする。
交流回路の複素表示(インピーダンス・位相・電力)こうりゅうかいろのふくそひょうじ
交流の電圧・電流を大きさと位相を持つ複素数で表し、Ż = R + jX にまとめる考え方。電力は有効電力 P = VI cos θ〔W〕、無効電力 Q = VI sin θ〔var〕、皮相電力 S = VI〔VA〕で S² = P² + Q²。
トランジスタのバイアス回路(固定・自己・電流帰還)とらんじすたのばいあすかいろ
トランジスタを増幅器として働かせるため、信号が無いときのベース電流とコレクタ電流(動作点)を決めておく直流回路。ベース抵抗のつなぎ方で固定バイアス・自己バイアス・電流帰還バイアスに分かれ、温度に対する安定度が違う。
論理回路とフリップフロップろんりかいろ
AND・OR・NOT・NAND・NOR・XOR の基本ゲートの真理値表と、ド・モルガンの法則による等価変換。半加算器は S = A ⊕ B、C = A·B。JK フリップフロップはクロックの縁で状態を保持・セット・リセット・反転し、シフトレジスタやカウンタを作る。
半導体 7
半導体(P形・N形・PN接合)はんどうたい
導体と絶縁体の中間の電気の通しやすさをもつ物質(シリコンなど)。不純物を混ぜて電子が多い N 形、正孔が多い P 形を作り、両者を接合した PN 接合がダイオードやトランジスタの基本になる。
ダイオード(整流・検波・ツェナー)だいおーど
PN 接合 1 つからなる 2 端子の半導体素子。順方向にだけ電流を通す整流作用をもち、電源の整流や AM の検波に使う。逆方向の降伏を使うツェナー、容量が変わるバラクタ、光るLED、光を受けるホトダイオードなど種類がある。
トランジスタ(ベース・エミッタ・コレクタ)とらんじすた
P 形と N 形の半導体を 3 層に重ねた素子で、中央の薄い層がベース、両側がエミッタとコレクタ。小さなベース電流で大きなコレクタ電流を制御する電流増幅作用をもちます。
FET(電界効果トランジスタ)えふいーてぃー
ゲート・ソース・ドレインの 3 電極をもち、ゲートに加える電圧でドレイン電流を制御する電圧制御形の素子。入力インピーダンスが高く、接合形と MOS 形があります。
発光ダイオード(LED)はっこうだいおーど
電流を順方向に流すと光るダイオード。電源ランプや送信中の表示に使う。足の長い方がアノード(+)。そのままつなぐと電流が流れすぎるので、抵抗を直列に入れて電流を決める。
バリスタとサーミスタばりすたとさーみすた
条件で抵抗値が大きく変わる抵抗器。バリスタはある電圧を超えると急に電流を通し、雷などの異常電圧(サージ)から機器を守る。サーミスタは温度で抵抗値が変わり、温度の検出や補償に使う。
IC(集積回路)とオペアンプあいしー
IC(集積回路)は、たくさんのトランジスタや抵抗を小さなシリコン板1枚にまとめ、足(ピン)の付いた部品にしたもの。増幅用のオペアンプ(演算増幅器)、電圧を一定にする三端子レギュレータなどがある。
送受信機 16
増幅器(A級・B級・C級、効率)ぞうふくき
入力信号を大きな出力にする回路。動作点(バイアス)の置き方で A 級・B 級・C 級に分かれ、A 級はひずみが少なく効率が低い、C 級は効率が高くひずみが大きい。
発振回路(水晶・PLL・VCO)はっしんかいろ
外部からの入力なしに一定周波数の交流を作り続ける回路で、送信機の搬送波や受信機の局部発振信号のもと。水晶発振回路は安定度が高く、PLL 周波数シンセサイザは安定さと可変を両立します。
周波数逓倍器ていばいき
入力した周波数の整数倍(2倍・3倍など)の周波数を取り出す回路。増幅器を C 級で動かして高調波を作り、出力の同調回路で必要な次数の高調波だけを選ぶ。水晶発振器の低い周波数から高い送信周波数を作るときに使う。
送信機の構成(AM・SSB・FM)そうしんきのこうせい
発振器で作った搬送波を緩衝増幅・逓倍・励振増幅・電力増幅で送信周波数と送信電力まで育て、途中で信号波を乗せる(変調する)装置。AM・SSB・FM で、変調する段の位置と使う回路が違う。
スーパーヘテロダイン受信機すーぱーへてろだいん
受信した電波を局部発振器の出力と混合して一定の中間周波数に変換し、そこで増幅と選択をしてから検波する受信機。受信周波数を変えても中間周波数は変わらないので、安定して高い利得と選択度が得られる。
中間周波数と影像周波数ちゅうかんしゅうはすう
中間周波数 fi は、受信周波数 fs と局部発振周波数 fo の差。影像周波数は fo をはさんで fs の反対側に fi だけ離れた周波数(fs±2fi)で、混合器に入ると同じ fi になってしまうので混信のもとになる。
受信機の性能(感度・選択度・安定度・忠実度)じゅしんきのせいのう
受信機の良さを表す4つの尺度。感度はどれだけ弱い電波を受信できるか、選択度は多数の電波の中から目的の電波だけを選び出せるか、安定度は再調整なしに長時間一定の出力を保てるか、忠実度は元の信号をどれだけ忠実に再現できるか。
検波(AM 検波・SSB の復調・FM の周波数弁別器)けんぱ
変調された電波(受信機では中間周波信号)から元の音声などの信号波を取り出すこと。復調ともいう。AM は包絡線をなぞる直線検波、SSB は BFO の搬送波を足して検波、FM は周波数の変化を振幅に変える周波数弁別器。
AGC とスケルチえーじーしーとすけるち
AGC(自動利得制御)は受信入力の強弱に合わせて高周波・中間周波増幅器の利得を自動で変え、出力をほぼ一定に保つ回路。スケルチは受信電波が無いときにスピーカから出る大きな雑音を止める回路で、FM 受信機に付く。
雑音(内部雑音・外部雑音・S/N)ざつおん
目的の信号以外の不要な電気的ゆらぎ。受信機の中で生じる内部雑音(熱雑音・散弾雑音)と、外から入ってくる外部雑音(空電・宇宙雑音・人工雑音)に分かれる。信号の強さと雑音の強さの比が信号対雑音比(S/N)で、大きいほど良い。
フィルタ(LPF・HPF・BPF・BEF)ふぃるた
決めた周波数の成分だけを通し、それ以外を減衰させる回路。低い方を通す LPF、高い方を通す HPF、ある帯域だけ通す BPF、ある帯域だけ止める BEF の4種類がある。
スプリアス・高調波の抑圧(工学)すぷりあすよくあつ
送信機から出てしまう目的外の周波数成分(高調波・低調波・寄生発射・相互変調積)。増幅器の非直線性や寄生発振が原因で、LPF・接地とシールド・整合で抑える。
混信と妨害波(希望波)こんしん
受信したい電波(希望波)以外の電波(妨害波)が受信機に入り、受信を妨げること。原因は送信側の高調波・スプリアス・過変調と、受信側の選択度不足・影像周波数・混変調・相互変調などに分けられる。
電信(A1A)とキークリックでんしん
電鍵(キー)で搬送波を断続させ、モールス符号を送る通信。電波の型式は A1A。キーイングの波形の立上り・立下りが急すぎると、広い周波数に「カチカチ」という妨害(キークリック)を与える。
スイッチとリレー(継電器)すいっちとりれー
スイッチは接点を手で開け閉めして回路をつないだり切ったりする部品。リレー(継電器)は電磁石で接点を動かすスイッチで、小さな電流で別の回路を開閉できる。送受信の切り替えや電鍵の回路に使う。
スピーカとマイクロホンすぴーかとまいくろほん
マイクロホン(マイク)は音を電気の信号に、スピーカは電気の信号を音に変える部品。どちらも磁石とコイルと振動板でできたものが多く、仕組みは表と裏の関係。無線機の入口と出口にある。
変調 7
変調とは(搬送波・信号波)へんちょう
音声などの信号波を電波に乗せるため、高周波の搬送波の振幅・周波数・位相のどれかを信号波に応じて変化させること。変える量で AM・FM・PM に分かれ、受信側で元に戻す操作が復調(検波)です。
振幅変調(AM)と変調度えーえむ
信号波の大きさに応じて搬送波の振幅を変える方式(A3E)。搬送波の上下に信号波の周波数分の側波帯ができ、占有周波数帯幅は信号波の最高周波数の 2 倍。振幅の変化の深さが変調度です。
SSB(単側波帯)えすえすびー
振幅変調の両側波帯のうち片方だけを送り、搬送波は抑圧する方式(J3E)。平衡変調器で搬送波を消して DSB を作り、帯域フィルタで片側波帯を取り出します。帯域が AM の半分で電力効率がよい方式です。
周波数変調(FM)と周波数偏移えふえむ
信号波の大きさに応じて搬送波の周波数を変える方式(F3E)。振幅は一定で、周波数が中心からずれる量が周波数偏移。占有周波数帯幅はおよそ 2(Δf+fS) と AM より広いが、振幅性の雑音に強い方式です。
位相変調(PM)とデジタル変調(PSK・FSK・QAM)でじたるへんちょう
位相変調は信号波で搬送波の位相を変える方式(G3E)。デジタル変調は 0・1 のベースバンド信号で搬送波の振幅(ASK)・周波数(FSK)・位相(PSK)を切り替えるもので、QAM は振幅と位相の両方を変えます。
平衡変調器・リング変調器へいこうへんちょうき
搬送波と信号波を加えると、搬送波の成分が打ち消されて上下の側波帯(DSB)だけが出てくる変調回路。SSB 送信機では、この出力を帯域フィルタに通して片側の側波帯だけを取り出す。
占有周波数帯幅と帯域幅(工学)せんゆうしゅうはすうたいはば
変調された電波が周波数の上で占める幅。AM(DSB)は変調信号の周波数 fS の 2 倍、SSB はほぼ fS、FM は周波数偏移のぶん広くなる。フィルタや受信機が通す周波数の幅は帯域幅という。
電源・測定 5
整流と平滑(電源回路)せいりゅうとへいかつ
交流を一方向だけの脈流に変えるのが整流回路。脈流に残る交流分(リプル)をコンデンサやチョークコイルで取り除いて滑らかな直流にするのが平滑回路。
定電圧回路(ツェナー・三端子レギュレータ)ていでんあつかいろ
入力電圧や負荷電流が変わっても出力電圧を一定に保つ回路。ツェナーダイオードの逆方向の降伏で電圧がほぼ一定になる性質や、三端子レギュレータ IC を使う。
蓄電池(鉛・リチウムイオン)と太陽電池ちくでんち
充電と放電を繰り返せる二次電池。鉛蓄電池は1セル約 2〔V〕、リチウムイオン蓄電池は約 3.6〜3.7〔V〕で、容量は〔Ah〕で表す。太陽電池は光を電気に変えるが、ためる働きはない。
測定器(テスタ・オシロスコープ・周波数カウンタ・電力計)そくていき
無線機の調整や点検に使う計器。テスタは電圧・電流・抵抗、オシロスコープは波形、周波数カウンタは周波数、電力計・SWR メータ・ディップメータは送信系の状態を測る。何を測るかで使い分ける。
変圧器(トランス・巻数比)へんあつき
1つの鉄心に2つのコイルを巻き、交流の電圧を上げ下げする部品。電圧は巻数に比例し、巻数比 N₁:N₂ で決まる。電源のほか、インピーダンスを合わせる(整合)のにも使う。直流の電圧は変えられない。
空中線・伝搬 16
空中線の基本(放射・利得・指向性・放射抵抗)くうちゅうせんのきほん
空中線(アンテナ)は送信機の高周波電流を電波にして空間に放射し、受信では電波を高周波電流に戻す導体。性能は利得・指向性・放射抵抗・偏波で表す。
半波長ダイポールはんはちょうだいぽーる
全長が波長の 1/2 の直線導体を中央で切って給電する、最も基本のアンテナ。放射抵抗は約 73〔Ω〕、電流は中央で最大、電圧は両端で最大。水平に張ると水平面内は 8 字形の指向性になる。
ブラウンアンテナ・ホイップ・スリーブ(垂直偏波)ぶらうんあんてな
λ/4 の垂直な放射素子を使う垂直偏波のアンテナ。ブラウンは根元から数本のラジアル、ホイップは車体や大地、スリーブは λ/4 の円筒導体が接地側になる。水平面内は全方向性。
八木・宇田アンテナやぎあんてな
λ/2 の放射器の前にやや短い導波器、後ろにやや長い反射器を平行に並べたアンテナ。導波器の方向にだけ強く放射する単一指向性で、VHF・UHF 帯で使う。
給電線(同軸ケーブル・平行二線・導波管)きゅうでんせん
送信機・受信機とアンテナを結び、高周波電力を損失なく運ぶ線路。同軸ケーブル(不平衡、50 / 75〔Ω〕)、平行二線式(平衡、HF 帯以下)、導波管(マイクロ波)がある。
定在波比(SWR)と反射えすだぶりゅーあーる
給電線上の進行波と反射波が重なってできる定在波の、電圧の最大値と最小値の比。アンテナと給電線の整合がとれていれば反射がなく SWR=1、不整合ほど大きくなる。SWR メータで測る。
接地と避雷せっちとひらい
接地は、接地アンテナの大地側や送信機の筐体を地中の接地棒などに低い抵抗でつなぐこと。接地抵抗が小さいほど放射効率がよく、高周波の漏れも減る。避雷は落雷の過電圧から機器を守ることで、同軸避雷器を給電線に入れ、避雷器の接地線は短く太くする。
電離層(D・E・F 層)と短波の伝搬でんりそう
太陽の紫外線で上空の大気が電離してできた層。低い順に D 層(60〜90〔km〕、吸収)、E 層(約 100〔km〕)、F 層(200〜400〔km〕、短波を反射)。短波(HF)は F 層で反射して遠距離に届き、VHF 以上は突き抜ける。
スポラディック E 層すぽらでぃっくいーそう
E 層とほぼ同じ高さ(約 100〔km〕)に、突発的・局地的に現れる電子密度の高い薄い層(Es 層)。主に夏季の昼間に発生し、普段は電離層を突き抜ける VHF(50〔MHz〕帯など)を反射して、数百〜2,000〔km〕の異常伝搬を起こす。
VHF・UHF の伝搬(見通し距離・回折・ダクト)ぶいえいちえふのでんぱん
VHF・UHF の電波は光に似て直進し、電離層を突き抜け、地表波も減衰が大きいので、直接波と大地反射波による見通し距離内の通信が基本。到達距離はアンテナの高さで決まる。見通し外には山岳回折・ラジオダクト・対流圏散乱で届くことがある。
フェージングふぇーじんぐ
受信点の電界強度が時間とともに強くなったり弱くなったりする現象。複数の経路を通った電波の干渉や、電離層の状態の変化、偏波の回転などで起きる。短波で特に顕著。対策は AGC・ダイバーシティ受信、FM では振幅制限器。
マイクロ波の特徴まいくろは
周波数 3〜30〔GHz〕の SHF 帯を中心とする、波長 1〜10〔cm〕の電波。光に近い性質で直進し、電離層を突き抜けるので、見通し内の固定通信・レーダー・衛星通信に使われる。
周波数帯の区分(HF・VHF・UHF)しゅうはすうたいのくぶん
電波を周波数で区切った呼び名。中波(MF)0.3〜3〔MHz〕、短波(HF)3〜30〔MHz〕、超短波(VHF)30〜300〔MHz〕、極超短波(UHF)300〜3,000〔MHz〕、マイクロ波(SHF)3〜30〔GHz〕。帯ごとに伝わり方が違う。
地表波・直接波・大地反射波(電波の通り道)ちひょうは
送信アンテナから受信点までの電波の通り道による呼び名。大地の表面に沿って進むのが地表波、空間をまっすぐ進むのが直接波、地面で反射して届くのが大地反射波、電離層で反射して戻るのが電離層反射波。
電界強度でんかいきょうど
受信点での電波の強さを、電界の大きさで表した量。単位は〔V/m〕で、実際には〔μV/m〕や、1〔μV/m〕を 0〔dB〕とした〔dBμV/m〕で表す。放射電力が大きく、距離が近いほど強い。
同軸コネクタ(M形・N形・BNC・SMA)どうじくこねくた
同軸ケーブルを無線機・アンテナ・測定器につなぐための接続部品。中心導体と外側の導体を、特性インピーダンスを保ったままつなぐ。周波数や用途で M 形・N 形・BNC・SMA などを使い分ける。
工学A 3
相互変調と混変調(受信機のひずみ)そうごへんちょうとこんへんちょう
受信機の増幅回路などの非直線性により、通過帯域外の強い妨害波から希望波の近くに新しい周波数成分が生まれるひずみ。妨害波どうしの積が相互変調、妨害波の変調信号が希望波の搬送波に乗り移るのが混変調。
受信機の感度・相互変調特性の測定(SG・dBm)じゅしんきのそくてい
標準信号発生器(SG)を受信機の入力端につなぎ、所要の復調出力や雑音抑圧が得られる入力レベルを測る試験。法令等の「受信機入力電圧」は信号源の開放電圧で、SG の dBm 表示を 50〔Ω〕整合の終端電圧に直し、その 2 倍にする。
スペクトルアナライザによる測定(変調度・占有帯域・スプリアス)すぺくとるあならいざ
横軸を周波数、縦軸をレベル〔dB〕にして信号のスペクトルを表示する測定器。掃引型は局部発振器を掃引するスーパヘテロダイン受信機で、分解能帯域幅(RBW)のフィルタで各周波数の電力を拾う。AM の変調度、FM の周波数偏移、占有周波数帯幅、スプリアスの測定に使う。
工学B 4
実効長と放射抵抗(微小・半波長・折返し)じっこうちょうとほうしゃていこう
実効長 he は電流を給電点の値で一様とみなしたときの長さで、誘起電圧は V0=he·E。放射抵抗 Rr は放射電力を I²Rr と見た抵抗。半波長ダイポールは he=λ/π・Rr≒73〔Ω〕、n 線式折返しは he が n 倍・入力インピーダンスが n² 倍。
方形導波管(遮断波長・TE10・管内波長)どうはかん
幅 a・高さ b(a>b)の金属の筒でマイクロ波を伝える線路。基本モード TE10 の遮断波長は λc=2a。管内波長 λg=λ/√(1−(λ/λc)²) は自由空間より長く、位相速度は光速より速く、群速度は遅い。
電離層の反射機構(臨界周波数・MUF・電子密度)でんりそうのはんしゃ
電離層の屈折率 n=√(1−81N/f²) は電子密度 N が大きいほど小さい。上の層ほど N が大きいので、斜めに入った電波はスネルの法則で徐々に水平に曲げられ、やがて地上に戻る。垂直入射で戻れる上限が臨界周波数 fc=9√N、斜め入射の上限が MUF=fc·secθ。
平衡給電と不平衡給電(バラン・地板のイメージ効果)へいこうきゅうでん
半波長ダイポールや平行二線は、2 本の導体に大きさが等しく逆向きの電流が流れる平衡系。同軸ケーブルや測定器は外部導体を接地する不平衡系。直接つなぐと外部導体の外側に漏洩電流が流れるので、バラン(平衡・不平衡変換器)で変換する。
他の資格で出る用語 77
パラボラアンテナ(マイクロ波)放物面の反射鏡の焦点に一次放射器を置き、電波を平面波にして一方向へ放射するアンテナ。開口面積が大きく波長が短いほど利得が高く、ビームが鋭い。マイクロ波の固定回線・衛星・レーダーに使う。
多重通信(FDM・TDM・PCM)1 本の伝送路に多くの信号をまとめて送る技術。周波数で分ける FDM と時間で分ける TDM があり、デジタルの TDM の土台になるのが、音声を標本化・量子化・符号化してパルス列にする PCM(パルス符号変調)。
多元接続(TDMA・CDMA・FDMA・OFDM)1 つの衛星や基地局を多数のユーザが同時に共用するための方式。周波数で分ける FDMA、時間で分ける TDMA、拡散符号で分ける CDMA、多数の直交したサブキャリアを割り当てる OFDMA がある。
誤り訂正・誤り検出送信側でデジタル信号に冗長ビット(検査ビット)を付け、受信側で伝送中に生じたビットの誤りを見つけ(誤り検出)、元に戻す(誤り訂正)仕組み。デジタル通信がアナログより雑音に強い理由の一つ。
レーダーの原理(パルス・最大探知距離・分解能)マイクロ波の短いパルスを発射し、物標からの反射波が戻るまでの時間で距離を、アンテナの向きで方位を測る装置。船舶・航空・気象用はパルスレーダー、速度測定用は持続波のドプラレーダー。
静止衛星通信赤道上空約 36,000〔km〕の円軌道を地球の自転と同じ周期(約 24 時間)で回り、地上から止まって見える衛星を中継器にする通信。3 機で極地方を除く地球全体を覆える。
GPS(衛星測位)高度約 20,000〔km〕を回る約 30 機の測位衛星が送る時刻と軌道の情報を受信し、電波の到達時間から各衛星までの距離を求めて受信機の位置を知るシステム。4 機以上の衛星が必要で、民生用は 1,575.42〔MHz〕(L1 帯)を使う。
無線 LAN・携帯電話の仕組み無線 LAN は 2.4〔GHz〕帯・5〔GHz〕帯などを使い、アクセスポイントと端末が免許不要で短距離のデータ通信をする仕組み。携帯電話はサービス地域を小さなセルに分け、各セルの基地局と移動局が通信し、移動すると隣の基地局へ切り替える(ハンドオーバ)仕組み。
単信方式・複信方式とプレストーク送信と受信を交互に切り替えて行うのが単信方式、電話のように送受信を同時にできるのが複信方式。単信方式の送受信機は、プレストークボタン(PTT)を押している間だけ送信状態になる。
ヒューズ回路に直列に入れ、決められた以上の電流が流れると中の金属が溶けて切れ(溶断し)、回路を遮断して機器や配線を守る部品。機器の規格電流より少し大きい値のものを使う。
アナログ方式とデジタル方式音声などを連続した量のまま送るのがアナログ方式、0 と 1 の数値(デジタル信号)に変えて送るのがデジタル方式。デジタル方式は雑音に強く、誤り訂正や暗号化ができる一方、信号処理による遅延が生じる。
ビットと伝送速度(bps)ビットは 0 か 1 かを表す情報の最小単位で、n ビットで 2ⁿ 通りを区別できる。1 秒間に送るビット数が伝送速度(ビットレート)で、単位は〔bps〕(bit/s)。
磁界・磁束・磁気回路(アンペアの法則・磁気抵抗)電流は周りに磁界 H をつくり(アンペアの法則)、鉄心の中では磁束 φ が起磁力 NI ÷ 磁気抵抗 Rm で決まる。磁気抵抗は Rm = l/(μS) で、オームの法則と同じ形で直列・並列に合成できる。
静電容量の合成と電圧分担コンデンサは並列なら容量を足し、直列なら逆数を足す。直列では各コンデンサの電荷 Q が共通で、電圧は容量に反比例して分かれる。接続点に電源がつながっていなければ、そこにある電荷の和は 0 のまま(電荷保存)。
自己・相互インダクタンスと合成自己インダクタンス L は自分の電流変化で起電力 e = −L di/dt を生む大きさ、相互インダクタンス M は相手のコイルの電流変化で起電力 e = −M di/dt を生む大きさ〔H〕。2 つのコイルを直列にすると L1 + L2 ± 2M(和動で +、差動で −)。
ブリッジ回路(平衡条件・ホイートストン)4 つの辺を四角につなぎ、対角に電源と検流計を入れた回路。向かい合う辺の積が等しい(R1R4 = R2R3)と検流計に電流が流れず「平衡」し、未知の抵抗やインピーダンスを他の 3 辺から求められる。
直列共振回路の Q と帯域幅R・L・C を直列にした回路は、ωL = 1/(ωC) となる共振周波数 f0 で電流が最大になる。尖鋭度 Q = ω0L/R は共振の鋭さで、電流が最大の 1/√2 になる 2 点の間隔(半値幅)は B = f0/Q。共振時は L や C の両端電圧が電源の Q 倍に上がる。
抵抗回路の合成(対称回路・Y-Δ)直列は和、並列は逆数の和。それだけでほどけない網目は、(1) 左右対称なら同電位の点をまとめる(または同電位の点をつなぐ枝を外す)、(2) △ と Y を変換する、(3) 平衡ブリッジなら中央の枝を無視する、の 3 つの手で直列・並列に直す。
半導体素子の雑音(熱・散弾・フリッカ・分配)ダイオードやトランジスタの内部で生じる雑音。抵抗分の熱雑音と、キャリアの数のゆらぎによる散弾雑音は周波数によらず平坦(白色雑音)。低域では 1/f に比例するフリッカ雑音、高域ではエミッタ電流の分配比のゆらぎによる分配雑音が増える。
ダイオード回路の動作点(負荷線)電源と抵抗を直列にしたダイオード回路で、実際に流れる電流と両端の電圧の組。ダイオードの電圧電流特性曲線と、抵抗が決める直線(負荷線)の交点として求める。シリコンの順方向電圧は約 0.6〜0.7〔V〕。
FET の動作原理と増幅回路(接地方式・カスコード)ゲート電圧でチャネルの電流を制御する FET の動作(MOS 形の空乏層・反転層、エンハンスメント/デプレッション)と、ソース接地・ドレイン接地・ゲート接地の増幅回路の性質。等価回路は電流源 gm·VGS で表し、出力インピーダンスなどを導く。
マイクロ波・ミリ波の電子管と半導体素子SHF・EHF 帯で発振や増幅に使う素子。電子管は進行波管(ら旋遅延回路、広帯域増幅)、クライストロン(空洞共振器、速度変調)、マグネトロン(磁界と空洞、大電力発振)。半導体はインパット・ガン・トンネルダイオード(負性抵抗で発振)、バラクタ、HEMT など。
演算増幅器(反転・非反転・CR 発振)利得が非常に大きく、入力インピーダンスが無限大・出力インピーダンスが零とみなせる差動増幅器(オペアンプ、AOP)。負帰還をかけると利得が外付けの抵抗だけで決まる。反転・非反転増幅、積分回路、ウィーンブリッジ形 CR 発振回路の計算に使う。
B 級プッシュプル(SEPP)と効率特性の相補的な NPN と PNP(コンプリメンタリ)を縦に積み、正の半周期と負の半周期を 1 個ずつが受け持つ B 級の電力増幅回路。出力トランスなしで負荷を直接駆動でき(SEPP)、最大効率は π/4 ≒ 78.5〔%〕。
整流回路の出力電圧(倍電圧・ブリッジ・最大値)ダイオードとコンデンサで交流から直流を作るときの電圧の計算。コンデンサは交流の最大値 Vm = √2 V まで充電され、半波倍電圧整流回路では 2Vm が得られる。変成器の巻数比、ダイオードにかかる逆電圧(PIV)、平均値(2Vm/π)も合わせて問われる。
指示電気計器の種類と特徴指針の振れで電圧・電流を読む計器の分類。可動コイル形(直流、平均値)、可動鉄片形・電流力計形・熱電対形(交直両用、実効値)、整流形(交流、平均値に波形率 1.11 を掛けて実効値目盛)、静電形(高電圧)、誘導形(交流専用、電力量計)。何を指示するかが問われる。
電力・電圧・電流の測定(計器の内部抵抗と誤差)電圧計は測りたい箇所に並列、電流計は直列に入れて測る。計器には内部抵抗があるので、電圧計は電流を横取りし、電流計は電圧を落とす。つなぎ方で誤差の出方が変わり、倍率器・分流器で測定範囲を広げる。
リサジュー図形による周波数・位相の測定オシロスコープの水平入力と垂直入力に別々の正弦波を加えたときに画面に描かれる図形。縦横の周波数比は図形が接線に触れる点の数の比で読み、同じ周波数なら位相差によって直線・楕円・円になる。
A-D 変換(二重積分形・逐次比較形)アナログ電圧をデジタルの数値に変える回路。二重積分形は入力を一定時間積分してから基準電圧で戻す時間を数え、逐次比較形は上位ビットから 1 ビットずつ基準と比べて決める。分解能はビット数で決まる。
FM の周波数偏移・変調指数・占有帯域(カーソン)FM では変調信号の振幅に比例して搬送波の周波数がずれる。その最大のずれが最大周波数偏移 Δf、Δf を変調周波数 fm で割ったものが変調指数 mf。占有帯域幅はカーソンの式 B≒2(Δf+fm) で見積もる。
位相変調(PM)と FM の関係変調信号の振幅に比例して搬送波の位相をずらす方式。位相の最大のずれが位相変調指数 mp〔rad〕で、周波数偏移は mp×fm となり変調信号の周波数に比例する。変調信号を積分してから PM すると FM になる(間接 FM)。
デジタル変調の信号点配置(BPSK・QPSK・16QAM・64QAM)搬送波の同相成分 I と直交成分 Q を軸にして、1 シンボルで送る信号の振幅と位相を点で表した図。点の数 M が多いほど 1 シンボルで log₂M ビット送れるが、同じ電力では点の間隔が縮んで誤りやすくなる。
OFDM(直交周波数分割多重)の原理・同期・ガードインターバル互いに直交する多数のサブキャリアにデータを分けて並列に送る方式。送信は IFFT、受信は FFT で一括して変復調し、シンボルの前に後半のコピー(ガードインターバル)を付けてマルチパスの遅延波による干渉を避ける。
C/N・受信電力・回線設計(dBm の計算)送信電力に利得を足し損失を引いて受信電力 C を出し、受信機の雑音電力 N=kTBF と比べる計算。C/N〔dB〕が所要値を超えるように送信電力やアンテナ利得を決める。すべて dB で足し引きするのがこつ。
同期検波と搬送波再生(逆変調形・コスタス)受信した PSK・QAM 信号に、送信側と同じ周波数・位相の基準搬送波を掛けて低域フィルタを通し、I・Q の信号を取り出す復調法。基準搬送波は受信信号から再生する必要があり、逆変調形・逓倍形・コスタスループがある。
整流回路のリプル率・電圧変動率・整流効率直流電源の出来栄えを表す 3 つの指標。リプル率は直流分に対する交流分の割合、電圧変動率は無負荷から定格負荷までの電圧の下がり方、整流効率は入力交流電力のうち負荷へ直流として届く割合。
直列形定電圧回路と電流制限形保護回路負荷と直列に入れた制御用トランジスタの電圧降下を、誤差増幅器が基準電圧(ツェナー)と出力の分圧を比べて調節し、出力電圧を一定に保つ回路。負荷電流を検出抵抗で見張り、規定を超えると制御用トランジスタのベース電流を減らすのが電流制限形保護回路。
無停電電源装置(UPS)とインバータ商用電源が停電・瞬断・電圧異常を起こしても、蓄電池とインバータで負荷に交流を供給し続ける装置。平常時の給電経路の違いで常時インバータ給電方式・常時商用給電方式・ラインインタラクティブ方式に分かれる。
静止衛星通信(食・軌道・周波数・SCPC)赤道上空約 36,000〔km〕の静止軌道にある通信衛星を使う通信で、一陸技では衛星の食・太陽雑音干渉・上り下りの周波数・中継器の電力増幅器(SCPC と入力バックオフ)が問われる。
航空用無線施設(ILS・VOR・DME・ATC トランスポンダ)航空機の航法と着陸を助ける地上・機上の無線設備。方位を与える VOR、距離を与える DME、着陸進入の経路を与える ILS、管制レーダーに応答する ATC トランスポンダ、GPS を補強する GBAS・SBAS など。
ドプラレーダーとドプラ周波数動いている物標からの反射波は、送信周波数から少しずれて戻ってくる(ドプラ効果)。そのずれ fd=2v cosθ/λ から物標の速度を測るレーダー。速度違反の取締り、気象レーダーの風速測定、移動目標の検出(MTI)に使う。
レーダー方程式と最大探知距離送信電力・アンテナ利得・波長・物標の有効反射断面積から、距離 R の物標からの受信電力を表す式。受信電力は R の 4 乗に反比例し、受信機が検出できる最小受信電力で決まる距離が最大探知距離。
フェージング補償(ダイバーシティ・等化器・AGC)デジタル無線でフェージングによる誤りを減らす技術の総称。相関の低い複数の経路を合成・選択するダイバーシティ、伝送路の振幅・遅延ひずみを打ち消す等化器、誤りを散らして訂正する誤り訂正とインターリーブ、受信レベルの変動をならす AGC など。
デジタルフィルタ(移動平均・FIR・IIR)標本化した数列に遅延・定数倍・加算の演算をして出力を作るフィルタ。インパルス応答が有限長の FIR と、出力を帰還させる IIR がある。移動平均は FIR の代表で、直流を通し高い周波数を落とすローパス特性をもつ。
矩形波パルスのスペクトル(sinc・帯域)幅 T_P の矩形パルスを周期 T で繰り返した信号は、基本周波数 1/T の整数倍の線スペクトルをもち、その包絡線は sin(πfT_P)/(πfT_P) の sinc 形になる。最初に零になる周波数は 1/T_P で、パルスが短いほどスペクトルは広がる。
標本化と量子化の誤差(折返し・量子化雑音)アナログ信号を標本化周波数 fs で離散化し、振幅を n ビットの段階に丸めるときに生じる誤差。最高周波数が fs/2 を超えると折返し雑音(エイリアシング)が、有限幅のパルスで標本化するとアパーチャ効果が、振幅の丸めで量子化雑音が生じる。
抵抗減衰器(T 形・π 形)の設計抵抗だけで組み、両端を特性インピーダンス Z0 に整合させたまま決まった減衰量〔dB〕を与える回路。直列 1 本と並列 2 本の π 形、直列 2 本と並列 1 本の T 形があり、電圧比 K=10^(A/20) から各抵抗を Z0 の倍数で決める。
周波数計(直接カウント・レシプロカル)基準クロックを使って周波数を数字で表示する計器。直接カウント方式はゲート時間 Tg の間に入力のパルス数を数え、レシプロカルカウント方式は入力の周期をクロックで測ってその逆数を表示する。どちらも ±1 カウントの誤差をもつ。
オシロスコープの立上がり時間と帯域パルスの振幅が 10〔%〕から 90〔%〕に達するまでの時間を立上がり時間という。観測値は信号の真の立上がり時間とオシロスコープ固有の立上がり時間の 2 乗和の平方根になり、固有の立上がり時間は帯域幅 B との積がほぼ 0.35。
PLL 周波数シンセサイザ(整数 N・フラクショナル N)VCO の出力を 1/N に分周して基準周波数 fref と位相比較し、fo=N·fref の安定な周波数を作る回路。N を変えて出力を切り替える。N と N+1 を周期的に切り替えて平均の分周比を非整数にしたフラクショナル N 型は fref より細かいステップが得られる。
雑音電界強度測定器(妨害波測定器)と準尖頭値人工雑音などのパルス性雑音の電界強度を、CISPR 規格で定めた帯域幅と検波時定数で測る受信機形の測定器。指示は準尖頭値(規定の充放電時定数をもつ直線検波器の見掛け上の尖頭値)で、妨害度に対応させる。
マクスウェルの方程式と電磁波電界 E と磁界 H の関係を表す 4 本の式。rot H=電流(印加・導電・変位)はアンペアの法則、rot E=−μ∂H/∂t はファラデーの法則。この 2 式から、E と H が互いを生みながら空間を進む電磁波(平面波)が導かれる。
アンテナの実効面積・絶対利得・相対利得実効面積 Ae は「到来する電力束密度 p のうち、アンテナが取り出せる最大電力 Pr の割合」を面積で表したもの(Pr=p·Ae)。絶対利得 G との間に Ae=Gλ²/(4π) の関係がある。絶対利得は等方性アンテナ基準、相対利得は半波長ダイポール基準。
給電線の反射・定在波・電力(入射波・反射波)給電線に Z0 と違う負荷をつなぐと、入射波の一部が反射係数 Γ=(ZL−Z0)/(ZL+Z0) で戻り定在波が立つ。電圧定在波比 S=(1+|Γ|)/(1−|Γ|)、波腹のインピーダンスは Z0·S、波節は Z0/S、負荷に届く電力は入射電力の (1−|Γ|²) 倍。
同軸線路の特性インピーダンス(寸法と誘電率)内部導体の外径 d、外部導体の内径 D、絶縁体の比誘電率 εr で決まる同軸線路のインピーダンス。Z0=(138/√εr)·log10(D/d)〔Ω〕で、D/d の対数に比例し √εr に反比例する。単位長の L と C から Z0=√(L/C) とも書ける。
表皮効果と表皮厚さ高周波の電流や電磁界が導体の表面近くに集中し、内部に入るほど指数的に減る現象。振幅が表面の 1/e(約 37〔%〕)になる深さが表皮厚さ δ=1/√(πfμσ) で、周波数 f・透磁率 μ・導電率 σ が大きいほど薄い。
開口面アンテナ(パラボラ・カセグレン・ホーン・誘電体レンズ)開口面(鏡面やホーンの口)から平面波を放射するマイクロ波用アンテナの総称。絶対利得は G=4πηA/λ²=η(πD/λ)² で、開口面積と開口効率に比例し波長の 2 乗に反比例する。一次放射器の球面波を、鏡面・副反射鏡・誘電体レンズで平面波に直す。
アレーアンテナ(フェーズドアレー・対数周期・無給電反射板)同じ素子を複数並べ、各素子の給電の振幅と位相で全体の指向性を作るアンテナ。指向性は素子単体の指向性 × 配列指向係数(アレーファクタ)。移相器でビームを振るフェーズドアレー、相似形で広帯域の対数周期ダイポールアレー、給電線なしの平面反射板を含む。
自由空間基本伝送損と受信電力(フリスの式)障害物も大地もない自由空間で、等方性アンテナどうしを距離 d で向かい合わせたときの電力の減り方 Γ₀=(4πd/λ)²。送受信アンテナの利得を掛けた受信電力 Pr=PtGtGr(λ/4πd)² がフリスの伝達公式で、回線設計と利得測定の土台になる。
大地反射を含む電界強度(直接波+反射波・ハイトパターン)VHF 以上の見通し内伝搬で、直接波と大地反射波が干渉してできる受信電界強度。反射係数 −1 の平面大地なら E=2E₀|sin(2πh₁h₂/λd)|。受信アンテナを上下に動かすと電界強度が周期的に強弱を繰り返し、これをハイトパターンという。
第 1 フレネルゾーンと見通し送信点と受信点を焦点とし、「直接経路より λ/2 だけ長い経路」の点を結んだ回転楕円体の内側。半径は r=√(λd₁d₂/D)。この領域に障害物が入ると回折損が生じるので、マイクロ波回線では第 1 フレネルゾーンの 6 割程度のクリアランスを確保して見通しを設計する。
対流圏伝搬(ダクト・散乱・フェージングの種類)地上約 10 km までの対流圏で、大気の屈折率が高さとともに減ることで電波が下に曲がる伝搬。標準大気では等価地球半径係数 k=4/3 で直線扱いにできる。屈折率の分布が崩れるとダクトや散乱が起き、k の変動・大地反射・大気の乱れが VHF 以上のフェージングの原因になる。
移動体通信の伝搬(マルチパス・遅延スプレッド・レイリー)建物の反射・回折で多数の波が届くマルチパス環境を移動局が走るときの受信レベルの変動。λ/2 で激しく変わる瞬時変動(レイリー分布)、数十波長で平均した短区間中央値(対数正規分布)、距離で決まる長区間中央値(Xd⁻ᵅ)の 3 層で捉える。
アンテナの測定(利得・入力インピーダンス・放射界の領域)アンテナの利得・指向性・入力インピーダンスの測り方と条件。利得はフリスの伝達公式による二アンテナ法・三アンテナ法、標準アンテナ(角すいホーン)との比較法、反射板の鏡像法。受信点で平面波とみなせる遠方界(2D²/λ 以上)で、反射物のないオープンサイトで測る。
帰還回路(負帰還・正帰還と発振条件)出力の一部を入力に戻すのが帰還。入力を打ち消す向きが負帰還で、利得は A/(1+Aβ) に下がる代わりに安定し、ひずみが減り帯域が広がる。強め合う向きが正帰還で、Aβ = 1 を満たす周波数で発振する。
等価回路(電圧源・電流源・テブナンの定理)実際の素子や回路を、同じ端子電圧・電流を示す電源とインピーダンスの組み合わせに置き換えた図。FET は gm·VGS の電流源、アンテナは誘起電圧と内部抵抗の電圧源で表し、開放電圧と短絡電流から出力インピーダンスを求める。
伝達関数と周波数特性(振幅特性・位相特性)回路の出力と入力の比 H(jω) = V̇o/V̇i を周波数の関数として表したもの。大きさ |H| が振幅特性、偏角が位相特性で、両方をまとめて周波数特性という。反転増幅器なら −Zf/Zi、デジタルフィルタなら H(z) で表す。
雑音指数の縦続接続と等価雑音温度(フリスの式)増幅器を何段もつないだときの全体の雑音指数は F = F1 + (F2 − 1)/G1 + … で、初段の雑音指数と利得でほぼ決まる。雑音を温度で表した等価雑音温度 Te = (F − 1)T0(T0 = 290〔K〕)も同じ形で縦続できる。
ロールオフフィルタとシンボルレート(ナイキスト帯域)デジタル信号の帯域を、符号間干渉を起こさずに絞るフィルタ。帯域の肩をなだらかにする程度をロールオフ率 α で表し、変調波の帯域は B = fs(1 + α)。シンボルレート fs に 1 シンボルのビット数を掛けるとビットレートになる。
Eb/N0 とビット誤り率(BER・SER・erfc)Eb/N0 は 1 ビット当たりの信号エネルギーと 1〔Hz〕当たりの雑音電力の比。変調方式の誤り率を公平に比べる物差しで、C/N とは C/N = (Eb/N0)(Rb/B) の関係。グレイコード配置ならビット誤り率 BER はシンボル誤り率 SER の約 1/n。
連接符号とインターリーブ(リードソロモン・畳み込み・ビタビ)強さの違う二つの誤り訂正符号を重ねたもの。地上デジタル放送 ISDB-T は外符号にリードソロモン符号、内符号に畳み込み符号(ビタビ復号)を使い、間のバイトインターリーブで内符号の出すバースト誤りを散らしてから外符号で直す。
クワドラチャ検波器(FM の直交検波)FM 波と、それを移相器に通した信号を掛け合わせて平均をとる FM 検波器。移相器は搬送波の周波数でちょうど π/2 ずらし、周波数偏移に応じて移相量が変わるので、掛け算の平均値が偏移に比例して変化し、LPF で信号波が取り出せる。
SFN の回り込み(回り込み波と回り込みキャンセラ)同じ周波数で受けて送る SFN の中継局では、送信アンテナの電波の一部が受信アンテナに戻ってループができる。合成波の周波数特性に周期 1/td の振幅リプルが生じて等価 CNR が劣化し、ループ利得が 1 に近づくと発振する。
移相器(π/2 移相・デジタル移相器)信号の位相を決まった量だけずらす回路。直交変調の π/2 移相器、クワドラチャ検波の周波数で移相量が変わる移相器、フェーズドアレーで給電位相を切り替えるデジタル移相器(n ビットで最小 2π/2ⁿ)などがある。
整合回路(T 形・L 形・スタブ・1/4 波長整合)給電線の特性インピーダンス Z0 と負荷(アンテナ)のインピーダンスが違うとき、間に入れて入力インピーダンスを Z0 に合わせる回路。リアクタンスを組む集中定数形(L 形・T 形・π 形)と、線路を使う分布定数形(1/4 波長整合・スタブ)がある。
指向性パターンとローブ(主ビーム・サイドローブ・バックローブ)アンテナの放射の強さを方向ごとに描いた図が指向性パターン。いちばん強い主ビーム(メインローブ)、その脇の小さなサイドローブ、真後ろのバックローブに分かれる。遠方界では指向性関数 D(θ) は距離に関係しない。
球面波と平面波(波面・遠方界の距離 2D²/λ)点の波源から出た電波は、等位相面(波面)が球面に広がる球面波。遠く離れると開口の範囲では波面が平らになり平面波とみなせる。開口面アンテナは一次放射器の球面波を反射鏡やレンズで平面波に直し、アンテナ測定は 2D²/λ 以上離して平面波で受ける。