無線通信ブートラボ
用語集 › 無線工学 › 空中線・伝搬

半波長ダイポール はんはちょうだいぽーる

4アマ 3アマ 三陸特 二陸特 一陸技

全長が波長の 1/2 の直線導体を中央で切って給電する、最も基本のアンテナ。放射抵抗は約 73〔Ω〕、電流は中央で最大、電圧は両端で最大。水平に張ると水平面内は 8 字形の指向性になる。

試験ではここ

「給電点インピーダンスはほぼ 75〔Ω〕(36・150・300 は誤り)」「放射抵抗 50〔Ω〕は誤り、約 73〔Ω〕」「図の片側 l は 1/4 波長、水平設置で 8 字形」「電圧分布は両端で最大」「垂直に立てると水平面内は無指向性」「同軸給電線との整合器はバラン」。計算は「放射電力 12〔W〕のときの電流」→√(12/73)≒0.4〔A〕。

1本の電線を波長の半分の長さに切り、真ん中で2つに分けて給電線をつないだだけのアンテナです。構造が一番簡単で、他のアンテナの利得を測る基準(相対利得 dBd の基準)にもなります。試験では「長さ」「インピーダンス」「電流と電圧の分布」「指向性」の4点が問われます。

半波長ダイポールの構造
半波長ダイポールの構造。全長 λ/2、片側 λ/4、中央給電
長さ
\ell_{\text{全長}} = \dfrac{\lambda}{2} = \dfrac{150}{f\,[\mathrm{MHz}]}\ [\mathrm{m}]

λ=300/f〔MHz〕〔m〕の半分。片側の素子は λ/4。例:145〔MHz〕なら全長約 1.03〔m〕、片側約 0.52〔m〕。実際は導体の太さの影響で数%短く切る

電流は中央で最大、電圧は両端で最大

両端は開放なので電流は流れられず 0、電圧は最大です。中央の給電点では逆に電流が最大、電圧が最小になります。だから給電点のインピーダンス(電圧÷電流)は小さく、約 73〔Ω〕の放射抵抗にわずかなリアクタンスが加わって、ほぼ 75〔Ω〕になります。

電流分布と電圧分布
電流分布と電圧分布。電流は中央で最大、電圧は両端で最大
放射電力とアンテナ電流
P = I^2 R_r \quad\Rightarrow\quad I = \sqrt{\dfrac{P}{R_r}}

Rr≒73〔Ω〕。I は給電点(中央)の電流

指向性:水平に張れば 8 字形、垂直に立てれば無指向性

素子と直角の方向に最も強く放射し、素子の軸方向(先端の方向)には放射しません。水平に張ると水平面内では 8 の字になります。垂直に立てると水平面内はどの方向も同じで、無指向性です。

置き方で水平面内の指向性が変わる
水平設置と垂直設置で水平面内の指向性がどう変わるか

同軸ケーブルをつなぐときはバラン

ダイポールは左右対称の平衡形、同軸ケーブルは不平衡形です。そのままつなぐと同軸の外側にも電流が流れて指向性が乱れるので、間にバラン(平衡不平衡変換器)を入れます。分配器・SWR メータ・カウンターポイズは整合器ではありません。

バランで平衡と不平衡をつなぐ
平衡形のダイポールと不平衡形の同軸ケーブルの間にバランを入れる

典型問題の解き方

放射電力を 12〔W〕にするアンテナ電流の値は(導体の抵抗は無視)

  1. 放射抵抗を思い出す 半波長ダイポールは Rr≒73〔Ω〕
  2. 式に代入 I=√(P/Rr)=√(12/73)=√0.164
  3. 答え I≒0.41〔A〕で、最も近いのは 0.4〔A〕
ひっかけ

図で「l の長さ」と聞かれたら、l が片側を指しているか全長を指しているかを図で確かめます。中央から片側なら 1/4 波長、全体なら 1/2 波長です。放射抵抗を 50〔Ω〕とした肢と、「電流分布は両端で最大」とした肢も誤りです。

看板「半波長ダイポール=全長 λ/2、真ん中で給電、73Ω
先生の一言。全長 λ/2、真ん中で 73Ω

この用語を押さえる問題

4アマ ・ 日本無線協会 CBT例題 無線工学 No.2 問21

図に示す半波長ダイポールアンテナの給電点インピーダンスは、ほぼ幾らか。

正答: 75〔Ω〕

半波長ダイポールアンテナは中央で給電すると電流が最大となり、給電点インピーダンスは理論上約 73〔Ω〕、実用上ほぼ 75〔Ω〕の純抵抗になる。そのため 75〔Ω〕の同軸ケーブルで整合よく給電できる。

この問題を解く
3アマ ・ 日本無線協会 CBT例題 無線工学 No.1 問26

半波長ダイポールアンテナの特性で、誤っているのは次のうちどれか。

正答: 放射抵抗は 50〔Ω〕である。

半波長ダイポールの放射抵抗は約 73 Ω(給電点インピーダンス約 75 Ω)であり、50 Ω ではない。電圧分布は両端で最大・中央で最小、垂直設置で水平面無指向性、水平設置で8字形指向性はいずれも正しい。

この問題を解く
三陸特 ・ 日本無線協会 令和3年6月期 無線工学 問15

図に示す水平半波長ダイポールアンテナの l の長さと水平面内の指向特性の組合せで、正しいのはどれか。

正答: l の長さ=1/4 波長 指向特性=8 字形

正しい組合せです。半波長ダイポールアンテナは全長が 1/2 波長なので、片側の素子の長さ l は 1/4 波長です。水平に設置すると、素子と直角方向に最も強く放射し素子の軸方向には放射しないため、水平面内の指向特性は 8 字形になります。

この問題を解く
3アマ ・ 日本無線協会 CBT例題 無線工学 No.3 問26

半波長ダイポールアンテナの放射電力を 12〔W〕にするためのアンテナ電流の値として、最も近いのは次のうちどれか。ただし、熱損失となるアンテナ導体の抵抗分は無視するものとする。

正答: 0.4〔A〕

半波長ダイポールの放射抵抗は約 73 Ω。P=I²R より I=√(P/R)=√(12/73)≒√0.164≒0.41 A で、最も近いのは 0.4 A。

この問題を解く

問われた問題 38

!この用語の間違いを報告・追加要望
運営だけが読みます。「用語集に無い語」「その他」は内容を書いてください。