平衡給電と不平衡給電(バラン・地板のイメージ効果) へいこうきゅうでん
半波長ダイポールや平行二線は、2 本の導体に大きさが等しく逆向きの電流が流れる平衡系。同軸ケーブルや測定器は外部導体を接地する不平衡系。直接つなぐと外部導体の外側に漏洩電流が流れるので、バラン(平衡・不平衡変換器)で変換する。
令和8年7月期 工学B 問20 は平衡給電アンテナのインピーダンス測定。ネットワークアナライザは不平衡系なので半波長ダイポールにはバランが要る。バランを使わないなら半分を地板の上に置き、イメージ(影像)効果で測った値は自由空間の 1/2 倍。誤答は「2 倍」「回折」「逆 L 形」。
ダイポールの左右のエレメントには、同じ大きさで逆向きの電流が流れます(平衡)。同軸ケーブルは中心導体の電流が外部導体の内側を戻る形で、外部導体は接地側です(不平衡)。そのままつなぐと戻りの電流の一部が外部導体の外側を流れ、ケーブル自身が電波を出したり、測定値が狂ったりします。
平衡系と不平衡系

地板の鏡像が残り半分を補うので電流分布は同じ。給電点の電圧は半分で電流は同じなので、インピーダンスは 1/2。半波長ダイポール約 73〔Ω〕に対し、1/4 波長垂直接地アンテナ約 36.5〔Ω〕と同じ理屈

典型問題の解き方(令和8年7月期 工学B 問20)
手順
地板の働きは イメージ(影像)効果 で、回折ではありません。測定値は自由空間の 1/2 倍 で、2 倍ではありません。デジタル移相器の素子に「バラン」と書いた肢も誤りで、バランは平衡・不平衡を変換するだけで位相は切り替えません。

この用語を押さえる問題
次の記述は、平衡給電のアンテナの入力インピーダンス測定法について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 一般にネットワークアナライザは不平衡系であり、ネットワークアナライザで[A]アンテナのような平衡給電のアンテナのインピーダン...
正答: A=半波長ダイポール B=イメージ(影像) C=1/2
正しい組合せです。半波長ダイポールは平衡給電のアンテナの代表例で、不平衡の同軸ケーブルを直接つなぐと外導体に漏洩電流が流れます。給電点で対称なアンテナの半分を十分大きな地板上に置くと、地板のイメージ(影像)効果によって残り半分が鏡像として補われ、自由空間のアンテナと同じ電流分布になります。このとき給電点の電圧が半分になるので、測定インピーダンスは自由空間での値の 1/2 倍です。これは垂直接地アンテナの放射抵抗(約 36 Ω)が半波長ダイポール(約 73 Ω)の半分になるのと同じ理由です。
この問題を解く半波長ダイポールアンテナと同軸給電線を接続するときの整合器として、一般に用いられるものは次のどれか。
正答: バラン
半波長ダイポールは平衡形アンテナ、同軸ケーブルは不平衡形給電線なので、平衡・不平衡を変換するバランを介して接続する。直結すると同軸外皮に電流が流れて指向性が乱れる。
この問題を解く超短波(VHF)帯の周波数を利用する送受信設備において、装置とアンテナを接続する給電線として、通常使用されるものは次のうちどれか。
正答: 同軸給電線
VHF 帯では同軸給電線(同軸ケーブル)が通常使われます。外部導体が内部導体を覆う構造で、外部からの雑音の影響を受けにくく、電波の放射も少ない不平衡給電線です。
この問題を解く問われた問題 5
- 一陸技 令和8年7月期 問20 次の記述は、平衡給電のアンテナの入力インピーダンス測定法について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句...
- 一陸技 令和8年7月期 問11 次の記述は、図に示す位相走査のフェーズドアレーアンテナと量子化位相誤差について述べたものである。[ ]内に...
- 三陸特 令和3年2月期 問15 超短波(VHF)帯の周波数を利用する送受信設備において、装置とアンテナを接続する給電線として、通常使用され...
- 3アマ 例題No.3 問27 半波長ダイポールアンテナと同軸給電線を接続するときの整合器として、一般に用いられるものは次のどれか。
- 3アマ オリジナルNo.1 問28 同軸ケーブル(同軸給電線)についての記述で、誤っているのは次のうちどれか。