無線通信ブートラボ
用語集 › 無線工学 › 空中線・伝搬

給電線(同軸ケーブル・平行二線・導波管) きゅうでんせん

4アマ 3アマ 三陸特 二陸特 一陸技

送信機・受信機とアンテナを結び、高周波電力を損失なく運ぶ線路。同軸ケーブル(不平衡、50 / 75〔Ω〕)、平行二線式(平衡、HF 帯以下)、導波管(マイクロ波)がある。

試験ではここ

「VHF 帯で通常使う給電線は同軸ケーブル」が頻出(導波管はマイクロ波、平行 2 線は HF 以下、LAN ケーブルは使わない)。同軸は外部導体で遮へいされ雑音を受けにくい不平衡形。特性インピーダンスは寸法比と誘電率で決まり、長さには比例しない。ダイポールと同軸の間はバラン。

送信機とアンテナは離れているので、間をつなぐ「電波用の配線」が要ります。これが給電線です。水道のホースのように、途中で漏れず(放射せず)、詰まらず(損失が少なく)、外から汚れが入らない(雑音を拾わない)ことが条件です。

給電線の 3 種類と使う周波数帯
3 種類の給電線の断面と使う周波数帯。同軸=VHF・UHF、平行二線=HF 以下、導波管=マイクロ波

3 種類の給電線

  1. 同軸ケーブル 内部導体を絶縁物で包み、さらに外部導体(網線)で覆う。外部導体を接地する不平衡形。遮へいされているので外来雑音を受けにくく、線からの放射も少ない。VHF・UHF の送受信設備で通常使う
  2. 平行 2 線式給電線 2 本の導線を一定間隔で平行に張った平衡形。構造が簡単で損失が少ないが、外部の雑音や周囲の物の影響を受けやすい。主に HF 帯以下
  3. 導波管 金属のパイプの中を電波が伝わる。損失が非常に小さいが、寸法が波長で決まるのでマイクロ波(SHF)以上でしか実用にならない。VHF では管が巨大になる
同軸ケーブルの特性インピーダンス
Z_0 = \dfrac{138}{\sqrt{\varepsilon_r}}\log_{10}\dfrac{D}{d}\ [\Omega]

D は外部導体の内径、d は内部導体の外径、εr は絶縁物の比誘電率。寸法の比と材料で決まり、ケーブルの長さには関係しない

同軸ケーブルは 50〔Ω〕(無線機用)と 75〔Ω〕(テレビ受信用)が多く使われます。長さに比例して増えるのは特性インピーダンスではなく損失(減衰量)です。アンテナの給電点インピーダンスと給電線の特性インピーダンスをそろえることを整合といい、整合がずれると反射が起きてSWRが大きくなります。

同軸ケーブルの特性インピーダンス
同軸の断面。内部導体 d、外部導体 D、絶縁物 εr。Z₀ は D/d の比で決まる

平衡と不平衡、バラン

半波長ダイポールは左右対称の平衡形アンテナ、同軸ケーブルは片側を接地する不平衡形です。そのまま直結すると同軸の外皮に電流が流れて指向性が乱れるので、間に平衡・不平衡を変換するバランを入れます。

平衡と不平衡、バラン
平衡形ダイポールと不平衡形同軸の間にバラン。直結すると外皮に電流が流れる

給電線に必要な条件

  1. 導体の抵抗損失が少ない 熱にならずアンテナに電力が届く
  2. 誘電損が少ない 絶縁物の中で失われる電力が少ない。高い周波数ほど重要
  3. 絶縁耐力が十分 送信電力による高電圧に耐える
  4. 給電線から電波を放射しない 放射が強いのは損失と障害の元。「放射される電波が強いこと」は誤りの肢
ひっかけ

「VHF 帯の給電線」の答えは同軸ケーブルです。導波管はマイクロ波、平行 2 線式は HF 以下、LAN ケーブル(より対線)は給電線に使えません。「特性インピーダンスは長さに比例して大きくなる」は誤りで、長さに比例するのは損失です。コネクタのゆるみによる接触不良は受信雑音の原因になります。

上部の看板「VHF の給電線は同軸ケーブル
VHF は同軸、マイクロ波は導波管。インピーダンスは寸法比で決まり長さには無関係

この用語を押さえる問題

三陸特 ・ 日本無線協会 令和3年2月期 無線工学 問15

超短波(VHF)帯の周波数を利用する送受信設備において、装置とアンテナを接続する給電線として、通常使用されるものは次のうちどれか。

正答: 同軸給電線

VHF 帯では同軸給電線(同軸ケーブル)が通常使われます。外部導体が内部導体を覆う構造で、外部からの雑音の影響を受けにくく、電波の放射も少ない不平衡給電線です。

この問題を解く
三陸特 ・ 日本無線協会 平成31年2月期 無線工学 問15

超短波(VHF)帯の周波数を利用する送受信設備において、装置とアンテナを接続する給電線として、通常使用されるものは次のうちどれか。

正答: 同軸ケーブル

正しい。同軸ケーブルは外部導体が内部導体を包む構造で、外部からの雑音の影響を受けにくく電波の漏れも少ないため、VHF 帯や UHF 帯の給電線として広く使われています。

この問題を解く
3アマ ・ ブートラボ オリジナル問題 無線工学 No.1 問28

同軸ケーブル(同軸給電線)についての記述で、誤っているのは次のうちどれか。

正答: 特性インピーダンスは、ケーブルの長さに比例して大きくなる。

誤った記述。特性インピーダンスは内部導体と外部導体の寸法比や絶縁物の誘電率で決まり、ケーブルの長さには関係しない。長さに比例して増えるのは損失(減衰量)である。

この問題を解く
3アマ ・ 日本無線協会 CBT例題 無線工学 No.2 問27

給電線に必要な電気的条件で、誤っているのは次のうちどれか。

正答: 給電線から放射される電波が強いこと

給電線は送信機の電力をアンテナまで損失なく運ぶのが役目で、給電線自身から電波が放射されてはならない。放射が強いのは損失と障害の原因になる。

この問題を解く

問われた問題 34

!この用語の間違いを報告・追加要望
運営だけが読みます。「用語集に無い語」「その他」は内容を書いてください。