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アレーアンテナ(フェーズドアレー・対数周期・無給電反射板) あれーあんてな

一陸技

同じ素子を複数並べ、各素子の給電の振幅と位相で全体の指向性を作るアンテナ。指向性は素子単体の指向性 × 配列指向係数(アレーファクタ)。移相器でビームを振るフェーズドアレー、相似形で広帯域の対数周期ダイポールアレー、給電線なしの平面反射板を含む。

試験ではここ

穴埋めで「アレーの指向性=素子単体の指向性×配列指向係数(アレーファクタ)」、対数周期ダイポールアレーは「広帯域」で使える範囲は最長・最短の素子で決まる。フェーズドアレーのデジタル移相器はスタブ切替、最小ステップ 2π/2ⁿ、量子化位相誤差は最大 π/2ⁿ〔rad〕、周期的な誤差で高い「サイドローブ」、対策はビット数を「多く」。遠隔形平面反射板の利得は 4πA/λ² で「波長に依存しない」が誤り肢。

1 本のアンテナを何本も並べて、それぞれに流す電流の大きさと位相を決めると、全体として鋭いビームを作ったり、向きを電気的に変えたりできます。これがアレーアンテナです。並べ方と給電の位相で決まる「配列指向係数(アレーファクタ)」を、素子 1 本の指向性に掛け算したものが全体の指向性になります。

指向性の積の原理
指向性の積の原理。素子単体の指向性 × 配列指向係数(アレーファクタ)=アレー全体の指向性
指向性の積の原理
D(\theta) = D_e(\theta) \times F_a(\theta)

De は素子単体の指向性、Fa は配列指向係数(アレーファクタ)。Fa は素子の間隔 d、素子数、隣接素子の位相差 δ で決まり、素子の形には関係しない

2 素子のアレーファクタとビームの向き
|F_a(\theta)| = 2\left|\cos\dfrac{\psi}{2}\right|,\quad \psi = \dfrac{2\pi d}{\lambda}\sin\theta + \delta

θ は正面から測った角度、d は素子間隔、δ は隣接素子に与える位相差。主ビームは ψ = 0 の方向に向くので、δ を変えるとビームの向き θ0 が sin θ0 = −δλ/(2πd) で動く(位相走査)

位相走査のフェーズドアレーと量子化位相誤差
位相走査のフェーズドアレー。一次放射器 → 受信素子 → デジタル移相器 → 放射素子。移相器の位相は 2π/2ⁿ 刻みなので最大 π/2ⁿ の量子化誤差が残る
デジタル移相器の量子化位相誤差
\Delta\phi_{\min} = \dfrac{2\pi}{2^n},\qquad \varepsilon_{\max} = \dfrac{\pi}{2^n}

n はビット数。0〜2π を 2ⁿ 等分した最小ステップが Δφmin、必要な位相を最も近い値に丸めるので誤差は最大でステップの半分。誤差が開口面に周期的に並ぶと回折格子のように働き高いサイドローブ(量子化ローブ)が出る。ビット数を多くすると減る

対数周期ダイポールアレーアンテナ
対数周期ダイポールアレー。素子長と頂点 O からの距離が同じ比 τ で縮み、隣どうし逆位相給電。主放射は短い素子側(頂点 O の方向)

対数周期ダイポールアレーアンテナの特徴

  1. 相似構造 隣り合う素子の長さの比 lₙ₊₁/lₙ と頂点からの距離の比 xₙ₊₁/xₙ が等しく(設計比 τ)、周波数が τ 倍変わるごとに同じ特性を繰り返す
  2. 逆位相給電 平行二線を素子ごとに交差させ、隣接素子を逆位相で給電する。共振している素子付近(活性領域)から見て短い素子は導波器、長い素子は反射器として働く
  3. 主放射の方向 短い素子側、つまり頂点 O の方向。八木・宇田アンテナと逆向きに見えるので注意
  4. 使える周波数範囲 最も長い素子が λ/2 になる周波数から、最も短い素子が λ/2 になる周波数まで。八木・宇田より広帯域で、インピーダンスも指向性もほぼ一定
遠隔形平面反射板の利得
G = \dfrac{4\pi A_e}{\lambda^2},\qquad A_e = A\cos\theta

A は反射板の面積、θ は入射角(板の法線から測る)、Ae は入射方向から見た有効開口面積。開口面アンテナと同じ式なので波長の 2 乗に反比例する。励振アンテナのフレネル領域に置くものを近接形、遠方界に置くものを遠隔形という

平面反射板(無給電アンテナ)による中継
平面反射板による中継。遠隔形の利得は入射方向から見た有効開口 A cosθ と λ で決まる。給電線がないので損失とひずみが少ない

典型問題の解き方(素子間隔 λ/2 のアレーを 30° 振るときの位相差と 4 ビット移相器の誤差)

手順

  1. 必要な隣接素子の位相差を出す ビームを θ0 に向ける条件は δ = −(2πd/λ) sin θ0。d = λ/2、θ0 = 30° なら |δ| = 2π × (1/2) × 0.5 = π/2〔rad〕= 90°
  2. 移相器のステップを出す 4 ビットなら 2⁴ = 16 分割。最小ステップは 2π/16 = π/8〔rad〕= 22.5°
  3. 量子化位相誤差の最大値 ステップの半分 π/16〔rad〕= 11.25°。90° はちょうど 4 ステップなのでこの例では誤差 0 だが、一般の角度では最大 11.25° の誤差が残る
  4. 誤差を減らすには ビット数を 5 にすると最大誤差は π/32 = 5.6°。令和8年7月期はこの「最大 π/2ⁿ」「サイドローブ」「ビット数を多く」の穴埋めで出た。角度の計算は 2 期には出ていない
ひっかけ

量子化位相誤差の最大値は π/2ⁿ であって π/2ⁿ⁺¹ ではありません。最小ステップ 2π/2ⁿ の「半分」を求めるので指数は変わらず分子の 2 が消えるだけです。周期的な誤差で増えるのはサイドローブで、バックローブではありません。対数周期アレーの主放射は「短い素子側」で、八木・宇田より「広帯域」です。遠隔形平面反射板の利得は 4πA cosθ/λ² なので波長に依存します。

上部の看板「アレーの指向性=素子の指向性 × アレーファクタ
アレーの指向性は素子の指向性 × アレーファクタ。移相器の誤差は最大 π/2ⁿ、ビット数を増やせば減る

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問2

次の記述は、アンテナの特性について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 同じ特性を持つアンテナ素子を平行に2個並べたアンテナの指向性は、アンテナ単体の指向性に[A]を掛けたものに等しい。 (2) 半波長ダイポールアンテナでは、...

正答: A=配列指向係数(アレーファクタ) B=狭い C=広帯域

正しい組合せです。同じ素子を並べたアレーアンテナの指向性は、指向性の積の原理により、素子単体の指向性と配列指向係数(アレーファクタ)の積で表されます。半波長ダイポールは素子が細いほど Q が高く帯域幅が狭くなり、太くすると広帯域になります。対数周期ダイポールアレーアンテナは広帯域にわたりほぼ一定のインピーダンス特性と指向性を持ちます。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問11

次の記述は、図に示す対数周期ダイポールアレーアンテナの一般的特徴について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

正答: 八木・宇田アンテナに比べて使用可能な周波数範囲が狭い。

誤った記述です。対数周期ダイポールアレーアンテナは、周波数に応じて共振する素子(活性領域)が移動することで、最長素子と最短素子で決まる広い周波数範囲にわたりほぼ一定のインピーダンスと指向性を保つ代表的な広帯域アンテナです。八木・宇田アンテナは比較的狭帯域であり、使用可能な周波数範囲はむしろ広くなります。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問11

次の記述は、図に示す位相走査のフェーズドアレーアンテナと量子化位相誤差について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) フェーズドアレーアンテナとは、平面上に複数の放射素子を並べて固定し、それぞれにデジタル移相器を設けて給電電流の...

正答: A=スタブ B=π/2ⁿ C=サイドローブ D=多く

正しい組合せです。デジタル移相器は PIN ダイオードなどで線路やスタブを切り替えて離散的な位相を与えます。0〜2π を 2ⁿ 等分すると最小ステップは 2π/2ⁿ で、必要な位相を最も近い値に丸めるため誤差は最大でステップの半分、π/2ⁿ〔rad〕です。この誤差が開口面に周期的に現れると回折格子のように働いて高いサイドローブ(量子化ローブ)が生じるので、ビット数 n を多くしてステップを細かくし誤差を減らします。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問12

次の記述は、マイクロ波中継回線などで用いられる無給電アンテナの一種である平面反射板の一般的な特徴について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

正答: 遠隔形平面反射板の受信利得は、電波の入射方向より見た平面反射板の有効開口面積で決まり、使用波長には依存しない。

誤った記述です。遠隔形平面反射板は開口面アンテナとして扱われ、その利得は G = 4πA/λ² で表されます。入射方向から見た有効開口面積 A(反射板の面積に入射角の余弦を掛けたもの)に比例し、同時に波長の 2 乗に反比例するので、使用波長に依存します。

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問われた問題 5

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