開口面アンテナ(パラボラ・カセグレン・ホーン・誘電体レンズ) かいこうめんあんてな
開口面(鏡面やホーンの口)から平面波を放射するマイクロ波用アンテナの総称。絶対利得は G=4πηA/λ²=η(πD/λ)² で、開口面積と開口効率に比例し波長の 2 乗に反比例する。一次放射器の球面波を、鏡面・副反射鏡・誘電体レンズで平面波に直す。
「14〔cm〕×24〔cm〕の角すいホーン、6〔GHz〕、開口効率 0.75×0.80 の絶対利得」は G=4π×0.6×0.0336/0.05²≒101 で 20〔dB〕(令和8年7月期 問9)。カセグレンの穴埋め(副反射鏡の焦点は主反射鏡の焦点と一次放射器の励振点、球面波→平面波、オフセットは乱れが小さい)、誘電体レンズの r=(n−1)l/(n cos θ−1)、放射界の領域(リアクティブ近傍界・放射近傍界・放射遠方界)が令和8年1月期。
線状アンテナが「電流の分布」で電波を作るのに対し、開口面アンテナは「口の面に揃った位相の電界」で電波を作ります。懐中電灯の反射鏡と同じで、口が波長に比べて大きいほどビームは細くなり利得は上がります。パラボラ・カセグレン・ホーン・レンズは、どれも「一次放射器の球面波を、開口面で平面波(等位相面)に直す」ための仕掛けの違いです。
A は開口面積〔m²〕、D は円形開口の直径〔m〕、η は開口効率(パラボラ 0.5〜0.7、ホーンは E 面と H 面の効率の積)。実効面積 Ae=ηA。周波数が 2 倍(λ が半分)なら利得は 4 倍(6〔dB〕増)。半値幅は約 70λ/D〔°〕

各アンテナの要点
- パラボラ(回転放物面) 焦点に一次放射器。焦点から出た球面波は鏡面で反射して平面波になる。一次放射器と給電線が開口の前にあり、ブロッキングとサイドローブの原因になる
- カセグレン 主反射鏡(放物面)+副反射鏡(回転双曲面)。副反射鏡の 2 つの焦点のうち一方を主反射鏡の焦点に、他方を一次放射器の励振点に合わせる。一次放射器を主反射鏡の中心(背面)に置けるので給電線が短く低雑音。衛星地球局に多い
- オフセット(パラボラ・カセグレン) 放物面の一部を切り出し、一次放射器や副反射鏡を開口の正面から外す。ブロッキングがなく放射特性の乱れ(サイドローブ)が小さい
- 角すいホーン 導波管の口を四角すい状に広げたもの。寸法から利得が計算できるので標準アンテナ(利得測定の基準)や一次放射器に使う
- 誘電体レンズ 屈折率 n=V0/Vd>1 の誘電体を通すと中心ほど遅れるので、適切な面の形で等位相面ができる。重いので大型には向かない

波源 O からレンズ中心 F までが l、面上の点 P までが r、角度 θ。O→P→R と O→F→R' の到達時間が等しい(等位相面)という条件。V0 を掛けると l+n(r cos θ−l)=r となり整理すると r が出る。θ=0 で r=l に戻ることで確認できる。曲線は双曲線

典型問題の解き方(角すいホーンの絶対利得、令和8年7月期 問9)
手順(開口 14〔cm〕×24〔cm〕、6〔GHz〕、ηE=0.75、ηH=0.80)

放射界の領域と測定(令和8年1月期 問20)
カセグレンの穴埋めでは「一次放射器から平面波が出て球面波になる」と順序を逆にした肢、「オフセットのほうが乱れが大きい」とした肢が誤りです。副反射鏡の焦点が一致する相手は「主反射鏡」ではなく「一次放射器の励振点」です。レンズの式では n=Vd/V0(1 より小さくなる)や分子 (n+1)l が罠で、θ=0 で r=l に戻るかで確かめます。利得計算では E 面・H 面の効率を両方掛けます。
角すいホーンが標準アンテナに使われるのは「寸法から利得を計算できる」からです。利得の測定(三アンテナ法・比較法)や平面反射板の利得 G=4πA/λ² も同じ式で、「開口面アンテナの利得は面積に比例し波長の 2 乗に反比例する」が工学B の背骨です。

この用語を押さえる問題
開口面の縦及び横の長さがそれぞれ 14〔cm〕及び 24〔cm〕の角すいホーンアンテナを、周波数 6〔GHz〕で使用したときの絶対利得の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、電界(E)面及び磁界(H)面の開口効率を、それぞれ 0.75 及び 0.80 とする。
正答: 20〔dB〕
正しい値です。周波数 6〔GHz〕の波長は λ = 3×10⁸/(6×10⁹) = 0.05〔m〕、開口面積は A = 0.14×0.24 = 0.0336〔m²〕です。開口面アンテナの絶対利得 G = (4π/λ²)·η·A に開口効率 η = ηE×ηH = 0.75×0.80 = 0.6 を用いると、G = (4π/0.0025)×0.6×0.0336 = 5027×0.02016 ≒ 101 となり、10log₁₀101 ≒ 20〔dB〕です。
この問題を解く次の記述は、カセグレンアンテナについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 副反射鏡の二つの焦点のうち、一方の焦点は、主反射鏡の焦点と一致し、他方の焦点は、[A]の励振点と一致している。 (2) 一次放射器から放射された[B]...
正答: A=一次放射器 B=球面波 C=平面波 D=小さい
正しい組合せです。カセグレンアンテナの副反射鏡は回転双曲面で、その一方の焦点を主反射鏡(回転放物面)の焦点に、他方の焦点を一次放射器の励振点(位相中心)に一致させます。一次放射器から出た球面波は副反射鏡で反射されて主反射鏡の焦点から出たのと等価な球面波となり、放物面の主反射鏡で反射されて平面波になります。オフセット形は副反射鏡や一次放射器が主反射鏡の開口面の前方に無いため、それらによるブロッキング(遮へい)がなく、放射特性の乱れが小さくなります。
この問題を解く次の記述は、図に示す誘電体レンズの波源 O から誘電体上の点 P までの距離を求める式の算出について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、中心線 R'F の延長線上の O からレンズ面上の点 F 及び点 P までの距離を、それぞ...
正答: A=(r cos θ − l)/Vd B=V₀/Vd C=(n−1)l/(n cos θ − 1)
正しい組合せです。点 P の軸方向の位置は r cos θ、点 F の位置は l なので、レンズ内を進む距離は P を通る経路の方が (r cos θ − l) だけ短く、その分の時間差 (r cos θ − l)/Vd を F 経路に加えると到達時間が等しくなります(等位相面の条件)。屈折率は n = V₀/Vd です。式①に代入して V₀ を掛けると l + n(r cos θ − l) = r、整理して r(n cos θ − 1) = (n−1)l、したがって r = (n−1)l/(n cos θ − 1) となります。これは双曲線の式で、θ = 0 のとき r = l です。
この問題を解く次の記述は、開口面アンテナの測定における放射電磁界の領域について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) アンテナにごく接近した[A]領域では、静電界や誘導電磁界が優勢である...
正答: A=リアクティブ近傍界 B=近傍界 C=放射遠方界
正しい組合せです。アンテナにごく近い領域は、距離の 2 乗・3 乗に反比例する誘導電磁界や静電界(リアクティブ成分)が優勢なリアクティブ近傍界領域です。その外側の放射界領域のうち、放射近傍界(フレネル)領域では放射パターンが距離によって変化し、ここで近傍界測定(平面・円筒・球面走査)が行われます。アンテナの放射特性(利得・指向性)は放射遠方界(フラウンホーファー)領域で定義されているので、近傍界測定データからフーリエ変換などの計算により遠方界特性を間接的に求めます。
この問題を解く問われた問題 6
- 一陸技 令和8年7月期 問19 次の記述は、アンテナの利得の測定について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号...
- 一陸技 令和8年7月期 問12 次の記述は、マイクロ波中継回線などで用いられる無給電アンテナの一種である平面反射板の一般的な特徴について述...
- 一陸技 令和8年7月期 問9 開口面の縦及び横の長さがそれぞれ 14〔cm〕及び 24〔cm〕の角すいホーンアンテナを、周波数 6〔GH...
- 一陸技 令和8年1月期 問20 次の記述は、開口面アンテナの測定における放射電磁界の領域について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句...
- 一陸技 令和8年1月期 問13 次の記述は、図に示す誘電体レンズの波源 O から誘電体上の点 P までの距離を求める式の算出について述べた...
- 一陸技 令和8年1月期 問12 次の記述は、カセグレンアンテナについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号か...