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静止衛星通信 せいしえいせい

三陸特 二陸特 一陸技

赤道上空約 36,000〔km〕の円軌道を地球の自転と同じ周期(約 24 時間)で回り、地上から止まって見える衛星を中継器にする通信。3 機で極地方を除く地球全体を覆える。

試験ではここ

正誤問題がほぼ毎回出る。正しい肢は「使用周波数が高くなるほど降雨による影響が大きい」「食は春分及び秋分の時期」「地上の自然災害の影響を受けにくい」「衛星を見通せる 2 点間は常時通信できる」。誤り肢は「極軌道衛星を用いる」「食は夏至・冬至」「周波数が低いほど降雨影響が大きい」「多元接続が困難」。VSAT は「送信周波数を VSAT 制御地球局が制御」が正しく、インマルサット・1.5/1.6〔GHz〕・走行中の車両は誤り。

地球をちょうど 1 日で 1 周する高さに衛星を置くと、地上からはいつも同じ場所に浮いて見えます。これが静止衛星です。空の高い所にある中継塔のようなもので、地球局から衛星へ電波を上げ(アップリンク)、衛星が周波数を変えて増幅し、別の地球局へ下ろします(ダウンリンク)。アンテナを動かさなくてよく、1 機で地球の約 3 分の 1 を見渡せるのが強みです。

地球を上から見た図。赤道上空約 36,000km の円軌道に 3 機の静止衛星が 120 度間隔で並び、それぞれが地球の約 3 分の 1 を覆う
赤道上空約 36,000〔km〕。3 機を 120° 間隔に置けば極地方以外の全球を覆う

静止衛星通信の特徴(正誤問題の肢そのまま)

  • 軌道は赤道上空の円軌道 高度約 36,000〔km〕、周期は地球の自転と同じ。極軌道衛星は南北の極を通る周回衛星で、静止衛星通信には使わない
  • 見通せる 2 点間は常時通信できる 地上から見て止まっているので、昼夜を問わず回線を張れる
  • 地上の自然災害の影響を受けにくい 中継器が宇宙にあり、地上網を経由しない。災害時の通信手段として有効
  • 多元接続が容易で柔軟に回線設定できる 多数の地球局が FDMA・TDMA で 1 機を共用する。「困難」は誤り
  • 周波数が高いほど降雨減衰が大きい C 帯(4/6〔GHz〕)より Ku 帯(12/14〔GHz〕)、Ka 帯(20/30〔GHz〕)の方が雨に弱い
  • 食は春分・秋分の時期 衛星が地球の影に入り太陽電池が止まる。搭載の蓄電池で乗り切る
伝搬遅延(地球局→衛星→地球局)
t = \dfrac{2d}{c} \approx \dfrac{2 \times 3.6 \times 10^{7}}{3 \times 10^{8}} = 0.24\ \text{〔s〕}

d は地球局から衛星までの距離。真下で約 36,000〔km〕、斜めなら約 40,000〔km〕まで伸びて遅延は 0.25〜0.27〔s〕。電話で往復すると約 0.5〔s〕の間が空く

送信地球局から衛星へのアップリンク 14GHz、衛星内のトランスポンダで周波数変換と増幅、受信地球局へのダウンリンク 12GHz を示す図
アップリンクは高い周波数、ダウンリンクは低い周波数。Ku 帯なら 14〔GHz〕上り、12〔GHz〕下り

食(衛星食)が春分・秋分に起きる理由

静止衛星の軌道は赤道面上にあります。太陽が赤道面の真上にくる春分・秋分の前後は、地球の影がちょうど軌道を横切るので、衛星は毎晩 1 時間余り影に入り、太陽電池が発電できません。夏至・冬至には太陽が赤道面から 23.4° 傾いているため、影は軌道の上か下を通り、食は起きません。

太陽、地球、静止軌道を横から見た図。春分・秋分は地球の影が軌道を横切り衛星が影に入るが、夏至・冬至は影が軌道の上下を外れる
春分・秋分は地球の影が軌道を横切る。夏至・冬至は外れる

VSAT システム

VSAT(超小型地球局)の正誤で問われる 4 つ

  • 送信周波数は VSAT 制御地球局が制御する 大形アンテナのハブ局が多数の小形局の周波数と回線を集中管理する。正しい肢
  • 使う衛星は通信衛星(静止衛星) インマルサット衛星は船舶・航空機の移動体衛星通信。誤り肢
  • 周波数は Ku 帯(14/12〔GHz〕)など 1.5〔GHz〕・1.6〔GHz〕帯はインマルサットなど移動体衛星通信の L 帯。誤り肢
  • 固定して使う小形の地球局 走行中の車両で使うものではない。誤り肢
静止衛星を介して VSAT 制御地球局が多数の小形 VSAT 地球局の送信周波数を制御する構成図
ハブ局が小形局の送信周波数を制御。Ku 帯 14/12〔GHz〕、固定して使う

典型問題の解き方(令和4年2月期 問22)

「静止衛星通信について、正しいのはどれか」

  1. 「食は夏至及び冬至」を消す 食は春分・秋分。季節が入れ替えてある
  2. 「周波数が低くなるほど降雨の影響が大きい」を消す 逆。高いほど雨粒に波長が近づき減衰が増える
  3. 「極軌道衛星を用いる」を消す 静止衛星は赤道上空の円軌道。極軌道は気象・観測衛星
  4. 残った肢が答え 「地上での自然災害の影響を受けにくい」が正しい
ひっかけ

すり替えは 3 種類だけです。「春分・秋分」を「夏至・冬至」に、「高いほど降雨の影響が大きい」を「少ない」「低いほど大きい」に、「赤道上空の円軌道」を「極軌道」に。多元接続は「容易」が正しく、「困難」が出たら誤りです。年によって「正しいもの」と「誤っているもの」のどちらを選ばせるかが変わるので、問いの文末を必ず確認してください。

先生が VSAT のパラボラアンテナの横で静止衛星の高度と食の時期を説明する挿絵
赤道上空 36,000〔km〕、食は春分・秋分、高い周波数ほど雨に弱い

この用語を押さえる問題

二陸特 ・ 日本無線協会 令和4年2月期 無線工学 問22

次の記述は、静止衛星通信について述べたものである。正しいのはどれか。

正答: 地上での自然災害の影響を受けにくい。

正しい記述です。中継器が宇宙空間の衛星にあるため、地震や洪水などで地上の通信網が被害を受けても衛星回線は影響を受けにくく、災害時の通信手段として有効です。

この問題を解く
二陸特 ・ 日本無線協会 令和2年10月期 無線工学 問22

次の記述は、静止衛星通信について述べたものである。正しいのはどれか。

正答: 衛星の太陽電池の機能が停止する食は、春分及び秋分の時期に発生する。

正しい記述です。春分・秋分の前後には衛星が地球の影に入る「食」が毎日発生し、その間は太陽電池が発電できないため、搭載の蓄電池で運用します。

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二陸特 ・ 日本無線協会 令和元年10月期 無線工学 問22

静止衛星通信についての次の記述のうち、正しいのはどれか。

正答: 使用周波数が高くなるほど、降雨による影響が大きくなる。

正しい記述です。周波数が高くなるほど雨滴による吸収や散乱で電波が減衰しやすくなり、特に 10GHz 以上の Ku 帯や Ka 帯では降雨減衰が大きな問題になります。

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二陸特 ・ 日本無線協会 令和元年6月期 無線工学 問22

次の記述は、静止衛星通信における VSAT システムについて述べたものである。正しいのはどれか。

正答: VSAT 地球局の送信周波数は、VSAT 制御地球局で制御される。

正しい記述です。VSAT システムは、大形アンテナを持つ VSAT 制御地球局(ハブ局)と多数の小形の VSAT 地球局で構成され、各 VSAT 地球局の送信周波数や回線の割当ては制御地球局が集中管理します。

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問われた問題 18

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