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第 1 フレネルゾーンと見通し ふれねるぞーん

二陸特 一陸技

送信点と受信点を焦点とし、「直接経路より λ/2 だけ長い経路」の点を結んだ回転楕円体の内側。半径は r=√(λd₁d₂/D)。この領域に障害物が入ると回折損が生じるので、マイクロ波回線では第 1 フレネルゾーンの 6 割程度のクリアランスを確保して見通しを設計する。

試験ではここ

計算が定番。「15〔GHz〕・D=30〔km〕・d=12〔km〕の半径」は λ=0.02〔m〕、r=√(λd(1−d/D))=√(0.02×12000×0.6)=√144=12〔m〕。式の形は「両端で 0 になる」√(λd(1−d/D)) が正しく、√(λd(D/d−1)) は誤り肢。障害物が経路ぎりぎり(クリアランス 0)だと損失は約 6〔dB〕。電波の見通し距離は k=4/3 で 4.12(√h₁+√h₂)〔km〕。

電波は送信点から受信点へ「1 本の線」で届くのではなく、ある太さをもった通路で届きます。直接経路より半波長だけ遠回りになる点をぐるりと結ぶと、送受信点を両端にしたラグビーボールの形(回転楕円体)になります。これが第 1 フレネルゾーンで、受信電力の大部分はこの内側を通ってきます。山や建物がここに食い込むと、見通しが通っているように見えても受信電力が減ります。

第 1 フレネルゾーン
第 1 フレネルゾーン。送信点 T と受信点 R を焦点とする回転楕円体。T から d の地点の断面半径が r、中央で最大
第 1 フレネルゾーンの半径
r = \sqrt{\dfrac{\lambda d_1 d_2}{D}} = \sqrt{\lambda d\left(1 - \dfrac{d}{D}\right)},\qquad r_{\max} = \dfrac{\sqrt{\lambda D}}{2}\ (\text{中央})

D は送受信点間距離、d₁ = d は送信点からの距離、d₂ = D − d。d = 0 と d = D で 0 になり、中央 d = D/2 で最大。第 n フレネルゾーンは √n 倍。波長が短い(周波数が高い)ほど細い

電波の見通し距離(等価地球半径係数 k = 4/3)
d = 4.12\left(\sqrt{h_1} + \sqrt{h_2}\right)\ [\mathrm{km}]\qquad(\text{幾何学的見通しは } 3.57(\sqrt{h_1}+\sqrt{h_2}))

h₁・h₂ はアンテナの高さ〔m〕。標準大気では電波が下に曲がるので、地球半径を 4/3 倍にした等価地球で直線とみなす。幾何学的な見通しより約 15 % 遠くまで届く

クリアランスと回折損
クリアランスと回折損。障害物が経路ぎりぎり(クリアランス 0)で約 6 dB、第 1 フレネルゾーンの 60 % 空いていれば自由空間とほぼ同じ

クリアランスの目安(ナイフエッジ回折)

  1. 障害物が第 1 フレネルゾーンの外 回折損はほぼ 0。ただし反射波との干渉で ±1〔dB〕程度うねる
  2. クリアランスが r₁ の約 0.6 倍 損失 0〔dB〕の目安。マイクロ波回線の設計ではここを確保する(k が小さくなる季節も見込む)
  3. クリアランス 0(経路が障害物の先端をかすめる) 電界は自由空間の 1/2、損失 6〔dB〕
  4. 障害物が経路より上(見通し外) 回折損が急に増える。回折係数が 0.2 なら −14〔dB〕

典型問題の解き方(15〔GHz〕、D=30〔km〕、送信点から 12〔km〕の地点の第 1 フレネルゾーン半径)

手順

  1. 波長を出す λ = 3×10⁸/(15×10⁹) = 0.02〔m〕
  2. 距離を m にそろえる d = 12000〔m〕、D = 30000〔m〕、1 − d/D = 1 − 0.4 = 0.6
  3. 式に入れる r = √(λd(1 − d/D)) = √(0.02 × 12000 × 0.6) = √144 = 12〔m〕
  4. 検算 d₁d₂/D = 12000×18000/30000 = 7200、λ×7200 = 144。中央なら r_max = √(0.02×30000)/2 = 12.2〔m〕なので 12〔m〕は妥当
ひっかけ

式の判別は「送信点(d=0)と受信点(d=D)で半径が 0 になるか」で確かめます。√(λd(D/d − 1)) = √(λ(D − d)) は送信点で最大になるので誤りです。平方根を忘れて 144〔m〕、係数を 2 倍して 24〔m〕にする肢も並びます。フレネル「領域」はアンテナの放射近傍界(遠方界 2D²/λ より手前)のことで、伝搬のフレネル「ゾーン」とは別の用語です。

電波の見通し距離
電波の見通し距離。等価地球半径 4/3 で地球をふくらませると、直線の見通しが幾何学的な 3.57 から 4.12(√h₁+√h₂) km に伸びる
上部の看板「r=√(λd(1−d/D))、両端で 0
r=√(λd(1−d/D))、両端で 0。第 1 フレネルゾーンの 6 割を空ければ自由空間とほぼ同じ

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問15

次の記述は、図に示す第 1 フレネルゾーンについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 送信点 T から受信点 R 方向に測った距離 d〔m〕の地点における第 1 フレネルゾーンの回転楕円体の断面の半径 r〔m〕は、送受信点間...

正答: A=√(λd(1 − d/D)) B=12

正しい組合せです。第 1 フレネルゾーンの半径は r = √(λ d (D−d)/D) = √(λd(1−d/D)) で与えられます。周波数 15〔GHz〕の波長は λ = 0.02〔m〕なので、r = √(0.02×12000×(1−12000/30000)) = √(240×0.6) = √144 = 12〔m〕となります。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問16

次の記述は、対流圏伝搬におけるフェージングについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、等価地球半径係数を k とする。 (1) シンチレーションフェージングは、[A]の不規則な変動により生じる。 (2) 干渉性 k 形フェージ...

正答: A=大気の屈折率 B=大地反射波 C=小さく

正しい組合せです。シンチレーションフェージングは大気の屈折率の不規則で急速な変動(大気の乱れ)によって生じる小振幅・短周期のフェージングです。干渉性 k 形フェージングは、k の変動により直接波と大地反射波の通路差が変化して干渉状態が変わることで生じます。回折性 k 形フェージングでは、k が小さくなると等価地球半径が小さくなって大地が盛り上がって見え、クリアランスが減って回折損が大きくなります。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問12

次の記述は、マイクロ波中継回線などで用いられる無給電アンテナの一種である平面反射板の一般的な特徴について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

正答: 遠隔形平面反射板の受信利得は、電波の入射方向より見た平面反射板の有効開口面積で決まり、使用波長には依存しない。

誤った記述です。遠隔形平面反射板は開口面アンテナとして扱われ、その利得は G = 4πA/λ² で表されます。入射方向から見た有効開口面積 A(反射板の面積に入射角の余弦を掛けたもの)に比例し、同時に波長の 2 乗に反比例するので、使用波長に依存します。

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問われた問題 4

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