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自由空間基本伝送損と受信電力(フリスの式) じゆうくうかんでんそうそん

一陸技

障害物も大地もない自由空間で、等方性アンテナどうしを距離 d で向かい合わせたときの電力の減り方 Γ₀=(4πd/λ)²。送受信アンテナの利得を掛けた受信電力 Pr=PtGtGr(λ/4πd)² がフリスの伝達公式で、回線設計と利得測定の土台になる。

試験ではここ

計算が定番。「14〔GHz〕で伝送損 140〔dB〕になる距離」は 4πd/λ=10⁷ から 17.1〔km〕。「2〔W〕・利得 50〔dB〕・実効面積 4〔m²〕・50〔km〕の受信電力」は電力束密度 PtGt/(4πd²) × Ae で 2.5×10⁻⁵〔W〕。dB の回線計算は「送信電力 − 給電線損失 + 利得 − 伝搬損 + 利得 − 給電線損失 = 受信電力」で、雑音電力 kTBF と C/N から送信電力を逆算する形も出る(答 33〔dBm〕)。

送信アンテナから出た電力は、距離 d の球面(面積 4πd²)に薄く広がります。受信アンテナはその球面のうち自分の実効面積 Ae の分だけを受け取ります。この 2 つを掛け合わせると受信電力が出ます。等方性アンテナどうしなら Ae=λ²/(4π) なので、受け取れる割合は (λ/4πd)² になり、その逆数が自由空間基本伝送損です。距離が 2 倍になると損失は 4 倍(6〔dB〕増)、周波数が 2 倍でも 6〔dB〕増えます。

電力束密度と実効面積
送信電力 PtGt が半径 d の球面に広がり(電力束密度 PtGt/4πd²)、受信アンテナは実効面積 Ae の分だけ受け取る
自由空間基本伝送損
\Gamma_0 = \left(\dfrac{4\pi d}{\lambda}\right)^2,\qquad \Gamma_0\,[\mathrm{dB}] = 20\log_{10}\dfrac{4\pi d}{\lambda} = 32.4 + 20\log_{10} f_{\mathrm{MHz}} + 20\log_{10} d_{\mathrm{km}}

等方性アンテナどうしの損失。d と λ は同じ単位(m)で入れる。右の式は f を MHz、d を km で入れる実用形。d が 2 倍で 6 dB、10 倍で 20 dB 増える

フリスの伝達公式(受信電力)
P_r = P_t G_t G_r \left(\dfrac{\lambda}{4\pi d}\right)^2 = \dfrac{P_t G_t}{4\pi d^2}\, A_e,\qquad A_e = \dfrac{G_r\lambda^2}{4\pi}

Pt は送信電力〔W〕、Gt・Gr は絶対利得(真数)、Ae は受信アンテナの実効面積〔m²〕。dB では Pr = Pt + Gt + Gr − Γ₀ − 給電線損失。利得が dB で与えられたら必ず真数に直す(50 dB → 10⁵)

自由空間の電界強度
E_0 = \dfrac{\sqrt{30 G_t P_t}}{d}\;[\mathrm{V/m}],\qquad \text{半波長ダイポール基準: } E_0 = \dfrac{7\sqrt{G P}}{d}

√30 は等方性アンテナ、7(= √(30×1.64))は半波長ダイポールに対する相対利得 G を使うときの係数。電界強度は電力の平方根に比例するので、距離 2 倍で 1/2(−6 dB)

dB で書く回線計算
dB の回線図。送信電力 P〔dBm〕から給電線損失・伝搬損を引き、アンテナ利得を足して受信電力 C。雑音電力 N=kTBF と比べて C/N になる

典型問題の解き方(14〔GHz〕で自由空間基本伝送損が 140〔dB〕になる距離)

手順

  1. dB を真数に戻す 140〔dB〕は電力比 10¹⁴。Γ₀ = (4πd/λ)² なので 4πd/λ = √10¹⁴ = 10⁷
  2. 波長を出す λ = c/f = 3×10⁸/(14×10⁹) ≒ 0.0214〔m〕
  3. 距離を解く d = 10⁷ × λ/(4π) = 10⁷ × 0.0214/12.57 ≒ 1.71×10⁴〔m〕= 17.1〔km〕
  4. 検算 実用形で 32.4 + 20 log 14000 + 20 log 17.1 = 32.4 + 82.9 + 24.7 ≒ 140〔dB〕

典型問題の解き方(2〔W〕・絶対利得 50〔dB〕・受信実効面積 4〔m²〕・50〔km〕の受信電力)

手順

  1. 利得を真数に、距離を m に Gt = 50〔dB〕→ 10⁵、d = 5×10⁴〔m〕
  2. 受信点の電力束密度 p = PtGt/(4πd²) = 2×10⁵/(4π × 2.5×10⁹) = 2×10⁵/(3.14×10¹⁰) ≒ 6.37×10⁻⁶〔W/m²〕
  3. 実効面積を掛ける Pr = p × Ae = 6.37×10⁻⁶ × 4 ≒ 2.5×10⁻⁵〔W〕
  4. dB の回線計算もこの式 令和8年1月期の工学A では、C/N 65〔dB〕・雑音 kTBF = −228.6 + 24.6 + 70 + 4 = −130〔dBW〕= −100〔dBm〕から必要受信電力 −35〔dBm〕、回線損失 4 + 140 + 4 − 40 − 40 = 68〔dB〕で送信電力 33〔dBm〕
ひっかけ

伝送損は電力比なので dB は 10 log ですが、(4πd/λ)² の 2 乗を外に出すと 20 log(4πd/λ) になります。140〔dB〕を 10⁷ と読むのは「真数 10¹⁴ の平方根」を取っているからです。利得 50〔dB〕を 50 のまま掛ける、距離を km のまま入れる、の 2 つで桁がずれます。電界強度の比は利得の比の「平方根」で、E₁/E₂ = √(G₁/G₂) です(1.64 と 1.5 なら 1.04)。

距離と自由空間基本伝送損
距離と伝送損の関係(片対数)。距離 2 倍で 6 dB、10 倍で 20 dB。周波数が高いほど線全体が上にずれる
上部の看板「受信電力=電力束密度 × 実効面積
受信電力は電力束密度 × 実効面積。140 dB は 4πd/λ=10⁷ と読む

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問14

周波数 14〔GHz〕の電波の自由空間基本伝送損が 140〔dB〕となる送受信点間の距離の値として、最も近いものを下の番号から選べ。

正答: 17.1〔km〕

正しい値です。自由空間基本伝送損は Γ₀ = (4πd/λ)² で、dB では 20 log₁₀(4πd/λ) です。140 dB なので 4πd/λ = 10⁷ となります。14 GHz の波長は λ = 3×10⁸/(14×10⁹) ≒ 0.0214 m なので、d = 10⁷ × λ/(4π) = 10⁷ × 0.0214/12.57 ≒ 1.71×10⁴ m ≒ 17.1 km です。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問13

送信アンテナから距離 50〔km〕の地点に設置した受信アンテナによって取り出すことのできる最大電力の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、送信電力を 2〔W〕、送信アンテナの絶対利得を 50〔dB〕、受信アンテナの実効面積を 4〔m²〕とする。また、送受信アンテ...

正答: 2.5 × 10⁻⁵〔W〕

正しい値です。送信アンテナの利得 50〔dB〕は真数で 10⁵、距離は d = 5×10⁴〔m〕です。受信点の電力束密度は p = Pt·Gt/(4πd²) = 2×10⁵/(4π×2.5×10⁹) = 2×10⁵/(3.14×10¹⁰) ≒ 6.37×10⁻⁶〔W/m²〕となり、受信アンテナの実効面積 4〔m²〕を掛けると Pr = 6.37×10⁻⁶×4 ≒ 2.5×10⁻⁵〔W〕が得られます。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学A 問6

図に示す通信回線において、受信機の入力に換算した C/N が 65〔dB〕のときの送信機の送信電力 P〔dBm〕の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、送信及び受信アンテナの絶対利得を共に 40〔dBi〕、送信及び受信給電線の損失を共に 4〔dB〕、両アンテナ間...

正答: 33〔dBm〕

正答。受信機入力換算の雑音電力 N=kTB×F は dB で −228.6+24.6+10 log10(10⁷)+4=−228.6+24.6+70+4=−130 dBW=−100 dBm。C/N=65 dB なので必要な受信電力 C=−100+65=−35 dBm。回線は P−4+40−140+40−4=P−68 なので、P−68=−35 より P=33 dBm。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問18

次の記述は、マイクロ波アンテナの利得の測定法について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、波長を λ〔m〕とする。 (1) 利得がそれぞれ G₁(真数)及び G₂(真数)の二つのアンテナを距離 d〔m〕離して偏波面を揃えて対向さ...

正答: A=λ/(4πd) B=(4πd/λ)√(Pr/Pt) C=反射板

正しい組合せです。フリスの伝達公式より Pr/Pt = (λ/(4πd))²G₁G₂ です。G₁ = G₂ = G とおくと Pr/Pt = (λ/(4πd))²G² なので、G = (4πd/λ)√(Pr/Pt) となります。アンテナが一つしかないときは、距離 d/2 の位置に大きな平面反射板を置き、反射波を同じアンテナで受信すれば、鏡像によって距離 d で同じアンテナを対向させたのと等価になり、この方法(鏡像法)が適用できます。

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問われた問題 9

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