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アンテナの測定(利得・入力インピーダンス・放射界の領域) あんてなのそくてい

一陸技

アンテナの利得・指向性・入力インピーダンスの測り方と条件。利得はフリスの伝達公式による二アンテナ法・三アンテナ法、標準アンテナ(角すいホーン)との比較法、反射板の鏡像法。受信点で平面波とみなせる遠方界(2D²/λ 以上)で、反射物のないオープンサイトで測る。

試験ではここ

穴埋めで「Pr/Pt=(λ/4πd)²G₁G₂」「同じ利得なら G=(4πd/λ)√(Pr/Pt)」「アンテナが 1 つなら反射板(鏡像法)」「三つのアンテナの利得が未知でも求められる」「標準アンテナは寸法から利得が出る角すいホーン」「円偏波は直線偏波アンテナで測れる」「送受の利得・指向性は可逆性から等しい」「受信点で平面波とみなせる距離」「オープンサイト」。遠方界条件 2D²/λ(D は開口寸法)も頻出。

アンテナの利得は「同じ距離で、基準のアンテナに比べてどれだけ強く送れる(受けられる)か」なので、基本は 2 本のアンテナを向かい合わせて送受信電力の比を測ることです。片方の利得が分かっていれば、フリスの伝達公式からもう片方が出ます。どれも分からなければ 3 本を総当たりにします。1 本しかなければ、反射板で自分の鏡像と向かい合わせます。どの方法でも、受信側に届く波が平面波とみなせるだけ離れること、周りからの反射波がないことが前提です。

放射界の領域
放射界の領域。アンテナに近い順にリアクティブ近傍界、放射近傍界(フレネル領域)、遠方界(フラウンホーファー領域)。遠方界は 2D²/λ 以上で、波面が平面波とみなせる
遠方界の条件(測定距離)
d \ge \dfrac{2D^2}{\lambda}

D は被測定アンテナの開口(最大寸法)。受信開口の端と中央で球面波の位相差が λ/16(22.5°)以内に収まる距離。これより近いと利得が低め・ヌルが浅めに測れる。開口が大きい・周波数が高いほど遠くが要るので、近くで測って計算で遠方界に直す近傍界測定もある

二アンテナ法(フリスの伝達公式)
\dfrac{P_r}{P_t} = \left(\dfrac{\lambda}{4\pi d}\right)^2 G_1 G_2\quad\Longrightarrow\quad G_1 = G_2 = \dfrac{4\pi d}{\lambda}\sqrt{\dfrac{P_r}{P_t}}

2 本を距離 d で偏波面をそろえて対向させる。片方の利得が既知なら他方が求まり、同じアンテナ 2 本なら平方根を取る。平方根の中は Pr/Pt(Pt/Pr ではない)

三アンテナ法
G_1G_2 = K_{12},\ G_2G_3 = K_{23},\ G_1G_3 = K_{13}\quad\Longrightarrow\quad G_1 = \sqrt{\dfrac{K_{12}K_{13}}{K_{23}}}

Kij = (4πd/λ)² (Pr/Pt)ij。2 本ずつ 3 通りの伝送測定をすると未知数 3 に式が 3 つできるので、どの利得も未知でも解ける。G₂・G₃ も同様に求まる

利得測定の 4 つの方法
利得測定の 4 つの方法。比較法(標準ホーンと交換)、二アンテナ法、三アンテナ法(3 通りの組合せ)、鏡像法(距離 d/2 に反射板を置いて自分の鏡像と対向)

利得測定の方法と使い分け

  1. 比較法(置換法) 送信アンテナを固定し、受信側を標準アンテナと被測定アンテナで入れ替えて受信電力の差を取る。標準アンテナは開口寸法と λ から利得を計算できる角すいホーン(G = 4πηA/λ²、η は E 面・H 面の開口効率の積)。ロンビックやブラウンは標準にならない
  2. 二アンテナ法 利得既知のアンテナと対向させてフリスの式で求める。同じアンテナ 2 本なら平方根
  3. 三アンテナ法 利得が全部未知でも、3 通りの組合せで測れば連立で解ける
  4. 鏡像法(反射板法) アンテナが 1 本しかないとき、距離 d/2 に大きな平面反射板を置き、反射波を同じアンテナで受ける。鏡像が距離 d で対向するのと等価
  5. 円偏波アンテナ 直線偏波の測定アンテナで水平・垂直の直交 2 成分を別々に測って合成すればよい。軸比も同時に出る
入力インピーダンスの測定
入力インピーダンスの測定。平衡形アンテナはバランを介してネットワークアナライザで測る。大地上の 1/4 波長モノポールは、半分に切った影像なのでダイポールの 1/2 の値になる

測定のときに気をつけること

  1. 可逆性(相反定理) 受動素子で作られたアンテナは送信に使っても受信に使っても利得・指向性が等しい。だから受信アンテナとして測った結果を送信特性に使える。非可逆なのはサーキュレータ・アイソレータなどのフェライト素子
  2. 平面波とみなせる距離 2D²/λ 以上離す。近すぎると開口面上で位相がずれ、利得・指向性に誤差が出る
  3. オープンサイト・電波暗室 屋外の建造物・樹木・大地の反射波を避けるため、周囲に反射物のない開けた測定場で行う。屋内なら電波吸収体を張った電波暗室。ボアサイトは主ビームの向きの意味で測定場ではない
  4. 入力インピーダンス 平衡給電のダイポールなどを同軸(不平衡)で測ると給電線の外導体に電流が流れて狂うので、バランを入れる。大地上のモノポールはダイポールの半分(半波長なら 73/2 ≒ 36.5〔Ω〕)

典型問題の解き方(同じホーン 2 本を 10〔m〕離して 3〔GHz〕で対向、Pr/Pt=1.0×10⁻³ のときの利得と、必要な測定距離)

手順

  1. 波長 λ = 3×10⁸/(3×10⁹) = 0.1〔m〕
  2. 二アンテナ法の式に入れる G = (4πd/λ)√(Pr/Pt) = (4π×10/0.1) × √(10⁻³) = 1257 × 0.0316 ≒ 39.7
  3. dB に直す 10 log₁₀ 39.7 ≒ 16〔dB〕
  4. 測定距離の確認 開口の最大寸法が D = 0.5〔m〕なら 2D²/λ = 2×0.25/0.1 = 5〔m〕。10〔m〕は条件を満たす。D = 1〔m〕なら 20〔m〕必要で、10〔m〕では近すぎる
  5. 令和8年の出題との対応 1 月期は式の穴埋め(λ/(4πd)、(4πd/λ)√(Pr/Pt)、反射板)、7 月期は三アンテナ法・角すいホーン・円偏波と、可逆性・平面波・オープンサイト。数値計算は 2 期には出ていない
ひっかけ

フリスの式の係数は λ/(4πd) で、λ/(2πd) は誤りです。平方根の中は Pr/Pt で、Pt/Pr にすると受信が弱いほど利得が大きくなってしまいます。「三つとも利得が未知だと求められない」は誤りで、三アンテナ法で求められます。「送信時と受信時で利得が違う」も誤りで、可逆性から等しくなります。距離を取る目的は「球面波」ではなく「平面波」とみなすためです。鏡像法の反射板は距離 d/2 に置き、d の対向と等価になります。

上部の看板「利得はフリスの式、距離は 2D²/λ 以上、場所はオープンサイト
利得はフリスの式、距離は 2D²/λ 以上、場所はオープンサイト。1 本なら反射板で鏡像

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問18

次の記述は、マイクロ波アンテナの利得の測定法について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、波長を λ〔m〕とする。 (1) 利得がそれぞれ G₁(真数)及び G₂(真数)の二つのアンテナを距離 d〔m〕離して偏波面を揃えて対向さ...

正答: A=λ/(4πd) B=(4πd/λ)√(Pr/Pt) C=反射板

正しい組合せです。フリスの伝達公式より Pr/Pt = (λ/(4πd))²G₁G₂ です。G₁ = G₂ = G とおくと Pr/Pt = (λ/(4πd))²G² なので、G = (4πd/λ)√(Pr/Pt) となります。アンテナが一つしかないときは、距離 d/2 の位置に大きな平面反射板を置き、反射波を同じアンテナで受信すれば、鏡像によって距離 d で同じアンテナを対向させたのと等価になり、この方法(鏡像法)が適用できます。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問19

次の記述は、アンテナの利得の測定について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 三つのアンテナを用いる場合、これらのアンテナの利得が未知であるとき、それぞれの利得を求めることが[A]。 (2) 寸法から利得を求めることができる[...

正答: A=できる B=角すいホーンアンテナ C=できる

正しい組合せです。三つのアンテナを 2 本ずつ組み合わせて 3 通りの伝送測定を行うと、フリスの伝達公式から利得の積に関する 3 つの式が得られ、3 つの未知の利得を連立して求めることができます(三アンテナ法)。角すいホーンアンテナは開口寸法と波長から利得を計算でき、標準アンテナとして広く使われます。円偏波アンテナは、直線偏波の測定アンテナで直交する 2 つの偏波成分を別々に測定して合成すれば測定できます。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問18

次の記述は、アンテナの測定をするときに考慮すべき事項について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 被測定アンテナを、送信アンテナとして使用した場合と受信アンテナとして使用した場合のアンテナ利得及び指向性は、アンテナの[A]から...

正答: A=可逆性 B=平面波 C=オープンサイト

正しい組合せです。アンテナには相反定理に基づく可逆性があり、送信用に使っても受信用に使っても利得と指向性は等しくなります。利得・指向性の測定では、受信アンテナの開口面に到来する波が平面波とみなせるよう、送受信間の距離を 2D²/λ(D はアンテナの開口寸法)以上にとります。屋外測定では建造物や樹木の反射波の影響を避けるため、周囲に反射物のない開けた場所であるオープンサイトで実施します。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問9

開口面の縦及び横の長さがそれぞれ 14〔cm〕及び 24〔cm〕の角すいホーンアンテナを、周波数 6〔GHz〕で使用したときの絶対利得の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、電界(E)面及び磁界(H)面の開口効率を、それぞれ 0.75 及び 0.80 とする。

正答: 20〔dB〕

正しい値です。周波数 6〔GHz〕の波長は λ = 3×10⁸/(6×10⁹) = 0.05〔m〕、開口面積は A = 0.14×0.24 = 0.0336〔m²〕です。開口面アンテナの絶対利得 G = (4π/λ²)·η·A に開口効率 η = ηE×ηH = 0.75×0.80 = 0.6 を用いると、G = (4π/0.0025)×0.6×0.0336 = 5027×0.02016 ≒ 101 となり、10log₁₀101 ≒ 20〔dB〕です。

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問われた問題 7

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