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マクスウェルの方程式と電磁波 まくすうぇる

一陸技

電界 E と磁界 H の関係を表す 4 本の式。rot H=電流(印加・導電・変位)はアンペアの法則、rot E=−μ∂H/∂t はファラデーの法則。この 2 式から、E と H が互いを生みながら空間を進む電磁波(平面波)が導かれる。

試験ではここ

令和8年 1 月期・7 月期とも工学B 問1 で穴埋め。「rot H(∇×H)=J0+σE+ε∂E/∂t は拡張されたアンペアの法則、第 3 項が変位電流」「rot E(∇×E)=−μ∂H/∂t はファラデーの法則」。左辺を div(∇·)、第 3 項を対流電流とする肢が誤り。平面波の E/H=120π≒377〔Ω〕、電力束密度 E²/(120π) も頻出。

電流が流れると周りに磁界ができる(アンペア)。磁界が時間で変わると電界ができる(ファラデー)。マクスウェルはアンペアの式に「電界が時間で変わるときも、電流と同じように磁界ができる」という項(変位電流)を足しました。すると電界の変化→磁界→電界の変化→…と、導体が無くても波が自分で進めるようになります。これが電磁波です。

拡張されたアンペアの法則(式①)
\operatorname{rot}\boldsymbol{H} = \nabla\times\boldsymbol{H} = \boldsymbol{J_0} + \sigma\boldsymbol{E} + \varepsilon\dfrac{\partial \boldsymbol{E}}{\partial t}

右辺は第 1 項 印加電流 J0、第 2 項 導電電流 σE、第 3 項 変位電流 ε∂E/∂t。3 つとも「磁界 H をつくる電流」。σ は導電率〔S/m〕、ε は誘電率〔F/m〕

ファラデーの法則(式②)
\operatorname{rot}\boldsymbol{E} = \nabla\times\boldsymbol{E} = -\mu\dfrac{\partial \boldsymbol{H}}{\partial t}

磁界 H が時間変化すると電界 E が発生する(電磁誘導)。μ は透磁率〔H/m〕。マイナスは誘導電界が磁界の変化を妨げる向き(レンツの法則)

マクスウェルの方程式(E と H の 2 本)
式①と式②の対応。rot は「回転」、右辺は何が何を生むか。左辺に div が来る肢は誤り

4 本の式の意味(残りの 2 本も)

  1. rot H = J0 + σE + ε∂E/∂t 電流(変位電流を含む)が磁界をつくる。拡張されたアンペアの法則(アンペア・マクスウェルの法則)
  2. rot E = −μ∂H/∂t 磁界の変化が電界をつくる。ファラデーの法則
  3. div D = ρ(∇·D = ρ) 電束は電荷から出る。ガウスの法則。D=εE
  4. div B = 0(∇·B = 0) 磁束は湧き出しがない(磁気単極子は無い)。B=μH

rot(∇×)は「回転」で、ベクトルからベクトルを作ります。div(∇·)は「発散」で、ベクトルからスカラーを作ります。式①②の右辺は電流密度や ∂H/∂t というベクトルなので、左辺は必ず rot(∇×)です。div と等置した肢は次元が合いません。

平面波の E と H
平面波。E と H が直交し、進行方向は E×H(ポインティングベクトル)。E/H は媒質で決まる固有インピーダンス
自由空間の固有インピーダンスと電力束密度
Z_0 = \dfrac{E}{H} = \sqrt{\dfrac{\mu_0}{\varepsilon_0}} = 120\pi \fallingdotseq 377\ [\Omega],\qquad p = EH = \dfrac{E^2}{120\pi}\ [\mathrm{W/m^2}]

E は〔V/m〕、H は〔A/m〕。電力束密度 p は単位面積を通る電力。実効面積の導出(工学B 問3)で p=E²/(120π) として使う。E²/(60π) と書いた肢は 2 倍で誤り

電磁波の速度と波長
v = \dfrac{1}{\sqrt{\mu\varepsilon}},\quad c = \dfrac{1}{\sqrt{\mu_0\varepsilon_0}} = 3\times10^8\ [\mathrm{m/s}],\quad \lambda = \dfrac{c}{f}

誘電体中(比誘電率 εr)では速度は c/√εr に落ち、波長も 1/√εr に縮む。導体中は表皮効果で急速に減衰する

典型問題の解き方(令和8年7月期 工学B 問1 の穴埋め)

手順

  1. A:左辺の演算子 右辺が電流密度(ベクトル)なので回転 ∇×。発散 ∇· ではスカラーになり等置できない
  2. B:式①の名前 電流が磁界をつくる式=アンペアの法則(変位電流を足して「拡張された」)
  3. C:第 3 項の名前 ε∂E/∂t は変位電流。対流電流は真空管内の電子流など荷電粒子の移動で、別物
  4. D:式②の名前 磁界の変化が電界をつくる=ファラデーの法則
  5. 答え A=∇×、B=アンペア、C=変位電流、D=ファラデー(肢 5)
ひっかけ

1 月期は左辺を「rot H」「rot E」で埋める形で、A・Bを入れ替えた肢が並びます。H の式には電流(J0、σE、ε∂E/∂t)、E の式には −μ∂H/∂t と、右辺を見て判断します。「変位電流」を「対流電流」とした肢は毎回あります。

ポイント

120π はこの先の計算の土台です。電界強度 E〔V/m〕が分かれば電力束密度は E²/(120π)、絶対利得 G で電力 P を放射したときの距離 d の電界強度は E=√(30GP)/d(半波長ダイポールなら 7√P/d)。どちらも 120π から出てきます。

上部の看板「H の式には電流(変位電流まで)、E の式には磁界の変化
H の式には電流(変位電流まで)、E の式には磁界の変化。左辺はどちらも rot

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問1

次の記述は、電界 E〔V/m〕と磁界 H〔A/m〕に関するマクスウェルの方程式について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、媒質は均質、等方性、線形、非分散性とし、誘電率を ε〔F/m〕、透磁率を μ〔H/m〕、導電率を σ〔S...

正答: A=rot H B=rot E C=変位電流

正しい組合せです。式① rot H = J₀ + σE + ε∂E/∂t は、印加電流・導電電流に変位電流 ε∂E/∂t を加えて拡張したアンペア(アンペア・マクスウェル)の法則です。式② rot E = −μ∂H/∂t は電磁誘導を表すファラデーの法則で、磁界が時間変化すると電界が発生することを表しています。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問1

次の記述は、電界 E〔V/m〕と磁界 H〔A/m〕に関するマクスウェルの方程式について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、媒質は均質、等方性、線形、非分散性とし、誘電率を ε〔F/m〕、透磁率を μ〔H/m〕、導電率を σ〔S...

正答: A=∇× B=アンペア C=変位電流 D=ファラデー

正しい組合せです。式① ∇×H = J₀ + σE + ε∂E/∂t は、印加電流・導電電流に変位電流 ε∂E/∂t を加えて拡張したアンペア(アンペア・マクスウェル)の法則です。式② ∇×E = −μ∂H/∂t は電磁誘導を表すファラデーの法則で、両式の左辺はいずれも回転 ∇× です。

この問題を解く
一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問3

次の記述は、半波長ダイポールアンテナの実効面積を求める過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、波長を λ〔m〕とする。 (1) 電界強度が E〔V/m〕の地点での電力束密度 p は、次式で与えられる。 p = [A]〔...

正答: A=E²/(120π) B=(1/(4R))(λE/π)² C=30λ²/(πR)

正しい組合せです。電力束密度は p = E²/Z₀ = E²/(120π)〔W/m²〕です。半波長ダイポールの実効長は λ/π なので誘起電圧は V = λE/π、負荷が整合しているときの受信有能電力は Pr = V²/(4R) = (1/(4R))(λE/π)² です。したがって Ae = Pr/p = (λ²E²/(4π²R)) × (120π/E²) = 120λ²/(4πR) = 30λ²/(πR) となります。R = 73.13 Ω を入れると Ae ≒ 0.13λ² で、よく知られた値と一致します。

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問われた問題 6

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