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磁界・磁束・磁気回路(アンペアの法則・磁気抵抗) じかいとじそく

一陸技

電流は周りに磁界 H をつくり(アンペアの法則)、鉄心の中では磁束 φ が起磁力 NI ÷ 磁気抵抗 Rm で決まる。磁気抵抗は Rm = l/(μS) で、オームの法則と同じ形で直列・並列に合成できる。

試験ではここ

令和8年は 1月期 問2(環状鉄心に 0.5〔mm〕の空隙を設けると同じ磁束に必要な電流は約 11 倍)、7月期 問3(正三角形の頂点の平行導線に働く力 2√3 I²/r×10⁻⁷〔N/m〕)、問5(日の字形鉄心の中央脚の磁束 2μNIS/(5l))、問4(回転する円板のうず電流の向き)。磁気回路を「電気回路」に置き換えて解く。

電流を流すと周りに磁界ができ、鉄心があれば磁束がその中を通ります。鉄心を「磁束が流れる回路」とみなすと、電池に当たるのが起磁力 NI、抵抗に当たるのが磁気抵抗 Rm、電流に当たるのが磁束 φ です。空気のすき間は磁気抵抗がとても大きいので、わずかな空隙でも起磁力の大半を食います。

無限長直線導線の磁界(アンペアの法則)
H = \dfrac{I}{2\pi r} \quad [\mathrm{A/m}] \qquad B = \mu H

r は導線からの距離〔m〕。磁束密度 B〔T〕は透磁率 μ = μ0 μr を掛ける。μ0 = 4π×10⁻⁷〔H/m〕

平行導線間に働く力
F = \dfrac{\mu_0 I_1 I_2}{2\pi r} = 2\times10^{-7}\,\dfrac{I_1 I_2}{r} \quad [\mathrm{N/m}]

同方向の電流なら吸引、逆方向なら反発。1〔m〕当たりの力

磁気回路のオームの法則
\phi = \dfrac{NI}{R_m} \qquad R_m = \dfrac{l}{\mu S} \quad [\mathrm{A/Wb}]

NI は起磁力〔A〕、l は磁路長〔m〕、S は断面積〔m²〕。鉄心と空隙は直列(Rm を足す)、分かれた磁路は並列(逆数の和)

磁気回路は電気回路と同じ形
環状鉄心と等価な電気回路。起磁力 NI が電池、磁気抵抗 Rm が抵抗、磁束 φ が電流に当たる。空隙は μr = 1 なので磁気抵抗が鉄の 1,000 倍

典型問題の解き方(空隙を設けた環状鉄心・令和8年1月期 問2)

手順

  1. 鉄心 A の磁気抵抗 l = 50〔mm〕、μr = 1,000。RmA = 50/(1000 μ0 S) = 0.05/(μ0 S)
  2. 鉄心 B は鉄部と空隙の直列 鉄部 (50 − 0.5)/(1000 μ0 S) ≒ 0.0495/(μ0 S)、空隙 0.5/(μ0 S)。合計 ≒ 0.5495/(μ0 S)
  3. 同じ磁束なら起磁力は Rm に比例 NIB/NIA = RmB/RmA = 0.5495/0.05 ≒ 11
  4. 答え IB ≒ 11 IA。空隙 0.5〔mm〕が鉄心 50〔mm〕の 10 倍の磁気抵抗を持つ
日の字形鉄心の磁気抵抗
日の字形鉄心(令和8年7月期 問5)。中央脚 ab の Rm = l/(μS)、左右の経路は 3l ずつで並列。全体 5l/(2μS)

日の字形鉄心の磁束(令和8年7月期 問5)

  1. 中央脚 コイルのある ab の磁気抵抗は l/(μS)
  2. 左右の経路 a→c→d→b と a→e→f→b はそれぞれ 3l なので 3l/(μS)。2 本が並列で 3l/(2μS)
  3. 直列に足す Rm = l/(μS) + 3l/(2μS) = 5l/(2μS)
  4. φ = NI/Rm φ = NI × 2μS/(5l) = 2μNIS/(5l)〔Wb〕。N² が付く肢は誤り(起磁力は NI)
3 本の平行導線に働く力
正三角形の頂点の 3 本の平行導線。1 本が受ける 2 つの吸引力は 60° 開いており、合成は 2F cos 30° = √3 F

平行導線の電磁力(令和8年7月期 問3)

  1. 2 本の間の力 F = 2×10⁻⁷ I²/r〔N/m〕。同方向なので吸引
  2. 合成 他の 2 本からの力は 60° をなす。合力 = 2F cos 30° = √3 F
  3. 答え F0 = 2√3 I²/r × 10⁻⁷〔N/m〕。π が残る肢は μ0 の 4π と 2π を約分し忘れたもの

電磁誘導は、磁束が変わると起電力 e = −N dφ/dt が生じる現象です。磁界の中で金属板を動かすと板の中に渦状の電流(うず電流)が流れ、動きを妨げる向きに力が働きます(レンツの法則)。7月期 問4 は磁極の下を通る円板の電流の向きを問いました。磁極の真下の電流は外周向きで、その前後に逆回りの 2 つの渦ができます。

ひっかけ

空隙 0.5〔mm〕を「小さいから無視」すると 1 倍になり誤答です。μr = 1,000 なら空隙は同じ長さの鉄の 1,000 倍の磁気抵抗で、鉄心全体(50〔mm〕)の 10 倍に当たります。磁束 φ の式に N² が入る肢は誤り。N² が出るのはインダクタンス L = N²/Rm のときです。

上部の看板「磁気回路=電気回路
磁気回路は電気回路に置き換える。空隙はμr = 1 で磁気抵抗が大きい

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学の基礎 問2

図 1 に示す平均磁路長 l が 50〔mm〕の環状鉄心 A の中に生じる磁束と、図 2 に示すように A に 0.5〔mm〕の空隙 lg を設けた環状鉄心 B の中に生じる磁束が共に φ〔Wb〕で等しいとき、図 2 のコイルに流す電流 IB を表す近似式として、正しいもの...

正答: IB ≒ 11IA〔A〕

正しい。磁気抵抗は Rm = l/(μS) で、断面積 S は共通。鉄心 A の磁気抵抗は 50/(1000μ₀S) = 0.05/(μ₀S)。鉄心 B は鉄部 (50−0.5)/(1000μ₀S) ≒ 0.0495/(μ₀S) と空隙 0.5/(μ₀S) の和で ≒ 0.5495/(μ₀S)。同じ磁束 φ = NI/Rm を得るには起磁力が磁気抵抗に比例するので IB/IA = 0.5495/0.05 ≒ 11 となる。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学の基礎 問5

図に示すような透磁率が μ〔H/m〕の鉄心で作られた磁気回路の磁路 ab の磁束 φ を表す式として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、磁路の断面積はどこも S〔m²〕であり、図に示す各磁路の長さ ab、cd、ef、ac、ae、bd、bf は l〔m〕で等しいものとし、...

正答: φ = 2μNIS/(5l)〔Wb〕

正しい。中央脚 ab の磁気抵抗は l/(μS)。左側の経路 a→c→d→b と右側の経路 a→e→f→b はそれぞれ長さ 3l で磁気抵抗 3l/(μS)、これが並列なので 3l/(2μS)。全体の磁気抵抗は l/(μS) + 3l/(2μS) = 5l/(2μS)。起磁力 NI より φ = NI÷(5l/(2μS)) = 2μNIS/(5l)〔Wb〕。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学の基礎 問3

図に示すように、一辺の長さ r〔m〕の正三角形 abc のそれぞれの頂点に紙面に垂直な無限長導線を置き、それぞれの導線に同じ大きさと方向の直流電流 I〔A〕を流した。このとき、一本の導線の 1〔m〕当たりに作用する電磁力の大きさ F₀ を表す式として、正しいものを下の番号か...

正答: F₀ = (2√3 I²/r)×10⁻⁷〔N/m〕

正しい。距離 r の平行導線間に働く単位長さ当たりの力は F = μ₀I²/(2πr) = 2×10⁻⁷ I²/r〔N/m〕で、同方向電流なので吸引力。1本の導線は他の2本からそれぞれ F を受け、その2力のなす角は 60°。合成力は 2F cos30° = √3 F = 2√3 I²/r×10⁻⁷〔N/m〕。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学の基礎 問4

図 1 に示すように、磁石 M の磁極(NS)間におかれた金属円板 P を軸 O を中心に一定の速さで回転させたとき、磁極付近の P に流れる電流 i の様子を示した図として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、図は、図 1 を上から見た図とし、矢印は i の方向とする。

正答: 図5(上下に並んだ2つの渦、磁極下の電流が外周向き)

正しい。磁極の直下では円板が速度 v で動き、磁束密度 B(下向き)との間に v×B の起電力が生じて電流が流れる。その電流は磁極の前後(回転方向の前方と後方)の導体を通って戻るので、磁極を挟んで上下に逆回りの2つの渦ができる。図1の回転方向と N 極上向きの配置では磁極下の電流は外周向きとなり、この肢の図と一致する(レンツの法則どおり、入る側は磁束増加を妨げ、出る側は減少を妨げる向き)。

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問われた問題 8

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