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アンテナの実効面積・絶対利得・相対利得 あんてなのじっこうめんせき

一陸技

実効面積 Ae は「到来する電力束密度 p のうち、アンテナが取り出せる最大電力 Pr の割合」を面積で表したもの(Pr=p·Ae)。絶対利得 G との間に Ae=Gλ²/(4π) の関係がある。絶対利得は等方性アンテナ基準、相対利得は半波長ダイポール基準。

試験ではここ

工学B 問2〜5 と問13 の常連。「微小ダイポールの実効面積 3λ²/(8π)・利得 3/2 → 等方性 λ²/(4π) → Ae=Gλ²/(4π)」の導出穴埋め、「半波長ダイポールの Ae=30λ²/(πR)」の導出、「同じ放射電力での電界強度の比 √(1.64/1.5)≒1.04(逆なら 0.96)」、「受信電力 Pr=PtGt·Ae/(4πd²)」の計算(2〔W〕・50〔dB〕・4〔m²〕・50〔km〕で 2.5×10⁻⁵〔W〕)。

電波が飛んでくる場所に、電力束密度 p〔W/m²〕のエネルギーが流れています。受信アンテナは、そのうち「ある面積ぶん」をすくい取って受信機に渡します。その面積が実効面積 Ae です。網が大きいほどたくさんすくえるのと同じで、利得の高いアンテナほど実効面積が広く、しかも波長が長いほど広くなります。

実効面積の定義と利得との関係
A_e = \dfrac{P_r}{p}\ [\mathrm{m^2}],\qquad A_e = \dfrac{G\lambda^2}{4\pi}

Pr は整合時に取り出せる最大電力(受信有能電力)、p は電力束密度 E²/(120π)。G は絶対利得(真数)。等方性アンテナ(G=1)の実効面積は λ²/(4π)。「G が 2 倍なら Ae も 2 倍、λ が 2 倍なら Ae は 4 倍」

実効面積 Ae と受信電力
電力束密度 p の流れから実効面積 Ae ぶんをすくい取る。Pr=p·Ae。実効面積は物理的な大きさとは別物

代表的なアンテナの絶対利得と実効面積

絶対利得と相対利得
G_{\mathrm{abs}}\,[\mathrm{dBi}] = G_{\mathrm{rel}}\,[\mathrm{dBd}] + 2.15

絶対利得は等方性アンテナ基準(dBi)、相対利得は半波長ダイポール基準(dBd)。真数では Gabs=1.64×Grel。問題文の「半波長ダイポールアンテナに対する相対利得」は dBd。電界強度の式 7√(GP)/d はこの相対利得 G(真数)で使う

絶対利得と相対利得
利得の 2 つの基準。等方性(dBi)と半波長ダイポール(dBd)の差は 2.15〔dB〕
放射電力 P と電界強度
E = \dfrac{\sqrt{30\,G_{\mathrm{abs}}P}}{d} = \dfrac{7\sqrt{G_{\mathrm{rel}}P}}{d}\ [\mathrm{V/m}]

d は距離〔m〕。等方性なら √(30P)/d、微小ダイポールは √(45P)/d、半波長ダイポールは √(49.2P)/d≒7√P/d。同じ P なら電界強度は √G に比例するので、半波長/微小の比は √(1.64/1.5)≒1.04、逆は 0.96

典型問題の解き方 1(Ae=Gλ²/(4π) の導出、令和8年7月期 問2)

手順

  1. 微小ダイポールの実効面積 Ss=3λ²/(8π)(A)
  2. 微小ダイポールの絶対利得 Gs=3/2(B)
  3. 等方性アンテナの実効面積 定義 G=S/Si より Si=Ss/Gs=(3λ²/8π)÷(3/2)=λ²/(4π)
  4. 一般のアンテナへ S=G·Si=Gλ²/(4π)(C)。肢 1

典型問題の解き方 2(受信できる最大電力、令和8年7月期 問13)

手順(Pt=2〔W〕、Gt=50〔dB〕、Ae=4〔m²〕、d=50〔km〕)

  1. 利得を真数に 50〔dB〕→ 10⁵。距離は m に直して d=5×10⁴〔m〕
  2. 受信点の電力束密度 p=PtGt/(4πd²)=2×10⁵/(4π×2.5×10⁹)≒6.37×10⁻⁶〔W/m²〕
  3. 実効面積を掛ける Pr=p·Ae=6.37×10⁻⁶×4≒2.5×10⁻⁵〔W〕(肢 5)
  4. 確認 受信側も利得で与えられたら Ae=Grλ²/(4π) に直してから掛ける。これがフリスの式 Pr=PtGtGr(λ/4πd)²
半波長ダイポールの実効面積の導出
半波長ダイポールの実効面積の導出。p=E²/(120π)、V=λE/π、Pr=V²/(4R) から Ae=30λ²/(πR)

半波長ダイポールの Ae=30λ²/(πR)(令和8年1月期 問3)

  1. 電力束密度 p=E²/(120π)(A)。固有インピーダンス 120π で割る
  2. 誘起電圧と受信有能電力 実効長 λ/π なので V=λE/π。整合時は負荷に V/2 がかかり Pr=V²/(4R)=(1/4R)(λE/π)²(B)
  3. 割り算 Ae=Pr/p=(λ²E²/4π²R)×(120π/E²)=30λ²/(πR)(C)。R=73.13〔Ω〕で 0.13λ²
ひっかけ

電界強度の比を聞かれて「1.64」や「1.11(利得の比 1.09 に近い値)」を選ぶのが典型的な誤りです。電界は電力の平方根に比例するので √(1.64/1.5)≒1.04 です。どちらが分子かで 1.04 と 0.96 が入れ替わります(半波長/微小なら 1.04、微小/半波長なら 0.96)。受信有能電力は V²/(4R) であって V²/R ではありません。

ポイント

受信電力の計算は「電力束密度 PtGt/(4πd²) を出してから実効面積を掛ける」の 2 段で考えると、dB の利得を真数に戻し忘れたり距離の単位を間違えたりしにくくなります。50〔dB〕は 10⁵ で、50 ではありません。

上部の看板「Ae = Gλ²/(4π)
Ae=Gλ²/(4π)。等方性は λ²/(4π)、微小ダイポール 1.5、半波長ダイポール 1.64(2.15 dB)

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問2

次の記述は、絶対利得が G(真数)のアンテナの実効面積を表す式を求める過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 微小ダイポールの実効面積 Ss は、波長を λ〔m〕とすると、次式で表される。 Ss = [A]〔m²〕 ...

正答: A=3λ²/(8π) B=3/2 C=Gλ²/(4π)

正しい組合せです。微小ダイポールの実効面積は Ss = 3λ²/(8π)、絶対利得は Gs = 3/2(1.5、1.76 dB)です。等方性アンテナの実効面積は Si = Ss/Gs = (3λ²/8π)/(3/2) = λ²/(4π) となり、定義式 G = S/Si から S = Gλ²/(4π) が得られます。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問3

次の記述は、半波長ダイポールアンテナの実効面積を求める過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、波長を λ〔m〕とする。 (1) 電界強度が E〔V/m〕の地点での電力束密度 p は、次式で与えられる。 p = [A]〔...

正答: A=E²/(120π) B=(1/(4R))(λE/π)² C=30λ²/(πR)

正しい組合せです。電力束密度は p = E²/Z₀ = E²/(120π)〔W/m²〕です。半波長ダイポールの実効長は λ/π なので誘起電圧は V = λE/π、負荷が整合しているときの受信有能電力は Pr = V²/(4R) = (1/(4R))(λE/π)² です。したがって Ae = Pr/p = (λ²E²/(4π²R)) × (120π/E²) = 120λ²/(4πR) = 30λ²/(πR) となります。R = 73.13 Ω を入れると Ae ≒ 0.13λ² で、よく知られた値と一致します。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問13

送信アンテナから距離 50〔km〕の地点に設置した受信アンテナによって取り出すことのできる最大電力の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、送信電力を 2〔W〕、送信アンテナの絶対利得を 50〔dB〕、受信アンテナの実効面積を 4〔m²〕とする。また、送受信アンテ...

正答: 2.5 × 10⁻⁵〔W〕

正しい値です。送信アンテナの利得 50〔dB〕は真数で 10⁵、距離は d = 5×10⁴〔m〕です。受信点の電力束密度は p = Pt·Gt/(4πd²) = 2×10⁵/(4π×2.5×10⁹) = 2×10⁵/(3.14×10¹⁰) ≒ 6.37×10⁻⁶〔W/m²〕となり、受信アンテナの実効面積 4〔m²〕を掛けると Pr = 6.37×10⁻⁶×4 ≒ 2.5×10⁻⁵〔W〕が得られます。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問5

自由空間において、放射電力が等しい半波長ダイポールと微小ダイポールアンテナによって最大放射方向の同じ距離の点に生じるそれぞれの電界強度 E₁ 及び E₂〔V/m〕の比 E₁/E₂ の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、√5 = 2.24 とする。

正答: 1.04

正しい値です。絶対利得 G のアンテナが電力 P を放射するとき、距離 d の電界強度は E = √(30GP)/d です。半波長ダイポールは G = 1.64 で E₁ = √(49.2P)/d ≒ 7√P/d、微小ダイポールは G = 1.5 で E₂ = √(45P)/d = 3√5·√P/d ≒ 6.72√P/d です。比は E₁/E₂ = 7/6.72 ≒ 1.04(√(1.64/1.5) ≒ 1.046)となります。

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問われた問題 9

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