実効長と放射抵抗(微小・半波長・折返し) じっこうちょうとほうしゃていこう
実効長 he は電流を給電点の値で一様とみなしたときの長さで、誘起電圧は V0=he·E。放射抵抗 Rr は放射電力を I²Rr と見た抵抗。半波長ダイポールは he=λ/π・Rr≒73〔Ω〕、n 線式折返しは he が n 倍・入力インピーダンスが n² 倍。
計算が毎期 1〜2 問。「実効長 1〔m〕・20〔MHz〕の放射抵抗」は 80(π×1/15)²≒3.5〔Ω〕。「二線式折返しで端子電圧 6〔mV〕・60〔MHz〕の電界強度」は整合で V0=12〔mV〕、he=2λ/π=3.18〔m〕で 3.8〔mV/m〕。「三線式折返しの 250〔MHz〕の実効長」は 3λ/π≒115〔cm〕。実効長を λ/2 と誤る肢に注意。
アンテナの素子上の電流は、先端で 0、給電点で最大というように場所で違います。これを「給電点の電流 I が端から端まで一様に流れている」と見なしたときの長さが実効長 he です。電界 E の中に置くと、誘起電圧は V0=he·E と掛け算だけで出ます。放射抵抗 Rr は、放射される電力を「I²Rr の抵抗で消費した」と見なした値で、大きいほど同じ電流でよく放射します。

E は到来電波の電界強度〔V/m〕、V0 はアンテナの開放端電圧〔V〕。整合(r=R)のとき受信機の端子電圧は V0/2。半波長ダイポール he=λ/π、1/4 波長接地アンテナ he=λ/(2π)、微小ダイポール(一様電流)he=l、長さ l の短いダイポール(三角分布)he=l/2
P=I²Rr と比べれば Rr が出る。l は実効長〔m〕。長さが 2 倍なら放射抵抗は 4 倍、波長が 2 倍なら 1/4。半波長ダイポールは Rr≒73.13〔Ω〕、1/4 波長垂直接地アンテナはその半分の約 36〔Ω〕

二線式は he=2λ/π、Rin≒292〔Ω〕(4 倍)。三線式は he=3λ/π、Rin≒650〔Ω〕(9 倍)。放射電力は同じまま給電点電流が 1/n になるので抵抗は n² 倍。太さが違えば比は変わる
典型問題の解き方 1(放射抵抗、令和8年7月期 問4)
手順(実効長 1〔m〕、20〔MHz〕)
- 波長 λ=3×10⁸/(20×10⁶)=15〔m〕
- P=I²Rr と比べる P=80(πIl/λ)² より Rr=80(πl/λ)²
- 代入 Rr=80×(π×1/15)²=80×(0.2094)²=80×0.0439≒3.5〔Ω〕(肢 5)
典型問題の解き方 2(端子電圧から電界強度、令和8年1月期 問5)

手順(二線式折返し、60〔MHz〕、ab 間 6〔mV〕、整合)
三線式の実効長(令和8年1月期 問10、250〔MHz〕)
- 波長 λ=3×10⁸/(250×10⁶)=1.2〔m〕
- 3 倍 he=3λ/π=3×1.2/3.14≒1.15〔m〕=115〔cm〕(肢 3)。76〔cm〕は二線式の値
半波長ダイポールの実効長は λ/2 ではなく λ/π です(電流が正弦状なので平均が 2/π)。整合時の端子電圧は誘起電圧の半分で、問題の「ab 間の電圧」をそのまま V0 にすると半分の答えになります。折返しの n 倍は実効長で、入力インピーダンスは n² 倍(4 倍・9 倍)と区別します。
実効長・放射抵抗・実効面積は 1 本の線でつながっています。V0=he·E、Pr=V0²/(4Rr)、p=E²/(120π)、Ae=Pr/p。半波長ダイポールにこれを入れると Ae=30λ²/(πR) で、R=73〔Ω〕なら 0.13λ² です。

この用語を押さえる問題
実効長 1〔m〕の直線状アンテナを周波数 20〔MHz〕で用いたとき、このアンテナの放射抵抗の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、微小ダイポールの放射電力 P は、ダイポールの長さを l〔m〕、波長を λ〔m〕及び流れる電流を I〔A〕とすれば、次式で表される...
正答: 3.5〔Ω〕
正しい値です。放射電力 P = I²R と比較すると放射抵抗は R = 80(πl/λ)²〔Ω〕です。周波数 20〔MHz〕の波長は λ = 3×10⁸/(20×10⁶) = 15〔m〕なので、R = 80×(π×1/15)² = 80×(0.2094)² ≒ 80×0.0439 ≒ 3.51〔Ω〕となります。
この問題を解く周波数が 60〔MHz〕の電波を素子の太さが等しい二線式折返し半波長ダイポールアンテナで受信したとき、図に示す等価回路のようにアンテナに接続された受信機の入力端子 ab 間における電圧が 6〔mV〕であった。このときの受信点における電界強度の値として、最も近いものを下の番号...
正答: 3.8〔mV/m〕
正しい値です。60 MHz の波長は λ = 5 m です。整合(r = R)のとき端子 ab 間の電圧は誘起電圧の 1/2 なので、V₀ = 2 × 6 = 12 mV です。素子の太さが等しい二線式折返し半波長ダイポールの実効長は半波長ダイポールの 2 倍で he = 2λ/π = 10/π ≒ 3.18 m です。したがって E = V₀/he = 12/3.18 ≒ 3.77 mV/m ≒ 3.8 mV/m となります。
この問題を解く図に示す三線式折返し半波長ダイポールアンテナを用いて 250〔MHz〕の電波を受信したときの実効長の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、3本のアンテナ素子はそれぞれ平行で、かつ、極めて近接して配置されており、その素材や寸法は同じものとし、波長を λ〔m〕とする...
正答: 115〔cm〕
正しい値です。250 MHz の波長は λ = 3×10⁸/(250×10⁶) = 1.2 m です。同じ太さの素子 n 本からなる折返し半波長ダイポールでは、給電素子の電流と同じ電流が他の素子にも流れるため、実効長は半波長ダイポールの n 倍、すなわち nλ/π になります。三線式では he = 3λ/π = 3×1.2/3.14 ≒ 1.146 m ≒ 115 cm です。
この問題を解く次の記述は、図に示すような線状アンテナの指向性について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、電界強度の指向性関数を D(θ) とする。 (1) 十分遠方における電界強度の指向性は、D(θ) に比例し、距離に[A]。 (2) 微小...
正答: A=関係しない B=sin θ C=cos((π/2)cos θ)/sin θ
正しい組合せです。遠方界の電界強度は E = (定数/距離)×D(θ) の形になり、距離の因子と指向性 D(θ) は分離されるので、指向性は距離に関係しません。アンテナ軸から測った角度 θ に対して、微小ダイポールの指向性は sin θ、半波長ダイポールは cos((π/2)cos θ)/sin θ で、いずれも軸に垂直な方向(θ = π/2)で最大、軸方向(θ = 0)で零です。
この問題を解く問われた問題 10
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