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給電線の反射・定在波・電力(入射波・反射波) きゅうでんせんのはんしゃ

一陸技

給電線に Z0 と違う負荷をつなぐと、入射波の一部が反射係数 Γ=(ZL−Z0)/(ZL+Z0) で戻り定在波が立つ。電圧定在波比 S=(1+|Γ|)/(1−|Γ|)、波腹のインピーダンスは Z0·S、波節は Z0/S、負荷に届く電力は入射電力の (1−|Γ|²) 倍。

試験ではここ

「入射波電圧 90〔V〕、反射波電圧 10〔V〕、Z0=50〔Ω〕のとき電圧波腹から負荷側を見たインピーダンス」が令和8年1月期 工学B 問6(答え 63〔Ω〕)。|Γ|=10/90、S=1.25、Z=Z0·S。入射・反射から電力を求める形(Pi−Pr)、1/4 波長整合 Z=√(Z0·R) は定番で令和8年の 2 期には出ていない。

送信機から負荷へ向かう波が入射波、負荷で跳ね返って戻る波が反射波です。負荷が給電線の特性インピーダンスと同じなら反射はゼロで、線上の電圧はどこも同じです。違うと入射波と反射波が足し合わさり、λ/2 ごとに山(波腹)と谷(波節)が並ぶ定在波になります。2陸特〜4アマでは「SWR=1 が整合」まででしたが、一陸技では反射係数と電圧・電流・インピーダンス・電力を式でつなぎます。

入射波・反射波と定在波
入射波 Vi と反射波 Vr の重なり。波腹で Vi+Vr、波節で Vi−Vr。電流は電圧と逆に波腹で最小
反射係数と電圧定在波比
\Gamma = \dfrac{V_r}{V_i} = \dfrac{Z_L - Z_0}{Z_L + Z_0},\qquad S = \dfrac{V_{\max}}{V_{\min}} = \dfrac{V_i + V_r}{V_i - V_r} = \dfrac{1+|\Gamma|}{1-|\Gamma|}

Vi は入射波電圧、Vr は反射波電圧。ZL=Z0 で Γ=0・S=1。短絡(ZL=0)で Γ=−1、開放(ZL=∞)で Γ=+1、どちらも全反射で S=∞。ZL が純抵抗なら S=ZL/Z0 または Z0/ZL の大きい方

波腹・波節のインピーダンス
Z_{\text{波腹}} = Z_0 S,\qquad Z_{\text{波節}} = \dfrac{Z_0}{S}

電圧波腹では電圧が最大(Vi+Vr)で電流が最小((Vi−Vr)/Z0)なので、その比は Z0·S の純抵抗。電圧波節はその逆で Z0/S。波腹と波節は λ/4 離れている

線路上の位置とインピーダンス
線上の位置とインピーダンス。波腹で Z0·S、波節で Z0/S、その間はリアクタンスを含む。λ/4 ごとに入れ替わる
負荷に伝わる電力
P_L = P_i - P_r = P_i\left(1 - |\Gamma|^2\right) = \dfrac{V_i^2 - V_r^2}{Z_0}

Pi は入射電力、Pr は反射電力。反射電力の割合は |Γ|²(S=2 で約 11〔%〕、S=3 で 25〔%〕)。反射損は −10log(1−|Γ|²)〔dB〕。無損失線路なら負荷に届く電力は線上のどこで測っても同じ

1/4 波長整合(Q 変成器)
Z_q = \sqrt{Z_0 R_L}

特性インピーダンス Z0 の給電線と純抵抗 RL の負荷の間に、長さ λ/4・特性インピーダンス Zq の線路を入れると整合する。たとえば 50〔Ω〕と 200〔Ω〕なら Zq=100〔Ω〕。波腹(または波節)の位置に入れれば負荷が純抵抗でなくても使える。周波数が変わると長さが λ/4 からずれるので狭帯域

1/4 波長整合(Q 変成器)
1/4 波長整合。Z0 と RL の間に λ/4 の線路 Zq=√(Z0·RL) を入れる。λ/4 線路はインピーダンスを Zq²/RL に変換する

典型問題の解き方(電圧波腹から見たインピーダンス、令和8年1月期 問6)

手順(Z0=50〔Ω〕、Vi=90〔V〕、Vr=10〔V〕)

  1. 反射係数 |Γ|=Vr/Vi=10/90=1/9
  2. 定在波比 S=(1+1/9)/(1−1/9)=(10/9)/(8/9)=1.25。または S=(90+10)/(90−10)=100/80 でも同じ
  3. 波腹のインピーダンス Z=Z0·S=50×1.25=62.5≒63〔Ω〕(肢 4)
  4. 確認 波腹の電圧 100〔V〕、電流 (90−10)/50=1.6〔A〕、100/1.6=62.5〔Ω〕。波節なら 50/1.25=40〔Ω〕
  5. ついでに電力 負荷に届く電力は (90²−10²)/50=(8100−100)/50=160〔W〕。入射 162〔W〕のうち反射は 2〔W〕(|Γ|²≒1.2〔%〕)
ひっかけ

波腹は Z0×S、波節は Z0÷S で、どちらを聞かれているか読み落とすと 63〔Ω〕と 40〔Ω〕を取り違えます。電力は電圧の 2 乗なので、反射電力の割合は |Γ| ではなく |Γ|² です(|Γ|=0.5 で 25〔%〕)。1/4 波長整合の Zq は平均 (Z0+RL)/2 ではなく幾何平均 √(Z0·RL) です。

ポイント

「入射波と反射波の電圧」が与えられたら、まず S=(Vi+Vr)/(Vi−Vr) を作るのが近道です。|Γ| を経由しても同じ値になります。λ/4 線路は Zin=Zq²/ZL でインピーダンスを「反転」させる道具で、短絡スタブが λ/4 で開放に見えるのも同じ理屈です。

上部の看板「波腹は Z0·S、波節は Z0/S
波腹は Z0·S、波節は Z0/S。負荷に届く電力は Pi−Pr。整合は √(Z0·RL) の λ/4 線路

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問6

特性インピーダンスが 50〔Ω〕の無損失給電線の受端に接続された負荷への入射波電圧が 90〔V〕、反射波電圧が 10〔V〕であるとき、電圧波腹から負荷側を見たインピーダンスの大きさとして、最も近いものを下の番号から選べ。

正答: 63〔Ω〕

正しい値です。入射波電圧 90 V、反射波電圧 10 V から反射係数の大きさは |Γ| = 10/90 = 1/9 で、電圧定在波比は S = (1+|Γ|)/(1−|Γ|) = (1+1/9)/(1−1/9) = 1.25 です。電圧波腹では電圧が最大 (90+10 = 100 V)、電流が最小 ((90−10)/50 = 1.6 A) になるので、インピーダンスは Z = 100/1.6 = Z₀S = 50 × 1.25 = 62.5 ≒ 63 Ω です。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問20

次の記述は、平衡給電のアンテナの入力インピーダンス測定法について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 一般にネットワークアナライザは不平衡系であり、ネットワークアナライザで[A]アンテナのような平衡給電のアンテナのインピーダン...

正答: A=半波長ダイポール B=イメージ(影像) C=1/2

正しい組合せです。半波長ダイポールは平衡給電のアンテナの代表例で、不平衡の同軸ケーブルを直接つなぐと外導体に漏洩電流が流れます。給電点で対称なアンテナの半分を十分大きな地板上に置くと、地板のイメージ(影像)効果によって残り半分が鏡像として補われ、自由空間のアンテナと同じ電流分布になります。このとき給電点の電圧が半分になるので、測定インピーダンスは自由空間での値の 1/2 倍です。これは垂直接地アンテナの放射抵抗(約 36 Ω)が半波長ダイポール(約 73 Ω)の半分になるのと同じ理由です。

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問われた問題 4

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