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整合回路(T 形・L 形・スタブ・1/4 波長整合) せいごうかいろ

一陸技

給電線の特性インピーダンス Z0 と負荷(アンテナ)のインピーダンスが違うとき、間に入れて入力インピーダンスを Z0 に合わせる回路。リアクタンスを組む集中定数形(L 形・T 形・π 形)と、線路を使う分布定数形(1/4 波長整合・スタブ)がある。

試験ではここ

令和8年1月期 問7 は直列 −jX・並列 jX・直列 −jX の T 形回路で入力 X²/R = Z0 から X = √(75×147) = 105〔Ω〕。同期 問8 は 1/4 波長整合で βl = π/2、Zx = Z²/R、Z = √(Z0R)。7月期 問11 はデジタル移相器にスタブを使う。

給電線と負荷のインピーダンスが合っていないと、電力の一部が反射して戻ってきます。間に「インピーダンスの変換器」を入れて、給電線から見ると Z0 の純抵抗に見えるようにするのが整合回路です。損失のないリアクタンスか線路だけで作るので、電力をむだにしません。

無損失線路の入力インピーダンス
Z_x = Z\,\dfrac{R\cos\beta l + jZ\sin\beta l}{Z\cos\beta l + jR\sin\beta l}

Z は線路の特性インピーダンス、R は負荷、β = 2π/λ。l = 0 で Zx = R に戻ることで分子・分母の向きを確かめる

1/4 波長整合
\beta l = \dfrac{\pi}{2} \;\Rightarrow\; Z_x = \dfrac{Z^2}{R} = Z_0 \;\Rightarrow\; Z = \sqrt{Z_0 R}

整合用線路の Z は Z0 と R の幾何平均。例: Z0 = 50〔Ω〕、R = 200〔Ω〕なら Z = 100〔Ω〕

50Ωの給電線と200Ωの負荷の間に、特性インピーダンス100Ωの1/4波長の線路を入れた図
1/4 波長整合の Z は √(Z0R)
スタブの入力インピーダンス
\text{短絡: } Z = jZ_0\tan\beta l \qquad \text{開放: } Z = -jZ_0\cot\beta l

長さで任意のリアクタンスが作れる。短絡スタブは λ/8 で +jZ0、λ/4 で開放(∞)に見える

典型問題の解き方(T 形整合回路・令和8年1月期 問7)

手順

  1. 負荷側から アンテナ R に直列 −jX を足して R − jX
  2. 並列 jX と合成 jX(R − jX)/(jX + R − jX) = (X² + jXR)/R = X²/R + jX
  3. 給電線側の直列 −jX +jX が打ち消され、入力は純抵抗 X²/R
  4. 整合条件 X²/R = Z0 → X = √(75 × 147) = √11025 = 105〔Ω〕
直列−jX・並列jX・直列−jXのT形整合回路で、75Ωの給電線と147Ωのアンテナを整合する計算
X=√(75×147)=105 Ω

L 形整合回路の設計(R > Z0 の場合)

  1. 形 大きい方の R に並列リアクタンス Xp、Z0 側に直列リアクタンス Xs
  2. Q を決める Q = √(R/Z0 − 1)。R = 200〔Ω〕、Z0 = 50〔Ω〕なら Q = √3 ≒ 1.73
  3. 素子 Xp = R/Q ≒ 115〔Ω〕、Xs = Q·Z0 ≒ 86.6〔Ω〕(符号は互いに逆)
ひっかけ

1/4 波長整合の Z は √(Z0R)(幾何平均)で、(Z0 + R)/2(算術平均)ではありません。1/4 波長は位相で π/2 で、π/4 は 1/8 波長です。入力インピーダンスの式で分子と分母を入れ替えた肢は、l = 0 で R に戻らないので消せます。

先生の挿絵。1/4波長整合の線路を50Ωと200Ωの算術平均で求めかける受験生
算術平均ではなく √(50×200)=100 Ω
ポイント

T 形の答え X = √(Z0R) は、1/4 波長整合の Z = √(Z0R) と同じ形です。T 形(や π 形)のリアクタンス回路は、1/4 波長線路を集中定数で置き換えたものと考えられます。

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問7

図に示すように、特性インピーダンス Z₀ が 75〔Ω〕の無損失給電線と入力抵抗 R が 147〔Ω〕のアンテナを集中定数回路を用いて整合させたとき、リアクタンス X の大きさの値として、最も近いものを下の番号から選べ。

正答: 105〔Ω〕

正しい値です。アンテナ側から順に計算します。負荷側の直列素子を含めて R − jX、これと分路 jX の並列は jX(R − jX)/(jX + R − jX) = (jXR + X²)/R = X²/R + jX となります。さらに給電線側の直列 −jX を加えると入力インピーダンスは X²/R(純抵抗)です。整合条件 X²/R = Z₀ より X = √(Z₀R) = √(75×147) = √11025 = 105 Ω となります。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問8

次の記述は、1/4波長整合回路の整合条件について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、波長を λ〔m〕とし、給電線は無損失とする。 (1) 図に示すように、特性インピーダンス Z₀〔Ω〕の給電線と負荷抵抗 R〔Ω〕とを、長さが ...

正答: A=(R cos βl + jZ sin βl)/(Z cos βl + jR sin βl) B=π/2 C=Z²/R D=√(Z₀R)

正しい組合せです。無損失線路の入力インピーダンスの式から Zx = Z(R cos βl + jZ sin βl)/(Z cos βl + jR sin βl) です。l = λ/4 のとき βl = (2π/λ)(λ/4) = π/2 で、cos βl = 0、sin βl = 1 となるので Zx = Z(jZ)/(jR) = Z²/R になります。これが Z₀ に等しくなる条件から Z = √(Z₀R) が得られます。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問11

次の記述は、図に示す位相走査のフェーズドアレーアンテナと量子化位相誤差について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) フェーズドアレーアンテナとは、平面上に複数の放射素子を並べて固定し、それぞれにデジタル移相器を設けて給電電流の...

正答: A=スタブ B=π/2ⁿ C=サイドローブ D=多く

正しい組合せです。デジタル移相器は PIN ダイオードなどで線路やスタブを切り替えて離散的な位相を与えます。0〜2π を 2ⁿ 等分すると最小ステップは 2π/2ⁿ で、必要な位相を最も近い値に丸めるため誤差は最大でステップの半分、π/2ⁿ〔rad〕です。この誤差が開口面に周期的に現れると回折格子のように働いて高いサイドローブ(量子化ローブ)が生じるので、ビット数 n を多くしてステップを細かくし誤差を減らします。

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問われた問題 3

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