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指向性パターンとローブ(主ビーム・サイドローブ・バックローブ) しこうせいぱたーんとろーぶ

一陸技

アンテナの放射の強さを方向ごとに描いた図が指向性パターン。いちばん強い主ビーム(メインローブ)、その脇の小さなサイドローブ、真後ろのバックローブに分かれる。遠方界では指向性関数 D(θ) は距離に関係しない。

試験ではここ

令和8年7月期 問11 はデジタル移相器の周期的な量子化誤差で「サイドローブ」が高くなる(バックローブは誤り)。同期 問3 は微小ダイポール sin θ、半波長ダイポール cos((π/2)cos θ)/sin θ、指向性は距離に「関係しない」。1月期 問12 はオフセットカセグレンでブロッキングがなくサイドローブが増えにくい。

パラボラや八木アンテナの電波は一方向に集まりますが、完全にはそろわず、脇や後ろにも少し漏れます。正面の大きな山が主ビーム、脇の小さな山がサイドローブ、後ろの山がバックローブです。サイドローブが高いと、ほかの方向からの干渉を拾いやすく、ほかの局にも妨害を与えます。

極座標の指向性パターンで、主ビーム・サイドローブ・バックローブ・ヌル・半値角を示した図
主ビーム・サイドローブ・バックローブ
線状アンテナの指向性関数(θ はアンテナ軸から測る)
\text{微小ダイポール: } D(\theta) = \sin\theta \qquad \text{半波長ダイポール: } D(\theta) = \dfrac{\cos\left(\frac{\pi}{2}\cos\theta\right)}{\sin\theta}

どちらも θ = π/2(軸に垂直)で最大 1、軸方向 θ = 0 で 0。θ を軸に垂直な面から測ると微小ダイポールは cos θ になる

微小ダイポール sin θ と半波長ダイポール cos((π/2)cos θ)/sin θ の8の字の指向性
どちらも軸方向で 0、指向性は距離に関係しない
遠方界の電界と指向性
E(r,\theta) = \dfrac{K}{r}\,D(\theta)

電界の大きさは距離 r に反比例するが、方向による相対的な形 D(θ) は距離に関係しない

パターンを読む量

  • 半値角(ビーム幅) 主ビームの電力が最大の 1/2(−3〔dB〕)になる 2 方向の角度。開口が大きいほど狭い。パラボラでおよそ 70λ/D〔°〕
  • サイドローブレベル 主ビームに対する最大サイドローブの比〔dB〕。一様な開口分布では第 1 サイドローブが約 −13〔dB〕
  • FB 比 前方の最大と後方(バックローブ)の比。例: 前方 20〔dB〕、後方 5〔dB〕なら FB 比 15〔dB〕
  • ヌル ローブとローブの間の放射が 0 になる方向

サイドローブが高くなる原因と対策

  1. 開口のブロッキング パラボラやカセグレンの一次放射器・副反射鏡が開口の前を遮る → オフセット形にする
  2. 周期的な位相誤差 フェーズドアレーの量子化位相誤差が周期的に並ぶと量子化ローブ → 移相器のビット数を多くする
  3. 素子間隔が広すぎる アレーで主ビームと同じ高さのグレーティングローブ → 間隔を λ/2 程度以下にする
  4. 一様な分布 開口の端の励振を弱める(テーパ)とサイドローブは下がるが、ビームは少し広がる
ひっかけ

周期的な量子化誤差で高くなるのは サイドローブ(量子化ローブ) で、バックローブではありません。「指向性は距離に反比例する」は誤りで、反比例するのは電界の大きさです。微小ダイポールが cos θ になるのは θ の測り方が違う場合です。

先生の挿絵。量子化誤差で高くなるのはバックローブだと思う受験生
周期的な位相誤差で上がるのはサイドローブ
ポイント

アレーの指向性は「素子の指向性 × 配列指向係数(アレーファクタ)」(指向性の積の原理)。ローブの位置はアレーファクタで決まり、素子の指向性がそれを包み込みます。

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問11

次の記述は、図に示す位相走査のフェーズドアレーアンテナと量子化位相誤差について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) フェーズドアレーアンテナとは、平面上に複数の放射素子を並べて固定し、それぞれにデジタル移相器を設けて給電電流の...

正答: A=スタブ B=π/2ⁿ C=サイドローブ D=多く

正しい組合せです。デジタル移相器は PIN ダイオードなどで線路やスタブを切り替えて離散的な位相を与えます。0〜2π を 2ⁿ 等分すると最小ステップは 2π/2ⁿ で、必要な位相を最も近い値に丸めるため誤差は最大でステップの半分、π/2ⁿ〔rad〕です。この誤差が開口面に周期的に現れると回折格子のように働いて高いサイドローブ(量子化ローブ)が生じるので、ビット数 n を多くしてステップを細かくし誤差を減らします。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学B 問3

次の記述は、図に示すような線状アンテナの指向性について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、電界強度の指向性関数を D(θ) とする。 (1) 十分遠方における電界強度の指向性は、D(θ) に比例し、距離に[A]。 (2) 微小...

正答: A=関係しない B=sin θ C=cos((π/2)cos θ)/sin θ

正しい組合せです。遠方界の電界強度は E = (定数/距離)×D(θ) の形になり、距離の因子と指向性 D(θ) は分離されるので、指向性は距離に関係しません。アンテナ軸から測った角度 θ に対して、微小ダイポールの指向性は sin θ、半波長ダイポールは cos((π/2)cos θ)/sin θ で、いずれも軸に垂直な方向(θ = π/2)で最大、軸方向(θ = 0)で零です。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学B 問12

次の記述は、カセグレンアンテナについて述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) 副反射鏡の二つの焦点のうち、一方の焦点は、主反射鏡の焦点と一致し、他方の焦点は、[A]の励振点と一致している。 (2) 一次放射器から放射された[B]...

正答: A=一次放射器 B=球面波 C=平面波 D=小さい

正しい組合せです。カセグレンアンテナの副反射鏡は回転双曲面で、その一方の焦点を主反射鏡(回転放物面)の焦点に、他方の焦点を一次放射器の励振点(位相中心)に一致させます。一次放射器から出た球面波は副反射鏡で反射されて主反射鏡の焦点から出たのと等価な球面波となり、放物面の主反射鏡で反射されて平面波になります。オフセット形は副反射鏡や一次放射器が主反射鏡の開口面の前方に無いため、それらによるブロッキング(遮へい)がなく、放射特性の乱れが小さくなります。

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問われた問題 6

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