標本化と量子化の誤差(折返し・量子化雑音) ひょうほんかごさ
アナログ信号を標本化周波数 fs で離散化し、振幅を n ビットの段階に丸めるときに生じる誤差。最高周波数が fs/2 を超えると折返し雑音(エイリアシング)が、有限幅のパルスで標本化するとアパーチャ効果が、振幅の丸めで量子化雑音が生じる。
令和8年1月期 工学A 問17。fs=2f0 のとき f0 を超えた成分は f0 を中心に「低い」周波数側へ折り返されて折返し雑音になる。アパーチャ効果では「高域」の周波数成分が減衰する。量子化雑音の S/N≒6n+1.8〔dB〕(n ビット)は令和8年の 2 期には出ていないが定番。
アナログ信号をデジタルにするには、時間を区切る「標本化」と、振幅を段階に丸める「量子化」の 2 段階が要ります。標本化は、入力信号を変調信号、標本化パルスを搬送波とした振幅変調と同じです。だからスペクトルは fs ごとに同じ形が繰り返し、上下の側帯波が fs/2 を超えて重なると元に戻せなくなります。これが折返し雑音です。

fmax は入力の最高周波数、fs/2 をナイキスト周波数と呼ぶ。音声 4 kHz なら 8 kHz 以上。等号ぎりぎりでは LPF が理想的でなければ復元できないので、実際は余裕をとる
f0 を Δf 超えた成分は、f0 を中心に Δf だけ低い側に鏡写しになる。遮断周波数 f0 の理想 LPF でも分けられないので、標本化の前に帯域制限(アンチエイリアス)フィルタを入れる

標本化で生じる 3 つの誤差

Δ は量子化ステップ幅、n はビット数。誤差が −Δ/2〜+Δ/2 に一様分布するとして電力は Δ²/12。フルスケールの正弦波なら 1 ビット増えるごとに S/N は約 6 dB 改善する。8 ビットで約 50 dB、16 ビットで約 98 dB
典型問題の解き方(折返し雑音の向きとアパーチャ効果)
手順
折り返す向きは f0 を中心に 低い方 です。「高い方」の肢は誤りです。アパーチャ効果で減衰するのは「高域」で、低域はほとんど減りません。側帯波の重なりで生じるのは折返し雑音であって補間雑音ではありません。量子化雑音はビット数を 1 増やすと約 6 dB(電力で 1/4)減りますが、標本化周波数を上げても量子化雑音の総電力は変わりません。

この用語を押さえる問題
次の記述は、デジタル通信における標本化に関連する誤差について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、標本化回路の入力信号の最高周波数を f0+Δf〔Hz〕、標本化周波数を fs〔Hz〕とする。 (1) 図は、標本化の操作における入...
正答: A=折り返し雑音 B=低い C=高域の周波数成分
正答。fs=2f0 のとき、f0 を超える成分 f0+Δf は fs−(f0+Δf)=f0−Δf の位置、すなわち f0 を中心に低い周波数側へ折り返されて重なり、LPF で分離できない折り返し雑音(エイリアシング)となる。アパーチャ効果は、幅 τ の矩形パルスで標本化することで sin(πfτ)/(πfτ) の特性が掛かる現象で、高域の周波数成分ほど減衰する。
この問題を解く次の記述は、図に示す直交周波数分割多重(OFDM)方式の復調プロセスの基本的な原理を述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、各演算器の出力式の係数は無視するものとし、e は自然対数の底とする。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句...
正答: A=(an+jbn){cos(2πnfst)+j sin(2πnfst)} B=j(2πnk)/N C=逆離散フーリエ変換 D=離散フーリエ変換 E=−j(2πnk)/N
正答。SBI+jSBQ=Σ{(an cos−bn sin)+j(an sin+bn cos)}=Σ(an+jbn){cos(2πnfst)+j sin(2πnfst)}=Σ dn e^(j2πnfst)。t=k/(Nfs) を代入すると u(k/(Nfs))=Σ dn e^(j2πnk/N) で、これは dn の逆離散フーリエ変換(IDFT)の形である。したがって受信側では標本列を離散フーリエ変換(DFT)すれば dn=(1/N)Σ u(k/(Nfs)) e^(−j2πnk/N) としてシンボルが復調できる。
この問題を解く問われた問題 3
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