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A-D 変換(二重積分形・逐次比較形) えーでぃーへんかん

一陸技

アナログ電圧をデジタルの数値に変える回路。二重積分形は入力を一定時間積分してから基準電圧で戻す時間を数え、逐次比較形は上位ビットから 1 ビットずつ基準と比べて決める。分解能はビット数で決まる。

試験ではここ

令和8年1月期の基礎 問20 は二重積分形の動作の穴埋めで、Vox=−(Vx/CR)×(No/fc)、戻る時間が Nx/fc、Vx=(Nx/No)Vs。R・C・fc が式から消えるのが特長。n ビットの分解能 1/2ⁿ、量子化雑音による S/N≒6n+1.8〔dB〕、逐次比較形は n 回の比較で終わる点も問われる。

入力電圧を数に直すには「基準と比べる」必要があります。二重積分形は、入力電圧で積分器を一定時間だけ充電し、次に逆極性の基準電圧で放電して 0 に戻るまでの時間を数えます。時間の比がそのまま電圧の比になります。逐次比較形は、天びんの分銅のように大きい基準から順に乗せたり外したりして値を絞り込みます。

二重積分形 A-D 変換回路の構成
二重積分形の構成。SW で Vx と逆極性の Vs を切り替え、積分器の出力を比較回路で 0〔V〕と比べ、カウンタでパルス数を数える
積分器の出力波形 Vo
積分器の出力。Vx で一定時間 No/fc 下がり、Vs で 0 に戻る時間 Nx/fc を数える。Vx が大きいほど Nx が多い
二重積分形の積分出力
V_{ox} = -\dfrac{V_x}{CR}\cdot\dfrac{N_0}{f_c}

積分器の出力は Vo=−(1/CR)∫v dt。一定の Vx を時間 T1=N0/fc だけ加えると、出力は傾き −Vx/CR の直線で下がる

二重積分形の変換式
V_x = \dfrac{N_x}{N_0}\,V_s

逆極性の基準電圧 Vs で 0 に戻るまでのパルス数が Nx。R、C、fc が消えるので素子の精度や温度変化に強い

典型問題の解き方(令和8年1月期 基礎 問20:二重積分形の穴埋め)

手順

  1. 第 1 積分 SW を a にして Vx を加える。N0 個のパルスの時間は T1=N0/fc。Vox=−(Vx/CR)(N0/fc)(A=N0/fc)
  2. 第 2 積分 SW を b にして逆極性の Vs を加える。0〔V〕に戻るまでのパルス数 Nx の時間は T2=Nx/fc(B=Nx/fc)
  3. 0 に戻る条件 −(Vx/CR)(N0/fc)+(Vs/CR)(Nx/fc)=0
  4. 整理 Vx·N0=Vs·Nx より Vx=(Nx/N0)Vs(C=Nx/N0)
  5. 確認 Vx が大きいほど戻るのに時間がかかり Nx が増える。N0/Nx では逆になるので誤り
逐次比較形は上位ビットから 1 ビットずつ決める
逐次比較形は上位ビットから 1 ビットずつ D-A 変換器の出力と比べる。n ビットなら n 回
分解能と量子化雑音
\Delta V = \dfrac{V_{FS}}{2^{n}},\qquad \dfrac{S}{N} \fallingdotseq 6.02\,n + 1.76\ \text{[dB]}

VFS はフルスケール電圧、n はビット数。1 ビット増えるごとに分解能は半分、S/N は約 6〔dB〕よくなる。10 ビット・10〔V〕なら ΔV≒9.8〔mV〕(令和8年の2期には出ていない)

方式の比較

  • 二重積分形 2 回の積分時間がかかり遅いが、R・C・クロックの精度に依らず高精度。積分時間を商用周波数の周期の整数倍にすると電源雑音を打ち消せる。デジタル電圧計向き
  • 逐次比較形 n ビットなら n 回の比較で終わり、中速・中精度。D-A 変換器と比較器、逐次比較レジスタで構成。汎用のマイコンや計測器
  • 並列比較形(フラッシュ形) 2ⁿ−1 個の比較器で 1 回で決まり最も速いが、ビット数が増えると回路が膨らむ。高速のデジタルオシロスコープなど
ひっかけ

パルス数はクロック周波数で「割る」と時間になります。N0·fc は時間の次元になりません。二重積分形の変換式に R・C が残っている肢は誤りです。「逐次比較形は 2ⁿ 回比べる」も誤りで n 回。分解能はビット数で決まり、変換の速さとは別の話です。

看板「二重積分形は時間の比が電圧の比
二重積分形は時間の比が電圧の比。R・C・クロックの誤差が消える

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学の基礎 問20

次の記述は、図に示す原理的な二重積分形 A-D 変換回路の動作について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、積分回路は、演算増幅器 (AOP)、抵抗 R〔Ω〕、静電容量 C〔F〕を用いて、理想的に動作するものとし、初期状態で出力...

正答: A=No/fc B=Nx/fc C=Nx/No

正しい。積分回路の出力は Vo = −(1/CR)∫Vin dt なので、一定の Vx を時間 T 加えると Vox = −(Vx/CR)T。パルス数 No に要する時間は T1 = No/fc(A)。次に逆極性の Vs を時間 T2 = Nx/fc(B)加えると Vo が 0 に戻るので、−(Vx/CR)(No/fc) + (Vs/CR)(Nx/fc) = 0。整理すると Vx·No = Vs·Nx、Vx = (Nx/No)×Vs(C)。R、C、fc が式から消えるので、素子値の精度に依らず変換できるのが二重積分形の特長である。

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問われた問題 1

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