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多重通信(FDM・TDM・PCM) たじゅうつうしん

三陸特 二陸特 一陸技

1 本の伝送路に多くの信号をまとめて送る技術。周波数で分ける FDM と時間で分ける TDM があり、デジタルの TDM の土台になるのが、音声を標本化・量子化・符号化してパルス列にする PCM(パルス符号変調)。

試験ではここ

PCM 伝送系のブロック図の穴埋めがほぼ毎回出る。送信側は「標本化回路→量子化回路→符号化回路」、受信側は「識別回路→復号化回路→低域フィルタ(LPF)」の順。「一定の時間間隔で入力のアナログ信号の振幅を取り出す」=標本化。誤り肢は高域フィルタ(HPF)・識別回路(受信側)・AFC 回路。

1 本の回線で 1 つの通話しか運べないのではもったいないので、多くの信号を束ねて送ります。これが多重通信です。束ね方は 2 つで、周波数を少しずつずらして並べるのが FDM、短い時間ごとに順番に送るのが TDM です。TDM で音声を送るには、まず音声を 0 と 1 のパルス列に変える必要があり、その変換が PCM です。

PCM 伝送系のブロック図。送信側は低域フィルタ、標本化回路、量子化回路、符号化回路、受信側は識別回路、復号化回路、低域フィルタ
送信側は標本化→量子化→符号化、受信側は識別→復号→LPF。穴埋めはこの順番で決まる

PCM の 3 つの工程(送信側)

  1. 標本化(サンプリング) 一定の時間間隔でアナログ信号の振幅を取り出す。音声なら 1 秒に 8,000 回
  2. 量子化 取り出した振幅を、あらかじめ決めた段階の値(たとえば 256 段階)に丸める
  3. 符号化 段階の番号を 2 進数の 0 と 1 のパルス列にする。256 段階なら 8 ビット
標本化定理(標本化周波数の条件)
f_s \geq 2 f_{\max}

f_s は標本化周波数、f_max は信号の最高周波数。電話の音声は 4〔kHz〕までなので f_s = 8〔kHz〕。2 倍以上にすれば受信側で元の波形に戻せる

PCM のビットレート
R = f_s \times n\ \text{〔bit/s〕}

n は 1 標本あたりのビット数。電話は 8,000 × 8 = 64〔kbit/s〕。段階を増やすほど音質は上がるがビット数も増える

アナログ波形を一定間隔で標本化し、段階値に量子化し、2 進符号にする様子の波形図
標本化は「いつ取るか」、量子化は「どの段階に丸めるか」、符号化は「0 と 1 で書くか」

FDM と TDM の違い

FDM(周波数分割多重)は各信号に別々の周波数の搬送波を与え、周波数軸に横並びにします。隣とぶつからないようガードバンドを空けます。TDM(時分割多重)は 1 つの周波数を時間で区切り、各信号の標本を順番に差し込みます。PCM にした音声なら 1 標本 8 ビットずつ交互に送れば、同じ回線で何通話分も運べます。

FDM は周波数軸に信号 A・B・C を並べ、TDM は時間軸に A・B・C を順番に並べる比較図
FDM は周波数で分ける、TDM は時間で分ける。多元接続の FDMA・TDMA も同じ発想

典型問題の解き方(令和2年10月期 問21)

PCM 伝送系のブロック図で、標本化回路と符号化回路の間の空欄を埋める

  1. 送信側か受信側かを見る 空欄は送信側(アナログ入力→変調器の途中)にある。識別回路は受信側なので候補から外す
  2. 順番を思い出す 標本化→量子化→符号化。標本化の後、符号化の前は量子化回路
  3. 残りの肢を消す 高域フィルタ(HPF)は PCM には使わない(使うのは帯域を制限する低域フィルタ)。AFC 回路は周波数の安定化で無関係
  4. 答え 量子化回路。空欄が先頭なら標本化回路、量子化の後なら符号化回路
ひっかけ

フィルタは「低域(LPF)」です。送信側では標本化の前に高い周波数を落とし、受信側では復号後に元の滑らかな波形に戻します。高域フィルタ(HPF)はどこにも入りません。識別回路は受信側で、雑音の混じったパルスを 0 か 1 か判定する回路なので、送信側の空欄には入りません。

先生が PCM の工程を標本化・量子化・符号化の順に説明する挿絵
標本化→量子化→符号化。受信側は識別→復号→LPF

この用語を押さえる問題

二陸特 ・ 日本無線協会 令和2年10月期 無線工学 問21

図は、パルス符号変調(PCM)方式を用いた伝送系の原理的な構成例である。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。

正答: 量子化回路

正しい記述です。PCM の送信側は標本化→量子化→符号化の順で、標本化した振幅値を離散的な段階の値に丸めるのが量子化回路です。

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二陸特 ・ 日本無線協会 令和3年6月期 無線工学 問21

図は、パルス符号変調(PCM)方式を用いた伝送系の原理的な構成例である。[ ]内に入れるべき名称を下の番号から選べ。

正答: 標本化回路

正しい記述です。PCM の送信側は、アナログ信号を一定の時間間隔で取り出す標本化、各標本値を離散的な値に丸める量子化、その値を 2 進符号に変える符号化の順に処理します。図の空欄は量子化回路の前なので標本化回路です。

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二陸特 ・ 日本無線協会 CBT例題 無線工学 No.1 問21

図は、パルス符号変調(PCM)方式を用いたデジタル無線通信装置の原理的な構成例である。[ ]内に入れるべき名称を下の番号から選べ。

正答: 符号化回路

PCM の送信側は「標本化→量子化→符号化」の順で、量子化した値を 2 進符号に変換する符号化回路が空欄に入ります。受信側の復号化回路と対になります。

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二陸特 ・ 日本無線協会 平成31年2月期 無線工学 問24

次の記述の[ ]内に入れるべき字句として正しいのはどれか。 PCM送信装置において、一定の時間間隔で入力のアナログ信号の振幅を取り出すことを[ ]という。

正答: 標本化

正答です。PCM では、アナログ信号を一定の時間間隔で区切ってその瞬間の振幅を取り出す標本化(サンプリング)を行い、続いて量子化、符号化の順でデジタル信号に変換します。標本化周波数は信号の最高周波数の 2 倍以上にする必要があります。

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問われた問題 23

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