無線通信ブートラボ
用語集 › 無線工学 › 送受信機

AGC とスケルチ えーじーしーとすけるち

二陸特 三陸特 3アマ 4アマ

AGC(自動利得制御)は受信入力の強弱に合わせて高周波・中間周波増幅器の利得を自動で変え、出力をほぼ一定に保つ回路。スケルチは受信電波が無いときにスピーカから出る大きな雑音を止める回路で、FM 受信機に付く。

試験ではここ

「受信入力が変動しても出力を一定に保つ」=AGC(AM・SSB)、「受信電波が無いときに出る大きな雑音を消す」=スケルチ(FM)。FM の図で振幅制限器から分岐して低周波増幅器を制御するのはスケルチ回路。操作は「送話が無いとき」に「雑音が消える限界点付近」へ。「いっぱいに回しておく」は誤り。

AGC は「音量の自動調整」です。遠い局は弱く近い局は強く入ってきますが、検波した信号の直流分で前段の利得を下げたり上げたりして、スピーカの音量がほぼ同じになるようにします。フェージングで強さが揺れても出力が安定します。スケルチは「無音のときのザーを止めるスイッチ」です。FM 受信機は電波が無いと振幅制限器や弁別器が雑音をそのまま増幅して大きなザーが出るので、信号が無いと判断したら低周波増幅器を止めます。

AGC(自動利得制御)
AGC。検波器から直流を戻して、入力が強いほど利得を下げる
スケルチ回路(FM 受信機)
スケルチ。振幅制限器の出力で信号の有無を見て、無信号なら低周波増幅器を止める

受信機の「○○回路」の見分け方

何を見て何を動かす目的主に使う方式
AGC 回路検波出力の直流分(信号の強さ)高周波・中間周波増幅器の利得入力が変動しても出力を一定にAM・SSB
スケルチ回路振幅制限器の出力(雑音の有無)低周波増幅器を止める無信号時の大きな雑音を消すFM
振幅制限器(リミタ)中間周波信号の振幅振幅を一定に切りそろえる振幅性の雑音・フェージングを除き S/N 改善FM
AFC 回路周波数のずれ局部発振周波数受信周波数のずれを自動補正FM など
クラリファイヤ(RIT)手で回す受信周波数だけを微調整SSB の明りょう度を良くするSSB

典型問題の解き方(2陸特 令和元年6月期 問20)

FM 受信機の図。中間周波増幅器→A→周波数弁別器→低周波増幅器→スピーカ。Aの出力がBにも分岐し、Bの出力が低周波増幅器に入る。A・Bは?

  1. Aは中間周波増幅器と周波数弁別器の間 FM で弁別器の直前に置くのは振幅制限器。周波数変換器は中間周波増幅器より前の段
  2. Bは低周波増幅器を制御 振幅制限器の出力で雑音の有無を見て低周波増幅器を止めるのはスケルチ回路。AGC は前段の利得を制御する回路で、低周波増幅器に働きかける位置には置かない
  3. 答え A=振幅制限器、B=スケルチ回路

スケルチつまみの操作(陸特の操作問題)

スケルチつまみの合わせ方
スケルチは雑音が消える限界点付近。回し切ると弱い信号まで消える

操作の正解と誤り

  • いつ調整するか 相手局からの送話が「無い」とき。雑音が出たらスケルチ調整つまみを回す
  • どこまで回すか 雑音が消える限界点付近。ここなら弱い信号も受信しつつ待受け中は無音
  • × いっぱいに回しておく 深くかけすぎると弱い信号まで雑音と一緒に遮断され、受信できなくなる
  • × 音量つまみで雑音を消す 音量を絞ると受信音も小さくなるだけ
  • 送信中のスピーカ 単信方式でプレストークボタンを押している間は受信部が止まるので、雑音も受信音も出ない
ひっかけ

AGC とスケルチを入れ替えた肢が定番。「出力を一定に保つ」は AGC、「雑音を消す」はスケルチ。スケルチは受信機側の機能で送信とは無関係なので、「スケルチを動作させたとき電波が発射される」は誤り(発射はプレストークボタンを押したとき)。「スケルチを動作させると近接周波数の混信が除ける」も誤りで、混信は中間周波増幅器の帯域フィルタの担当です。

上部の看板「AGC=出力を一定に、スケルチ=無信号の雑音を消す
AGC は音量を一定に、スケルチは待受けのザーを止める

この用語を押さえる問題

二陸特 ・ 日本無線協会 令和元年6月期 無線工学 問20

図は、FM(F3E)受信機の構成の一部を示したものである。空欄の部分の名称の組合せで正しいのはどれか。

正答: A=振幅制限器 B=スケルチ回路

FM 受信機では中間周波増幅器の後に振幅制限器(リミタ)を置いて雑音などによる振幅の変動を取り除き、周波数弁別器で復調します。スケルチ回路は受信信号が無いときの雑音を抑えるため低周波増幅器の動作を止める回路で、振幅制限器の出力(雑音の有無)を利用して低周波増幅器を制御します。

この問題を解く
3アマ ・ 日本無線協会 CBT例題 無線工学 No.1 問23

AM 受信機において、受信入力レベルが変動すると、出力レベルが不安定となる。この出力を一定に保つための働きをする回路は、次のうちどれか。

正答: AGC 回路

AGC(自動利得制御)は検波出力の直流分で高周波・中間周波増幅器の利得を自動的に変え、入力が強いときは利得を下げて出力をほぼ一定に保つ。

この問題を解く
三陸特 ・ 日本無線協会 令和元年10月期 無線工学 問20

次の記述の 内に入れるべき字句の組合せで、正しいのはどれか。 FM(F3E)受信機において、相手局からの送話が [A] とき、受信機から雑音が出たら [B] 調整つまみを回して、雑音が消える限界点付近の位置に調整する。

正答: A=無い B=スケルチ

FM 受信機は信号が無いと大きな雑音が出ます。送話が無い状態でスケルチつまみを回し、雑音が消える限界点付近に合わせておくと、弱い信号も受信しつつ無信号時の雑音を抑えられます。

この問題を解く
二陸特 ・ 日本無線協会 令和2年2月期 無線工学 問24

FM(F3E)送受信装置の送受信操作で、誤っているのは次のうちどれか。

正答: スケルチ調整つまみは、雑音を消すためのもので、いっぱいに回しておく。

誤った操作です。スケルチをいっぱいに回す(深くかける)と、弱い信号まで雑音とともに遮断され、受信できなくなります。スケルチは無信号時の雑音が消える程度の位置に調節するのが正しい操作です。これが正答です。

この問題を解く

問われた問題 40

!この用語の間違いを報告・追加要望
運営だけが読みます。「用語集に無い語」「その他」は内容を書いてください。