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周波数変調(FM)と周波数偏移 えふえむ

4アマ 3アマ 三陸特 二陸特 一陸技

信号波の大きさに応じて搬送波の周波数を変える方式(F3E)。振幅は一定で、周波数が中心からずれる量が周波数偏移。占有周波数帯幅はおよそ 2(Δf+fS) と AM より広いが、振幅性の雑音に強い方式です。

試験ではここ

「AM と比べた FM の特徴で誤っているもの」=「占有周波数帯幅が狭い」(正しくは広い)。正しい特徴は振幅性雑音に強い・受信機出力の S/N が良い・回路が多少複雑。IDC 回路の目的は周波数偏移の制御(制限)。直接 FM 送信機のブロック図は IDC→周波数変調器→緩衝→周波数混合→電力増幅器。受信機は振幅制限器→周波数弁別器。

FM は搬送波の振幅をそのままに、周波数を音声の大きさに合わせて上下させる方式です。声が大きいほど周波数が中心から大きくずれ、このずれが周波数偏移です。雑音は主に振幅に乗るので、振幅を切りそろえてしまえば雑音を落とせます。

信号波の波形と、その下に振幅一定で疎密が変わる FM 波の波形。周波数偏移が示されている
FM 波の波形。振幅は一定のまま、信号波が大きいところで周波数が高く(密に)、小さいところで低く(疎に)なる
占有周波数帯幅(カーソンの式)
B \approx 2\left(\Delta f + f_S\right)

Δf:最大周波数偏移、fS:信号波の最高周波数。例:Δf=5 kHz、fS=3 kHz なら B=2×(5+3)=16 kHz。AM の 2fS=6 kHz より広い

変調指数
m_f = \dfrac{\Delta f}{f_S}

周波数偏移を信号波の周波数で割った値。mf が大きいほど側波帯の本数が増え帯域が広がるが、S/N は良くなる

同じ信号波で変調した AM と FM のスペクトルを上下に並べ、帯幅の違いを示した図
AM と FM のスペクトル比較。FM は偏移の分だけ側波帯が多数できて帯幅が広い

AM と比べた FM の特徴

正誤問題の定番 4 つ

  • 占有周波数帯幅が広い 周波数偏移の分だけ側波帯が増えます。「狭い」は誤りの肢として毎期出ます
  • 振幅性の雑音に強い 情報は周波数にあるので、受信機の振幅制限器で振幅の変動(雑音)を取り除けます
  • 受信機出力の信号対雑音比が良い 一定以上の入力があれば、復調後の S/N は AM より良くなります
  • 装置の回路構成が多少複雑 周波数変調器・振幅制限器・周波数弁別器など AM にない回路が要ります

直接 FM 送信機と IDC 回路

直接 FM 送信装置のブロック図。マイク、音声増幅器、IDC 回路、周波数変調器、緩衝増幅器、周波数混合器、電力増幅器、アンテナ
直接 FM 送信機の構成。IDC 回路で音声を制限してから周波数変調器(VCO)で変調し、周波数混合器を経て電力増幅器へ

IDC(瞬時偏移制御)回路は、大きな音声信号が入っても周波数偏移が規定値を超えないように音声の振幅を制限します。偏移が過大になると占有周波数帯幅が広がり、隣のチャネルに妨害を与えるからです。「発振周波数を安定にする」「高調波を除去する」「寄生振動を防ぐ」は IDC の目的ではありません。

典型問題の解き方(FM の特徴の正誤)

平成31年2月期 2陸特 問20:AM と比べた FM の特徴で誤っているものは

  1. 肢を分類 「振幅性の雑音に強い」「回路が多少複雑」「S/N が良い」は FM の正しい特徴です
  2. 帯域を考える FM は Δf の分だけ側波帯が広がるので、帯幅は AM より広くなります
  3. 答え 「占有周波数帯幅が狭い」が誤り。3陸特では同じ内容を「広い・狭い・同じ・半分」から選ばせます

FM 受信機の振幅制限器と周波数弁別器

FM 受信機は中間周波増幅器の後に振幅制限器を置いて振幅の変動を切りそろえ、周波数弁別器で周波数の変化を音声に戻します。信号がないときの雑音を止めるのはスケルチ回路で、AM 受信機の AGC とは別物です。詳しくは検波とAGC とスケルチで扱います。

FM 受信機のブロック図。高周波増幅器、周波数混合器、中間周波増幅器、振幅制限器、周波数弁別器、低周波増幅器、スケルチ回路
FM 受信機の構成。中間周波増幅器の後に振幅制限器、周波数弁別器で復調、無信号時はスケルチが低周波増幅器を止める
ひっかけ

IDC は FM の偏移制限、ALC は SSB の出力制限、AGC は受信機の利得制御です。「周波数偏移」は変調で意図的に動かす量、法規の周波数の許容偏差は発振のずれの許容範囲で、別の言葉です。FM は搬送波を抑圧しません(抑圧するのは SSB)。

先生の挿絵。FM 送信機のブロック図パネルの前で IDC を指すタクシー無線の従事者
FM は振幅一定で周波数を変える。帯域は広いが雑音に強い

この用語を押さえる問題

二陸特 ・ 日本無線協会 平成31年2月期 無線工学 問20

AM(A3E)通信方式と比べたときの FM(F3E)通信方式の一般的な特徴で、誤っているのはどれか。

正答: 占有周波数帯幅が狭い。

正答(誤っている記述)です。FM は周波数偏移に応じて多数の側波帯が生じるため、占有周波数帯幅は AM より広くなります。帯域が広いことが FM の欠点の一つです。

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三陸特 ・ 日本無線協会 平成31年2月期 無線工学 問21

FM(F3E)送信機において、IDC 回路を設ける目的は何か。

正答: 周波数偏移を制御する。

正しい。IDC(瞬時偏移制御)回路は、大きな音声信号が入力されても周波数偏移が規定値を超えないように制御する回路です。占有周波数帯幅が広がりすぎて隣接チャネルに妨害を与えるのを防ぎます。

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三陸特 ・ 日本無線協会 令和2年2月期 無線工学 問19

振幅変調(A3E)波と比べたときの周波数変調(F3E)波の占有周波数帯幅の一般的な特徴は、次のうちどれか。

正答: 広い

正しい。FM波は信号に応じて搬送波の周波数を変化させるため、最大周波数偏移と信号周波数の和の2倍程度の帯域を占め、AM波(信号周波数の2倍)よりも占有周波数帯幅は広くなります。その代わり雑音に強いという特徴があります。

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二陸特 ・ 日本無線協会 令和2年2月期 無線工学 問21

図は、直接 FM(F3E)送信装置の構成例を示したものである。[ ]内に入れるべき名称の組合せで、正しいのは次のうちどれか。

正答: A=周波数変調器 B=電力増幅器

正しい。直接 FM 方式では IDC 回路で振幅を制限した音声信号で発振器の周波数を直接変化させるので、A は周波数変調器です。周波数混合器で送信周波数に変換した後、アンテナの直前で電力を上げるB は電力増幅器です。

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問われた問題 40

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