OFDM(直交周波数分割多重)の原理・同期・ガードインターバル おーえふでぃーえむ
互いに直交する多数のサブキャリアにデータを分けて並列に送る方式。送信は IFFT、受信は FFT で一括して変復調し、シンボルの前に後半のコピー(ガードインターバル)を付けてマルチパスの遅延波による干渉を避ける。
令和8年7月期の工学A 問15 は伝送速度で、サブキャリア 50・64QAM・有効シンボル 4〔μs〕・GI 比 1/4・符号化率 1/2 で 30〔Mbps〕。問6 は同期の穴埋め(FFT、GI と後半の相関が「ある」、周波数誤差は「位相」差)。1月期 問5 は送信 IDFT・受信 DFT の式、7月期 問1 は SFN の回り込みでリプル周期 1/td。
1 本の高速な信号を 1 つの搬送波で送ると、シンボルが短くなってマルチパスの遅延波が次のシンボルに重なります。OFDM は信号を数百〜数千のサブキャリアに分け、1 本 1 本はゆっくり送ります。サブキャリアの間隔を 1/(有効シンボル長)にそろえると互いに直交し、スペクトルが重なっていても分離できます。

Ts は有効シンボル期間長。各サブキャリアは Ts の間に整数回振動するので、Ts で積分すると他のサブキャリアとの積は 0 になる(直交)

dn は n 番目のサブキャリアの複素データシンボル。送信側は dn を逆離散フーリエ変換(IFFT)して時間波形にし、受信側は標本列を離散フーリエ変換(FFT)して dn に戻す。指数の符号は送信が +、受信が −

ガードインターバル(GI)は有効シンボルの後半をそのままコピーして先頭に付けた区間です。遅延波の遅れが GI 長より短ければ、FFT の窓の中には同じシンボルの波形しか入らず、シンボル間干渉が起きません。遅延波は各サブキャリアの振幅と位相を変えるだけなので、パイロット信号で 1 サブキャリアずつ補正(等化)できます。
Nc はデータを運ぶサブキャリア数、n は 1 サブキャリアのビット数、r は誤り訂正の符号化率、g はガードインターバル比。分母は GI を含めた全シンボル長
典型問題の解き方(令和8年7月期 工学A 問15:伝送速度)
手順

受信に必要な 3 つの同期
同一周波数で中継する SFN では、送信アンテナから受信アンテナへの回り込み波が合成波に重なり、周波数特性に 1/td(td は遅延時間差)の周期のリプルが生じます(令和8年7月期 問1)。遅延が GI より短ければ各サブキャリアは独立に振幅と位相が変わるだけなので、回り込みキャンセラで D/U を改善します。
送信が IFFT、受信が FFT。逆にした肢が必ずあります。GI は「後半のコピーを前に付ける」のであって無信号区間ではありません。伝送速度は有効シンボル長ではなく GI を含めた全シンボル長で割り、符号化率を掛けます。サブキャリアのスペクトルは重なっていてよく、重ならないように並べるのは FDM です。OFDM は多数の波の和なのでピーク対平均電力比(PAPR)が大きく、送信増幅器に線形性(バックオフ)が要ります。

この用語を押さえる問題
OFDM(直交周波数分割多重)において原理的に伝送可能な情報の伝送速度(ビットレート)の最大値として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、情報を伝送するサブキャリアの個数を 50 個、変調方式を 64QAM 及び有効シンボル期間長を 4〔μs〕とし、ガードインターバル比を...
正答: 30〔Mbps〕
正答。ガードインターバル比 1/4 より全シンボル期間長は 4×(1+1/4)=5 μs。1 シンボルで 50 サブキャリア × 6 bit(64QAM)=300 bit を送るので、総伝送速度は 300/(5×10⁻⁶)=60 Mbps。誤り訂正の符号化率が 1/2 なので情報の伝送速度は 60×1/2=30 Mbps。
この問題を解く次の記述は、OFDM(直交周波数分割多重)信号を正しく受信するために必要な同期の原理について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) OFDM 信号の受信に必要な同期処理としては、送信側のシンボルの区切りと同じタイミングを検出する...
正答: A=FFT B=ある(同じ波形) C=位相
正答。受信側では FFT(高速フーリエ変換)で各サブキャリアを分離するので、そのサンプリング周波数の同期が必要である(送信側は IFFT)。ガードインターバルは有効シンボルの後半部分のコピーなので、1 有効シンボル長だけ遅延させた信号と相関がある(同じ波形)。周波数誤差は時間とともに位相の回転として現れるので、相関出力の位相差から周波数誤差を検出する。
この問題を解く次の記述は、図に示す直交周波数分割多重(OFDM)方式の復調プロセスの基本的な原理を述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、各演算器の出力式の係数は無視するものとし、e は自然対数の底とする。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句...
正答: A=(an+jbn){cos(2πnfst)+j sin(2πnfst)} B=j(2πnk)/N C=逆離散フーリエ変換 D=離散フーリエ変換 E=−j(2πnk)/N
正答。SBI+jSBQ=Σ{(an cos−bn sin)+j(an sin+bn cos)}=Σ(an+jbn){cos(2πnfst)+j sin(2πnfst)}=Σ dn e^(j2πnfst)。t=k/(Nfs) を代入すると u(k/(Nfs))=Σ dn e^(j2πnk/N) で、これは dn の逆離散フーリエ変換(IDFT)の形である。したがって受信側では標本列を離散フーリエ変換(DFT)すれば dn=(1/N)Σ u(k/(Nfs)) e^(−j2πnk/N) としてシンボルが復調できる。
この問題を解く次の記述は、地上系デジタル放送波中継において SFN(Single Frequency Network)を構成した場合の回り込みの影響について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、回り込み波を 1 波、回り込みの影響はサブキャリ...
正答: A=1/{1−r e^(j(θ−2πf td))} B=1/√(1−2r cos(θ−2πf td)+r²) C=1/td
正答。So=Si+F So を So について解くと So=Si/(1−F)=e^(j2πft)/{1−r e^(j(θ−2πf td))} となるのでAは 1/{1−r e^(j(θ−2πf td))}。その絶対値をとると |1−r e^(jφ)|=√(1−2r cosφ+r²) なので A(f)=1/√(1−2r cos(θ−2πf td)+r²)。cos の引数が 2π 変化するのは f が 1/td 変化するときなので、振幅リプルの周期は 1/td である。
この問題を解く問われた問題 7
- 一陸技 令和8年7月期 問15 OFDM(直交周波数分割多重)において原理的に伝送可能な情報の伝送速度(ビットレート)の最大値として、正し...
- 一陸技 令和8年7月期 問6 次の記述は、OFDM(直交周波数分割多重)信号を正しく受信するために必要な同期の原理について述べたものであ...
- 一陸技 令和8年7月期 問1 次の記述は、地上系デジタル放送波中継において SFN(Single Frequency Network)を...
- 一陸技 令和8年1月期 問5 次の記述は、図に示す直交周波数分割多重(OFDM)方式の復調プロセスの基本的な原理を述べたものである。[ ...
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