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同期検波と搬送波再生(逆変調形・コスタス) どうきけんぱ

一陸技

受信した PSK・QAM 信号に、送信側と同じ周波数・位相の基準搬送波を掛けて低域フィルタを通し、I・Q の信号を取り出す復調法。基準搬送波は受信信号から再生する必要があり、逆変調形・逓倍形・コスタスループがある。

試験ではここ

令和8年1月期の工学A 問7 は逆変調形搬送波再生を使った QPSK 同期検波の穴埋めで、加算器出力は φ によらず cos(ωct)、φ=π/4 のとき I 軸 cos(π/4)、Q 軸 cos(−π/4)。「同期検波は遅延検波より誤り率が低いが搬送波再生が要る」「再生搬送波に位相不確定性があるので差動符号化で対処」の正誤も定番。

位相で情報を送る PSK は、「何に対して」位相がずれているかの基準がないと読めません。同期検波は受信側で基準の搬送波を作り、受信信号に掛け算します。掛け算の結果には 2 倍の周波数の成分と、位相差の cos に比例する直流に近い成分が出るので、低域フィルタで後者だけを取り出します。

同期検波の原理(QPSK)
同期検波。I 軸は cos ωct、Q 軸は π/2 移相した搬送波を掛けて LPF。φ=π/4 なら両軸とも正
同期検波の出力
\cos(\omega_c t + \varphi)\cdot\cos\omega_c t \xrightarrow{\ \mathrm{LPF}\ } \tfrac{1}{2}\cos\varphi,\qquad \cos(\omega_c t + \varphi)\cdot\cos\!\left(\omega_c t + \tfrac{\pi}{2}\right) \xrightarrow{\ \mathrm{LPF}\ } \tfrac{1}{2}\cos\!\left(\varphi - \tfrac{\pi}{2}\right)

積和の公式で 2ωc の項と cos φ の項に分かれ、LPF が 2ωc を落とす。I 軸は cos φ、Q 軸は π/2 ずらした搬送波で cos(φ−π/2)=sin φ

典型問題の解き方(令和8年1月期 工学A 問7:逆変調形の QPSK 同期検波)

手順

  1. 逆変調の働き I・Q 各軸の判定結果が "1" なら受信信号の位相を −π 戻す。どのデータでも位相が同じ向きにそろう
  2. 加算器の出力 2 系統を足すと φ の成分が打ち消され、φ によらず cos(ωct)(A)。無変調の搬送波に縮退する
  3. PLL で整える 雑音を取り除いた cos(ωct) を基準搬送波とし、Q 軸用に +π/2 移相する
  4. I 軸の出力 cos(ωct+π/4)×cos(ωct) → LPF → cos(π/4)(B)
  5. Q 軸の出力 cos(ωct+π/4)×cos(ωct+π/2) → LPF → cos(π/4−π/2)=cos(−π/4)(C)。"0,0" は両軸とも正
逆変調形搬送波再生回路
逆変調形搬送波再生。判定したデータで受信信号に逆の変調をかけて足すと φ が消え、PLL で雑音を除いた cos ωct が基準搬送波になる
逓倍形とコスタスループ
逓倍形は 4 乗して変調を消し 1/4 分周、コスタスループは I×Q を誤差信号に VCO を制御。どちらも位相不確定性が残る

搬送波再生の 3 方式

  • 逆変調形 判定したデータで受信信号に逆の変調をかけ、変調成分を消して搬送波だけにする。判定を使うので判定帰還形ともいう
  • 逓倍形(N 乗形) QPSK なら 4 乗すると位相 4φ=2πk で変調が消え、4fc の線スペクトルが出る。PLL で抜き出して 1/4 分周。分周で位相が 2π/4 の整数倍だけ不確定になる
  • コスタスループ I 軸と Q 軸の検波出力の積を位相誤差信号にして VCO を制御する。逓倍しないので低い周波数で処理できるが、やはり位相不確定性が残る

再生した搬送波の位相が π/2 の整数倍だけずれる位相不確定性は、受信データの番号が入れ替わる形で現れます。対策は、絶対位相ではなく前のシンボルからの位相差でデータを送る差動符号化や、既知のパターン(プリアンブル・パイロット)で位相を確かめる方法です。

同期検波と遅延検波

  • 同期検波 基準搬送波を再生して掛ける。雑音に強く誤り率が低い。回路が複雑で、再生に時間がかかる
  • 遅延検波 1 シンボル前の受信信号を基準に掛ける。搬送波再生が不要で簡単・速いが、基準にも雑音が乗るので誤り率が劣る(差動符号化が前提)
ひっかけ

加算器の出力は φ によらない cos(ωct) であって cos(ωct+π/2) ではありません。φ=π/4 の "0,0" は I・Q とも正の cos(π/4)・cos(−π/4) で、cos(3π/4) や cos(5π/4) は負なので別の象限です。Q 軸の搬送波は +π/2 移相したもので、−π/2 移相器は逆変調側にある別物です。「遅延検波の方が誤り率が低い」は誤り。

看板「同期検波は基準搬送波を掛けて LPF
同期検波は基準搬送波を掛けて LPF。再生には位相不確定性があり差動符号化で対処

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学A 問7

次の記述は、図1に示す逆変調形搬送波再生回路を用いた QPSK 同期検波回路の原理的構成の一例について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、各演算器の出力式の係数及び回路内の遅延は無視するものとし、PLL は入出力の位相差が 0...

正答: A=cos(ωct) B=cos(π/4) C=cos(−π/4)

正答。逆変調器が各軸の判定結果に応じて受信信号の位相を打ち消すので、加算器出力は φ によらず cos(ωct)(無変調搬送波)に縮退する。同期検波では、受信信号 cos(ωct+φ) に I 軸は cos(ωct) を乗じて LPF を通すと cos φ、Q 軸は +π/2 移相した cos(ωct+π/2) を乗じると cos(φ−π/2) が得られる。φ=π/4 なら I 軸 cos(π/4)、Q 軸 cos(−π/4) となる。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学A 問16

図に示す信号点配置の 16QAM 信号のシンボル誤り率 SER16QAM が、搬送周波数帯における信号対雑音電力比 CNR 及び誤差補関数 erfc を用いた式として、SER16QAM=(3/2) erfc(√(CNR/10)) で表せるとき、1 ビット当たりの信号電力と ...

正答: (3/8) erfc(√(2Eb/(5N0)))

正答。16QAM は 1 シンボルで 4 bit を伝送するので、シンボルあたりの信号電力対雑音電力比は CNR=Es/N0=4Eb/N0。グレイコード配置では隣接信号点間の誤りが 1 bit 誤りになるので、BER≒SER/4=(3/8) erfc(√(CNR/10))。CNR=4Eb/N0 を代入すると根号内は 4Eb/(10N0)=2Eb/(5N0) となる。

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問われた問題 2

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