帰還回路(負帰還・正帰還と発振条件) きかんかいろ
出力の一部を入力に戻すのが帰還。入力を打ち消す向きが負帰還で、利得は A/(1+Aβ) に下がる代わりに安定し、ひずみが減り帯域が広がる。強め合う向きが正帰還で、Aβ = 1 を満たす周波数で発振する。
令和8年1月期 問14 はウィーンブリッジ形 CR 発振回路で fo = 1/(2πCR)、帰還率 β = 1/3。同期 問13 のソースホロワ(ドレイン接地)は RS による負帰還で分母が 1 + gmRS。7月期 問12 のカスコードは「帰還が少なく高周波で安定」が答えの根拠。
増幅器の出力を少し取り出し、入力に戻すことを帰還といいます。戻した信号が入力を打ち消す向きなら負帰還、強める向きなら正帰還です。負帰還は利得を犠牲にして性能を整える道具、正帰還は発振器を作る道具です。
A は帰還をかける前の利得、β は帰還率(出力のうち入力へ戻す割合)。Aβ をループ利得という。Aβ が大きいと利得はほぼ 1/β だけで決まり、素子のばらつきに左右されない
ループを一周して位相が 0(2π の整数倍)で戻り、大きさが 1 なら振動が持続する。起動時は |Aβ| > 1 で育ち、振幅制限で 1 に落ち着く

負帰還で何が変わるか(1 + Aβ 倍がキーワード)
典型問題の解き方(ウィーンブリッジ形 CR 発振・令和8年1月期 問14)
手順

ソースホロワを帰還で読む(令和8年1月期 問13)
ソースホロワの分母は 1 + gmRS で、1 − gmRS ではありません(負帰還は「足し算で割る」)。ウィーンブリッジの fo は 1/(2πCR) で、1/(√2πCR) や 1/(2π√(CR)) は誤りです。平方根が付くのは LC 共振です。発振時の β は 1/3 で、1/2 ではありません。

カスコード増幅回路は、ゲート接地段を負荷にして初段の電圧利得を下げ、ミラー効果による入出力間の帰還(ゲート・ドレイン間容量)を小さくします。「帰還が少ない → 高周波で安定」とつなげて覚えます。
この用語を押さえる問題
図に示す理想的な演算増幅器 (AOP) を用いたブリッジ形 CR 発振回路の発振周波数 fo を表す式及び発振状態のときの電圧帰還率 β (V̇f/V̇o) の値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。 R、R1、R2:抵抗〔Ω〕、C:静電容量〔F〕、V̇o:出力電圧...
正答: fo = 1/(2πCR)〔Hz〕 β = 1/3
正しい。直列枝 Z1 = R + 1/(jωC)、並列枝 Z2 = R/(1+jωCR) とすると、帰還率 β = Z2/(Z1+Z2) = 1/(3 + j(ωCR − 1/(ωCR)))。虚部が 0、すなわち ωCR = 1 のとき位相が 0 で発振し、fo = 1/(2πCR)。そのとき β = 1/3 なので、増幅器側は 1 + R1/R2 = 3 の増幅度が必要である。
この問題を解く次の記述は、図 1 に示す電界効果トランジスタ (FET) を用いたドレイン接地増幅回路の出力インピーダンス (端子 cd から見たインピーダンス) Zo〔Ω〕を求める過程について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、FET の...
正答: A=gmVi B=gmRS/(1+gmRS) C=RS/(1+gmRS)
正しい。cd を短絡するとソースが接地されるので VGS = Vi となり、電流源の電流がそのまま流れて Iso = gmVi。cd を開放すると Vo = gmVGS·RS、かつ VGS = Vi − Vo なので Vo = gmRS(Vi − Vo)、整理して Voo = gmRS/(1+gmRS)×Vi。Zo = Voo/Iso = [gmRS/(1+gmRS)]Vi/(gmVi) = RS/(1+gmRS)。
この問題を解く次の記述は、図に示す電界効果トランジスタ(FET)を用いたカスコード増幅回路の原理的構成について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。 (1) FET のソース接地増幅器の負荷として、入力インピーダンスの低い[A]接地増幅回路が接続され...
正答: A=ゲート B=疎 C=高い D=高周波
正しい。カスコード増幅回路はソース接地段の負荷にゲート接地段を縦積みしたもの。ゲート接地段の入力インピーダンスが低いので初段の電圧利得は小さく、ミラー効果によるゲート-ドレイン間容量の見かけの増大が抑えられ、入出力間の漂遊容量による結合は疎になる。全体として入力は初段のソース接地なので入力インピーダンスは高く、利得は2段目で稼ぐ。帰還が少なく安定なので高周波増幅に多用される。
この問題を解く問われた問題 4
- 一陸技 令和8年7月期 問14 図 1 に示す回路と図 2 に示す回路の伝達関数 (V̇o/V̇i) が等しくなる条件を表す式として、正し...
- 一陸技 令和8年7月期 問12 次の記述は、図に示す電界効果トランジスタ(FET)を用いたカスコード増幅回路の原理的構成について述べたもの...
- 一陸技 令和8年1月期 問14 図に示す理想的な演算増幅器 (AOP) を用いたブリッジ形 CR 発振回路の発振周波数 fo を表す式及び...
- 一陸技 令和8年1月期 問13 次の記述は、図 1 に示す電界効果トランジスタ (FET) を用いたドレイン接地増幅回路の出力インピーダン...