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デジタルフィルタ(移動平均・FIR・IIR) でじたるふぃるた

一陸技

標本化した数列に遅延・定数倍・加算の演算をして出力を作るフィルタ。インパルス応答が有限長の FIR と、出力を帰還させる IIR がある。移動平均は FIR の代表で、直流を通し高い周波数を落とすローパス特性をもつ。

試験ではここ

令和8年1月期 工学A 問14。3 点移動平均の差分方程式を z 変換し、H(z)=(1+z⁻¹+z⁻²)/3 に z=e^(jω) を入れて、振幅 |(1+2cos ω)/3|、位相 −ω(直線位相)、特性はローパス、の穴埋め。符号(+2cos ω、−ω)が肢の分かれ目。

アナログのフィルタはコイルとコンデンサで周波数を選びます。デジタルフィルタは、標本化した数列を「1 標本遅らせる」「定数を掛ける」「足す」の 3 つの演算だけで同じ働きをします。3 点移動平均なら、いまの値と 1 つ前、2 つ前の値を足して 3 で割るだけです。急な変化がならされるので、高い周波数ほど通りにくいローパスになります。

3 点移動平均フィルタ(FIR)の構成
3 点移動平均フィルタの構成。遅延素子 D を 2 段通した 3 つの値に h(0)〜h(2)=1/3 を掛けて加算する
3 点移動平均の差分方程式
y(n) = \sum_{k=0}^{2} h(k)\,x(n-k) = \dfrac{1}{3}\{x(n)+x(n-1)+x(n-2)\}

x(n) は入力、y(n) は出力、h(k) はインパルス応答(タップ係数)。畳み込み和と呼ぶ。h(k)=1/3 が 3 個なので 3 タップの FIR

z 変換と伝達関数
H(z) = \dfrac{Y(z)}{X(z)} = \dfrac{1}{3}\left(1 + z^{-1} + z^{-2}\right)

1 標本の遅延は z⁻¹ を掛けることに対応する。z=e^(jω) を代入すると周波数特性になる(ω は正規化角周波数、標本化周波数が 2π に当たる)

周波数特性(振幅と位相)
H(e^{j\omega}) = \dfrac{1}{3}e^{-j\omega}\left(1 + 2\cos\omega\right)\quad\Rightarrow\quad |H| = \left|\dfrac{1+2\cos\omega}{3}\right|,\ \theta(\omega) = -\omega

真ん中の項 e^(−jω) をくくり出すと、残りは e^(jω)+1+e^(−jω)=1+2cos ω の実数になる。位相が −ω の直線なので群遅延は 1 標本で一定(直線位相)

3 点移動平均の振幅特性と位相特性
3 点移動平均の振幅特性。ω=0 で 1、ω=2π/3 で零、π で 1/3。直流を通し高域を落とすローパス

FIR と IIR の違い

  1. FIR(有限インパルス応答) 過去の入力だけで出力を作る。帰還がないので必ず安定。係数を左右対称にすると直線位相(波形がひずまない)。同じ急峻さを得るには次数(タップ数)が多く要る
  2. IIR(無限インパルス応答) 過去の出力も帰還して使う。少ない次数で急峻な特性が作れるが、極が単位円の外に出ると不安定になり、位相は直線にならない
  3. 移動平均 FIR の中でもっとも簡単なローパス。N 点なら ω=2πk/N(k=1, 2, …)で振幅が零になる。N を増やすほど通過帯域は狭くなる

典型問題の解き方(3 点移動平均の振幅特性と位相特性)

手順

  1. 差分方程式を書く y(n)=(1/3){x(n)+x(n−1)+x(n−2)}
  2. z 変換する 遅延は z⁻¹。Y(z)=(1/3)(1+z⁻¹+z⁻²)X(z) なので H(z)=(1/3)(1+z⁻¹+z⁻²)
  3. z=e^(jω) を代入 H=(1/3)(1+e^(−jω)+e^(−j2ω))
  4. 真ん中の位相をくくり出す H=(1/3)e^(−jω)(e^(jω)+1+e^(−jω))=(1/3)e^(−jω)(1+2cos ω)
  5. 振幅と位相に分ける |H|=|(1+2cos ω)/3|、θ(ω)=−ω。ω=0 で |H|=1(直流は素通し)、ω を上げると下がるのでローパス
ひっかけ

位相は −ω(遅れ) です。因果的な FIR は遅延しかないので +ω にはなりません。振幅は 1+2cos ω であって 1−2cos ω ではありません。1−2cos ω だと ω=0 で 1/3 になり、直流を素通しする移動平均の性質に反します。「移動平均はハイパス」も誤りです。

上部の看板「移動平均=FIR のローパス
移動平均=足して割るだけのローパス。位相は −ω の直線、振幅は (1+2cos ω)/3

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学A 問14

次の記述は、デジタル信号処理等で用いられる移動平均フィルタの特性等について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、n は整数、ω を正規化角周波数、2 cos(ω)=e^(jω)+e^(−jω) とする。 (1) 移動平均フィルタ...

正答: A=ローパス B=|(1+2 cos(ω))/3| C=−ω

正答。H(e^(jω))=(1/3)(1+e^(−jω)+e^(−j2ω))=(1/3)e^(−jω)(e^(jω)+1+e^(−jω))=(1/3)e^(−jω)(1+2 cos ω)。よって振幅特性は |(1+2 cos ω)/3|、位相特性は θ(ω)=−ω(直線位相、1 サンプル遅延)。ω=0 で振幅 1、ω が大きくなると減少するので移動平均はローパス特性である。

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問われた問題 2

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