大地反射を含む電界強度(直接波+反射波・ハイトパターン) だいちはんしゃでんかい
VHF 以上の見通し内伝搬で、直接波と大地反射波が干渉してできる受信電界強度。反射係数 −1 の平面大地なら E=2E₀|sin(2πh₁h₂/λd)|。受信アンテナを上下に動かすと電界強度が周期的に強弱を繰り返し、これをハイトパターンという。
穴埋めで「通路差 Δl ≒ 2h₁h₂/d」「極大の間隔 Δh=λd/(2h₁)」「周期は周波数が低いほど長く」。計算では自由空間電界 E₀=7√(GP)/d に通路利得係数 A=2 sin(2πh₁h₂/λd) を掛ける。角度が 0.5〔rad〕未満なら sin θ ≒ θ で A ≒ 4πh₁h₂/(λd)。令和8年1月期はナイフエッジ回折(回折係数 0.2)と組み合わせて 1,132〔µV/m〕を求める形で出た。
見通し内の伝搬でも、受信点には送信アンテナから直接来る波と、いったん地面で跳ね返ってから来る波の 2 つが届きます。反射波は少し遠回りするぶん位相が遅れ、しかも大地で反射するときに位相が反転します(反射係数 −1)。2 つの波の足し算なので、遠回りの長さ(通路差)によって強め合ったり打ち消し合ったりします。受信アンテナの高さを変えると通路差が変わるので、電界強度が周期的に上下します。これがハイトパターンです。

d ≫ h₁ + h₂ のときの近似。h₁・h₂ は送受信アンテナの高さ〔m〕、d は距離〔m〕。4h₁h₂/d は通路差ではなく位相差の分子なので混同しない
E₀ は自由空間の電界強度(7√(GP)/d)。|…| の部分 A = 2 sin(…) を通路利得係数という。角度が小さい(アンテナが低い・距離が遠い)と sin θ ≒ θ で右の近似になり、電界は距離の 2 乗に反比例する

極大は 2πh₁h₂/(λd) = π/2, 3π/2, … のとき。隣り合う極大の h₂ の差を取ると π が消えて λd/(2h₁)。分母に π の付いた λd/(2πh₁) は誤り肢。送信高 h₁ を上げると周期は短くなる
典型問題の解き方(100〔MHz〕・相対利得 10〔dB〕・1〔kW〕・h₁=100〔m〕・h₂=10〔m〕・d=90〔km〕、60〔km〕地点に高さ 300〔m〕のナイフエッジ、回折係数 0.2)
手順
- 自由空間の電界強度 λ = 3〔m〕、G = 10(真数)。E₀ = 7√(GP)/d = 7√(10×1000)/(90×10³) = 700/90000 ≒ 7.78×10⁻³〔V/m〕
- 送信点〜ナイフエッジ間の通路利得係数 A₁ 角度 2πh₁h₀/(λd₁) = 2π×100×300/(3×60000) = π/3 ≒ 1.05〔rad〕。0.5 より大きいので sin はそのまま計算。A₁ = 2 sin(π/3) ≒ 1.73
- ナイフエッジ〜受信点間の A₂ 角度 2πh₂h₀/(λd₂) = 2π×10×300/(3×30000) = 2π/30 ≒ 0.209〔rad〕。0.5 より小さいので sin θ ≒ θ。A₂ = 2×0.209 ≒ 0.419
- 全部掛ける E = E₀ × A₁ × A₂ × 回折係数 = 7.78×10⁻³ × 1.73 × 0.419 × 0.2 ≒ 1.13×10⁻³〔V/m〕= 1,132〔µV/m〕
- ハイトパターンの穴埋めはここから 同じ式で h₂ を動かすと極大の間隔は λd/(2h₁)。令和8年1月期はこの穴埋め(Δl ≒ 2h₁h₂/d、周期は周波数が低いほど長く)が別に出た

通路差は 2h₁h₂/d、位相差は 4πh₁h₂/(λd)。「4h₁h₂/d」は両方を混ぜた誤り肢です。近似 sin θ ≒ θ は θ < 0.5〔rad〕のときだけで、π/3 のような大きな角度では sin をそのまま計算します。係数 7 は半波長ダイポールに対する相対利得で使う値で、絶対利得なら √30 ≒ 5.5 です。電界強度は dB では 20 log で、µV/m と mV/m の換算(1,132 µV/m = 1.13 mV/m)を間違えないようにします。

この用語を押さえる問題
次の記述は、ハイトパターンの測定について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、波長を λ〔m〕とし、大地は完全導体平面でその反射係数を −1 とする。 (1) 超短波(VHF)の電波伝搬において、送信アンテナの地上高、送信周波数...
正答: A=長く B=2h₁h₂/d C=λd/(2h₁)
正しい組合せです。d ≫ h₁ + h₂ のとき、直接波と大地反射波の通路差は Δl ≒ 2h₁h₂/d です。反射係数 −1 なので合成電界は E = 2E₀|sin(πΔl/λ)| = 2E₀|sin(2πh₁h₂/(λd))| となり、極大は 2πh₁h₂/(λd) = π/2, 3π/2, … のときです。隣り合う極大の受信高の差は Δh = λd/(2h₁) で、波長 λ に比例するので、周波数が低いほどハイトパターンの周期は長くなります。
この問題を解く図に示すように、周波数 100〔MHz〕、送信アンテナの半波長ダイポールアンテナに対する相対利得 10〔dB〕、水平偏波で放射電力 1〔kW〕、送信アンテナの高さ 100〔m〕、受信アンテナの高さ 10〔m〕、送受信点間の距離 90〔km〕で、送信点から 60〔km〕離れた...
正答: 1,132〔µV/m〕
正しい値です。波長は λ = 3 m、相対利得 10 dB は真数 G = 10 なので、自由空間電界強度は E₀ = 7√(GP)/d = 7√(10×1000)/(90×10³) = 700/90000 ≒ 7.78×10⁻³ V/m です。AC 間は A₁ = 2 sin(2π×100×300/(3×60000)) = 2 sin(π/3) ≒ 1.732(θ > 0.5 なので sin をそのまま計算)、CB 間は A₂ = 2 sin(2π×10×300/(3×30000)) = 2 sin(2π/30) ≒ 2×0.209 ≒ 0.419(θ < 0.5 なので sin θ ≒ θ)です。受信電界強度は E = E₀ × A₁ × A₂ × 回折係数 = 7.78×10⁻³ × 1.732 × 0.419 × 0.2 ≒ 1.13×10⁻³ V/m ≒ 1,132 µV/m となります。
この問題を解く問われた問題 4
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