電力・電圧・電流の測定(計器の内部抵抗と誤差) でんりょくそくてい
電圧計は測りたい箇所に並列、電流計は直列に入れて測る。計器には内部抵抗があるので、電圧計は電流を横取りし、電流計は電圧を落とす。つなぎ方で誤差の出方が変わり、倍率器・分流器で測定範囲を広げる。
令和8年1月期の基礎 問18 は「電流計と電圧計の指示の積 IV で R=500〔Ω〕の電力を求めるとき、誤差率 5〔%〕以下にする電圧計の内部抵抗の最小値」で答は 10〔kΩ〕(誤差率=R/RV)。倍率器 (n−1)r、分流器 r/(n−1)、内部抵抗の異なる電圧計を直列にしたときの分担も定番。
理想の電圧計は内部抵抗が無限大で電流を流さず、理想の電流計は内部抵抗が 0 で電圧を落としません。実物はどちらも有限なので、電圧計には少し電流が流れ、電流計には少し電圧がかかります。測りたい抵抗に対して計器をどちら側につなぐかで、どの計器の内部抵抗が誤差になるかが決まります。

電流計は負荷の電流 V/R に電圧計の電流 V/RV を足した値を指示する。R が小さいほど誤差が小さいので、負荷が低抵抗のときのつなぎ方
電圧計は負荷の電圧に電流計の電圧降下 I·RA を足した値を指示する。R が大きいほど誤差が小さいので、負荷が高抵抗のときのつなぎ方
典型問題の解き方(令和8年1月期 基礎 問18:誤差率 5〔%〕以下にする RV の最小値)
手順

n は測定範囲を何倍に広げるか。倍率器 Rm は電圧計(内部抵抗 rv)に直列、分流器 Rs は電流計(内部抵抗 ra)に並列
内部抵抗の異なる電圧計を直列にすると、電圧は内部抵抗に比例して分担されます。測れる最大電圧は、先に満目盛になる計器で決まります。例えば最大目盛 100〔V〕・内部抵抗 20〔kΩ〕の V1 と、300〔V〕・30〔kΩ〕の V2 を直列にすると、流せる電流は V1 の 5〔mA〕が上限で、全体では 5〔mA〕×50〔kΩ〕=250〔V〕までです(この形は令和8年の2期には出ていない)。

誤差率は R/RV であって RV/R ではありません。「RV が大きいほど誤差が小さい」と覚えれば向きを間違えません。電圧計を負荷に並列にするのは負荷の抵抗が小さいとき、電流計を負荷に直列(内側)にするのは負荷の抵抗が大きいときです。倍率器は直列・分流器は並列で、どちらも (n−1) が入ります。n で割った値の肢に注意。

この用語を押さえる問題
図に示す回路の抵抗 R = 500〔Ω〕で消費される電力 P を直流電流計 A の指示値 I〔A〕と直流電圧計 V の指示値 V〔V〕の積 IV〔W〕として求めたい。このときの誤差率を 5〔%〕以下にするとき、直流電圧計 V の内部抵抗 RV〔Ω〕の最小の値として、正しいも...
正答: 10〔kΩ〕
正しい。電圧計は R と並列なので V は R の電圧を正しく示すが、電流計は R の電流 V/R に電圧計の電流 V/RV を加えた値を示す。測定電力は IV = V²/R + V²/RV、真の電力は V²/R なので、誤差率は (V²/RV)/(V²/R) = R/RV。これを 0.05 以下にするには RV ≧ R/0.05 = 500/0.05 = 10,000〔Ω〕= 10〔kΩ〕。最小値は 10〔kΩ〕。
この問題を解く図に示すように、交流電源 V̇ = 100〔V〕に誘導性負荷 Ż₁、Ż₂ 及び抵抗負荷 R を接続したとき、回路全体の皮相電力及び力率の値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。ただし、Ż₁、Ż₂、R の有効電力及び力率は表の値とする。 負荷 有効電力 力率 Ż₁ 4...
正答: 皮相電力=700√5〔VA〕 力率=2/√5
正しい。Ż₁: 皮相電力 400/0.8 = 500〔VA〕、無効電力 √(500²−400²) = 300〔var〕。Ż₂: 300/0.6 = 500〔VA〕、無効電力 √(500²−300²) = 400〔var〕。R: 無効電力 0。全体の有効電力 P = 400+300+700 = 1400〔W〕、無効電力 Q = 300+400 = 700〔var〕(ともに誘導性なので同符号で加算)。皮相電力 S = √(1400²+700²) = 700√(4+1) = 700√5〔VA〕、力率 = P/S = 1400/(700√5) = 2/√5。
この問題を解く図に示すように、交流電圧 V̇ = 100〔V〕に誘導性負荷 Ż1〔Ω〕及び容量性負荷 Ż2〔Ω〕を接続したとき、回路全体の皮相電力及び力率の値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。ただし、Ż1 及び Ż2 の有効電力及び力率は表の値とする。 表:Ż1 は誘導性、有...
正答: 皮相電力=500√5〔VA〕 力率=2/√5
正しい。Ż1 は P1 = 400〔W〕、力率 0.8 なので皮相電力 500〔VA〕、無効電力 Q1 = √(500² − 400²) = 300〔var〕(遅れ)。Ż2 は P2 = 600〔W〕、力率 0.6 なので皮相電力 1,000〔VA〕、Q2 = 800〔var〕(進み)。合計の有効電力は 1,000〔W〕、無効電力は 800 − 300 = 500〔var〕(進み)。皮相電力 S = √(1000² + 500²) = 500√5〔VA〕、力率 = 1000/(500√5) = 2/√5。
この問題を解く問われた問題 9
- 一陸技 令和8年7月期 問18 図に示すように、直流電圧計 V₁、V₂ 及び V₃ を直列に接続したとき、それぞれの電圧計の指示値 V₁、...
- 一陸技 令和8年7月期 問7 図に示すように、交流電源 V̇ = 100〔V〕に誘導性負荷 Ż₁、Ż₂ 及び抵抗負荷 R を接続したとき...
- 一陸技 令和8年1月期 問18 図に示す回路の抵抗 R = 500〔Ω〕で消費される電力 P を直流電流計 A の指示値 I〔A〕と直流電...
- 一陸技 令和8年1月期 問6 図に示すように、交流電圧 V̇ = 100〔V〕に誘導性負荷 Ż1〔Ω〕及び容量性負荷 Ż2〔Ω〕を接続し...
- 三陸特 例題No.1 問18 抵抗 R に流れる電流を測定するときの電流計 A のつなぎ方を示す接続図として、正しいのはどれか。次のうち...
- 三陸特 令和3年2月期 問18 抵抗 R に流れる電流を測定するときの電流計 A のつなぎ方で、正しいのはどれか。
- 三陸特 平成31年2月期 問18 負荷 R にかかる電圧を測定するときの電圧計 V のつなぎ方で、正しいのはどれか。
- 二陸特 令和元年10月期 問18 抵抗 R の両端の直流電圧を測定するときの電圧計 V のつなぎ方で、正しいのは次のうちどれか。
- 二陸特 令和元年6月期 問18 一般に使用されているアナログ方式の回路計(テスタ)で、直接測定できないのは、次のうちどれか。