雑音電界強度測定器(妨害波測定器)と準尖頭値 でんかいきょうどそくていき
人工雑音などのパルス性雑音の電界強度を、CISPR 規格で定めた帯域幅と検波時定数で測る受信機形の測定器。指示は準尖頭値(規定の充放電時定数をもつ直線検波器の見掛け上の尖頭値)で、妨害度に対応させる。
図 1 の構成(空中線整合回路→減衰器→高周波増幅器→混合器→中間周波増幅器→直線検波器(準尖頭値)→出力指示計、較正用の比較発振器)の穴埋め。「指示値を変えるのは通過帯域幅」「準尖頭値は充電及び放電時定数」「過負荷係数は直線性から 1〔dB〕離れる点」が令和8年7月期 工学A 問19 の 3 空欄。
自動車の点火装置や電動機のブラシから出る人工雑音は、短いパルスの集まりです。パルスはスペクトルが広い周波数に散らばるので、受信機の帯域幅や検波器の時定数が変わると、同じ雑音でも針の振れが違ってしまいます。そこで測定器の帯域幅・検波の時定数・読み方を規格(CISPR)で固定し、どこで測っても同じ値になるようにしたのが雑音電界強度測定器(妨害波測定器)です。

各部の役割(図 1 の順)
- 空中線整合回路 測定用アンテナ(ループ・ロッド・ダイポールなど)と入力を整合させる。測定/較正の切替で比較発振器にもつながる
- 減衰器 大きなパルスでも高周波増幅器が飽和しないように入力を下げる。直線動作範囲を広く保つ
- 高周波増幅器・混合器・局部発振器・中間周波増幅器 スーパヘテロダイン受信機と同じ。中間周波増幅器の通過帯域幅が規格で決まっている(たとえば 30〜1000〔MHz〕で 120〔kHz〕)
- 直線検波器(準尖頭値) 充電時定数と放電時定数が規定された直線検波器。パルスの尖頭値を「見掛け上」なまらせて妨害度に対応する値にする
- 出力指示計 準尖頭値を指示。指示計自身の機械的時定数も規定されている
- 比較発振器 出力が既知の信号源。測定前に「較正」側に切り替えて利得を合わせる

τc は充電時定数、τd は放電時定数。30〜1000〔MHz〕では 1〔ms〕と 550〔ms〕、帯域幅 120〔kHz〕。値の暗記よりも「充電と放電の時定数で決まる」ことが問われる
準尖頭値は「真の尖頭値」ではありません。同じ尖頭値のパルスでも、繰返し周波数が高いほど放電が追いつかず出力が上がります。つまり耳で聞いたときの妨害の感じ方(妨害度)に合わせた重み付き尖頭値です。このほかに尖頭値・平均値・実効値の検波器もあり、規格ごとに使い分けます。

V1dB は検波出力が直線性から 1〔dB〕離れるパルス入力電圧、Vfs は出力指示計を最大目盛まで振らせるパルス入力電圧。パルスの尖頭値は指示値よりずっと大きいので、入力端子から検波器までの直線動作範囲を広くとる必要がある(30〔MHz〕以上で 43.5〔dB〕など)
典型問題の解き方(令和8年7月期 工学A 問19 の穴埋め)
手順
「指示値が変わる原因」を利得と答えさせる肢があります。利得は比較発振器で較正して合わせるので、指示値のばらつきの原因は通過帯域幅・直線性・検波回路の時定数です。準尖頭値検波器は「充電及び放電時定数」で規定され、共振回路ではありません。過負荷係数の基準は 1〔dB〕で、3〔dB〕ではありません。
令和8年の 2 期で出たのは 7 月期の 1 問だけですが、妨害波測定器の構成図と準尖頭値の意味は一陸技 工学A の定番です。「パルス性雑音→広帯域→帯域幅と時定数で指示が変わる→規格で固定→準尖頭値で妨害度に対応」の流れで覚えます。

この用語を押さえる問題
次の記述は、図 1 に示す雑音電界強度測定器(妨害波測定器)について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 人工雑音などの高周波雑音の多くはパルス性雑音であり、その高周波成...
正答: A=通過帯域幅 B=充電及び放電時定数 C=1
正答。パルス性雑音は広帯域なので、測定器の通過帯域幅が変わると取り込まれるエネルギーが変わり指示値が変わる。準尖頭値検波器は規定の充電時定数と放電時定数(CISPR 規格で周波数帯ごとに規定)を持つ直線検波器で測定する。過負荷係数は検波出力が直線性から 1 dB 外れるパルス入力電圧と、指示計を最大目盛まで振らせるパルス入力電圧との比で定義される。
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