オシロスコープの立上がり時間と帯域 おしろすこーぷのたちあがり
パルスの振幅が 10〔%〕から 90〔%〕に達するまでの時間を立上がり時間という。観測値は信号の真の立上がり時間とオシロスコープ固有の立上がり時間の 2 乗和の平方根になり、固有の立上がり時間は帯域幅 B との積がほぼ 0.35。
令和8年1月期 工学A 問20。真の立上がり時間 4〔ns〕のパルスを測って 5〔ns〕なら、オシロの立上がり時間は √(5²−4²)=3〔ns〕。単純な差の 1〔ns〕は誤り。帯域 100〔MHz〕なら tr≒0.35/B=3.5〔ns〕の換算も定番(令和8年の 2 期には出ていない)。
どんなに速いパルスでも、オシロスコープの増幅器には帯域の上限があるので、画面に出る波形の立上がりは少しなまります。なまり方は足し算ではなく 直角三角形の斜辺 のように合成されます。真の値が 4、オシロが 3 なら、見えるのは √(16+9)=5 です。逆に、見えた値とオシロの値から真の値を割り出すこともできます。

tm は画面で測った値、tr は信号の真の立上がり時間、ts はオシロスコープ(プローブを含む)固有の立上がり時間。ガウス形の周波数特性を仮定したときに成り立つ近似
B は −3 dB 帯域幅〔Hz〕、ts は〔s〕。100 MHz で 3.5 ns、500 MHz で 0.7 ns。一次の低域フィルタの応答 1−e^(−t/CR) から 10 %→90 % の時間が 2.2CR=2.2/(2πB)=0.35/B で出る

測定の目安
- オシロの ts が信号の tr の 1/5 以下 誤差は約 2〔%〕で補正なしで読める(√(1+0.04)≒1.02)
- ts が tr と同じ 観測値は √2 倍(41〔%〕長く見える)。必ず式で補正する
- ts が tr より大きい 信号の形はほとんどオシロの応答で、真の値はほぼ読めない。帯域の広いオシロとプローブに替える
- プローブも入る ts はオシロ本体とプローブの立上がり時間の 2 乗和。10:1 プローブの補正トリマが合っていないと波形がさらにひずむ

典型問題の解き方(真の 4〔ns〕を測って 5〔ns〕だったときのオシロの立上がり時間)
手順
- 式を立てる tm²=tr²+ts²。tm=5 ns(観測値)、tr=4 ns(真の値)
- ts² を出す ts²=tm²−tr²=25−16=9
- 平方根 ts=3 ns
- 検算 √(4²+3²)=√25=5 ns で観測値に合う。帯域にすると B≒0.35/3 ns≒117 MHz のオシロに相当する
立上がり時間は 引き算ではなく 2 乗和の平方根 で合成します。5−4=1〔ns〕の肢は誤りです。観測値 5〔ns〕そのものをオシロの値と答えるのも誤りです。帯域の式 0.35/B は「帯域が 2 倍なら立上がりは半分」で、帯域が狭いほど立上がりは長くなります。

この用語を押さえる問題
オシロスコープを用いて、真の立上がり時間 4〔ns〕のパルス波形の立上がり時間を測定したところ 5〔ns〕が得られた。当該オシロスコープの立上がり時間として、最も近いものを下の番号から選べ。
正答: 3〔ns〕
正答。観測される立上がり時間 tm は、信号の真の立上がり時間 tr とオシロスコープの立上がり時間 ts の 2 乗和の平方根 tm=√(tr²+ts²) で近似できる。5²=4²+ts² より ts²=25−16=9、ts=3 ns。
この問題を解く問われた問題 3
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