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整流回路の出力電圧(倍電圧・ブリッジ・最大値) せいりゅうかいろのしゅつりょく

一陸技

ダイオードとコンデンサで交流から直流を作るときの電圧の計算。コンデンサは交流の最大値 Vm = √2 V まで充電され、半波倍電圧整流回路では 2Vm が得られる。変成器の巻数比、ダイオードにかかる逆電圧(PIV)、平均値(2Vm/π)も合わせて問われる。

試験ではここ

令和8年1月期 問15 は実効値 100〔V〕の半波倍電圧整流回路で VC1 = 141〔V〕、VC2 = 282〔V〕。7月期 問15 は同じ回路に巻数比 280:560 の変成器が付き、Vab = 200√2〔V〕、Vcd = 400√2〔V〕。「実効値を √2 倍して最大値にする」「C1 が最大値まで充電され、電源と直列に足されて 2 倍」の 2 段で解けます。

ダイオードは一方向にしか電流を通さないので、コンデンサは交流の山の高さ(最大値)まで充電されて止まります。実効値 100〔V〕の家庭用交流でも、コンデンサには 141〔V〕たまります。この「最大値まで充電されたコンデンサ」を電源と直列に重ねると、次のコンデンサには 2 倍の電圧がたまります。これが倍電圧整流です。問題はこの足し算を、変成器の巻数比と組み合わせて出します。

最大値と実効値
V_m = \sqrt{2}\, V, \qquad V_m' = \sqrt{2}\, V \cdot \dfrac{N_2}{N_1}

V は実効値。100〔V〕なら Vm = 100√2 ≒ 141〔V〕。変成器があれば先に巻数比で二次側の実効値に直す(280 → 560 なら 2 倍の 200〔V〕)

半波倍電圧整流回路の動作(令和8年1月期 問15)
半波倍電圧整流回路。負の半周期に D1 で C1 が Vm に充電され、正の半周期に電源 + C1 の 2Vm が D2 を通って C2 にたまる
半波倍電圧整流の出力
V_{C1} = V_m, \qquad V_{C2} = V_m + V_{C1} = 2 V_m

C1 と D1 はクランプ回路、D2 と C2 はピーク検波。負荷を軽く C を十分大きくした理想条件で成り立つ。同じ段を重ねればコッククロフト・ウォルトン回路で n 倍になる

半波・全波(センタタップ)・ブリッジ整流の比較
半波・全波(センタタップ)・ブリッジの 3 回路と、平均値・ダイオードの最大逆電圧の比較
平滑なしの平均値(直流分)
V_{av} = \dfrac{V_m}{\pi}\ \text{(半波)}, \qquad V_{av} = \dfrac{2 V_m}{\pi}\ \text{(全波・ブリッジ)}

全波で約 0.637Vm、半波はその半分。コンデンサ入力形にすると無負荷では Vm に近づき、負荷を重くするほど下がる(リプルと電圧変動率)

ダイオードにかかる最大逆電圧(PIV)

  1. 半波整流(コンデンサ入力) コンデンサの Vm と電源の負のピーク −Vm が直列になり 2Vm
  2. 全波整流(センタタップ) 導通していない側のダイオードに二次側の全電圧がかかり 2Vm(片側の Vm 基準)
  3. ブリッジ整流 各ダイオードは Vm。同じ出力なら PIV が最も小さく、センタタップも不要。ダイオードは 4 個
  4. 半波倍電圧 D1・D2 とも 2Vm
コンデンサ入力形の出力電圧波形
コンデンサ入力形の電圧波形。ダイオードが導通する短い間だけ充電され、その後は負荷で放電してリプルになる

典型問題の解き方(実効値 100〔V〕、巻数 280:560 の変成器付き半波倍電圧整流)

手順

  1. 二次側の実効値 100 × N2/N1 = 100 × 560/280 = 200〔V〕
  2. 二次側の最大値 Vm = 200√2 ≒ 283〔V〕
  3. C1 の電圧(Vab) 負の半周期に D1 が導通し C1 は Vm まで充電。Vab = 200√2〔V〕
  4. C2 の電圧(Vcd) 正の半周期に点 b の電位は Vm + VC1 = 2Vm。D2 を通って C2 に充電され Vcd = 400√2〔V〕
  5. 確認 変成器なし(1月期)なら Vm = 141、VC2 = 282〔V〕。800√2 は 4 倍圧で誤り、Vab = Vcd となる組合せはあり得ない
ひっかけ

コンデンサにたまるのは実効値ではなく最大値です。「VC1 = 100〔V〕」の肢は実効値のまま、「VC2 = 200〔V〕」は実効値の 2 倍で、どちらも誤り。変成器があるときは巻数比を掛け忘れないこと。2 倍になるのは C2 だけで、C1 は 1 倍です。ブリッジ整流の PIV は Vm で、センタタップ全波の 2Vm と区別します。平均値 2Vm/π は「平滑コンデンサなし」のときの値で、コンデンサ入力形の出力は Vm に近づきます。

上部の看板「コンデンサは最大値 √2V まで充電
実効値は √2 倍して最大値に。C1 の電圧を電源に重ねると C2 は 2 倍

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学の基礎 問15

図に示す整流回路において、静電容量 C1 の電圧 VC1 及び C2 の電圧 VC2 の最も近い値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。ただし、電源電圧 V は、実効値 100〔V〕の正弦波交流電圧とし、ダイオード D1、D2 は理想的な特性を持つものとする。 C1...

正答: VC1=141〔V〕 VC2=282〔V〕

正しい。電源の波高値は Vm = 100√2 ≒ 141〔V〕。電源が負の半周期では D1 が導通して C1 が Vm = 141〔V〕まで充電される(VC1)。正の半周期では電源電圧 Vm と C1 の電圧 Vm が直列に加わり、D2 を通して C2 が 2Vm ≒ 282〔V〕まで充電される(VC2)。これが半波倍電圧整流回路の動作である。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学の基礎 問15

図に示す整流回路において、端子 ab 間の電圧 Vab(最大値)及び端子 cd 間の電圧 Vcd の値の組合せとして、正しいものを下の番号から選べ。ただし、交流電源 V の電圧は、実効値 100〔V〕の正弦波交流電圧とし、変成器 T 及びダイオード D₁、D₂ は理想的な特...

正答: Vab=200√2〔V〕 Vcd=400√2〔V〕

正しい。二次側電圧の実効値は 100×N₂/N₁ = 100×560/280 = 200〔V〕、最大値は 200√2〔V〕。負の半周期に D₁ が導通し C₁ が 200√2〔V〕まで充電される(Vab の最大値 = 200√2〔V〕)。正の半周期には二次側電圧に C₁ の電圧が上乗せされて点 b の電位は最大 2×200√2 となり、D₂ を通して C₂ が充電され、Vcd = 400√2〔V〕(倍電圧整流)。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学の基礎 問17

次の記述は、図に示す整流形電流計について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、ダイオード D は理想的な特性を持つものとする。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。 (1) 整流形電流計は、永久磁石可動コイル形...

正答: A=平均値 B=実効値 C=波形率

正しい。永久磁石可動コイル形計器はトルクが電流に比例し、可動部の慣性で脈動には追従できないため、全波整流された電流の平均値を指示する。交流計器は実効値で読みたいので、目盛は平均値に正弦波の波形率(実効値/平均値 = (1/√2)/(2/π) = π/(2√2) ≒ 1.11)を乗じた値で刻んである。したがって正弦波以外の波形では誤差を生じる。

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問われた問題 3

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