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航空用無線施設(ILS・VOR・DME・ATC トランスポンダ) こうくうむせんしせつ

一陸技

航空機の航法と着陸を助ける地上・機上の無線設備。方位を与える VOR、距離を与える DME、着陸進入の経路を与える ILS、管制レーダーに応答する ATC トランスポンダ、GPS を補強する GBAS・SBAS など。

試験ではここ

各施設の役割と周波数帯の正誤問題と、DME の距離計算。ILS はローカライザ VHF・グライドパス UHF・マーカビーコン VHF(75〔MHz〕)。DME は UHF(962〜1213〔MHz〕)で質問と「異なる」周波数(63〔MHz〕差)で応答。往復時間 300〔μs〕、応答遅延 50〔μs〕なら (300−50)/2=125〔μs〕で 37.5〔km〕≒20〔nm〕。GBAS の補強信号は UHF ではなく VHF。

飛行機は、道路のない空を飛びます。そこで地上の無線局が「ここから何度の方向か」(VOR)、「ここから何マイルか」(DME)、「滑走路の中心線と降下角からどれだけずれているか」(ILS)を電波で教えます。管制レーダーの質問に機体が自動で答えるのが ATC トランスポンダで、これにより便名や高度が管制画面に出ます。

空港まわりの航空用無線施設
空港まわりの施設。ILS のローカライザ(左右)とグライドパス(上下)、マーカビーコン、滑走路脇の DME、空港外の VOR

施設と周波数帯

  1. VOR(超短波全方向式無線標識) VHF 108〜118〔MHz〕。基準位相信号と回転する可変位相信号の位相差から、局からの磁方位を知る
  2. DME(距離測定装置) UHF 962〜1213〔MHz〕。機上のインタロゲータが質問パルスを出し、地上のトランスポンダが 63〔MHz〕離れた周波数で応答。往復時間から斜距離を求める二次レーダー方式
  3. ILS(計器着陸装置) ローカライザ VHF 108〜112〔MHz〕で滑走路中心線からの左右のずれ。グライドパス UHF 328〜336〔MHz〕で進入角(約 3°)からの上下のずれ。マーカビーコン VHF 75〔MHz〕で滑走路進入端からの距離の目安
  4. ATC トランスポンダ(SSR) 地上の二次監視レーダーが 1030〔MHz〕で質問、機上が 1090〔MHz〕で識別符号・高度を応答。一次レーダーより遠くまで確実に捕捉できる
  5. GBAS・SBAS GPS の補強。GBAS は地上局から VHF(108〜118〔MHz〕帯のデータ放送)で補正情報と進入経路を送り精密進入を支援。SBAS は静止衛星から広域の補正情報を放送
  6. マルチラテレーション(MLAT) トランスポンダの応答を 3 か所以上で受信し、到達時刻差(TDOA)から位置を出す。空港面探知レーダーの死角を補う
DME の時間関係
DME の時間関係。質問の送信から応答の受信まで 300 μs、そのうち 50 μs はトランスポンダの応答遅延。残りが往復の伝搬時間
DME の距離
R = \dfrac{c\,(t - \tau_d)}{2}

t は質問送信から応答受信までの時間、τd はトランスポンダの応答遅延時間(規定値 50〔μs〕)、c=3×10⁸〔m/s〕。往復なので 2 で割る。1〔nm〕(海里)=1,852〔m〕

典型問題の解き方(往復 300〔μs〕・遅延 50〔μs〕の距離)

手順

  1. 応答遅延を引く 300 − 50 = 250〔μs〕。これが電波の往復にかかった時間
  2. 片道にする 250 ÷ 2 = 125〔μs〕
  3. 距離に直す 3×10⁸ × 125×10⁻⁶ = 37,500〔m〕=37.5〔km〕
  4. 海里に直す 37,500 ÷ 1,852 ≒ 20.2 → 約 20〔nm〕。答えは A=UHF、B=異なる、C=20
ひっかけ

応答遅延 50〔μs〕を引き忘れると 300÷2=150〔μs〕で 45〔km〕≒24〔nm〕、2 で割り忘れると 75〔km〕≒40〔nm〕になり、どちらも肢の 30 に近づいて間違えます。DME は VHF ではなく UHF、応答は質問と「同一」ではなく「異なる」周波数です。ILS のグライドパスだけが UHF で、ローカライザとマーカは VHF です。GBAS を UHF とする肢は誤りです。

航空用無線施設の周波数帯
周波数帯の整理。VHF: VOR・ローカライザ・マーカ・GBAS、UHF: グライドパス・DME・ATC トランスポンダ
実務・現場では

VOR と DME は同じ場所に併設(VOR/DME)され、方位と距離の 2 つで自機の位置が決まります。DME の周波数は VOR の周波数と対で決まっているので、パイロットは VOR の周波数を合わせるだけで DME も選ばれます。トランスポンダの応答は 1 機あたり 1 秒に数十回なので、地上局は応答できる機数(容量)に上限があります。

上部の看板「DME は UHF、応答は別の周波数
DME は UHF、応答は別の周波数。遅延を引いて 2 で割る

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学A 問10

次の記述は、航空用 DME(距離測定装置)の原理的な構成例等について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。ただし、1〔nm〕(nm:nautical mile)は、1,852〔m〕とする。 (1) 航空用 DME は、追跡の状態において...

正答: A=UHF B=異なる C=20

正答。DME は 962〜1213 MHz の UHF 帯を用い、トランスポンダは質問周波数と 63 MHz 異なる周波数で応答する。応答遅延 50 μs を差し引いた往復伝搬時間は 300−50=250 μs、片道 125 μs なので距離は 3×10⁸ m/s × 125×10⁻⁶ s=37.5 km。これを 1,852 m で割ると 37,500/1,852≒20.2、約 20 nm となる。

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一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年1月期 無線工学A 問11

次の記述は、航法援助施設や着陸用援助施設等において一般的に用いられている航空用無線施設について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。

正答: GBAS(Ground-Based Augmentation System)は、地上施設から GPS の測位精度や完全性を向上させる補強信号や最終進入降下経路信号等を UHF 帯で送信することで、GPS による空港への精密進入を補助する。

誤り(これが正答)。GBAS の補強信号(VDB:VHF データ放送)は UHF 帯ではなく VHF 帯(108〜118 MHz 帯)で送信される。地上基準局で求めた補正情報と完全性情報、最終進入経路データを放送して精密進入を支援する点は正しい。

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問われた問題 2

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