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レーダーの原理(パルス・最大探知距離・分解能) れーだー

三陸特 二陸特 一陸技

マイクロ波の短いパルスを発射し、物標からの反射波が戻るまでの時間で距離を、アンテナの向きで方位を測る装置。船舶・航空・気象用はパルスレーダー、速度測定用は持続波のドプラレーダー。

試験ではここ

パルス波形の図で「パルス幅」を選ぶ問題(答えは b。a は搬送波の 1 周期、c は休止時間、d はパルス繰返し周期)。最小探知距離に最も影響するのは「パルス幅」。最大探知距離を大きくするには送信電力大・受信感度良・アンテナ高・パルス幅広・繰返し周波数低で、「パルス幅を狭くし繰返し周波数を高くする」が誤り肢。持続波でドプラ効果を使うのは速度測定用。

山に向かって叫ぶと、こだまが返るまでの時間で山までの距離が分かります。レーダーはこれを電波でやります。ごく短いパルスを出し、反射が戻るまでの時間を測って距離を出し、そのときアンテナが向いていた方向を方位にします。電波は 1〔µs〕で 300〔m〕進むので、往復を忘れずに半分にするのがすべての計算の土台です。

レーダーのパルス波形。搬送波の 1 周期 a、パルス幅 b、休止時間 c、パルス繰返し周期 d を矢印で示す
問題の図はこの形。パルス幅は b、繰返し周期は d、休止時間 c の間に反射波を受ける
物標までの距離
R = \dfrac{c\,t}{2}

c は光速 3×10^8〔m/s〕、t は発射から反射波が戻るまでの時間。往復しているので 2 で割る。t = 1〔µs〕で R = 150〔m〕

最小探知距離(パルス幅で決まる)
R_{\min} = \dfrac{c\,\tau}{2}

τ はパルス幅。送信中は受信できないので、パルスを出し終える前に戻る反射は見えない。τ = 1〔µs〕なら約 150〔m〕より近くは探知できない

レーダーがパルスを送信している間に近くの物標から反射が戻ってしまい受信できない様子と、パルス幅を狭くすると近くまで見える様子の比較
送信中は耳をふさいでいる。パルス幅が狭いほど近くの物標が見える

最大探知距離を大きくする条件

正誤問題の 5 つ(すべて「大きくする」方向)

  • 送信電力を大きくする 遠くからの反射波も強くなる。ただし距離は電力の 4 乗根にしか比例しない
  • 受信機の感度を良くする 微弱な反射波を検出できる。レーダー受信機で最も影響の大きい雑音は受信機の内部雑音
  • アンテナの高さを高くする マイクロ波は見通し内しか届かないので、高くすると見通し距離が伸びる
  • パルス幅を広くする 1 パルスのエネルギーが増える。狭くするのは最小探知距離・分解能を良くしたいとき
  • パルス繰返し周波数を低くする 次のパルスを出すまでの時間が長くなり、遠くからの反射波が戻る時間を確保できる
繰返し周期が許す最大距離
R_{\max} = \dfrac{c\,T}{2} = \dfrac{c}{2 f_r}

T はパルス繰返し周期、f_r はパルス繰返し周波数(T の逆数)。f_r = 1,000〔Hz〕なら T = 1〔ms〕で R_max = 150〔km〕。次のパルスまでに反射が戻らないと距離を間違える

繰返し周期が長いと遠い物標の反射が次のパルスまでに戻るが、短いと次のパルスの後に戻って距離を誤認する比較図
繰返し周波数を低くすると、遠くからの反射波が戻る時間を確保できる

分解能(2 つの物標を分けて見る力)

同じ方位にある 2 つの物標を距離で分けるのが距離分解能で、cτ/2 より近いと 1 つに見えます。だからパルス幅が狭いほど距離分解能は良いのです。同じ距離の 2 つを方位で分けるのが方位分解能で、アンテナの水平面内のビーム幅が狭いほど良くなります。マイクロ波で小形のアンテナでも鋭いビームが作れるのはこのためです。

上から見たレーダーのビーム。ビーム幅が広いと 2 隻の船が 1 つに映り、ビーム幅が狭いと 2 つに分かれて映る比較図
方位分解能は水平面内のビーム幅で決まる。狭いほど 2 つを見分けられる

典型問題の解き方(令和4年2月期 問23 と距離計算)

「パルスレーダーの最小探知距離に最も影響を与える要素はどれか」と、パルス幅 1〔µs〕のときの値

  1. 何が決めるかを思い出す 最小探知距離は「送信中は受信できない」ことで決まる。送信している時間=パルス幅
  2. 他の肢を仕分ける 送信周波数は分解能やアンテナの大きさ、パルス繰返し周波数と送信電力は最大探知距離に関係する
  3. 数値で確認する R_min = cτ/2 = 3×10^8 × 1×10^-6 ÷ 2 = 150〔m〕
  4. 答え パルス幅。τ を 0.5〔µs〕に狭くすれば最小探知距離は 75〔m〕に縮む
ひっかけ

「パルス幅を狭くし、パルス繰返し周波数を高くする」は最小探知距離と分解能を良くする条件で、最大探知距離を大きくする条件としては誤りです。最大探知距離はその逆、パルス幅を広く、繰返し周波数を低くします。パルス波形の図では、搬送波の細かい 1 周期 a をパルス幅と見誤らないこと。距離を読むときは物標映像のスコープ中心側(手前側)の外郭に可変距離目盛を合わせます。映像はパルス幅の分だけ外側に伸びて映るからです。

ドプラレーダー(速度を測る)

パルスではなく持続波(CW)を出し続け、動いている物体から返る反射波の周波数がドプラ効果でずれる量から速度を測るのがドプラレーダーです。道路の速度測定や気象レーダーで使います。船舶用・港湾用・航空路監視用はいずれも距離を測るパルスレーダーです。

パルスで往復時間から距離を測るレーダーと、持続波の周波数のずれから速度を測るドプラレーダーの対比図
パルスは距離、持続波のドプラは速度。船舶・港湾・航空路監視はパルス
先生が船舶レーダーの前でパルス幅と最小探知距離の関係を説明する挿絵
距離は往復だから 2 で割る。パルス幅は最小探知距離、繰返し周期は最大探知距離

この用語を押さえる問題

二陸特 ・ 日本無線協会 令和3年6月期 無線工学 問18

図は、レーダーのパルス波形の概略を示したものである。パルス幅を示すものは、次のうちどれか。

正答: b

正しい記述です。パルス幅はレーダーが電波を送信している時間、つまり 1 つのパルスの始まりから終わりまでの長さで、図の b がこれに当たります。パルス幅は最小探知距離や距離分解能に関係します。

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二陸特 ・ 日本無線協会 令和4年2月期 無線工学 問23

パルスレーダーの最小探知距離に最も影響を与える要素は、次のうちどれか。

正答: パルス幅

パルスレーダーは送信パルスを出している間は受信できないので、パルス幅 τ の間に電波が往復する距離 cτ/2 より近い物標は探知できません。たとえば τ = 1µs なら最小探知距離は約 150m です。したがってパルス幅が最小探知距離を主に決めます。

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二陸特 ・ 日本無線協会 令和3年10月期 無線工学 問23

パルスレーダーの最大探知距離を大きくするための条件として、誤っているのは次のうちどれか。

正答: パルス幅を狭くし、パルス繰返し周波数を高くする。

誤った記述なのでこれが正答です。最大探知距離を大きくするにはパルス幅を広くして 1 パルスのエネルギーを増やし、パルス繰返し周波数を低くして反射波が戻るまでの時間を長くとる必要があります。パルス幅を狭くするのは距離分解能を上げたいときの条件です。

この問題を解く
二陸特 ・ 日本無線協会 令和2年10月期 無線工学 問23

通常、レーダーで持続波を発射し、ドプラ効果を利用するのはどれか。

正答: 速度測定用

正しい記述です。速度測定用レーダーは持続波(CW)を発射し、移動する物体からの反射波の周波数がドプラ効果で変化することを利用して速度を測定します。

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問われた問題 21

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