無線通信ブートラボ
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電離層(D・E・F 層)と短波の伝搬 でんりそう

4アマ 3アマ 三陸特 二陸特 一陸技

太陽の紫外線で上空の大気が電離してできた層。低い順に D 層(60〜90〔km〕、吸収)、E 層(約 100〔km〕)、F 層(200〜400〔km〕、短波を反射)。短波(HF)は F 層で反射して遠距離に届き、VHF 以上は突き抜ける。

試験ではここ

「短波を反射して遠距離通信に最も寄与する層」は F 層、「D 層」は吸収する層。VHF は「通常、電離層を突き抜ける」「昼夜で伝わり方が変わらない」「紫外線の影響を受けない」で、短波の特徴と対比させる。穴埋めは「電離層で反射されて初めて地上に達する地点までの距離=跳躍距離」。図では 7〔MHz〕が F 層で反射し、145〔MHz〕が突き抜ける。

空の高いところでは、太陽の紫外線が空気の分子から電子をはぎ取り、電子が多い層ができています。これが電離層で、電波にとっては「空に浮かぶ鏡」です。ただし鏡として働くのは短波(HF)までで、周波数が高い VHF 以上は突き抜けてしまいます。

電離層の構造(昼と夜)
地表から D 層(60〜90 km)、E 層(約 100 km)、F1・F2 層(200〜400 km)。昼は 4 層、夜は D 層が消えて F 層が 1 つに

層ごとの高さと役目

  1. D 層(60〜90〔km〕) 昼間だけ現れる。中波や短波の低い周波数を吸収して弱らせる。反射はしない。夜は消えるので中波放送が遠くまで聞こえる
  2. E 層(約 100〔km〕) 中波の夜間伝搬などに関係。短波の多くは突き抜ける。この高さに突発的に現れるのがスポラディック E 層
  3. F 層(200〜400〔km〕) 電子密度が最大。短波を反射して遠距離通信を担う。昼間は F1 層と F2 層に分かれ、夜は 1 つになる

送信所から斜め上に出た短波は F 層で反射して地上に戻り、また地面で反射して F 層へ向かいます。これを繰り返して地球の裏側まで届きます。電離層で反射されて初めて地上に達する地点までの距離が跳躍距離で、地表波が届かなくなる所から跳躍距離までの間は電波が届かない不感地帯です。

短波の跳躍伝搬と不感地帯
短波の跳躍伝搬。地表波の届く範囲、不感地帯、跳躍距離、F 層での反射を繰り返して遠方へ。145 MHz は突き抜ける
臨界周波数と最高使用周波数
f_{\mathrm{MUF}} = f_c \sec\theta = \dfrac{f_c}{\cos\theta}

fc(臨界周波数)は真上に打ち上げて反射される最高の周波数。θ は電離層への入射角。斜めに打つほど高い周波数まで反射され、MUF(最高使用周波数)は fc より高い。実際の運用は MUF の 0.85 倍程度(FOT)

臨界周波数 fc と最高使用周波数 MUF
真上で反射する限界が fc。斜めに打てば MUF = fc / cos θ まで使える

昼夜・季節で変わる

  1. 昼間 電子密度が高く D 層も現れる。高い周波数(14〜28〔MHz〕)が反射され、低い周波数は D 層で吸収される
  2. 夜間 D 層が消え、F 層の電子密度が下がる。低い周波数(3.5〜7〔MHz〕)が遠くまで届く
  3. 太陽活動 黒点が多い年ほど電子密度が上がり、高い周波数が使える。太陽面爆発で D 層が急に濃くなり短波が数十分途絶するのがデリンジャー現象
昼夜で変わる短波の伝わり方
昼は D 層が低い周波数を吸収し高い周波数が反射。夜は D 層が消えて低い周波数が遠くへ

試験では「短波と比べたときの VHF の伝わり方」として出ます。VHF は通常電離層を突き抜けるので、昼夜で伝わり方が変わらず、太陽の紫外線の影響も受けず、見通し距離内の通信に向きます。電離層波が主で、昼夜差があり、遠距離に向くのは短波です。詳しくはVHF・UHF の伝搬へ。

典型問題の解き方(臨界周波数 7〔MHz〕、入射角 60°のときの MUF)

手順

  1. 公式 MUF = fc / cos θ
  2. 代入 cos 60° = 0.5 なので MUF = 7 / 0.5 = 14〔MHz〕
  3. 意味 真上なら 7〔MHz〕までしか反射しないが、60°で斜めに打てば 14〔MHz〕まで使える。遠くを狙うほど高い周波数が使える
ひっかけ

「短波を反射する層」は F 層、「吸収する層」は D 層です。図の問題では「突き抜ける方が 145〔MHz〕、F 層で反射する方が 7〔MHz〕」で、435〔MHz〕も突き抜けます。跳躍距離を「焦点距離」とする肢は光学用語の混入で誤りです。フェージング・デリンジャー現象・スキップは別の現象なので、問われているのが「強さが時間で変動」なのか「数十分途絶」なのか「届かない地帯」なのかで選びます。

上部の看板「F 層が短波の鏡、D 層は吸収
F 層が短波の鏡、D 層は吸収。VHF は突き抜ける。昼と夜で層が変わる

この用語を押さえる問題

3アマ ・ ブートラボ オリジナル問題 無線工学 No.1 問29

電離層のうち、短波(HF)帯の電波を反射して遠距離通信に最も大きく寄与する層は、次のうちどれか。

正答: F層

正しい。F 層は最も高い(約 200〜400〔km〕)層で、電子密度が最も大きく、短波帯の電波を反射する。これにより電波は地表と F 層の間を反射を繰り返して進み、遠距離通信が可能になる。昼間は F1 層と F2 層に分かれる。

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3アマ ・ 日本無線協会 CBT例題 無線工学 No.1 問28

次の記述の[ ]内に入れるべき字句の組合せで、正しいものはどれか。 送信所から発射された短波(HF)帯の電波が、[A]で反射されて、初めて地上に達する地点と送信所との地上距離を[B]という。

正答: A:電離層 B:跳躍距離

短波は電離層(主にF層)で反射されて遠方に届く。電離層反射波が最初に地上に戻る地点までの距離が跳躍距離で、地表波の届く範囲との間が不感地帯になる。

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4アマ ・ 日本無線協会 CBT例題 無線工学 No.2 問22

図は、周波数の違いにより電波の伝わり方が異なることを示したものである。[A]及び[B]の周波数の組合せで、正しいものは次のうちどれか。

正答: A:145〔MHz〕 B:7〔MHz〕

周波数の高い電波ほど電離層を突き抜けやすい。145〔MHz〕(VHF 帯)の電波は電離層を突き抜けて宇宙空間へ出ていき(A)、7〔MHz〕(短波帯)の電波は F 層で反射して遠方の大地に戻る(B)。

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三陸特 ・ 日本無線協会 平成31年2月期 無線工学 問16

短波(HF)の伝わり方と比べたときの超短波(VHF)の伝わり方の記述で、最も適切なものはどれか。

正答: 通常、電離層を突き抜けてしまう。

正しい。VHF 帯(30〜300MHz)の電波は周波数が高いため電離層で反射されずに突き抜けてしまいます。そのため直接波や大地反射波による見通し距離内の通信が中心になります。

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問われた問題 29

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