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クワドラチャ検波器(FM の直交検波) くわどらちゃけんぱき

一陸技

FM 波と、それを移相器に通した信号を掛け合わせて平均をとる FM 検波器。移相器は搬送波の周波数でちょうど π/2 ずらし、周波数偏移に応じて移相量が変わるので、掛け算の平均値が偏移に比例して変化し、LPF で信号波が取り出せる。

試験ではここ

令和8年7月期 問7 は構成図の正誤で、「搬送波の周波数で移相量を π にする」が誤り(正しくは π/2)。矩形波でもよい、出力の衝撃係数(デューティ比)が周波数で変わる、LPF で信号波を得る、はいずれも正しい記述。

周波数の変化を、いったん位相の変化に置き換えてから読み取る検波器です。FM 波をそのまま一方に、移相器を通したものをもう一方に入れて掛け算します。二つが直交(π/2 ずれ)していると平均は 0 で、周波数がずれると位相差が π/2 からずれて、平均がプラスやマイナスに振れます。

FM波と移相器を通した信号を乗算器で掛け、LPFで信号波を取り出す構成と、出力が周波数偏移に比例するグラフ
搬送波で π/2、偏移に比例した出力
掛け算の平均(LPF の出力)
\overline{e_0} = \overline{\cos\omega t \cdot \cos(\omega t + \varphi)} = \dfrac12\cos\varphi ,\qquad \varphi = \dfrac{\pi}{2} - k\,\Delta f \;\Rightarrow\; \overline{e_0} = \dfrac12\sin(k\,\Delta f) \fallingdotseq \dfrac{k}{2}\Delta f

φ は移相器による位相差、Δf は周波数偏移。搬送波で φ = π/2 なので出力 0、偏移が小さい範囲では出力が Δf に比例する

構成と各部の役割

  1. 移相器 小さなコンデンサと、搬送波に同調した並列共振回路など。同調点で π/2、その近くでは周波数にほぼ比例して移相量が変わる(周波数-位相変換)
  2. 乗算器 ė1 と ė2 を掛ける。IC では排他的論理和などのゲートで代用できる
  3. 振幅制限 ė1・ė2 は矩形波でもよい。むしろ振幅制限で AM 成分(雑音)の影響を除ける
  4. LPF e0 の一周期の平均(矩形波なら衝撃係数)を取り出すと信号波になる

ほかの FM 検波器との比べ方

ひっかけ

搬送波で合わせる移相量は π/2〔rad〕(90°) です。π にすると二つが逆相になり、平均が最大値に張り付いて偏移の向きを区別できません。「直交」の意味(クワドラチャ=90°)と結びつけて覚えます。

先生の挿絵。搬送波で移相量を π にすると思う受験生
クワドラチャは 90°。π ではない
ポイント

衝撃係数(デューティ比)の記述は正しい側です。矩形波どうしの積では、位相差が変わると重なる時間の割合が変わり、その平均が出力になります。

この用語を押さえる問題

一陸技 ・ 日本無線協会 令和8年7月期 無線工学A 問7

次の記述は、図に示すクワドラチャ検波器の原理的な構成例について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。ただし、入力の周波数変調波を ė1、移相器の出力を ė2、乗算器の出力を e0 とし、移相器は理想的に動作するものとする。

正答: ė1 の周波数が搬送波の周波数に等しいとき、ė2 の移相量がπ〔rad〕になるようにする。

誤り。クワドラチャ(直交)検波器では、搬送波周波数において移相量が π/2〔rad〕(90 度)になるようにする。このとき乗算出力の平均値は 0 となり、周波数偏移に応じて正負に振れる出力が得られる。π では直交にならず、偏移に対して出力が対称にならない。

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問われた問題 1

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