FM の周波数偏移・変調指数・占有帯域(カーソン) えふえむのへんちょうけいさん
FM では変調信号の振幅に比例して搬送波の周波数がずれる。その最大のずれが最大周波数偏移 Δf、Δf を変調周波数 fm で割ったものが変調指数 mf。占有帯域幅はカーソンの式 B≒2(Δf+fm) で見積もる。
令和8年1月期の工学A 問1 はベッセル関数のグラフで、搬送波が消える mf≒2.4 から 400〔Hz〕・1〔V〕で Δf=960〔Hz〕、1,920〔Hz〕には 2〔V〕。7月期 問5 は S/N 改善係数 I=10 log{3fd²B/(2fp³)}=20〔dB〕。振幅・周波数を変えたときの Δf と mf の変化も定番。
FM の送信機では、変調信号の電圧が高いほど搬送波の周波数が大きくずれます。ずれの最大値が最大周波数偏移で、変調信号の振幅だけで決まり、変調信号の周波数には関係しません。一方、変調指数はずれを変調周波数で割ったものなので、変調周波数が高くなると小さくなります。

側波帯は fm 間隔で無限に並ぶが、電力の約 98〔%〕が入る幅。mf が小さい狭帯域 FM では B≒2fm、大きいと B≒2Δf に近づく

正弦波で変調した FM 波の搬送波の振幅は第 1 種ベッセル関数 J0(mf)、n 番目の側波帯の振幅は Jn(mf) に比例します。J0(mf) は mf≒2.4、5.5、8.7 で 0 になり、搬送波が消えます。この性質を使い、スペクトルアナライザで搬送波が消える点を探して周波数偏移を較正できます。
典型問題の解き方(令和8年1月期 工学A 問1:搬送波が消える点から偏移を求める)
手順
- 搬送波が消える条件 J0(mf)=0 となる最初の点はグラフから mf≒2.4
- 1〔V〕のときの偏移 mf=Δf/fm より Δf=2.4×400=960〔Hz〕
- 偏移は振幅に比例 1〔V〕で 960〔Hz〕なら、1,920〔Hz〕には 1,920/960=2 倍の振幅
- 答 2〔V〕(このとき mf=4.8)。1.92〔V〕や 0.96〔V〕は数字の写し間違いを誘う肢
fd は最大周波数偏移、B は等価雑音帯域幅、fp は最高変調周波数。mf=fd/fp とおくと真数は (3/2)mf²(B/fp)。偏移が大きいほど改善が大きい
典型問題の解き方(令和8年7月期 工学A 問5:S/N 改善係数)
手順

変調信号を変えたとき
- 振幅を 2 倍 Δf は 2 倍、mf も 2 倍、B はほぼ 2 倍に広がる
- 周波数 fm を 2 倍(振幅そのまま) Δf は変わらず、mf は半分、B=2(Δf+fm) は fm の分だけ少し広がる
- 振幅も周波数も 2 倍 Δf は 2 倍、mf は変わらず、B は 2 倍
最大周波数偏移を決めるのは変調信号の「振幅」で、変調信号の周波数ではありません。「fm を上げると Δf が増える」は誤りです。カーソンの式の 2 を忘れた B=Δf+fm、fm を忘れた B=2Δf は狭帯域で大きく外れます。ベッセルの問題で搬送波が消える mf は 2.4 であって 3 や 1 ではありません。

この用語を押さえる問題
最大周波数偏移が入力信号のレベルに比例する FM(F3E)変調器に 400〔Hz〕の正弦波を変調信号として入力し、その出力をスペクトルアナライザで観測した。変調信号の振幅を零から徐々に大きくしたところ、1〔V〕で搬送波の振幅が零となった。図に示す第1種ベッセル関数のグラフを...
正答: 2〔V〕
正答。搬送波の振幅は J0(mf) に比例し、グラフから J0 が最初に零になるのは mf≒2.4 である。変調信号 1 V で搬送波が零になったので、このとき mf=Δf/fm=2.4、すなわち Δf=2.4×400≒960 Hz。最大周波数偏移は入力振幅に比例するので、Δf=1,920 Hz(mf=4.8)にするには 1,920/960=2 倍の振幅、すなわち 2 V が必要である。
この問題を解く単一通信路における周波数変調(FM)波の S/N 改善係数 I〔dB〕の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、最大周波数偏移を fd〔Hz〕、等価雑音帯域幅を B〔Hz〕、最高変調周波数を fp〔Hz〕とすると、I〔dB〕は、I=10 log10{3 fd² B...
正答: 20〔dB〕
正答。変調指数 m=fd/fp=3 より fd=3×3 kHz=9 kHz。真数は 3 fd² B/(2 fp³)=3×(9×10³)²×20×10³/(2×(3×10³)³)=3×81×10⁶×2×10⁴/(54×10⁹)=4.86×10¹²/(5.4×10¹⁰)=90。I=10 log10 90=10(2 log10 3+1)=10(1+1)=20 dB。
この問題を解く搬送波の位相を変調信号に比例して変調する位相変調(PM:Phase Modulation)において、位相変調波の最大の周波数帯域幅 Bw の大きさの値として最も近いものを下の番号から選べ。ただし、変調信号を 100〔kHz〕、位相変調指数を 0.4〔rad〕及び位相変調指数...
正答: 296〔kHz〕
正答。PM 波の最大周波数偏移は Fd=mp×fm で、指数の誤差+20 % を見込むと mp=0.4×1.2=0.48 rad、Fd=0.48×100 kHz=48 kHz。よって Bw≒2(fm+Fd)=2(100+48)=296 kHz。
この問題を解く問われた問題 3
- 一陸技 令和8年7月期 問5 単一通信路における周波数変調(FM)波の S/N 改善係数 I〔dB〕の値として、最も近いものを下の番号か...
- 一陸技 令和8年1月期 問3 搬送波の位相を変調信号に比例して変調する位相変調(PM:Phase Modulation)において、位相変...
- 一陸技 令和8年1月期 問1 最大周波数偏移が入力信号のレベルに比例する FM(F3E)変調器に 400〔Hz〕の正弦波を変調信号として...