無線通信ブートラボ

一陸技の科目合格は3年有効|勉強の順番と受験計画の立て方

公開 一陸技

一陸技は、合格点を取った科目がその試験の翌月の初めから3年以内の試験で免除されます。期限は科目ごとに進むので、最初に取る科目と順番が計画の要になります。

一陸技(第一級陸上無線技術士)は、4科目を1回の試験でそろえなくても取れます。合格点を取った科目は、その試験の翌月の初めから3年以内に行われる一陸技の試験で、申請すれば免除されます。年2回の試験なので、例年の日程なら合格した次の回から6回分が使えます。この記事では、その数え方と、科目を受ける順番、受験計画の立て方を書きます。

科目合格のカードを手に、受ける順番を考える受験生と先生の挿絵
合格点を取った科目は3年以内の試験で免除できます。順番を決めて積み上げます。

科目合格の制度:根拠は無線従事者規則6条

科目合格の根拠は、無線従事者規則6条1項です。一陸技を含む資格の国家試験で合格点を得た科目がある人が、その科目の試験が行われた月の翌月の初めから起算して3年以内に実施される同じ資格の国家試験を受けるときは、申請によりその科目の試験が免除されます。

合格点は、無線工学の基礎・無線工学A・無線工学Bが125点中75点、法規が100点中60点です。この点に届いた科目が「科目合格」になります。4科目すべてで合格点を取った人は、その時点で試験合格です。

免除を受ける手続き(日本無線協会の試験案内より)

  • 申請のしかた 電子申請の「免除希望科目」欄に、科目合格した試験の年月と受験番号を入力する
  • 氏名が変わった人 科目合格の後に氏名を変えた場合は、協会本部に連絡し、変更を証する書類を申請期限までに出す
  • 自動では免除されない 規則の文言どおり「申請により」免除される。申請時に入力しないと、その科目も受験する扱いになる

科目合格のほかにも、一定の無線従事者資格を持つ人、業務経歴のある人、総務大臣の認定を受けた学校等を卒業した人に、試験の一部を免除する制度があります(無線従事者規則7条・8条)。どの科目が免除になるかは資格や経歴で違うので、日本無線協会の「試験科目・合格基準等」の表で確認してください。

「3年以内」は何回分か

規則は回数ではなく年数で期限を決めています。そこで、実際の試験日程に当てはめて数えます。たとえば令和8年(2026年)7月期で法規に合格した場合、起算日は8月1日で、3年以内は令和11年(2029年)7月31日までです。

令和8年7月期に科目合格した場合に使える試験

実施月期限内か
令和9年1月期2027年1月期限内
令和9年7月期2027年7月期限内
令和10年1月期2028年1月期限内
令和10年7月期2028年7月期限内
令和11年1月期2029年1月期限内
令和11年7月期2029年7月7月31日までに実施されれば期限内
令和8年7月期の科目合格から3年間の期限と、その間にある6回の試験を示した時間軸の図
起算は試験の翌月の初め。例年どおりの日程なら6回分の試験が期限内に入ります。

令和8年7月期の試験は7月7日(火)・8日(水)に行われました。同じ7月上旬に行われれば、この例では令和11年7月期まで、6回分の試験で免除を使えます。1月期に合格した場合も同じ考え方で、たとえば令和9年1月期の合格なら令和12年(2030年)1月31日までが期限です。ただし、将来の試験日はまだ決まっていません。期限ぎりぎりの回を当てにする計画は、その年の試験案内が出てから確かめてください。

ひっかけ

期限は科目ごとに別々に進みます。最初に取った科目の期限が最初に切れます。たとえば法規を令和8年7月期、基礎を令和9年1月期に取ったなら、残りの工学A・Bは、法規の期限(令和11年7月31日)までにそろえないと法規を受け直すことになります。

天災などで試験が行われなかった場合については、総務大臣が告示で指定する人の期限を延ばす規定も同じ条文にあります。通常はこの特例を当てにせず、3年で計画を組みます。

試験日程と科目の組み合わせ

一陸技の試験は2日間です。日本無線協会の試験案内では、1日目の午前が無線工学の基礎、午後が法規、2日目の午前が無線工学A、午後が無線工学Bです。令和9年1月期なら1月19日(火)と20日(水)です。

この並びは計画に効きます。法規と基礎を受けるなら1日目だけ、工学A・Bを受けるなら2日目だけ会場に行けば済みます。遠くの試験地まで行く人や、平日に休みを取る人は、同じ日の2科目をセットで狙うと移動と休みが少なくなります。

結果が出る時期も計画に入れておきます。試験結果は試験終了後おおむね3週間以内に電子メールで届きます。1月期の結果は2月中、7月期の結果は7月末から8月にわかり、次の期の申請(7月期は5月1日〜20日、1月期は11月1日〜20日)より前に、どの科目が残ったかを確かめてから申し込めます。

試験地は東京・札幌・仙台・名古屋・大阪・那覇など全国にありますが、期によって違いがあり、令和8年度の案内では1月期に福岡がありません。毎回同じ会場に行けるとは限らないので、申請のたびに試験案内の試験地の表を見てください。

試験手数料は、令和8年10月1日版の試験案内で一陸技18,800円です。案内には科目の数による区別は書かれておらず、受ける回数が増えるほど手数料もかかります。一方で、無理に4科目を申し込んで準備が足りない科目を落としても、合格した科目だけは残ります。どちらが得かは、手数料よりも、何回で4科目をそろえられるかで考えるほうが現実的です。

科目を受ける順番の考え方

順番に正解はありませんが、科目の性質から決めやすい組み立てはあります。判断の材料を科目ごとに並べます。

科目の性質(令和8年の出題から)

  • 法規 範囲は電波法と関係する規則で、覚える範囲が決まっている。計算はほとんどない。100点中60点で、A問題15問中12問で合格点に届く
  • 無線工学の基礎 電磁気・電気回路・半導体と電子回路・計測。工学A・Bで使う考え方の土台
  • 無線工学A 変調と送受信機・電源・衛星やレーダーなどのシステム・測定。テーマの数が多い
  • 無線工学B アンテナ・給電線・導波管・電波伝搬。計算の型が決まった問題が多い

法規から先に取る作戦には、はっきりした利点があります。暗記中心なので、工学に比べて合格点に届くまでの準備期間を短くしやすく、1つ合格すると残りの計画が立てやすくなります。電波法の知識は工学の問題文を読むときにも役立ちます。

注意点は、法規を最初に取ると法規の3年の期限が最初に動き出すことです。工学3科目に時間がかかる人ほど、法規を早く取りすぎると期限に追われます。工学の見通しが立ってから法規を受ける、法規と基礎を同じ1日目にまとめて受ける、のどちらかにすると期限を有効に使えます。

工学の中では、基礎を先にするのが自然です。工学A・Bの計算は、交流回路・デシベル・電磁気といった基礎の内容をそのまま使います。基礎を後回しにすると、工学A・Bの勉強で同じ基礎を学び直すことになります。

工学AとBは同じ2日目に行われるので、続けて受けるのが基本です。どうしても分けるなら、計算の型が決まった問題の多い工学Bを先にし、テーマの数が多い工学Aに時間を残す組み方があります。どちらを先にしても、基礎の計算力が前提になる点は同じです。

ポイント

迷ったら「1日目(法規+基礎)→ 2日目(工学A+B)」の順で考えると、日程・期限・科目のつながりの3つがそろいます。

受験計画の立て方(3つの型)

自分に合う型を選び、どの期にどの科目を受けるかを先に決めます。

一陸技の受験計画の型

受け方向いている人注意すること
一発型1回で4科目電気の学習歴があり、半年以上まとまった時間を取れる人1科目でも落ちると次回に持ち越し。合格した科目は科目合格で残る
2回型1回目に法規+基礎、2回目に工学A+B働きながら1年で取りたい人2回目で落とした科目は3回目以降へ。法規・基礎の期限はまだ2年半ある
分割型1回に1科目ずつ電気をゼロから学ぶ人、勉強時間が少ない人最初の科目の期限内に4科目そろえる。落とすと余裕がすぐ減る
一発型・2回型・分割型の3つの受験計画を、試験の期ごとに受ける科目を並べて比べた図
受ける科目を期ごとに割り当てて、期限内に4科目そろうかを確かめます。

いまの時点(令和8年10月)で始めるなら、直近は令和9年(2027年)1月期で、申請は令和8年11月1日〜20日です。準備期間が3か月を切っているので、まず法規だけ、または法規と基礎を受け、工学A・Bは令和9年7月期以降に回す計画が現実的です。

いまから始める2回型の例

  1. 令和9年1月期(2027年1月):法規と無線工学の基礎(1日目)。申請は令和8年11月1日〜20日
  2. 令和9年7月期(2027年7月):無線工学Aと無線工学B(2日目)。1月期に落とした科目があればここで受け直す
  3. 令和10年1月期以降:残った科目。法規と基礎の期限は、令和9年1月期の合格なら令和12年1月31日まで

計画を立てたら、科目ごとに「この期に受ける」と決めた日から逆算して、過去問を何期分、何周解くかを割り当てます。1期分を解くのにかかる時間を実際に測ると、見積もりの精度が上がります。

計画が崩れたときの立て直し

不合格だった科目が出たら、期限が近い科目から順に持っている科目合格の残りの回数を数え直します。期限内にあと何回受けられるかがわかれば、次の期に受ける科目が決まります。

立て直しの手順

  1. 持っている科目合格ごとに、期限の日付を書き出す
  2. 期限内に残っている試験の回を数える(年2回、1月期と7月期)
  3. 残りの科目を、期限が近い科目合格に間に合うように回へ割り当てる
  4. どうしても間に合わない場合は、その科目合格が切れる前提で受け直しの回も計画に入れる

期限が切れた科目は、受け直して合格点を取り直せば、その時点から新しく3年の期限が始まります。科目合格がなくなっても、勉強した内容まで消えるわけではありません。前回の得点が合格点に近かった科目は、短い準備で取り戻せます。試験結果の通知が届いたら、科目ごとの合否と、合格した科目の期限の日付をすぐに控えておき、次の計画の材料にしてください。

ブートラボでの進め方

無線通信ブートラボには、一陸技の令和8年(2026年)1月期・7月期の過去問のA問題が4科目とも入っています(無線工学の基礎20問・無線工学A20問・無線工学B20問・法規15問、各期)。B問題は穴埋めの形式が合わないため、まだ収録していません。

  • 過去問演習 いま受けると決めた科目だけを選んで解ける。全肢に解説つき
  • 本試験形式の通し 1期分を正誤を伏せて解き、科目ごとの得点を見る。A問題だけのセットなので合格ラインは6割で換算
  • SRS復習 まちがえた問題が忘れかけた頃に戻ってくる。科目合格を狙う科目を集中的に回せる
  • 試験日とノルマ 受ける期の試験日を登録すると、ホームに残り日数と1日の目標問題数が出る
  • 用語集・講義 工学の用語を図で確認し、受信機のしくみは講義「作ってわかる AM 受信機」で体験できる

科目合格を積み上げる人には、いま狙う科目だけに絞って回す使い方が合います。たとえば次の1月期に法規と基礎を受けるなら、その2科目の過去問演習とSRS復習だけを毎日回し、工学A・Bは試験が終わってから始めます。B問題は収録していないので、日本無線協会が公表している問題で穴埋めの形式にも慣れておいてください。

最初の一歩は、次に受ける期と科目を決めて、試験日を登録することです。そのうえで、その科目の過去問を本試験形式で1回通して、今の得点を確かめてください。

よくある質問

一陸技の科目合格の有効期間は何年ですか?

合格点を取った科目の試験が行われた月の翌月の初めから3年以内です(無線従事者規則6条)。その間に行われる一陸技の試験で、申請によりその科目が免除されます。

科目合格は何回まで使えますか?

規則は回数ではなく3年という期間で定めています。試験は年2回なので、例年どおりの日程なら合格した次の回から6回分が期限内に入ります。

一陸技はどの科目から受けるのがよいですか?

暗記中心で準備しやすい法規から取る作戦が立てやすい一方、法規の3年の期限が先に動き出します。工学は基礎を先にすると工学A・Bの理解が楽になります。

二陸技で合格した科目は一陸技で免除されますか?

科目合格の免除は「当該資格の国家試験」を受ける場合のものなので、二陸技の科目合格は一陸技の科目合格にはなりません。資格を持つ人への免除は別の制度で、日本無線協会の表で確認できます。

科目合格の免除は自動で適用されますか?

自動ではありません。電子申請の免除希望科目欄に、科目合格した試験の年月と受験番号を入力して申請します。

過去問を1問ずつ、解説つきで。無線通信ブートラボは無料で始められます。

参考にした資料

ほかの記事