無線通信ブートラボ

一陸技の難易度と合格率|科目ごとの合格点と勉強時間の見積もり方

公開 一陸技

一陸技の合格率は令和6年度(2024年度)で24.0%です。4科目すべてで満点の6割を取る必要があり、電卓なしの計算と範囲の広さが難しさの中身です。

一陸技(第一級陸上無線技術士)の合格率は、総務省の集計で令和6年度(2024年度)24.0%でした。受験した5,914人のうち、資格まで届いたのは1,420人です。この記事では、その数字が何を数えているのか、どの科目で何点取れば合格なのか、勉強時間をどう見積もるのかを、日本無線協会と総務省の資料だけを根拠に整理します。

合格率の表を前に考え込む受験生と、4科目の札を指す先生の挿絵
4科目すべてで合格点を取ると資格になります。科目合格を積み上げる道もあります。

一陸技はどんな試験か(4科目・時間・合格点)

一陸技は、電波法施行令で操作の範囲が「無線設備の技術操作」と定められている、陸上無線技術士の上位の資格です。試験科目は無線従事者規則で無線工学の基礎・無線工学A・無線工学B・法規の4科目と決まっています。

試験は年2回、7月期と1月期です。会場での筆記試験で、問題は多肢選択式です。筆記用具はHBかBの鉛筆(またはシャープペンシル)と消しゴムを持参します。日本無線協会の案内では、試験中は電卓などの計算器具も使えません。計算問題は手計算で解く前提です。

一陸技の試験科目(令和8年7月期の合格基準より)

問題数試験時間満点合格点
無線工学の基礎25問(A20・B5)2時間30分125点75点
無線工学A25問(A20・B5)2時間30分125点75点
無線工学B25問(A20・B5)2時間30分125点75点
法規20問(A15・B5)2時間100点60点

A問題は1問5点の五肢択一です。B問題は1問5点で、ア〜オの小設問が各1点の穴埋めです。つまり、どの科目も満点の6割が合格点です。日程は2日に分かれ、1日目の午前が無線工学の基礎、午後が法規、2日目の午前が無線工学A、午後が無線工学Bです。

直近の試験(日本無線協会の試験案内より)

  • 日程 令和9年(2027年)1月期は1月19日(火)・20日(水)。申請受付は令和8年(2026年)11月1日〜20日
  • 試験手数料 18,800円(令和8年10月1日版の試験案内。改定前は16,500円)。ほかに振込の手数料308円
  • 試験地 東京・札幌・仙台・長野・金沢・名古屋・大阪・広島・松山・三豊・熊本・福岡・那覇(令和8年度の案内。1月期は福岡なし)

申請は日本無線協会のホームページから電子申請で行い、顔写真の登録が必要です。受験票は試験日の約1か月前に電子メールで届き、試験結果は試験終了後おおむね3週間以内に電子メールで通知されます。手数料は申請受付期間を過ぎると返金されず、当日欠席しても次回に回せないので、受ける期は申請前に決めておきましょう。

合格率は2〜3割:年度ごとの数字

合格率は日本無線協会ではなく、総務省の情報通信統計データベース「無線従事者試験の実施結果」に年度ごとに載っています。年度は4月〜翌3月なので、令和6年度は2024年7月期と2025年1月期の合計です。確認できた年度を並べます。

一陸技と二陸技の合格率(総務省 無線従事者試験の実施結果)

一陸技 受験者一陸技 合格者一陸技 合格率二陸技 合格率
令和元年度(2019年度)5,162人1,646人31.9%35.5%
令和3年度(2021年度)7,292人1,847人25.3%32.4%
令和5年度(2023年度)6,095人1,262人20.7%27.4%
令和6年度(2024年度)5,914人1,420人24.0%28.2%
一陸技の合格率を令和元年度・3年度・5年度・6年度で並べた棒グラフ
確認できた4年度では20.7%〜31.9%。令和2年度と4年度は一次資料を確認できず載せていません。

令和2年度と令和4年度は、一次資料の表を確認できなかったので載せていません。確認できた4年度では20.7%〜31.9%の幅で、直近2年度は2割台前半です。

ひっかけ

この合格率は「1回で4科目に受かった人の割合」ではありません。分母の受験者には、科目合格を持っていて残りの科目だけ受けた人も入り、分子の合格者には、何回かに分けて4科目をそろえた人も入ります。全科目免除の人(令和6年度は59人)は、どちらにも数えていません。

同じ統計には棄権者数もあります。令和6年度は申請者6,948人のうち1,034人、約15%が申し込んだのに受けていません。棄権の理由は統計からはわかりません。ただ、手数料は棄権しても戻らないので、受験の計画は、申し込む前に科目単位で立てておくほうが無駄がありません。

難しさの中身:何が受験生を落とすのか

一陸技の難しさは、合格率の数字よりも試験の作りにあります。1つ目は4科目すべてで6割が必要なことです。合計点ではないので、得意科目で苦手科目を埋めることはできません。

2つ目は時間と計算です。工学の3科目は150分で25問、法規は120分で20問で、どれも1問あたり6分です。工学では、交流回路の複素数、デシベルの換算、アンテナの利得や伝搬損失の計算が、電卓なしで出ます。式を覚えているだけでは足りず、手で速く正しく計算できる必要があります。

3つ目は範囲の広さです。令和8年(2026年)の出題を見ると、無線工学の基礎は電磁気・電気回路・半導体と電子回路・計測、無線工学Aは変調と送受信機・電源・衛星やレーダーなどのシステム・測定、無線工学Bはアンテナ・給電線・導波管・電波伝搬が中心です。電気の基礎から実務の設備まで、1つの資格で問われます。

一方で、対策の手がかりははっきりしています。日本無線協会は各期の試験問題と正答をホームページで公表しており、出題のテーマには繰り返しが多くあります。範囲が広くても、過去問で何がどの形で出るかを知ってから教科書に戻れば、勉強する範囲を絞れます。

ポイント

B問題は穴埋め5箇所が各1点です。全部わからなくても、語群から確実なものを埋めれば部分点が入ります。空欄のまま出すのは損です。

科目別の難しさ:わかること・わからないこと

科目別の合格率は、確認した日本無線協会と総務省の公表資料には載っていません。「○○が一番難しい」という数字の比較は、一次資料ではできないということです。そのかわり、合格点の作りから科目ごとの戦い方は計算できます。

合格点から逆算した目安

  • 工学3科目(125点中75点) A問題だけで合格するなら20問中15問。A問題で12問(60点)なら、B問題で25点中15点が必要
  • 法規(100点中60点) A問題だけで合格するなら15問中12問。A問題で9問(45点)なら、B問題で25点中15点が必要

法規は電波法と関係する規則の条文が範囲で、覚える範囲が決まっています。計算はほとんどなく、条文の言い回しや数字を正確に覚えた人が点を取ります。工学は、基礎で学ぶ回路や電磁気の考え方を、工学A・Bで設備に当てはめて使う作りです。基礎の弱さは工学A・Bにも響くので、工学3科目は別々の試験というより、つながった1つの山と考えると計画を立てやすくなります。

4科目を1回でそろえる必要はありません。合格点を取った科目は、その試験の翌月から3年以内の試験で免除を申請できます(無線従事者規則6条)。1回目は法規と基礎、2回目は工学AとB、のように分けて受ける計画も立てられます。科目の順番と計画の立て方は、別の記事「一陸技の科目合格制度と勉強の順番」でくわしく書いています。

試験ではここ

A問題は同じテーマが形を変えて繰り返し出ます。過去問を何期分も解くと、「この図はブリッジの平衡」「この式はフリスの伝達公式」と、テーマの見分けが速くなります。

ほかの資格と比べると

近い分野の国家試験と、合格率だけを並べます。どれも年度の一次資料の数字です。

合格率の比較(年度は各機関の集計)

令和6年度(2024年度)補足
第一級陸上無線技術士24.0%総務省の集計。4科目、科目合格あり
第二級陸上無線技術士28.2%総務省の集計。科目は一陸技と同じ4科目
第三種電気主任技術者16.4%電気技術者試験センターの集計(上期・下期の合計)。令和7年度は13.0%

合格率だけ見ると、一陸技は電験三種より高く、二陸技より少し低い数字です。ただし受験者の層も試験の仕組みも違うので、この数字だけで難易度の上下は決められません。二陸技は科目名が一陸技と同じなので、二陸技を経てから一陸技を受けるか、最初から一陸技を受けるかを決める材料にはなります。

ただし、科目合格は受けた資格の中でしか使えません。無線従事者規則6条は「当該資格の国家試験」を受ける場合に免除すると定めているので、二陸技で合格点を取った科目が、そのまま一陸技の科目合格になるわけではありません。二陸技を経由するなら、二陸技の資格を取り切ってから一陸技に進む計画になります。

勉強時間の見積もり方

一陸技の勉強時間について、公的な統計はありません。ネットで見る「○○時間」は個人の体験か推定で、電気の学習歴によって大きく変わります。そこで、時間を他人の数字から借りるのではなく、自分で測って見積もる方法をすすめます。

自分の勉強時間を見積もる手順

  1. 過去問1期分のうち、1科目(工学ならA問題20問)を解き、解説を読み終えるまでの時間を測る
  2. その時間を、解くつもりの期数と周回数で掛ける(例:1科目1期分に3時間かかり、5期分を2周するなら30時間)
  3. 4科目それぞれで同じことをして合計し、1日に使える時間で割って、試験日までに間に合うかを見る
  4. 間に合わない科目は、今回は見送って次の期に回す(次の記事で書く科目合格を使う)

最初の1期分は時間がかかり、2周目からは速くなります。見積もりは2〜3週間ごとに測り直してください。

学習歴による差がいちばん出るのは無線工学の基礎です。電気・電子の学校で回路や電磁気を学んだ人は、基礎の多くを復習で済ませられます。ゼロから始める人は、複素数・三角関数・対数(デシベル)の計算から積み上げる時間を別に見込んでください。なお、総務大臣の認定を受けた学校等を卒業した人は、卒業から3年以内なら無線工学の基礎などの試験が免除される制度があります(無線従事者規則7条)。該当するかは卒業した学校で確認できます。

試験日から逆算して、どの期にどの科目を受けるかを決めることが、時間の見積もりそのものより大事です。

ブートラボでの進め方

無線通信ブートラボには、一陸技の令和8年(2026年)1月期・7月期の過去問のA問題(無線工学の基礎20問・無線工学A20問・無線工学B20問・法規15問、各期)が入っています。B問題は穴埋めの形式が合わないため、まだ収録していません。

  • 過去問演習 科目ごとに1問ずつ解き、全肢の解説を読む。図や式のある問は原本の画像つき
  • SRS復習 ×をつけた問題や、むずいと答えた問題が、忘れかけた頃に復習キューへ戻ってくる
  • 本試験形式の通し 1期分を終わるまで正誤を出さずに解く。A問題だけのセットなので、合格ラインは6割で換算
  • 用語集 一陸技の工学の用語(基礎・工学A・工学B)を図つきで確認できる。問題の解説からも開ける
  • 講義「作ってわかる AM 受信機」 受信機を一段ずつ組み立てながら、工学Aの受信機の問題につながる考え方を体験する

おすすめの使い方は、最初に1期分を本試験形式の通しで解いて今の得点を知り、6割に届かない科目を過去問演習とSRS復習で詰めることです。解説で知らない言葉が出たら用語集で図を見て、受信機のしくみがつかめないときは講義に寄り道してください。B問題は収録していないので、日本無線協会が公表している問題で別に練習してください。

まず1科目の過去問を1期分解いて、かかった時間を測ってください。それが上の見積もりの出発点になります。

よくある質問

一陸技の合格率はどれくらいですか?

総務省の集計で令和6年度(2024年度)は24.0%(受験者5,914人、合格者1,420人)です。確認できた令和元・3・5・6年度では20.7%〜31.9%でした。

一陸技の合格点は何点ですか?

無線工学の基礎・無線工学A・無線工学Bは125点中75点、法規は100点中60点です。どの科目も満点の6割で、4科目すべてで合格点が必要です。

一陸技の勉強時間は何時間必要ですか?

公的な統計はなく、電気の学習歴で大きく変わります。過去問1期分を解くのにかかる時間を測り、解く期数と周回数を掛けて自分で見積もる方法をすすめます。

一陸技の試験で電卓は使えますか?

使えません。日本無線協会の試験案内で、電卓などの計算器具は使用できないとされています。計算問題は手計算で解く練習が必要です。

科目別の合格率は公表されていますか?

確認した日本無線協会と総務省の公表資料には、科目別の合格率は載っていません。年度ごとの資格全体の受験者数・合格者数・合格率が総務省の統計にあります。

過去問を1問ずつ、解説つきで。無線通信ブートラボは無料で始められます。

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