無線通信ブートラボ
第1回 / 全16回 法規

モールスは差のある文字から読む

法規の問15・16は毎回モールス符号の判読です。全部を解読せず、肢と肢の違う位置だけを読んで、2問を2〜3分で取る方法を身につけます。

12分 確認問題 3問 図 6枚 この回で取れる問題 8問
この回のゴール

英数字の文字列に合うモールス符号を、4つの肢の中から違う位置を手がかりに選べるようになる。

この回でつくる

4つの符号列の中から、「2AGIRO」のような英数字の文字列に合うモールス符号を選ぶ問題。例題3回分ではすべて問15と問16がこの型で、毎回2問出ています。

STEP 1まず1問、見てみる

先生
先生

法規の問15・16は毎回この型。符号表が頭に入っていれば、確実に取れる2点です。

例題No.1 法規 問15は「2AGIRO をモールス符号で表したものはどれか」という問題です。肢は4つとも、6つの符号を空白で区切って並べたものです。

問題例題No.1 法規 問15

2AGIRO をモールス符号で表したものは、次のどれか。(注 モールス符号の点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある。)

  1. 1--・・・ ・- -・ ・・ ・-・ ---
  2. 2--・・・ ・- --・ ・・ ・-・ ・---
  3. 3・・--- ・- -・ ・・ ・-・ ・---
  4. 4・・--- ・- --・ ・・ ・-・ ---

問題には「点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある」と注があり、空白は文字の区切りだと読んでかまいません。

迷うのは、4つの肢がよく似ていることです。肢を見比べると、どれも6文字のうち3文字は4肢とも同じで、肢によって違うのは1文字目・3文字目・6文字目だけでした。

頭から1文字ずつ全部を解読していくと、4肢×6文字で24個の符号を読むことになり、1問に何分もかかります。しかも途中で一度読み違えると、どこで間違えたのか分からなくなります。

法規は16問中11問以上で合格です。この型は毎回2問あり、符号表さえ頭に入っていれば確実に取れる2点です。逆にここを落とすと、残り14問から11問を取らなければならず、余裕が一気になくなります。

この回では、違う位置だけを読んで肢を切り、最後に残った1つを全体照合するという手順を身につけます。必要なのは、符号を「聞き取る」力ではなく、紙の上で「見分ける」力です。音で受信する練習はしなくてかまいません。

4アマの操作の範囲は、電波法施行令3条で「モールス符号による通信操作を除く」とされています。3アマにはこの除外がありません。3アマを取ると、モールスで交信してよい資格になるということです。

虫眼鏡でQとYの符号を見比べる先生のイラスト。
見るのは全部ではなく、違うところだけ

STEP 2覚えること

先生
先生

数字は5要素で、規則は1つだけ。表を丸暗記せず、規則から組み立てます。

モールス無線通信には、無線局運用規則の別表第一号に掲げるモールス符号を使うと定められています(運用規則12条)。試験で問われるのは、このうち欧文のA〜Zと数字の0〜9です。

別表第一号の注には、点・線の長さと間隔も書かれています。試験の肢ではこれが簡略化され、文字の間が空白になっているわけです。

長さと間隔(別表第一号の注)

  • 線の長さ 点3つ分
  • 1つの符号の中の点と線の間隔 点1つ分
  • 文字と文字の間隔 点3つ分
  • 語と語の間隔 点7つ分

まず数字から覚えます。数字は全部が5つの要素でできていて、規則が一つしかありません。1〜5は点で始まり、点の数が数字と同じです。6〜0は線で始まり、線の数が「数字−5」です(0は線5本)。

たとえば2は点2つのあとに線3本で「・・---」、7は線2本のあとに点3つで「--・・・」になります。表を丸暗記するより、この規則から毎回組み立てるほうが速く、間違えません。

数字(運用規則 別表第一号)

符号読み方
1・----点1つ+線4本
2・・---点2つ+線3本
3・・・--点3つ+線2本
4・・・・-点4つ+線1本
5・・・・・点5つ
6-・・・・線1本+点4つ
7--・・・線2本+点3つ
8---・・線3本+点2つ
9----・線4本+点1つ
0-----線5本
数字1〜5は点で始まって線が減っていき、6〜0は線で始まって線が増えていく様子を2段に並べた図。
数字は5つの要素。1〜5は点で始まり、6〜0は線で始まる

この規則から、数字の取り違えはすぐに切れます。例題とオリジナル問題で入れ替えられていた数字の組は、2と7、3と7、3と8、4と6、1と9でした。どの組も、片方は点で始まり、もう片方は線で始まります。

数字は先頭の1要素を見るだけで、どちらかが決まります。

もう一つ、数字が英字とすり替えられることもあります。5(・・・・・)の代わりにH(・・・・)、1(・----)の代わりにJ(・---)が置かれていました。

先頭は同じなので、先頭だけでは切れません。ここで「数字は必ず5要素」が効きます。要素が4つしかなければ、それは数字ではありません。

先生
先生

5とH、1とJは先頭が同じ。迷ったら要素が5つあるかを数えてください。

次に英字です。英字は要素が1〜4個です。初日はE・T・I・M・S・O・H・A・N・U・D・R・Kの13字で十分です。点だけ・線だけの字(E・I・S・H と T・M・O)は要素の数を数えれば読めます。

残りは毎日数字と一緒に少しずつ足していき、翌日・3日後・7日後にもう一度書いてみます。下の表は、12問の肢で取り違えの相手にされていた字も並べたものです。

英字(運用規則 別表第一号)と、例題・オリジナル問題で取り違えの相手にされていた字

符号取り違えの相手
E・—
T-M(--)
I・・S(・・・)
M--T(-)、G(--・)
S・・・I(・・)
O---J(・---)
H・・・・5(・・・・・)
A・-—
N-・R(・-・)、G(--・)
U・・-V(・・・-)、F(・・-・)
D-・・B(-・・・)
R・-・N(-・)、L(・-・・)
K-・-X(-・・-)、C(-・-・)
W・--G(--・)、P(・--・)
G--・N(-・)、W(・--)、M(--)、Z(--・・)
B-・・・D(-・・)
C-・-・K(-・-)
F・・-・U(・・-)、L(・-・・)
J・---O(---)、1(・----)
L・-・・R(・-・)、F(・・-・)
P・--・W(・--)
Q--・-Y(-・--)
V・・・-U(・・-)
X-・・-K(-・-)
Y-・--Q(--・-)
Z--・・G(--・)

表の右の列を見ると、取り違えには型があります。

取り違えの2つの型

  • 要素を1つ足すか削る UとV、DとB、OとJ、RとL、KとC、GとZ
  • 要素の数は同じで、点と線を入れ替えたり並べ替えたりする NとR、GとW、QとY

QとYはどちらも線3本と点1つですが、点の位置がQは3番目、Yは2番目です。線の数を数えるだけでは区別できないので、点がどこにあるかを見ます。

覚えるときに便利なのが、逆から読むと別の字になる組です。片方を覚えればもう片方は逆順に書くだけです。

逆から読むと別の字になる組

  • A(・-)とN(-・)
  • D(-・・)とU(・・-)
  • G(--・)とW(・--)
  • B(-・・・)とV(・・・-)
  • F(・・-・)とL(・-・・)
  • Q(--・-)とY(-・--)
  • 数字の1と9、2と8、3と7、4と6(5と0は逆から読んでも同じ)

残るC・K・R・P・X・J・Zは、逆から読んでも同じになるか、英字にならない字なので、これだけは個別に覚えます。

練習は、紙にA〜Zと0〜9を書き出して符号を書き込むだけで足ります。最初は1日5分、間違えた字に印を付け、翌日は印の字から書きます。音で聞き取る練習や、速く打つ練習は、この試験の筆記には要りません。

似た符号の組(Q/Y、K/X、U/V、O/J、B/D、G/W)を2列に並べ、違う要素だけを色で囲んだ比較表。
似た字の組。違うのは囲んだところだけ

STEP 3肢の切り方

先生
先生

違う位置に印、数字から切る、残った1つを全部照合。この順番を毎回守ります。

例題No.1 法規 問15(2AGIRO)を、肢を1つずつ切ります。4つの肢を縦にそろえると、違う位置は1文字目、3文字目、6文字目の3か所です。数字があれば数字から見ます。

2AGIRO の肢を1つずつ切る

  1. ✕
    肢1 --・・・ ・- -・ ・・ ・-・ ---

    1文字目が線で始まる「--・・・」で7。2は点で始まる「・・---」なので、先頭で切れる。

  2. ✕
    肢2 --・・・ ・- --・ ・・ ・-・ ・---

    1文字目が肢1と同じ「--・・・」(7)。これも先頭で切れる。

  3. ✕
    肢3 ・・--- ・- -・ ・・ ・-・ ・---

    1文字目は2で合うが、3文字目が「-・」でN。Gは「--・」なので切れる。

  4. ○
    肢4 ・・--- ・- --・ ・・ ・-・ ---

    全体照合:・・---(2)、・-(A)、--・(G)、・・(I)、・-・(R)、---(O)。6文字ともそろう。

6文字目のO(---)とJ(・---)の違いは見なくても答えにたどり着きましたが、最後の全体照合で必ず目を通します。

例題では、間違いの肢はどれも2か所ずつ違っていて、違う位置は全部で3か所という作りでした。この作りなら2か所を確かめれば答えが1つに絞れます。ただし本番の問題が同じ作りとは限らないので、最後の照合は省きません。

4つの肢を縦に並べ、1文字目・3文字目・6文字目の列に色を付け、2か所の確認で3つの肢に×が付いていく様子を示した図。
違う列だけを読む。2列確かめると肢が1つ残る
問題用紙の4つの肢のうち、先頭が「--・・・」の2行に先生が赤ペンで×を付け、受験生がのぞき込んでいるイラスト。
数字があれば、数字の先頭から切る

もう1問、例題No.1 法規 問16(QVXMZBE8)です。違う位置は1文字目、3文字目、8文字目でした。数字の8から見て、次に1文字目のQを見ます。

QVXMZBE8 の肢を1つずつ切る

  1. ○
    肢1 --・- ・・・- -・・- -- --・・ -・・・ ・ ---・・

    全体照合:Q(--・-)、V(・・・-)、X(-・・-)、M(--)、Z(--・・)、B(-・・・)、E(・)、8(---・・)。3文字目もXで、K(-・-)ではない。

  2. ✕
    肢2 -・-- ・・・- -・- -- --・・ -・・・ ・ ---・・

    8文字目の8(---・・)は合うが、1文字目が「-・--」でY。Qは点が3番目の「--・-」なので切れる。

  3. ✕
    肢3 -・-- ・・・- -・・- -- --・・ -・・・ ・ ・・・--

    8文字目が点で始まる「・・・--」で3。8は線で始まるので切れる。

  4. ✕
    肢4 --・- ・・・- -・- -- --・・ -・・・ ・ ・・・--

    8文字目が肢3と同じ「・・・--」(3)。これも数字で切れる。

例題No.2 法規 問15(4GENKAI)も同じ順で解けます。1文字目の4は点で始まる「・・・・-」なので、「-・・・・」(6)で始まる肢3・肢4を切ります。

残る肢1と肢2は2文字目が違い、G(--・)なのは肢2、肢1は「・--」(W)です。肢2を全体照合すると最後もI(・・)で、S(・・・)ではありません。答えは肢2です。

本番で、ある字の符号がどうしても思い出せないこともあります。そのときは、その位置で切るのをやめて、違う位置のほかの字に移ります。違う位置が3か所あれば、どれか2か所が分かれば足ります。

それでも2肢が残ったら、残った2肢の違う字だけを、数字なら先頭、英字なら要素の数と点の位置で比べます。1問に3分以上かけそうなら印を付けて先へ進み、最後に戻ってきます。

STEP 4ひっかけ

先生
先生

見るのは3つ。先頭が点か線か、要素が5つあるか、点がどこにあるか。

ひっかけ

数字は2と7、3と8、3と7、4と6、1と9が入れ替えられます。先頭が点か線かで決まります。5とH、1とJのように数字が英字にすり替えられたときは、要素が5つあるかを数えます。英字はQとY(点の位置)、KとX、OとJ、UとV、BとD。符号の個数が問題の文字数と合っているかも確かめます。

黒板に「5=・・・・・」と「H=・・・・」を上下に並べ、先生が指示棒で点を1つずつ数えているイラスト。
要素が4つしかなければ、数字ではない
試験ではここ

この型は2問で合わせて2〜3分が目安です。全文を頭から解読しない。違う位置を探し、数字があればそこから切る。最後に残った1つだけを全体照合する。この順番を毎回同じにすると、本番で迷いません。

STEP 5自分で解く

確認問題

「N5U」をモールス符号で表したものはどれか。

確認問題

「-・-- --・-」の2文字は、順に何か。

確認問題

「7BJ」をモールス符号で表したものはどれか。

STEP 6今日のまとめ

先生
先生

符号表は1日5分、紙に書くだけ。間違えた字から、翌日また書きましょう。

今日おぼえたこと

  • 1〜5は点で始まり点の数が数字、6〜0は線で始まり線の数が「数字−5」。数字は必ず5要素。
  • 数字の取り違えは先頭で、英字とのすり替えは要素の数で切る。
  • 似た英字は「1要素の足し引き」(UとV、DとB、OとJ)か「並べ替え」(NとR、QとY)。
  • 逆から読むと別の字になる組(AとN、DとU、GとW、BとV、FとL、QとY)で、覚える量を減らす。
  • 解き方は、違う位置を探す→その位置だけ読んで切る→残った1つを全体照合。

次回は、この符号を使って実際に交信するときの「呼出し・応答・訂正」の手順を、会話の流れで覚えます。

本番の問題この回で取れるようになった問題

「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。

日本無線協会 CBT例題 法規 No.1 問15 2AGIRO をモールス符号で表したものは、次のどれか。 注 モールス符号の点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある。 解く → 日本無線協会 CBT例題 法規 No.1 問16 QVXMZBE8 をモールス符号で表したものは、次のどれか。 注 モールス符号の点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある。 解く → 日本無線協会 CBT例題 法規 No.2 問15 4GENKAI をモールス符号で表したものは、次のどれか。 注 モールス符号の点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある。 解く → 日本無線協会 CBT例題 法規 No.2 問16 7CRDTOU をモールス符号で表したものは、次のどれか。 注 モールス符号の点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある。 解く → 日本無線協会 CBT例題 法規 No.3 問15 EBINA4 をモールス符号で表したものは、次のどれか。 注 モールス符号の点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある。 解く → 日本無線協会 CBT例題 法規 No.3 問16 TUSHLMZ7 をモールス符号で表したものは、次のどれか。 注 モールス符号の点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある。 解く → ブートラボ オリジナル問題 法規 No.1 問15 5SAKURA をモールス符号で表したものは、次のどれか。 注 モールス符号の点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある。 解く → ブートラボ オリジナル問題 法規 No.2 問16 FXQDHV0 をモールス符号で表したものは、次のどれか。 注 モールス符号の点、線の長さ及び間隔は、簡略化してある。 解く →
次の回へ第2回 呼出し・応答・訂正を会話で覚える呼出し・応答で送る事項の回数、不確実な呼出しへの対応、K・AS・HHの使い分けを問う問題が取れるようになる。