電波法・施行規則の定義(電波・無線局・無線従事者・アマチュア業務)の穴埋めと、周波数の安定の条件・周波数測定装置の数字を選ぶ法規の問題。あわせて、工学の緩衝増幅器の位置と PLL の構成を回収します。
STEP 1まず1問、見てみる

定義の問題は「意味が合う語」ではなく「条文に書いてある語」を選びます。そこだけ意識して見てください。
電波法に規定する「無線局」の定義。「無線局」とは、無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。ただし、[ ]を含まない。[ ]に入る字句はどれか。
- 1発射する電波が著しく微弱なもの
- 2総務大臣が告示するもの
- 3受信のみを目的とするもの
- 4移動しないもの
微弱な電波の局は免許が要らないと知っている人ほど、1つ目に手が伸びます。
定義の問題は、条文の言葉そのものを問います。「意味が合っていそうな言葉」ではなく「条文に書いてある言葉」を選ぶので、定義ごとに入れ替えられやすい語と組で覚えるのが近道です。
周波数の安定は、法規の条文と工学の回路(緩衝増幅器・水晶発振器・PLL)が同じ話をしているので、この回でまとめて片付けます。

STEP 2覚えること

表の右列が「よく並ぶ誤りの語」です。これを見た瞬間に切れるようにしておきましょう。
まず電波法1条の目的です。「電波の公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進すること」。次に2条の定義と、施行規則3条1項15号のアマチュア業務を、入れ替えられる語と並べます。
定義と入れ替えられやすい語
| 定義の要点 | よく並ぶ誤りの語 | |
|---|---|---|
| 電波(法2条1号) | 300万メガヘルツ以下の周波数の電磁波 | 3,000、30万、3,000万メガヘルツ |
| 無線設備(法2条4号) | 無線電信、無線電話その他電波を送り、又は受けるための電気的設備 | 送るためだけ |
| 無線局(法2条5号) | 無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体。ただし、受信のみを目的とするものを含まない | 著しく微弱なもの、移動しないもの |
| 無線従事者(法2条6号) | 無線設備の操作又はその監督を行う者であって、総務大臣の免許を受けたもの | 管理、保守、検査 |
| アマチュア業務(施行規則3条1項15号) | 金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究その他総務大臣が別に告示する業務を行う無線通信業務 | 通信技術、電波科学、無線通信 |
無線局は「設備」と「人」の総体です。設備だけでも人だけでも無線局ではなく、受信専用の設備はそもそも無線局に入りません。「著しく微弱な電波の局」は4条1号の免許が要らない無線局で、無線局であること自体は変わりません。定義の除外と、免許の要否は別の話です。

周波数の安定は無線設備規則15条です。項ごとに主語と原因が対になっています。
周波数の安定のための条件(設備規則15条)
| 主語 | 条件 | |
|---|---|---|
| 1項 | 送信装置 | できる限り電源電圧又は負荷の変化によって発振周波数に影響を与えないもの |
| 2項 | 発振回路の方式 | できる限り外囲の温度若しくは湿度の変化によって影響を受けないもの |
| 3項 | 移動局(移動するアマチュア局を含む)の送信装置 | 実際上起り得る振動又は衝撃によっても周波数をその許容偏差内に維持するもの |
周波数の許容偏差の値そのものは、設備規則5条が別表第一号で定めるとしていて、15条はその範囲に収めるための条件です。

15条は主語で項が決まります。肢の主語に線を引いてから、原因の語を照合しましょう。
周波数測定装置の数字は別の条文です。電波法31条は、総務省令で定める送信設備に「その誤差が使用周波数の許容偏差の2分の1以下である周波数測定装置」を備え付けるよう定めます。
備付けが要らない送信設備(施行規則11条の3から抜粋)
ここで大事なのは、0.025 パーセントが測定の誤差の数字であって、送信機の周波数の許容偏差ではないことです。例題No.1 法規 問3 はこの数字を問う問題で、肢には 0.1・0.01・0.05・0.025 が並びます。
なお、この例題の括弧書きは「9 kHz を超え 526.5 kHz の電波を除く」という古い形で、現行の条文はその帯域に 0.005 パーセントという別の数字を定めています。

工学側に移ります。送信機は、発振器→緩衝増幅器→周波数逓倍器→励振増幅器→電力増幅器の順に並びます。
緩衝増幅器は発振器のすぐ後ろに置き、後段の負荷の変化が発振器に伝わって周波数が動くのを防ぎます。法規の「負荷の変化によって発振周波数に影響を与えない」を回路で実現しているのがこの段です。
逓倍器は周波数を整数倍にする回路で、6 MHz を3逓倍すれば 18 MHz です。
水晶発振器は周波数の安定度が高い反面、1つの水晶で出せる周波数をほとんど変えられません。PLL(位相同期ループ)は、水晶の安定さと周波数を自由に選べる便利さを両立させる発振器です。
基準水晶発振器の信号と、電圧制御発振器(VCO)の出力を可変分周器で 1/N にした信号を位相比較器で比べ、その差を低域フィルタ(LPF)でならして直流の制御電圧にし、VCO に戻します。
ループが落ち着くと、分周した信号が基準とそろうので、出力は基準周波数の N 倍になります。
分周比 N を変えると出力周波数が基準周波数の刻みで変わる。たとえば基準 10 kHz、N = 1,440 なら 14.4 MHz

STEP 3肢の切り方

定義の穴埋めは、正解を探すより「条文にない語」を消すほうが速く確実です。
オリジナルNo.1 法規 問1(無線局の定義の除外)を切ります。除外を述べているのは2条5号のただし書だけです。
無線局の定義の除外を1肢ずつ切る
同じ形で、オリジナルNo.2 法規 問1 は「300万」、オリジナルNo.3 法規 問1 は「監督」、例題No.3 法規 問1 は「無線技術」を選びます。どれも似た語との入れ替えなので、表の右列の語を見たら即座に切ってください。
オリジナルNo.2 法規 問3(周波数の安定の条件)は主語が「送信装置」なので15条1項の「電源電圧又は負荷の変化」。「温度又は湿度の変化」は2項の発振回路の話なので、主語が違えば切れます。空中線の高さや送信時間の長短は15条にありません。
工学の例題No.1 問21(緩衝増幅器の配置)は、守る相手が発振器であることから決めます。緩衝増幅器の目的は、後段の負荷の変化を発振器に伝えないことです。
緩衝増幅器の配置を1肢ずつ切る
- ✕肢1 周波数逓倍器と励振増幅器の間
発振器から離れていて、発振器を後段から切り離せない。
- ✕肢2 励振増幅器と電力増幅器の間
これも発振器から離れていて、発振器を切り離せない。
- ✕肢3 音声増幅器の次段
変調側の低周波の段で、発振周波数とは関係がない。
- ○肢4 発振器の次段
発振器と次の段の間に置けば、後段の負荷の変化が発振器に伝わらない。

例題No.2 工学 問19(PLL の空欄)は、位相比較器と VCO の間に入るフィルタを選びます。VCO に渡したいのは位相差に応じた直流の制御電圧なので、低い周波数だけを通す LPF です。
HPF は直流を落としてしまい、BPF や BEF も直流を取り出す役には合いません。
STEP 4ひっかけ

「0.025 パーセント」を見たら測定の誤差。許容偏差の肢に混ぜてくるので気をつけて。
入れ替えられやすいのは、無線局/無線設備、監督/管理、300万 MHz/3,000 MHz、無線技術/通信技術、電源電圧又は負荷/温度又は湿度、緩衝増幅器/逓倍器、LPF/HPF。0.025 パーセントは測定装置の誤差で、送信機の許容偏差と混ぜないこと。

単位の換算も確かめておきます。300万メガヘルツは 3×10⁶ MHz で、1,000 MHz が 1 GHz なので 3,000 GHz です。肢の「3,000」がメガヘルツなのかギガヘルツなのか、単位まで読んでください。

定義の問題は1問20秒で取れる点源です。迷ったら条文の言葉を思い出すのではなく、表の右列の誤りの語を消していきます。工学の回路配置は「その回路が何を守るか」を1語で言ってから位置を選んでください。
STEP 5自分で解く
電波法でいう「電波」の周波数の上限 300万メガヘルツをギガヘルツで表すと、どれか。
1 GHz = 1,000 MHz なので、3,000,000 MHz ÷ 1,000 = 3,000 GHz。300 GHz と 30,000 GHz は桁を1つずつずらした値、3 GHz は 3,000 MHz のことで、定義の数字と単位を取り違えている。
施行規則11条の3に出てくるアマチュア局の「0.025 パーセント」は、何についての数字か。
6 MHz の水晶発振器の出力を3逓倍して送信する。逓倍後の周波数と、後段の負荷の変化を発振器に伝えにくくするため発振器の直後に置く回路の組合せはどれか。
3逓倍は周波数を3倍にするので 18 MHz、発振器を後段から切り離すのは緩衝増幅器。1は3で割った誤り、2は回路名が違い(励振増幅器は電力増幅器を駆動する段)、4は周波数も回路名も合わない。
STEP 6今日のまとめ
今日おぼえたこと
- 無線局は設備と人の総体で、受信のみを目的とするものを含まない。電波は300万 MHz(3,000 GHz)以下
- 無線従事者は「操作又はその監督」、アマチュア業務は「個人的な無線技術の興味」
- 周波数の安定:送信装置は電源電圧又は負荷、発振回路は温度又は湿度、移動局は振動又は衝撃
- 0.025 パーセントは周波数測定装置の備付けを要しない条件の測定誤差。許容偏差ではない
- 緩衝増幅器は発振器の直後。PLL は位相比較器→LPF→VCO、出力は基準の N 倍
これで16回が終わりました。最後に、残り1週間の使い方を確かめておきます。

16回、お疲れさまでした。ここからは初見の問題で、本番の時間配分を体に入れていきましょう。
STEP 7第4週の仕上げ方
- まだ解いていない問題から 講義で扱った問題は答えを知っているので、点数を初見の実力と見なしません。演習の設定で「未解答」を選び、残りの問題を先に解きます。
- 本試験形式の通しで 「本試験形式の通し」で法規(16問)と工学(14問)をそれぞれ1回分ずつ、合わせて70分以内を目安に解きます。配分の目安は法規25分・工学25分・見直し20分。合格は法規11問以上、工学9問以上をそれぞれ取ることです。
- 誤答の理由を言えるか 間違えた問題は、正解の根拠と、選んだ肢がなぜ違うかを1行で書けるまで見直します。言えない問題はその型の回に戻ります。
- 目標と毎日の復習 連続2セットで法規13問・工学11問を目標にします。モールスの判読は毎日5分続けます。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。