STEP 1まず1問、見てみる

まだ答えは出さなくて大丈夫。並んだ語が「どの素子の言葉か」だけ眺めてみましょう。
接合形の電界効果トランジスタ(FET)は、[A]を変化させることにより[B]を変化させ、[C]が変化する働きがある。正しい組合せはどれか。
- 1A:ゲート電流 B:反転層 C:ドレイン電流
- 2A:ゲート電流 B:空乏層 C:コレクタ電圧
- 3A:ゲート電圧 B:反転層 C:コレクタ電圧
- 4A:ゲート電圧 B:空乏層 C:ドレイン電流
どれも教科書で見た語なので、読むほど迷います。迷う原因は知識不足より、バイポーラトランジスタの語と FET の語、接合形の語と MOS 形の語が同じ肢に混ぜてあることです。
語ごとに「どの素子の言葉か」を判定できれば、知らない語が1つあっても肢は切れます。この回は、その判定表を頭に入れ、論理回路の真理値表を4行で書けるようにします。
2入力の NAND 回路で、出力が 0 になる入力 X、Y の組合せはどれか(1 は電圧の高い状態、0 は低い状態)。
- 1X=0、Y=0
- 2X=0、Y=1
- 3X=1、Y=0
- 4X=1、Y=1
もう1問の代表がこちらです。暗記より手順の問題で、真理値表を1行ずつ書けば確実に取れます。

STEP 2覚えること
ダイオードは P 形と N 形の半導体をつないだ PN接合 です。P 側に正、N 側に負の電圧を加えるのが順方向で、電流がよく流れます。シリコンでは約 0.6〜0.7 V を超えると急に流れ出します。
逆に N 側を正にすると逆方向で、接合部の空乏層が広がり、電流はほとんど流れません。この一方向にだけ流す性質が整流と検波に使われます。
逆方向の使い方が2つあります。1つはバラクタダイオード(可変容量ダイオード)です。逆方向電圧を大きくすると空乏層が広がり、接合部の静電容量が小さくなります。電圧で容量を変えられるので、同調回路や VCO の周波数可変に使います。
もう1つはツェナーダイオード(定電圧ダイオード)です。逆方向電圧がある値(降伏電圧)を超えると電流が急に流れ、端子電圧がほぼ一定になります。これを定電圧回路に使います。
ダイオードの種類(3アマで出る範囲)
| 使う向き | 利用する性質 | 図記号の目印 | |
|---|---|---|---|
| 一般のダイオード | 順方向 | 一方向にだけ流す(整流・検波) | 三角と縦棒 |
| バラクタダイオード | 逆方向 | 逆電圧で静電容量が変わる | 縦棒にコンデンサの棒を重ねる |
| ツェナーダイオード | 逆方向 | 降伏後の電圧がほぼ一定 | 縦棒の両端が折れ曲がる |
名前の似た別物も一緒に出ます。バリスタは電圧で「抵抗」が変わる素子で、静電容量ではありません。トンネルダイオードは順方向の負性抵抗を使う素子で、逆方向の定電圧とは関係がありません。例題No.1 工学 問18 は、この4つを入れ替えた穴埋めです。

トランジスタ(バイポーラトランジスタ)の電極はエミッタ(E)・ベース(B)・コレクタ(C)です。エミッタから出たキャリアの大部分がコレクタに達し、ごく一部がベースから流れ出します。
だから電流の関係は次の1本だけ覚えれば足ります。小さなベース電流で大きなコレクタ電流を動かす、つまり電流で制御する素子です。
エミッタ電流はベース電流とコレクタ電流の和。ベース電流は3つの中でいちばん小さく、コレクタ電流の数十分の一から数百分の一ほど。IE が IC より小さくなる式(IE = IC − IB など)は符号の誤り
FET(電界効果トランジスタ)の電極はゲート(G)・ソース(S)・ドレイン(D)です。ゲートに加える電圧でドレイン電流を制御する電圧制御素子で、ゲートにはほとんど電流が流れません。
そのため入力インピーダンスが高く、前の段に負担をかけません。電流を運ぶキャリアは電子か正孔のどちらか一方だけなので、ユニポーラ形と呼ばれます。
FET には接合形と MOS 形があります。接合形 FET はゲートの PN接合 に逆方向電圧をかけ、空乏層の広がりで電流の通り道(チャネル)の幅を変えます。「反転層」は MOS 形 FET の説明に出てくる語なので、接合形の問題では使いません。
電極の対応(コレクタ→ドレイン、エミッタ→ソース、ベース→ゲート)
| バイポーラトランジスタ | FET | |
|---|---|---|
| キャリアを送り出す | エミッタ | ソース |
| キャリアを受け取る | コレクタ | ドレイン |
| 流れを制御する | ベース(電流で) | ゲート(電圧で) |

最後に論理回路です。1 は電圧の高い状態、0 は低い状態を表します。AND は入力が全部 1 のときだけ 1、OR は入力のどれか1つでも 1 なら 1、NOT は入力を反転します。
NAND は AND の後ろに NOT を付けたもので、全部 1 のときだけ 0。NOR は OR の後ろに NOT を付けたもので、全部 0 のときだけ 1 です。
記号では、AND は左辺がまっすぐで右側が半円の形、OR は左辺が内側に反って右端がとがった形です。出力側の小さな丸が反転を表します。
2入力の真理値表
| AND | OR | NAND | NOR | |
|---|---|---|---|---|
| X=0、Y=0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
| X=0、Y=1 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| X=1、Y=0 | 0 | 1 | 1 | 0 |
| X=1、Y=1 | 1 | 1 | 0 | 0 |
表を4列とも丸暗記する必要はありません。覚えるのは AND と OR の2列だけで、NAND と NOR はそれを1つずつ反転して作ります。入力が3つに増えても、NAND は全部 1 のときだけ 0、NOR は全部 0 のときだけ 1 です。
ツェナーダイオードは次回の電源回路(安定化)にも出てくるので、ここで「逆方向で電圧を一定にする素子」と結び付けておきましょう。
STEP 3肢の切り方

空欄は A から順に埋めなくていいんです。いちばん判定しやすい語から見て、肢を消しましょう。
例題No.2 工学 問18(接合形 FET の穴埋め)を、肢を1つずつ切って解きます。空欄の順ではなく、いちばん判定しやすい語から見ます。最初はCのコレクタ、次にAのゲート電流、最後にBです。
接合形 FET の穴埋めを1肢ずつ切る
- ✕
- ✕肢2 A:ゲート電流 B:空乏層 C:コレクタ電圧
コレクタはバイポーラトランジスタの電極名。FET の問題にコレクタが出た時点で切れる。
- ✕
- ○

例題No.3 工学 問18(電極の対応)も同じ考え方です。まずベースとゲートを結びます。ゲートをコレクタやエミッタに当てている肢はここで消えます。
次にエミッタとソース、コレクタとドレインを確かめます。ソースとドレインを逆にした肢が最後まで残りやすいので、「送り出す側どうし」で照合します。
「誤っているのはどれか」の形でも手順は同じです。オリジナルNo.3 工学 問19 は FET の記述4つから誤りを1つ選びます。電圧制御・入力インピーダンスが高い・ユニポーラ形の3つは FET の性質どおりです。
残る1つに「ベース」「コレクタ電流」というバイポーラの語が入っています。語の所属が混ざった肢が誤りです。
オリジナルNo.2 工学 問19(PN接合ダイオードの正しい記述)
- 「N 側に正で大きな電流」 逆方向なので誤り
- 「どちらの向きでも同じ電流」 整流作用を否定しているので誤り
- 「逆電圧を変えても容量は変わらない」 バラクタの原理を否定しているので誤り
- 「P 側に正で流れやすい」 順方向の説明どおり。これを残す
オリジナルNo.1 工学 問19(電流の関係式)は、IE がいちばん大きいことだけ確かめれば済みます。
IC = IE + IB は IC が IE より大きくなり、IB = IC + IE は最小のはずの IB が最大になり、IE = IC − IB は IE が IC より小さくなります。どれも大小関係で切れます。
オリジナルNo.3 工学 問20(NAND で出力 0 になる組合せ)は、真理値表を書く問題です。NAND は AND の結果を反転したもの。まず AND を4行書きます(00→0、01→0、10→0、11→1)。反転すると 1、1、1、0 です。
NAND の出力が 0 になる組合せを1肢ずつ切る
- ✕肢1 X=0、Y=0
AND は 0、反転して出力は 1。0 にならないので切る。
- ✕肢2 X=0、Y=1
AND は 0、反転して出力は 1。切る。
- ✕肢3 X=1、Y=0
AND は 0、反転して出力は 1。切る。
- ○肢4 X=1、Y=1
AND が 1 になる唯一の行で、反転して出力 0。NAND は全部 1 のときだけ 0。

例題No.3 工学 問19 は、2つの記号に X=1、Y=1 を入れたときの出力の組合せです。左の記号 A は左辺がまっすぐで丸がないので AND、出力は 1 です。
右の記号 B は OR の形で出力に丸があるので NOR、OR の結果 1 を反転して 0。「A が 1、B が 0」の組を選びます。B の丸を見落とすと「A が 1、B が 1」に引っかかります。
STEP 4ひっかけ
入れ替えられやすい組は、ゲート電圧/ゲート電流、空乏層/反転層、コレクタ/ドレイン、ツェナー/バラクタ、バラクタ/バリスタ、NAND/NOR。電流の式は IE = IB + IC だけが正しく、IC = IE + IB や IE = IC − IB は符号の入れ替えです。

この型は1問30秒が目安です。穴埋めは「その語はどの素子の言葉か」で先に切り、論理回路は計算用紙に4行の真理値表を書いてから肢を見ます。図の問題では、出力側の丸を指で押さえてから記号の名前を決めてください。
STEP 5自分で解く
2入力の NOR 回路で、出力が 1 になる入力 X、Y の組合せはどれか。
NPN 形トランジスタをエミッタ接地で使い、コレクタ電流 IC が 8 mA、ベース電流 IB が 0.2 mA であった。エミッタ電流 IE はいくらか。
半導体素子についての記述で、正しいものはどれか。
STEP 6今日のまとめ

4つとも口に出して言えたら合格ラインです。言えないものは表に戻ってくださいね。
今日おぼえたこと
- 順方向は P 側が正。逆方向の容量変化がバラクタ、降伏後の定電圧がツェナー
- IE = IB + IC。トランジスタは電流制御、FET はゲート電圧でドレイン電流を制御
- コレクタ→ドレイン、エミッタ→ソース、ベース→ゲート。反転層は MOS 形の語
- NAND は全部 1 のときだけ 0、NOR は全部 0 のときだけ 1。出力の丸が反転
次回は電源回路と測定器です。変圧器の巻数、整流のリプル、実効値と平均値、測定器の使い分けを、1問ずつ取れる形にします。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。

