スーパヘテロダイン受信機の各段(高周波増幅器・周波数混合器・局部発振器・中間周波増幅器・検波器・低周波増幅器)の働きと順番を問う問題、影像周波数を計算する問題、BFO・AGC・スケルチ・振幅制限器・周波数弁別器の働きを選ぶ問題。
STEP 1まず1問、見てみる

影像周波数は、公式より先に周波数軸を1本引くのがコツです。
当サイトのオリジナル問題No.1 工学 問23は、中間周波数455 kHzの受信機で7,100 kHzを受信しているときの影像周波数を問います。
中間周波数が455 kHzのスーパヘテロダイン受信機で7,100 kHzの電波を受信しているとき、影像周波数はいくらか。ただし、局部発振周波数は受信周波数より高いものとする。
- 16,190 kHz
- 26,645 kHz
- 37,555 kHz
- 48,010 kHz
4つとも、7,100と455を足したり引いたりして作れる数です。公式を丸暗記していると、どれも正しそうに見えます。
例題No.3 工学 問23は、FM受信機の周波数弁別器の働きを選ぶ問題です。
FM(F3E)受信機の周波数弁別器の働きはどれか。
- 1近接周波数による混信を除去する
- 2受信電波が無くなったときに生じる大きな雑音を消す
- 3受信電波の振幅を一定にして、振幅の変化を取り除く
- 4受信電波の周波数の変化を振幅の変化に変換し、信号を取り出す
どれもFM受信機の中のどこかの回路の説明で、全部が本当の文です。違うのは、どの箱の説明か、だけです。

どちらの型も、受信機の中を電波が通る順にたどれば解けます。この回は、信号の通り道を1本の線にし、それぞれの箱の仕事を一言で言えるようにします。
STEP 2覚えること

箱の仕事は一言で。「影像は高周波、近接は中間周波」がいちばん出ます。
スーパヘテロダイン受信機の通り道は、アンテナ→高周波増幅器→周波数混合器→中間周波増幅器→検波器→低周波増幅器→スピーカの順です。
局部発振器だけは本線に並ばず、横から周波数混合器に入る別の枝です。
各段の仕事

周波数の計算は、混合器が「差」を作ることから始めます。受信周波数をfRF、中間周波数をfIFとします。
局部発振周波数fLOを受信周波数より高く取る(上側)なら、fLO=fRF+fIFです。7,100 kHzを455 kHzに変えたければ、局部発振は7,100+455=7,555 kHz。
ところが、7,555 kHzとの差が455 kHzになる周波数は、もう1つあります。7,555+455=8,010 kHzです。この電波がアンテナから入ってくると、混合器は区別できずに455 kHzに変えてしまい、目的の信号と重なって聞こえます。
これが影像周波数による混信です。影像周波数は局部発振周波数をはさんで受信周波数の反対側にあり、受信周波数からは中間周波数の2倍離れています。

影像周波数の電波は、混合器に入る前に止めるしかありません。混合器を通ったあとは目的の信号と同じ中間周波数になっているからです。
だから影像周波数の混信を減らすのは混合器より前の高周波増幅器の同調回路で、近くの周波数の混信を除くのは混合器よりあとの中間周波増幅器です。
中間周波数を高くすると、影像周波数が受信周波数から遠くなり、高周波増幅器で除きやすくなります。

影像は混合器を通ったら見分けられません。止める場所は混合器より前です。

受信機には、本線のほかに補助の回路が付きます。名前と仕事を一対一で覚えます。
補助の回路
- AGC 自動利得制御。受信入力が強いときは増幅器の利得を下げ、出力をほぼ一定に保つ
- AFC 自動周波数制御。受信周波数のずれを自動で補正する。制御するのは周波数
- BFO ビート周波数発振器。電信(A1A)は音声成分を持たないので、中間周波数と少し違う周波数を混ぜて可聴音のうなりを作る。中間周波数455 kHzに456 kHzを混ぜれば1 kHzの音
- RIT(クラリファイヤ) 受信周波数だけを少しずらして、SSBの声の明りょう度を良くする
- 振幅制限器(リミタ) FM受信機で、受信信号の振幅を一定にして振幅の変化(雑音)を取り除く
- 周波数弁別器 FMの周波数の変化を振幅の変化に変えて、音声を取り出す。FMの検波器
- スケルチ 受信電波が無いときや極めて弱いときに出る大きな雑音を消す
FM受信機の本線は、中間周波増幅器のあとが振幅制限器→周波数弁別器→低周波増幅器になります。振幅制限器で高さをそろえてから、弁別器が周波数の変化を音声に戻します。
STEP 3肢の切り方
オリジナル問題No.1 工学 問23(影像周波数)を、数を作った式で切ります。先に局部発振周波数を出します。上側なのでfLO=7,100+455=7,555 kHz。影像周波数は局部発振をはさんで反対側です。
影像周波数を1肢ずつ切る
- ✕
- ✕
- ✕
- ○肢4 8,010 kHz
7,555+455=8,010 kHz(=7,100+2×455)。これが正解。

4つの肢は全部「作れる数」。どの式で作った数かを言えれば、もう迷いません。
例題No.3 工学 問23(周波数弁別器)は、4つの肢をFM受信機の箱に1つずつ戻します。
周波数弁別器の働きを1肢ずつ切る
同じ箱戻しは、ほかの問題にも効きます。例題No.1 工学 問23(AM受信機の出力を一定に保つ回路)は、RITは周波数の微調整、スケルチは無信号時の雑音、AFCは周波数のずれの補正なので、利得を制御するAGCが残ります。
例題No.2 工学 問22(中間周波増幅器の働き)は「増幅」と「近接周波数」の組。「復調」は検波器、「影像周波数」は高周波増幅器の仕事なので、その組は切ります。
ブロック図の順番を正す問題(例題No.3 工学 問22)は、本線の5つの箱の順序と、局部発振器が混合器に入ることを図の記号と照らします。
例題No.1 工学 問22(電信用受信機のBFO)は、名前のB(Beat)から入ります。電信の電波は搬送波を断続しているだけなので、そのまま検波しても「音」になりません。
中間周波数と少し違う周波数を混ぜてうなりを作るのがBFOで、正解は「受信信号を可聴周波信号に変換するための回路」です。
「水晶発振器を用いた周波数安定回路」は発振器一般の話、「第二局部発振器」はダブルスーパヘテロダインで第二中間周波数を作る別の発振器、「雑音を少なくする回路」はスケルチなどの仕事として切ります。
当サイトのオリジナル問題No.3 工学 問23(高周波増幅器の働き)も、A「信号対雑音比」、B「影像周波数」と、各段の仕事の表どおりに選べます。

STEP 4ひっかけ
入れ替えられやすい組。「影像周波数=高周波増幅器」と「近接周波数=中間周波増幅器」。「AGC=利得」と「AFC=周波数」。「スケルチ=無信号時の雑音」と「振幅制限器=振幅の変化」。「BFO=可聴音のうなり」と「第二局部発振器」。計算では、局部発振周波数そのものや、下側の影像周波数が肢に必ず混ざります。

影像周波数の計算は、問題用紙の余白に周波数軸を1本引き、受信・局部発振・影像の3点を455 kHz(問題の中間周波数)間隔で打ってから肢を見ます。上側か下側かの条件に下線を引くのを忘れないこと。30秒で取れる計算問題です。
STEP 5自分で解く

1問目は単位がMHzです。余白に周波数軸を引いてから計算してみて。
中間周波数0.455 MHzのスーパヘテロダイン受信機で14.200 MHzを受信している。局部発振周波数が受信周波数より高いとき、影像周波数はいくらか。
FM(F3E)受信機で、受信電波が無いときに出る大きな雑音を消す回路はどれか。
スーパヘテロダイン受信機で、影像周波数による混信を軽減するのに効果があるものはどれか。
STEP 6今日のまとめ
今日おぼえたこと
- 本線はアンテナ→高周波増幅器→周波数混合器→中間周波増幅器→検波器→低周波増幅器。局部発振器は混合器に横から入る
- 上側局発なら fLO=fRF+fIF、影像は fRF+2fIF(下側なら引く)
- 影像周波数は高周波増幅器、近接周波数は中間周波増幅器で除く
- AGC=利得、AFC=周波数、BFO=電信の可聴音、RIT=受信周波数の微調整
- FMは振幅制限器→周波数弁別器。無信号時の雑音はスケルチ
次回は妨害対策です。送信機で出た不要な電波を、どこで何を使って止めるかを、送信側と受信側に分けて整理します。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。