STEP 1まず1問、見てみる

計算は2行で終わるの。どの部品の、どの量を聞かれているかを先に指で押さえてね。
20 Ω と 30 Ω の抵抗を直列に接続し、両端に直流 10 V を加えた。30 Ω の抵抗の両端の電圧はいくらか。
- 12 V
- 24 V
- 36 V
- 410 V
計算は2行で終わります。それでも落とす人がいるのは、肢に「途中で出てくる別の数字」が並んでいるからです。4 V は 20 Ω 側の電圧、10 V は電源の電圧。
どの部品の、どの量を聞かれているのかを取り違えると、計算が合っていても点になりません。
電気基礎の問題は、式を覚えることより、何が共通で、何が分かれるかを図から読むことが先です。そのうえで、比例するのか反比例するのか、二乗か平方根かを確かめます。

STEP 2覚えること

接頭語は6つだけ。μ は 10⁻⁶、p は 10⁻¹²。式に入れる前に直すのよ。
最初に単位の接頭語です。μF のまま式に入れると、答えの桁がずれます。次の6つを使えれば足ります。
単位の接頭語
| 読み | 倍率 | |
|---|---|---|
| k | キロ | 10³ |
| M | メガ | 10⁶ |
| m | ミリ | 10⁻³ |
| μ | マイクロ | 10⁻⁶ |
| n | ナノ | 10⁻⁹ |
| p | ピコ | 10⁻¹² |
V は電圧〔V〕、I は電流〔A〕、R は抵抗〔Ω〕。I=V/R、R=V/I と変形して使う。10 V を 50 Ω に加えれば 0.2 A
直列は足すだけ(20 Ω+30 Ω=50 Ω)。並列は「積÷和」(30 Ω と 60 Ω なら 1,800÷90=20 Ω)。並列の合成抵抗は、小さいほうの抵抗よりさらに小さくなる
直列の回路では、どの抵抗にも同じ電流が流れ、電源の電圧が抵抗の大きさに比例して分かれます。これを分圧と呼びます。並列の回路では逆に、どの抵抗にも同じ電圧がかかり、電流が分かれます。
V は電源電圧、V_2 は R_2 の両端の電圧。大きい抵抗ほど大きい電圧を受け持つ。10 V×30/(20+30)=6 V。残りの 4 V が 20 Ω 側で、足すと電源の 10 V に戻る

P は電力〔W〕。どの形も同じもので、わかっている量に合わせて選ぶ。30 Ω に 0.2 A なら 0.2²×30=1.2 W、6 V×0.2 A でも 1.2 W
次はコンデンサです。コンデンサに蓄えられる電荷は、容量と電圧に比例します。
Q は電荷〔C〕、C は静電容量〔F〕、V は電圧〔V〕。8 μF に 2.5 V なら Q=8×10⁻⁶×2.5=2×10⁻⁵ C。μF は 10⁻⁶ F に直してから掛ける
コンデンサの接続は、抵抗と読み方が入れ替わるので注意します。並列なら電圧が共通で、容量は足し算。直列なら電荷が共通で、容量は「積÷和」になります。
6 μF と 3 μF なら、並列で 9 μF、直列で 18÷9=2 μF です。
抵抗とは逆で、コンデンサは並列が足し算、直列が積÷和。並列は電圧が共通なので、電荷は容量に比例して分かれる。直列は電荷が共通なので、電圧は容量に反比例して分かれる


ε は極板の間の物質の誘電率、S は極板の面積、d は極板の間隔。面積を広く、間隔を狭く、誘電率の大きい絶縁物を入れると容量が増える。間隔を広げると減る
電気と磁気の性質も、比例の向きだけ押さえれば選べます。二つの点電荷の間に働く力(クーロン力)は、電荷の積に比例し、距離の二乗に反比例します。同じ種類の電荷は反発し、違う種類は引き合います。
電界の中の電子も同じ考え方です。電子は負の電荷なので、電界の向きと逆向きに力を受けます(F=qE)。進行方向と平行な電界なら、力も進行方向の線上に働くので、向きは変わらず速さだけが変わります。
例題No.1 工学 問17 の図では、電界が左向き、電子が右へ進んでいるので、力は右向きで電子は加速されます。
コイルを貫く磁束が変化すると起電力が生じます。これが電磁誘導で、起電力の大きさは磁束が変化する割合(速さ)と巻数に比例します。磁束がどれだけ大きくても、変化しなければ起電力は生じません。
コイルに交流を流すと、電流の位相は電圧より 90 度遅れ、コンデンサでは 90 度進みます。
X_L はコイルの誘導リアクタンス、X_C はコンデンサの容量リアクタンス〔Ω〕。周波数が高いほど、コイルは電流を通しにくく、コンデンサは通しやすい
X_L と X_C が等しくなる周波数。L か C を4倍にすると √4=2 で f_0 は 1/2、9倍なら 1/3。周波数は LC の積の「平方根」に反比例する

共振周波数は LC の平方根に反比例。4倍で 1/2、9倍で 1/3 と倍率で覚えてね。

最後はデシベルです。電力の比を常用対数で表したもので、大きな倍率を足し算で扱えるようにしたものです。
電力が 2 倍なら約 3 dB、10 倍で 10 dB、100 倍で 20 dB、1,000 倍で 30 dB。dB の足し算は倍率の掛け算で、13 dB=10 dB+3 dB は 10×2=20 倍。電圧の比(同じ抵抗の条件)は 20log₁₀ を使い、電圧 10 倍が 20 dB

STEP 3肢の切り方

答えが出たら、残りの肢が「どの取り違えで出る数字か」も確かめると力がつくわよ。
冒頭のオリジナルNo.1 工学 問18 を解きます。図を読むと直列なので電流が共通。合成抵抗は 20+30=50 Ω、電流は I=10÷50=0.2 A です。
オリジナルNo.1 工学 問18 を1肢ずつ切る
- ✕肢1 2 V
回路のどの部分の電圧でもない。
- ✕肢2 4 V
0.2×20=4 V は 20 Ω 側の電圧。聞かれている部品が違う。
- ○肢3 6 V
0.2×30=6 V。4+6=10 で電源と一致するのが検算。
- ✕肢4 10 V
電源電圧そのもの。
オリジナルNo.2 工学 問18 は、直列共振回路のコンデンサの容量を4倍にしたときの共振周波数です。f₀ は √(LC) に反比例するので、√4=2 で 1/2 倍になります。
オリジナルNo.2 工学 問18 を1肢ずつ切る
- ✕肢1 4倍
C を増やすと周波数が下がる向きを、逆にした肢。
- ✕肢2 2倍
肢1と同じく、下がる向きを逆にした肢。
- ○肢3 1/2倍
f₀ は √(LC) に反比例。√4=2 で 1/2 倍。
- ✕肢4 1/4倍
平方根をとり忘れた肢。
例題No.3 工学 問17 は、直流電源に 8 μF と 2 μF のコンデンサがつながった回路で、8 μF の電荷が 2×10⁻⁵ C のときの 2 μF の電荷を問います。原図を見ると、2つのコンデンサは電源に並列です。
並列なので電圧が共通。V=Q÷C=2×10⁻⁵÷(8×10⁻⁶)=2.5 V。2 μF の電荷は Q=2×10⁻⁶×2.5=5×10⁻⁶ C で、肢1が答えです。
近道もあります。電圧が同じなら電荷は容量に比例するので、2/8=1/4 倍。2×10⁻⁵ の 1/4 で 5×10⁻⁶ です。
例題No.3 工学 問17 の肢を切る
- ○肢1 5×10⁻⁶ C
電圧 2.5 V が共通なので、2×10⁻⁶×2.5=5×10⁻⁶ C。
- ✕肢3・4 2 μF のほうが 8 μF より多く蓄えるとした値
電圧が同じなら電荷は容量に比例する。容量の小さい 2 μF が多く蓄えることはなく、比を逆にした誤り。
オリジナルNo.3 工学 問18 は、出力電力が入力の 100 倍のときの電力利得。100=10² なので 10×2=20 dB で肢2です。
10 dB は 10 倍、40 dB は電力 10,000 倍か電圧 100 倍、100 dB は倍率をそのまま dB と書いた誤りです。
性質を選ぶ問題を一言で
STEP 4ひっかけ

肢の数字は、二乗と平方根、比と逆比を取り違えたときの値で作られているのよ。
肢の数字は、次のような取り違えをしたときに出る値で作られています。
取り違えの5パターン

電気基礎の計算は一段で終わるものが多いので、1問2分以内が目安です。式に入れる前に、単位を F・V・Ω・Hz にそろえ、答えが出たら肢の値を式に戻して検算します。倍率の問題は、数値を入れずに「2倍→1/4」「4倍→1/2」と倍率だけで解くほうが速く、間違いも減ります。
STEP 5自分で解く

倍率の問題は数値を入れずに、倍率だけで解くほうが速くて間違いも減るわ。
10 Ω と 20 Ω の抵抗を直列に接続し、両端に直流 12 V を加えた。20 Ω の抵抗の両端の電圧として、正しいものはどれか。
合成抵抗は 30 Ω、電流は 12÷30=0.4 A なので、20 Ω の電圧は 0.4×20=8 V です。4 V は 10 Ω 側の電圧、12 V は電源電圧で、6 V は半分ずつに分けた誤りです。4+8=12 で検算できます。
コイル L とコンデンサ C の共振回路で、L を変えずに C を 9 倍にした。共振周波数はもとの何倍になるか。
f₀=1/(2π√(LC)) なので、C が 9 倍になると √9=3 で、f₀ は 1/3 倍です。1/9 倍は平方根を忘れた値、3 倍と 9 倍は C を増やすと周波数が下がる向きを逆にした値です。
増幅器の電力利得が 13 dB のとき、出力電力は入力電力の約何倍か。
STEP 6今日のまとめ
今日おぼえたこと
- V=IR。直列は電流が共通で電圧が抵抗に比例して分かれ、並列は電圧が共通
- Q=CV。コンデンサは並列で足し算・電圧共通、直列で積÷和・電荷共通。C=εS/d
- クーロン力は距離の二乗に反比例、電磁誘導の起電力は磁束の変化の割合に比例、コイルの電流は電圧より 90 度遅れる
- 共振周波数 f₀=1/(2π√(LC))。L か C が4倍で 1/2、9倍で 1/3
- 電力利得は 10log:2倍≒3 dB、10倍=10 dB、100倍=20 dB。電圧は 20log
次回は半導体と論理回路です。ダイオードとトランジスタの端子名、AND・OR の真理値表を、図記号から読めるようにします。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。