「目的外使用の禁止」「電波の型式及び周波数」「空中線電力」「混信等の防止」「擬似空中線回路」「秘密の保護」「非常通信の定義と報告」の条文の[ ]を埋める問題と、その例外を選ぶ問題。どの条文にどの例外が付くかを、1行ずつ言えるようにします。
STEP 1まず1問、見てみる

穴埋めは、[ ]の前後の言葉で条文を当てるのが先です。
当サイトのオリジナル問題No.1 法規 問10は、空中線電力の規定の穴埋めです。
空中線電力は、遭難通信を行う場合を除き、免許記録に記録されているものの範囲内で、かつ、通信を行うため[ ]のものでなければならない。[ ]に入る字句はどれか。
- 1必要最大
- 2平均的
- 3適切な範囲内
- 4必要最小
どれも日本語としては通りますが、条文の言葉は1つだけです。

この型でやっかいなのは、条文が5本ほど並んでいて、どれも「ただし、〜については、この限りでない」という例外を持っていることです。
目的外使用の禁止には遭難・緊急・安全・非常通信などの長い例外があるのに、空中線電力の例外は遭難通信だけ。混ざって覚えていると、「非常通信なら免許記録の電力を超えてよい」のような誤った肢を正しく見てしまいます。
この回は、運用の制限を「何を縛るか」と「何が例外か」の2列の表にして、条文ごとに読み分けます。秘密の保護と非常通信は、言葉の置き換えに強くなるよう、条文の語をそのまま覚えます。
STEP 2覚えること

表の「例外」の列が本命。52条だけ長くて、53条・54条は遭難通信だけです。
運用の制限は、縛る中身で条文が分かれています。下の表の「例外」の列を、条文の中身と一緒に覚えてください。
運用の制限と例外(電波法)
| 守ること | 例外(ただし書き) | |
|---|---|---|
| 52条 目的外使用の禁止 | 免許記録の目的又は通信の相手方若しくは通信事項の範囲を超えて運用しない | 遭難通信・緊急通信・安全通信・非常通信・放送の受信・その他総務省令で定める通信 |
| 53条 | 設置場所・識別信号・電波の型式及び周波数は免許記録どおり | 遭難通信だけ |
| 54条 空中線電力 | 免許記録の範囲内で、かつ通信を行うため必要最小 | 遭難通信だけ |
| 55条 運用許容時間 | 免許記録の運用許容時間内でなければ運用しない | 52条各号の通信・総務省令で定める場合 |
| 56条 混信等の防止 | 他の無線局などの運用を阻害する混信その他の妨害を与えない | 遭難・緊急・安全・非常通信(52条1〜4号) |
| 57条 擬似空中線回路 | 機器の試験又は調整のときは、なるべく擬似空中線回路を使う | (「なるべく」の努力規定) |
| 59条 秘密の保護 | 特定の相手方に対する無線通信を傍受して、存在若しくは内容を漏らし、又は窃用しない | 法律に別段の定めがある場合 |
表を縦に見ると、規則が見えてきます。52条は「何のために・誰と・何を」の制限で、例外が一番広い。53条と54条は「どこで・どの名前で・どの電波で・どの強さで」という電波そのものの制限で、例外は遭難通信だけです。
56条の例外には放送の受信が入りません。電波を出さない受信が混信の原因にならないことを考えれば、自然な線引きです。
54条は2つの条件を同時に満たすことを求めます。1つ目は免許記録の範囲内、2つ目は通信を行うため必要最小。
免許記録の空中線電力が50 Wでも、10 Wで交信が成り立つなら10 Wにします。「免許された電力なら常に最大でよい」は、1つ目しか見ていない誤りです。

52条6号の「その他総務省令で定める通信」の最初には、施行規則37条1号の「無線機器の試験又は調整をするために行う通信」が挙がっています。
試験や調整で運用するときは、57条によりなるべく擬似空中線回路(ダミーロード)を使います。送信機の出力を電波として空間に出さず、抵抗で熱に変えてしまう装置です。
秘密の保護(59条)は、語を1つずつ確かめます。保護されるのは「特定の相手方に対して行われる無線通信」で、放送のような不特定の相手への通信は含みません。
禁じられているのは、傍受してその「存在若しくは内容を漏らし」、又は「窃用」することです。聞こえてきたこと自体を罰する条文ではなく、知った内容を人に漏らしたり、自分のために使ったりすることを禁じています。
例外に並ぶ4つの通信は、定義の軸が違います。まず52条1〜3号の3つです。
遭難・緊急・安全通信(52条1〜3号)
| どんな場合の通信か | 前置する信号 | |
|---|---|---|
| 遭難通信 | 船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥った場合 | 遭難信号 |
| 緊急通信 | 船舶又は航空機が重大かつ急迫の危険に陥るおそれがある場合その他緊急の事態 | 緊急信号 |
| 安全通信 | 船舶又は航空機の航行に対する重大な危険を予防するため | 安全信号 |
どれも、表の信号を前置するなどして行う通信です。3つとも主に船舶や航空機の危険が軸で、前置する信号で区別されます。これに対し非常通信は、地震や暴動などの非常の事態で有線通信が使えないことが軸です。

「非常」を「遭難」と同じものと読まないこと。非常通信の軸は、有線通信が使えないことです。
非常通信は52条4号の定義を3つの部品に分けて覚えます。
非常通信の3つの部品(52条4号)
- 事態 地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合
- 条件 有線通信を利用することができないか又はこれを利用することが著しく困難であるとき
- 目的 人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持
目的の4つは、74条で総務大臣が無線局に通信を行わせる場合の目的と同じ言葉です。
非常通信を行った後は報告です。電波法80条1号で、遭難通信・緊急通信・安全通信・非常通信を行ったときは、総務省令で定める手続により総務大臣に報告します。
手続は施行規則42条の5で、できる限りすみやかに、文書によって総務大臣又は総合通信局長に報告します。


STEP 3肢の切り方
オリジナル問題No.1 法規 問10(空中線電力)を切ります。「空中線電力」「遭難通信を行う場合を除き」「範囲内で、かつ」とあるので54条。[ ]は2つ目の条件に当たります。
空中線電力の穴埋めを1肢ずつ切る
- ✕肢1 必要最大
向きが逆。54条は大きさを最小に抑える条件。
- ✕肢2 平均的
大きさを最小に抑える意味を持たない。
- ✕肢3 適切な範囲内
大きさを最小に抑える意味を持たない。「範囲内」は1つ目の条件の言葉。
- ○肢4 必要最小
54条の2つ目の条件「通信を行うため必要最小」。これが正解。

「財産の保護」のように、それらしい語を1つ混ぜた肢がよく出ます。条文の語と1字ずつ照らして。
オリジナル問題No.2 法規 問10(非常通信の定義)は、目的の部品を問う穴埋めです。
非常通信の目的を1肢ずつ切る
- ○肢1 人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持
4つの目的がそろっている(52条4号)。これが正解。
- ✕肢2 人命の救助又は財産の保護
人命までは合っているが、「財産の保護」という語は定義にない。
- ✕肢3 電波の有効な利用の確保
電波法全体の目的(1条)を思わせる言い回しで、非常の事態と関係がない。
- ✕肢4 無線局の運用の継続
一般的な運用の話で、非常の事態と関係がない。
例題No.1 法規 問10(秘密の保護)は「[ ]に対して行われる無線通信」の穴埋めで、「すべての無線局」「すべての相手方」「特定の相手方」「総務大臣が告示する無線局」から選びます。
「すべて」が付く2つは、放送まで保護することになるので切れます。告示で対象を決める仕組みは59条にありません。正解は「特定の相手方」です。
例題No.1 法規 問9は、電波の型式及び周波数を「どの業務書類に記載又は記録されたところ」によるかを問います。53条の答えは免許記録です。
無線局事項書と無線局免許申請書は免許を申請するときの書類で、運用の根拠にはなりません。無線従事者免許証は人の資格の書類で、局の周波数は書かれていません。第5回の「局の書類と人の書類」の区別が、ここでもそのまま使えます。
オリジナル問題No.3 法規 問9(混信等の防止)は、「[ ]又は電波天文業務の用に供する受信設備その他の総務省令で定める受信設備で総務大臣が指定するもの」の穴埋めです。
56条の言葉は「他の無線局」。肢の「放送局」「外国の無線局」「国の機関の無線局」は、どれも他の無線局の一部にすぎず、条文が守る相手を狭めてしまいます。範囲を狭める肢は、条文の語の置き換えを疑って切ります。
例題No.3 法規 問5(非常通信の後の措置)は、報告先を問います。中央防災会議会長、市町村長、都道府県知事はどれも防災に関わる機関で、それらしく見えます。
しかし80条の報告先は総務大臣で、肢4「総務省令で定める手続により、総務大臣に報告する」が正解です。

STEP 4ひっかけ

いちばん多い罠は、52条の広い例外を53条・54条へ持ち込む肢です。
入れ替えられやすい語。「必要最小」と「必要最大」「適切」。「特定の相手方」と「すべての相手方」。「漏らし、又は窃用」と「傍受すること」そのもの。「人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持」と「財産の保護」。「総務大臣に報告」と防災機関への届出。そして「52条の広い例外」を53条・54条へ持ち込む肢。
穴埋めは、[ ]の前後の語から条文番号を先に決めます。「範囲を超えて」なら52条、「電波の型式及び周波数」なら53条、「必要」の前後なら54条、「他の無線局」なら56条、「なるべく」なら57条。条文が決まれば、肢は1つしか残りません。1問30秒以内で通過し、余った時間は工学の計算に回します。
STEP 5自分で解く

どの条文の話かを先に決めてから、肢を読んでみましょう。
免許記録の空中線電力が50 Wのアマチュア局が、10 Wで確実に交信できる相手と通信する。電波法54条に照らして正しい運用はどれか。
アマチュア局の免許人が非常通信を行った。電波法の規定により、報告する相手はどれか。
80条1号により、遭難・緊急・安全・非常通信を行ったときは総務大臣に報告します(施行規則42条の5では文書で総務大臣又は総合通信局長へ)。ほかの3つは防災や治安に関わる機関ですが、電波法の報告先ではありません。
アマチュア局の運用者が、他の局どうしの特定の相手方あての交信を受信した。電波法59条で禁止されている行為はどれか。
STEP 6今日のまとめ

今日おぼえたこと
- 52条(目的・相手方・通信事項)の例外は遭難・緊急・安全・非常通信・放送の受信など。53条(型式・周波数など)と54条(空中線電力)の例外は遭難通信だけ
- 空中線電力は「免許記録の範囲内」かつ「通信を行うため必要最小」
- 試験・調整は、なるべく擬似空中線回路(57条)
- 秘密の保護は「特定の相手方」への通信の存在・内容を「漏らし、又は窃用」しない(59条)
- 非常通信の目的は人命の救助・災害の救援・交通通信の確保・秩序の維持。行ったら総務大臣に報告(80条)
次回から工学に入ります。電波の型式の記号とAM・FM・SSBの送信機を、1枚の図につないで読みます。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。