変圧器の巻数や整流回路の名前・極性、交流の実効値と平均値、蓄電池の性質を選ぶ「電源」の問題と、SWR メータ・周波数カウンタ・テスタの使いみちを選ぶ「測定」の問題。工学の最後の2問によく並ぶ型です。
STEP 1まず1問、見てみる

式は1本だけです。どこで「求めた気」になってしまうか、そこを見ておきましょう。
二次側コイルの巻数が 10 回の電源変圧器の一次側に AC100 V を加えたところ、二次側に 5 V が現れた。一次側コイルの巻数は幾らか。
- 120 回
- 250 回
- 3100 回
- 4200 回
式は1本なのに、20 回を選ぶ人が少なくありません。100 ÷ 5 = 20 という「比」を出したところで、巻数を求めた気になってしまうからです。
電源と測定は、1問ごとの知識は小さいのに、数字の取り違えと器具の取り違えで落としやすい分野です。この回は前半で電源回路(変圧→整流→平滑)、後半で測定器を扱います。時間がなければ2回に分けて読んでもかまいません。

STEP 2覚えること

電源回路は「変圧→整流→平滑」の順番どおり。問題がどの段の話かを先に決めると迷いません。
電源回路は、交流を変圧して電圧を合わせ、ダイオードで整流して一方向の脈流にし、コンデンサとコイルで平滑して直流に近づける、という順に並びます。
さらに出力電圧を一定に保つ場合は、ツェナーダイオードや三端子レギュレータの安定化回路を後ろに足します。平滑と安定化は別の回路です。
一次と二次の電圧の比は巻数の比に等しい。電圧の高い側が巻数も多い。一次の巻数を求めるなら N1 = N2 × V1 ÷ V2
整流には、ダイオード1個で正の半周期だけを通す半波整流と、両方の半周期を同じ向きにそろえる全波整流があります。全波整流は、中点タップ付きの変圧器とダイオード2個の形か、ダイオード4個のブリッジの形です。
整流後に残る波打ち(リプル)の基本周波数は、半波なら入力と同じ f、全波なら 2fです。50 Hz の電源なら、半波で 50 Hz、全波で 100 Hz になります。全波のほうがリプルの山が倍の頻度で来るので、平滑しやすくなります。
平滑回路では、大容量のコンデンサが脈流の山で充電し、谷で放電して電圧のへこみを埋めます。直列に入れたチョークコイルは電流の変化を妨げ、リプルをさらに小さくします。
オリジナルNo.2 工学 問26 はこの穴埋めで、回路名に「安定化」、部品に「抵抗」や「水晶振動子」を混ぜてきます。

実効値と平均値も電源の問題で出ます。電源の「交流 100 V、2 A」のように大きさだけを言うときは、実効値を指します。正弦波の最大値を Vm とすると、実効値と平均値は次のとおりです。
実効値は最大値の 1/√2(約 0.707)倍、平均値は 2/π(約 0.637)倍。ここでの平均値は半周期(整流した波形)の平均。正と負を含む1周期全体で平均すると打ち消し合って 0 になる
家庭の 100 V は実効値なので、最大値は約 141 V、半周期の平均値は約 90 V です。0.707 と 0.637 はどちらも「0.6〜0.7」で紛らわしいので、実効値は √2、平均値は π と記号で覚え、入れ替えた肢を切ります。

蓄電池は数字と性質の組合せで出ます。鉛蓄電池は1セル(1個)の公称電圧が 2.0 V で、12 V の製品は6セルを直列にしたものです。ニッケルカドミウム蓄電池は 1.2 V です。
リチウムイオン蓄電池は1セル約 3.6〜3.7 V で 1.2 V より高く、自己放電が少なく、メモリー効果がないので継ぎ足し充電ができます。一方で、破損や変形による発熱・発火の危険があるので、充電は専用の充電器で行います。
蓄電池の比較
| 1セルの公称電圧 | 出題されやすい性質 | |
|---|---|---|
| 鉛蓄電池 | 2.0 V | 12 V は6セル直列 |
| ニッケルカドミウム蓄電池 | 1.2 V | 比較の基準として出る |
| リチウムイオン蓄電池 | 約 3.6〜3.7 V | メモリー効果なし・継ぎ足し充電可・発熱発火の危険あり |

後半は測定器です。器具の名前と「何を見るか」を1対1で結ぶだけ。計算はほぼありません。
後半は測定器です。3アマで問われるのは「その器具で何を見るか」の1点で、器具ごとに目的は1つに決まっています。
名前に「周波数」が入っていなくても、ディップメータは共振周波数を測る器具だという点に注意してください。逆に SWR メータには周波数を読む機能はありません。
測定器と使う場面
| 何を見るか | 使い方の要点 | |
|---|---|---|
| SWR メータ(定在波比測定器) | アンテナと給電線の整合 | 送信機と給電線の間に入れ、進行波と反射波から SWR を読む。1 に近いほど整合 |
| ディップメータ | 共振回路の共振周波数 | 測る回路に近づけて結合させ、指示が下がる(ディップする)周波数を読む |
| 周波数カウンタ | 周波数 | 一定時間に入るサイクル数を数える |
| テスタ(回路計) | 電圧・電流・抵抗 | 抵抗レンジは内蔵電池で測る |
| 擬似負荷(ダミーロード) | 電波を出さずに送信機を調整 | アンテナの代わりに送信電力を受けて熱にする |
ゲート時間は長いほど細かく読めます。1 秒なら 1 Hz 単位、0.1 秒なら 10 Hz 単位です。数えた数を時間で割るだけなので、ゲート時間が 1 秒でないときは割り算を忘れないでください。
アナログ式テスタで抵抗を測るときの注意は、オリジナルNo.1 工学 問30 でそのまま問われます。回路の電源を切り、コンデンサがあれば放電させてから測ります。
測る前に2本のテストリードを短絡して指針を 0 Ω に合わせる零オーム調整をし、レンジを切り替えたらやり直します。指針が読みやすい範囲に来るレンジを選び、終わったら OFF か交流電圧の最大レンジに戻します。

STEP 3肢の切り方

計算問題は、選んだ答えを式に戻して検算します。ほかの肢も同じ式で切れますよ。
まず例題No.2 工学 問29(変圧器の巻数)です。式は V1 / V2 = N1 / N2。電圧比は 100 ÷ 5 = 20 なので、一次の巻数は二次の 20 倍で、N1 = 10 × 20 = 200 回です。
変圧器の巻数を1肢ずつ切る

例題No.1 工学 問29 は、整流回路の図から名称と出力側 a 点の極性を選びます。図は、中点タップ付きの変圧器の両端にダイオードが1個ずつつながり、2つのダイオードのカソード(縦棒の側)が合流して a 点に出て、負荷を通って中点タップに戻る形です。
整流回路の名称と a 点の極性を1肢ずつ切る
- ✕
- ✕肢2 名称:半波整流回路 a 点の極性:正
極性は合っていても、名称が半波なので組合せとして誤り。
- ✕
- ○肢4 名称:全波整流回路 a 点の極性:正
名称も極性も合う。名前と極性を別々に決めると、半分ずつ消える。
極性の問題は、ダイオードの向きを半周期ずつ追えばどんな図でも解けます。もし図のダイオードが2個とも逆向き(アノードが a 点側)なら、電流は中点タップから負荷を通って a 点に向かい、そこからダイオードへ吸い込まれます。
負荷の a 点側が低い電位になるので、a 点は負です。図を見たら最初に「縦棒がどちらを向いているか」を確かめ、名前と極性を別々に決めてから組合せの肢を探します。

例題No.3 工学 問30(周波数カウンタの原理)は、周波数の定義に戻れば一瞬です。周波数は1秒あたりの繰り返しの回数なので、基準周波数で区切るのは時間、その中で数えるのはサイクル数です。
区切るものに「振幅」、数えるものに「電圧値」を入れた肢は、どれも周波数の定義から外れるので切れます。
例題No.1 工学 問30(SWR メータの使いみち)は、器具と目的の表で照合します。共振周波数ならディップメータ、送信周波数なら周波数カウンタ、寄生発射(スプリアス)ならスペクトルアナライザ。アンテナと給電線の整合を調べるときだけが SWR メータです。
例題No.2 工学 問30 は、電源の「100 V、2 A」が実効値であることを先に決め、平均値 2/π・実効値 1/√2 を入れ替えた肢を切ります。
例題No.3 工学 問29 は、リチウムイオン蓄電池が「1.2 V より高い・継ぎ足し充電ができる・発熱発火の危険がある」の3点セットです。
STEP 4ひっかけ

テスタの肢で「通電したまま抵抗を測る」と見えたら、その時点で誤りです。
入れ替えられやすいのは、巻数比の上下(比の 20 をそのまま巻数にする)、半波 f と全波 2f、0.637 と 0.707、実効値と平均値、平滑回路と安定化回路、SWR メータとディップメータ。テスタで「通電したまま抵抗を測る」は誤りの定番です。

計算は1段で終わる問題ばかりです。式を書いたら、選んだ答えを式に戻して検算してから次へ進みます。測定器の問題は器具の名前と目的を1対1で結び、目的が2つ書いてある肢は疑ってください。
STEP 5自分で解く
60 Hz の交流を全波整流したとき、出力に残るリプルの基本周波数はいくらか。
周波数カウンタのゲート時間を 0.01 秒にしたところ、その間に 100,000 サイクルを数えた。被測定信号の周波数はいくらか。
f = N ÷ T = 100,000 ÷ 0.01 = 10,000,000 Hz = 10 MHz。100 kHz はゲート時間で割り忘れた値、1 MHz と 1 GHz は桁の取り違え。
最大値が約 141 V の正弦波交流の、実効値と(半周期の)平均値の組合せとして正しいものはどれか。
STEP 6今日のまとめ

5つ、式や数字まで言えるか確かめましょう。詰まったものは表と図に戻ってください。
今日おぼえたこと
- V1 / V2 = N1 / N2。比を出したら、もう一方の巻数に掛ける
- リプルは半波 f、全波 2f。平滑はコンデンサとチョークコイル、安定化は別の回路
- 実効値 Vm/√2(0.707)、平均値 2Vm/π(0.637)。電源の 100 V は実効値
- 鉛 2.0 V/セル、リチウムイオンは 1.2 V より高く継ぎ足し充電可、発火の危険あり
- SWR メータは整合、ディップメータは共振、カウンタは時間内のサイクル数。抵抗は電源を切って零オーム調整
次回は法規に戻り、処分・返納・罰則です。「誰に対する措置か」を先に読む練習をします。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。