STEP 1まず1問、見てみる

この回の数字は3つだけ。試験電波の3回と10秒、長時間送信の10分です。
例題No.3 法規 問13は、試験電波を発射するときに送る事項「EX 3回、DE 1回、自局の呼出符号[ ]」の空欄を埋める問題です。肢は「1回」「2回」「2回以下」「3回」。
無線局がモールス無線電信により試験電波を発射する場合に送信する事項「1 EX 3回 2 DE 1回 3 自局の呼出符号[ ]」の[ ]に入れるべき字句はどれか。
- 11回
- 22回
- 32回以下
- 43回
前回、呼出しの自局の呼出符号は「3回以下」、応答は「1回」と覚えました。そこへ3つ目の数字が来るので、混ざると取れません。
この回で扱う符号は、どれも1つずつなら難しくありません。困るのは、似た見た目の符号が同じ問題の肢に並ぶことです。QRMとQRN、ARとVA、EXとVVVとOSO。
そこで、符号を「交信のどの場面で使うか」で並べ直して覚えます。数字は、試験電波の「3回」と「10秒」、長時間送信の「10分」の3つです。

STEP 2覚えること
まずQ符号です。Q符号は無線局運用規則の別表第二号に定められた3文字の略符号で、同じ符号が「問い」と「答え又は通知」の両方の意味を持ちます。
問いの意味で使うときは、符号の次に問符(?)を付けます(別表第二号の注)。試験に出るものは、場面で4つに分けると覚えやすくなります。
場面で分けたQ符号(運用規則 別表第二号)
| 問い(?を付ける) | 答え又は通知 | |
|---|---|---|
| QRM(妨害) | こちらの伝送は、混信を受けていますか | そちらの伝送は、混信を受けています |
| QRN(妨害) | そちらは、空電に妨げられていますか | こちらは、空電に妨げられています |
| QSB(妨害) | こちらの信号には、フェージングがありますか | そちらの信号には、フェージングがあります |
| QRL(相手の状態) | そちらは、通信中ですか | こちらは、通信中です。妨害しないでください |
| QRZ(相手の身元) | 誰がこちらを呼んでいますか | そちらは、……から呼ばれています |
| QRA(相手の身元) | 貴局名は、何ですか | 当局名は、……です |
| QTH(相手の身元) | そちらの位置は、何ですか | こちらの位置は、……です |
| QSY(操作の要求) | こちらは、他の周波数に変更して伝送しましょうか | 他の周波数に変更して伝送してください |
| QRT(操作の要求) | こちらは、送信を中止しましょうか | 送信を中止してください |
| QSL(受信証) | そちらは、受信証を送ることができますか | こちらは、受信証を送ります |
妨害の3つは、原因で分けます。
QRLは妨害の原因ではなく、「こちらは通信中です。妨害しないでください」という自分の状態の通知です。
QSL?は「受信証を送ることができますか」という問いです。アマチュア無線では交信の証明に送り合うカードを「QSLカード」と呼びますが、試験で問われるのは別表第二号の意味です。
「カードを郵送してください」のような肢に引きずられず、「受信証」という語で選びます。QSYは「周波数を変えて」、QRTは「送信をやめて」で、どちらも相手の操作を求める符号です。

次に、交信を終わらせる略符号です。運用規則は、通報の送信と通信全体を分けて、それぞれの終わりに使う符号を決めています。
交信の後半で使う略符号(運用規則と別表第二号)
| 意味 | 使う場面 | |
|---|---|---|
| K(-・-) | 送信してください | 応答のあと直ちに受信するとき(23条3項)、通報の最後(29条2項) |
| AR(・-・-・) | 送信の終了符号 | 欧文の通報は「AR」をもって終わる(29条3項) |
| R(・-・) | 受信しました | 通報を確実に受信したときの受信証(37条1項) |
| NIL | 送信するものがありません | 他に送る通報がないと知らせるとき、NIL、Kの順(36条) |
| VA(・・・-・-) | 通信の完了符号 | 通信が終了したとき(38条) |
ARとVAは、どちらも「終わり」なので取り違えやすい組です。ARは1つの通報の送信が終わったとき、VAは通信そのものが終わったときに送ります。
欧文の通報はARで終わり、そのあとにKを送って相手に送信を促します(29条2項・3項)。受け取った側は、確実に受信できたらRを返します(37条1項)。こうして通報のやりとりを何度か繰り返し、交信全体を終えるときにVAを送ります。
なお運用規則38条には、VAの送信は海上移動業務以外では省略できるという但し書きがあります。
ARやVAの符号は、別表第二号で文字の上に線を付けて書かれています。これは「全部を1符号として送信する」という意味で、文字の間をあけずに続けて送ります。ARならA(・-)とR(・-・)を続けて「・-・-・」、VAならV(・・・-)とA(・-)を続けて「・・・-・-」です。

試験電波の手順は運用規則39条にあります。無線機器の試験や調整のために電波を出すときは、次の順に進みます。
10秒の制限には例外があります。海上移動業務以外の無線局は、必要があれば10秒間を超えてVVVの連続と自局の呼出符号を送ることができます(39条3項)。試験の空欄補充は1項の「10秒間」を問うので、数字としては10秒を覚えます。
試験電波には、ほかにも決まりがあります。自局の呼出しがほかの通信に混信を与えていると知らされたら直ちに中止するという規定は、無線設備の機器の試験又は調整のための電波の発射にも同じように当てはまります(運用規則22条1項)。
また電波法57条は、機器の試験又は調整を行うために運用するときは、なるべく擬似空中線回路を使うよう定めています。擬似空中線回路は、アンテナの代わりに電力を吸収させる回路で、電波を外へほとんど出さずに送信機を調整できます。
39条の手順は、試験や調整のために「電波の発射を必要とするとき」のものです。


最後に2つの数字と1つの前置符号です。
2つの数字と1つの前置符号
OSOは別表第二号の「非常符号」で、遭難信号のSOSとは別のものです。OSOを前置した呼出しを受信した局は、応答する場合を除き、混信を与えるおそれのある電波の発射を止めて傍受します(同132条)。
STEP 3肢の切り方

符号の問題は「原因」「場面」に線を引く。意味をずらした肢から切れていきます。
オリジナル問題1 法規 問12は、ほかの無線局からの混信を受けていると相手に伝えるQ符号を選ぶ問題です。原因が「ほかの局」なので、混信のQRMを探します。
オリジナル問題1 法規 問12を1肢ずつ切る
オリジナル問題3 法規 問11は、通信が終了したときの略符号です。「通信が終了」に線を引きます。ARは通報の送信の終わり、Kは相手に送信を促す符号、EXは試験電波の符号なので、肢1・3・4を切り、VAの肢2が残ります。
例題No.3 法規 問12は、通報を確実に受信したときの略符号をモールス符号で選ぶ問題です。受信証はRなので、第1回の符号表から「・-・」を探します。肢3がこれです。
肢4の「・・・-・-」はVAを続けて送った形で、通信の完了符号なので切れます。ほかの2肢も「・-・」とは要素の数が違うので、全体照合で切れます。
最初の例題No.3 法規 問13に戻ります。試験電波の自局の呼出符号は「3回」と決まっていて、「以下」が付きません。
例題No.3 法規 問13を1肢ずつ切る
- ✕
- ✕肢2 2回
39条1項の自局の呼出符号は3回。2回という定めはない。
- ✕
- ○
数字だけを問う2問も、主語で決まります。例題No.3 法規 問10は、アマチュア局が長時間継続して通報を送信するとき、何分ごとを標準としてDEと自局の呼出符号を送るかという問題です。
肢は5分・10分・15分・20分。運用規則30条の括弧書きのとおり、アマチュア局は10分で肢2です。
オリジナル問題2 法規 問13は、試験電波のVVVの連続と自局の呼出符号の送信が何秒を超えてはならないかで、肢は5秒間・10秒間・20秒間・30秒間。39条1項の10秒間で肢2です。どちらも答えは「10」ですが、単位が分と秒で違います。
STEP 4ひっかけ

答えが同じ「10」でも、試験電波は秒、長時間送信は分。単位まで読んでください。
QRM(混信)とQRN(空電)は1文字違い。AR(通報の終わり)とVA(通信の終わり)。試験電波の自局の呼出符号は「3回」で、呼出しの「3回以下」とは違う。VVVの連続は「10秒」、長時間送信の識別は「10分」(アマチュア局。一般の局は30分)。非常の前置はOSO 3回で、SOSやEXではない。

数字の問題は、問題文の主語で表を選びます。「試験電波」なら3回・1分間・10秒、「長時間継続して通報を送信」なら10分、「呼出し」「応答」なら前回の表。迷ったら先に符号の意味の問題を片づけ、数字の問題は見直しの時間に回します。
STEP 5自分で解く
相手局に、別の周波数に移って送信してほしいと伝えたい。使うQ符号はどれか。
通報を確実に受信したときに送る略符号と、そのモールス符号の組合せとして正しいものはどれか。
モールス無線電信で試験電波を出す。「EX」3回、「DE」1回、自局の呼出符号3回を送ったあと、「VVV」の連続を送る前にしなければならないことはどれか。
STEP 6今日のまとめ

符号は場面で、数字は主語で選ぶ。この2つで、この型の肢はほとんど切れます。
今日おぼえたこと
- 妨害はQRM(混信)・QRN(空電)・QSB(フェージング)。QSYは周波数変更、QSL?は受信証を送れるか。
- R(・-・)は受信証、ARは通報の終わり、VAは通信の終わり。
- 試験電波は聴守→EX 3回・DE 1回・自局の呼出符号 3回→1分間聴守→VVVの連続と自局の呼出符号1回(10秒以内)。
- 長時間送信はアマチュア局なら10分ごとを標準にDEと自局の呼出符号。非常の場合の呼出し・応答はOSO 3回を前置。
次回は国内の規則から国際の規則へ移り、無線通信規則の周波数分配と、3アマで操作できる範囲を分けて考えます。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。