電波の型式の記号(A1A・A3E・J3E・F3E)を読む問題、SSBのスペクトルを選ぶ問題、送信機の回路(平衡変調器・帯域フィルタ・ALC・IDC)の働きを選ぶ問題。法規と工学にまたがる型を、1枚の送信機の図で取ります。
STEP 1まず1問、見てみる

図の問題も文章題も、送信機の中を左から右へたどれば解けます。
例題No.1 工学 問20は、SSB(J3E)の電波の周波数成分を表した図を4つから選ぶ問題です。
SSB(J3E)電波の周波数成分を表した図はどれか。ただし、点線は搬送波成分がないことを示す。
- 1実線の搬送波と両側波帯
- 2実線の搬送波と片側の側波帯
- 3点線の搬送波と片側の側波帯
- 4点線の搬送波と両側波帯
4つの図は、搬送波が実線か点線か、側波帯が両側か片側か、の組合せです。図を眺めて「なんとなくSSBっぽいもの」を選ぶと、2択までは絞れても最後で迷います。
一方、例題No.3 工学 問20は文章題です。名前の似た回路が組み合わされていて、片方だけ覚えていると取れません。
SSB(J3E)送信機では、[A]増幅器の入力レベルを制限し、送信出力がひずまないように、[B]回路が用いられる。
- 1A:緩衝 B:IDC
- 2A:電力 B:IDC
- 3A:緩衝 B:ALC
- 4A:電力 B:ALC

この2問は、同じ1つの事実から解けます。SSBは、AMの電波から搬送波を消し、さらに片側の側波帯を消したものです。
消すのは誰か、消したあと誰が出力を守るのか。送信機の中を左から右へたどれば、記号も図も回路名もつながります。
STEP 2覚えること

3文字のうち試験で効くのは1文字目と3文字目。JとH、AとEを取り違えないで。
まず電波の型式の記号です。施行規則4条の2で、3文字を「主搬送波の変調の型式」「主搬送波を変調する信号の性質」「伝送情報の型式」の順に並べると決まっています。3アマで出る文字は次の表で足ります。
電波の型式の記号(施行規則4条の2から抜粋)
| 表すもの | 主な記号 | |
|---|---|---|
| 第1字 | 主搬送波の変調の型式 | A=振幅変調の両側波帯、H=全搬送波による単側波帯、J=抑圧搬送波による単側波帯、F=周波数変調、G=位相変調、N=無変調 |
| 第2字 | 変調する信号の性質 | 0=変調信号なし、1=デジタル信号の単一チャネルで副搬送波なし、2=同じく副搬送波あり、3=アナログ信号の単一チャネル |
| 第3字 | 伝送情報の型式 | N=無情報、A=電信(聴覚受信)、B=電信(自動受信)、C=ファクシミリ、D=データ伝送等、E=電話 |
この表で読むと、A1Aは振幅変調・両側波帯、デジタル信号の単一チャネルで副搬送波なし、聴覚受信の電信。キーで搬送波を断続する、いわゆるモールス電信です。
A3Eは振幅変調の電話(AM)、J3Eは抑圧搬送波の単側波帯の電話(SSB)、F3Eは周波数変調の電話(FM)。3文字目がEなら電話、Aなら耳で聞く電信、と後ろから読んでも切れます。
次に変調そのものです。振幅変調(AM)は、音声の波形に合わせて搬送波の振幅を変えます。
搬送波の周波数をfc、音声の周波数をfmとすると、電波にはfcのほかにfc+fm(上側波帯)とfc-fm(下側波帯)の成分が現れます。音声の上限を3 kHzとすれば、AMの電波は搬送波の両側に3 kHzずつ、合わせて6 kHzに広がります。
AMの変調の深さは変調度で表します。包絡線(波の山を結んだ線)の一番太いところの高さをA、一番細いところの高さをBとして、同じ測り方で読みます。
たとえばA=30、B=10なら、(30-10)÷(30+10)=0.5で50 %です。B=0になると100 %、それを超えると過変調で、ひずみと帯域の広がりが出ます。

変調度の分母は「最大+最小」の和。最大だけで割る計算ミスが定番です。
周波数変調(FM)は、音声の振幅に応じて搬送波の周波数を変えます。声が大きいほど周波数のずれ(周波数偏移)が大きく、声が高いほどずれが行き来する速さが速くなります。搬送波の振幅は一定のままです。

ここからSSB(J3E)の送信機です。音声と搬送波を平衡変調器に入れると、搬送波が打ち消され、上下両側の側波帯だけが出てきます。
次に、通過帯域の狭い帯域フィルタ(BPF)で片側の側波帯だけを通します。これでSSBの信号ができます。
あとは周波数混合器で送信周波数に移し、励振増幅器と電力増幅器で増幅します。SSBの信号は周波数逓倍すると音声の周波数関係まで崩れるので、逓倍ではなく混合を使います。
SSBの出力を守るのがALC回路です。電力増幅器の出力側からレベルを取り出し、大きすぎるときは前段の増幅器の利得を下げて、電力増幅器への入力を制限します。電力増幅器に入力が入りすぎるとひずみ、隣の周波数まで不要な成分が広がるからです。
FM(F3E)送信機では、音声はマイク増幅のあとIDC回路を通って周波数変調器に入ります。IDCは、大きな声が入っても周波数偏移が決められた値を超えないように制限し、占有周波数帯幅が広がるのを防ぎます。
名前の頭文字で覚えるなら、ALCはレベル(Level)、IDCは偏移(Deviation)です。

STEP 3肢の切り方

例題No.1 工学 問20(J3Eのスペクトル)を、「搬送波はあるか」「側波帯は両側か片側か」の2つの問いで切ります。
J3Eのスペクトルを1肢ずつ切る
- ✕
- ✕
- ○
- ✕
例題No.3 工学 問20(SSB送信機のALC)は、AとBを別々に決めます。Bから先に見ます。
ALCの穴埋めを1肢ずつ切る
- ✕
- ✕肢2 A:電力 B:IDC
Aは合っていても、B:IDCはFMの回路なので切る。
- ✕
- ○
法規の例題No.2 法規 問3は、記号の3文字を言葉から組み立てる問題です。「振幅変調で両側波帯」で第1字A、「デジタル信号である単一チャネルで副搬送波を使用しない」で第2字1、「電信であって聴覚受信を目的とする」で第3字A。
答えはA1Aです。J3Eは第1字がJ、F2AとF3Eは第1字がFなので、1文字目だけで3つが切れます。
当サイトのオリジナル問題No.2 工学 問21は平衡変調器の働きです。送信機の図の上で、どの箱の説明かを指さして切ります。
平衡変調器の働きを1肢ずつ切る
当サイトのオリジナル問題No.3 工学 問22は、平衡変調器の出力から片側の側波帯だけを取り出すフィルタを選びます。
上側波帯と下側波帯は搬送波をはさんで隣り合っているので、取り出すには通過帯域の上と下の両方を切らなければなりません。
ある周波数より下を全部通す低域フィルタ(LPF)も、上を全部通す高域フィルタ(HPF)も、片側だけを切ることになるので使えません。狭い帯域だけを止める帯域除去フィルタ(BEF)は逆の働きです。両側を切れるのは帯域フィルタ(BPF)だけです。
オリジナル問題No.1 工学 問21は「FM送信機では、音声信号の[A]の変化に応じて搬送波の[B]を変化させる」。Bは名前のとおり周波数です。B:振幅を含む肢はAMの説明なので先に切れます。
Aを「周波数」にした肢が迷わせますが、音声の周波数が決めるのは周波数のずれが行き来する速さで、ずれの大きさを決めるのは音声の振幅です。A:振幅、B:周波数の組を選びます。
同じ考えで、オリジナル問題No.3 法規 問3(F3EのFの意味)は周波数変調。位相変調はGです。

STEP 4ひっかけ
入れ替えられやすい組。「平衡変調器=搬送波を消す」と「帯域フィルタ=片側の側波帯を選ぶ」。「ALC=SSBの電力増幅器を守る」と「IDC=FMの周波数偏移を制限」と「AGC=受信機の利得(次回)」。「FMは音声の振幅で搬送波の周波数を変える」を「音声の周波数で」と入れ替えた肢。「抑圧搬送波(J)」と「全搬送波(H)」。変調度の分母を最大値だけにした計算。
STEP 5自分で解く

3問目は計算です。分母に何を置いたか、自分の式を確かめてから選んで。
SSB(J3E)送信機で、搬送波を抑圧する回路と、不要な側波帯を除去する回路の組合せとして正しいものはどれか。
FM(F3E)送信機で、大きな音声が入ったときに周波数偏移が規定値を超えないようにする回路はどれか。
単一正弦波で振幅変調したAM波をオシロスコープで見たところ、包絡線の最大の高さが48、最小の高さが12(同じ目盛りで読む)だった。変調度はいくらか。
STEP 6今日のまとめ

今日おぼえたこと
- 電波の型式は3文字。第1字が変調の型式(A・H・J・F)、第2字が信号の性質(1・3)、第3字が情報の型式(A=電信、E=電話)
- A1A=モールス電信、A3E=AM電話、J3E=SSB電話、F3E=FM電話
- 変調度 m=(A-B)/(A+B)×100 %。分母は最大と最小の和
- SSBは平衡変調器で搬送波を消し、帯域フィルタで片側の側波帯を選ぶ。ALCで電力増幅器への入力を制限
- FMは音声の振幅に応じて搬送波の周波数を変える。IDCで周波数偏移を制限
次回は受信機です。アンテナから入った電波がスピーカの音になるまでの通り道と、影像周波数の計算を取ります。
本番の問題この回で取れるようになった問題
「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。