無線通信ブートラボ
第4回 / 全16回 法規

国際分配と3アマの操作範囲を分ける

無線通信規則の分配表でアマチュアに割り当てられた帯と、3アマが操作できる「50 W以下・18 MHz以上又は8 MHz以下」は別の話です。照合の順番をつけて、国際法規の問題を取ります。

12分 確認問題 3問 図 6枚 この回で取れる問題 8問
この回のゴール

無線通信規則の地域区分・アマチュア分配帯・禁止される伝送・25条の規定と、3アマの操作の範囲を問う問題が取れるようになる。

この回でつくる

無線通信規則(国際)の地域区分とアマチュア業務への周波数分配、禁止される伝送とアマチュア業務の規定を選ぶ問題。あわせて、国内の電波法施行令で決まる3アマの操作の範囲(空中線電力と周波数)を選ぶ問題。

STEP 1まず1問、見てみる

先生
先生

国際の分配と国内の資格は別の話。問題文がどちらを聞いているかから見ます。

例題No.3 法規 問8は「無線通信規則の周波数分配表において、アマチュア業務に分配されている周波数帯はどれか」という問題です。

問題例題No.3 法規 問8

無線通信規則の周波数分配表において、アマチュア業務に分配されている周波数帯は、次のどれか。

  1. 13,800〜3,950 kHz
  2. 27,300〜7,600 kHz
  3. 318,052〜18,068 kHz
  4. 421,000〜21,450 kHz

どれも、アマチュア無線で聞き覚えのある7 MHz帯や18 MHz帯の近くにあり、「なんとなくアマチュアっぽい」数字が並んでいます。

この型でもう一つ迷うのが、国際の分配と、国内の資格の範囲が別の話だという点です。無線通信規則は国際電気通信連合(ITU)の条約に付属する規則で、世界の周波数をどの業務に割り振るかを決めています。

一方、3アマで操作できる設備は、日本の電波法施行令が決めています。アマチュア業務に分配されている周波数でも、3アマでは操作できないものがあります。この回では、国際の規則と国内の資格を、照合する順番をつけて分けます。

「14 MHzは?」と書いたカードを、3アマの操作範囲を示す周波数の物差しに当てている先生のイラスト。
分配されているかと、自分の資格で操作できるかは、別に確かめる

STEP 2覚えること

先生
先生

日本は第三地域。分配帯は、単位をそろえてから比べるのが鉄則です。

無線通信規則は、周波数の分配のために世界を3つの地域に分けています。日本は第三地域です。第一地域はヨーロッパ・アフリカなど、第二地域は南北アメリカで、「極東地域」のような区分はありません(例題No.1 法規 問8の正答と当サイトの解説による)。

地域によって分配が違う周波数もあるため、分配表は地域ごとの欄で読みます。

世界地図を3色に塗り分け、第一地域(ヨーロッパ・アフリカなど)、第二地域(南北アメリカ)、第三地域(アジア・オセアニア、日本を含む)を示した概念図。
日本は第三地域

例題とオリジナル問題で「アマチュア業務に分配されている」として正解になっていた周波数帯を、問題ごとに並べます。単位がkHzとMHzでまちまちなので、同じ単位にそろえてから比べます。1 MHz=1,000 kHzです。

分配帯の問題で正解だった帯と、並んでいた誤りの肢

正解の帯誤りの肢(アマチュア業務への分配ではない)
オリジナル問題3 問87,000〜7,100 kHz5,900〜6,200 kHz、9,400〜9,900 kHz、11,600〜12,100 kHz(いずれも放送)
例題No.3 問821,000〜21,450 kHz3,800〜3,950 kHz、7,300〜7,600 kHz、18,052〜18,068 kHz
例題No.2 問828〜29.7 MHz47〜50 MHz、75.2〜87.5 MHz、108〜137 MHz(航空)
オリジナル問題2 問8144〜146 MHz88〜108 MHz(放送)、118〜137 MHz(航空移動)、156〜174 MHz(海上移動など)

ここで注意したいのは、この表が国内で使える周波数の一覧ではないことです。国内でアマチュア業務に使う電波の型式と周波数の使用区別は、別に告示で定められています(運用規則258条の2)。

試験で問われるのは「無線通信規則の分配表に照らしてどれか」なので、問題文がどちらを聞いているかを確かめます。

次に、3アマの操作の範囲です。電波法施行令3条は、アマチュア無線技士の4つの資格ごとに、操作できる無線設備を決めています。

アマチュア無線技士の操作の範囲(電波法施行令3条3項)

空中線電力周波数・その他
第一級制限なしアマチュア無線局の無線設備の操作
第二級200 W以下周波数の制限なし
第三級50 W以下18 MHz以上 又は 8 MHz以下
第四級10 W以下/20 W以下21〜30 MHz又は8 MHz以下は10 W以下、30 MHzを超える周波数は20 W以下。モールス符号による通信操作を除く

3アマは「空中線電力50 W以下の無線設備で、18 MHz以上又は8 MHz以下の周波数の電波を使用するもの」の操作ができます。8 MHzを超え18 MHz未満のところに穴があいている、と覚えます。

たとえば14 MHz帯や10 MHz帯の設備は、空中線電力が小さくても3アマの範囲外です。電力の数字は、2アマの200 W、4アマの10 W・20 Wが誤りの肢として並びます。

先生
先生

8〜18 MHzは穴。14 MHz帯は電力が小さくても、3アマでは操作できません。

一陸技を目指している人に一つ。施行令3条5項では、第一級陸上無線技術士が行えるアマチュアの操作は「第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作」とされています。一陸技を取っても、アマチュア局ではモールスによる通信操作も、50 Wの運用もできません。

周波数の横軸に、上段は例題に出た無線通信規則のアマチュア分配帯(7、18、21、28、144 MHz付近)、下段は3アマの操作範囲(8 MHz以下と18 MHz以上を塗り、8〜18 MHzを空白)を別段で並べた図。
上段は国際の分配、下段は3アマの範囲。2つは別々に確かめる
無線機のパワーメーターの50 Wの目盛を先生が指差し、机に「18 MHz以上 又は 8 MHz以下」の札が置かれているイラスト。
3アマは50 W以下、18 MHz以上又は8 MHz以下

問題を解くときは、分配(無線通信規則)→ 資格の範囲(施行令3条)→ その局の免許記録の順に照合します。

無線局を運用するときは、識別信号、電波の型式及び周波数などを免許記録に記録されたとおりにしなければならない(電波法53条)ので、最後はその局に許された周波数かどうかになります。試験の1問が聞いているのは、このうちの1段だけです。

「この周波数・この電力で運用してよいか」を、国際の分配、国内の使用区別、資格の操作範囲、局の免許記録の4つの関門に順に通す照合図。
4つの関門を順に通す。試験の1問が聞くのは、たいてい1つの関門だけ

最後に、無線通信規則が伝送について定めていることです。15条は、すべての局に、不要な伝送、余分な信号の伝送、虚偽の又はまぎらわしい信号の伝送、識別表示のない信号の伝送を禁止しています(19条に定める場合を除く)。

また19条は、虚偽の又はまぎらわしい識別表示を使用する伝送をすべて禁止しています(例題No.2 法規 問12)。アマチュア業務については25条に定めがあり、試験に出るのは次の4つです。

無線通信規則25条(アマチュア業務)

「主管庁」は各国で電波を管理する官庁のことで、日本では総務省です。国内の規則にも対応するものがあります。

電波法58条はアマチュア無線局の行う通信に暗語を使ってはならないと定め、運用規則30条はアマチュア局が長時間送信するときは10分ごとを標準にDEと自局の呼出符号を送ると定めています(前回)。国際の「短い間隔で」と国内の「10分」は、別の規則の別の言い方です。

では略語はどうか。Q符号や略符号は、意味が別表で公開されていて、誰が聞いても同じ意味に読めます。国内では、無線電信通信の業務用語には別表第二号の略符号を使うものとする、と運用規則13条が定めています。略語は「隠す」ためのものではなく、使うように決められたものです。

STEP 3肢の切り方

先生
先生

kHzとMHzをそろえて、境目の数字を見る。端が少しずれた帯がひっかけです。

例題No.3 法規 問8(分配帯)を解きます。まず4つの肢をkHzでそろえます。3,800〜3,950、7,300〜7,600、18,052〜18,068、21,000〜21,450(kHz)。

例題No.3 法規 問8を1肢ずつ切る

  1. ✕
    肢1 3,800〜3,950 kHz

    帯の一部がアマチュア以外の業務に分配されているので、帯全体がアマチュア業務への分配とはいえない。

  2. ✕
    肢2 7,300〜7,600 kHz

    アマチュア業務に分配されていない帯。第三地域の40 mのアマチュア分配は7,000〜7,200 kHz。

  3. ✕
    肢3 18,052〜18,068 kHz

    先頭の「18」だけ見ると18 MHz帯に見えるが、当サイトの解説のとおり18 MHz帯のアマチュア分配は18,068 kHzから上。この帯はその手前の、アマチュア業務以外に分配された帯。

  4. ○
    肢4 21,000〜21,450 kHz

    21〜21.45 MHzで、表の21 MHz帯そのもの。

肢3は、上端の18,068がちょうど境目になっているところが、ひっかけです。

例題No.1 法規 問14は「アマチュア局に禁止されていない伝送はどれか」です。「禁止されていない」に線を引きます。

例題No.1 法規 問14を1肢ずつ切る

  1. ○
    肢1 略語による伝送

    15条の禁止に入っていない。略語は「隠す」ためのものではなく、運用規則13条で使うように決められたもの。

  2. ✕
    肢2 不要な伝送

    15条で、すべての局に禁止されている。

  3. ✕
    肢3 虚偽の信号の伝送

    15条の「虚偽の又はまぎらわしい信号の伝送」に当たる。

  4. ✕
    肢4 まぎらわしい信号の伝送

    これも15条の「虚偽の又はまぎらわしい信号の伝送」に当たる。

25条の空欄補充は、決まった言葉を入れるだけです。例題No.3 法規 問14「アマチュア局は、その伝送中[ ]自局の呼出符号を伝送しなければならない」には「短い間隔で」が入り、「30分ごとに」「必要により随時」「通信状態を考慮して適宜の間隔で」は切れます。

オリジナル問題2 法規 問14の、モールス能力の実証を決めるのは「主管庁」で、国際電気通信連合や国際アマチュア無線連合、無線通信規則そのものではありません。

オリジナル問題1 法規 問4は施行令の空欄補充で、「アマチュア無線局の空中線電力[ ]ワット以下の無線設備で18メガヘルツ以上又は8メガヘルツ以下」です。周波数の条件が3アマのものなので、電力は50。肢の10は4アマ、20は4アマの30 MHz超、200は2アマの数字です。

STEP 4ひっかけ

先生
先生

「以上」と「以下」の入れ替えは定番です。18 MHz以上、8 MHz以下の向きを確かめて。

ひっかけ

「18 MHz以上又は8 MHz以下」の「以上」と「以下」を入れ替えた肢に注意。50 Wと200 W・10 W・20 W、MHzとkHzの桁、18,052〜18,068 kHzのような境目の帯。「分配されている」と「3アマが操作できる」は別の問い。略語は禁止されていない。禁止されるのは意味を隠すための符号化。

黒板に正しい「18 MHz以上又は8 MHz以下」と、以上・以下を入れ替えた誤りの文を上下に書き、先生が誤りの文に×を付けているイラスト。
以上と以下が入れ替わっていたら、誤りの肢
試験ではここ

国際法規は例題3回分で毎回2問(問8と、問12か問14)出ています。分配帯は単位をそろえる、禁止行為は「すべての局に禁止」の3つと「意味を隠す符号化」、25条は「主管庁」「短い間隔で」。この3点で、ほとんどの肢が数十秒で切れます。

STEP 5自分で解く

確認問題

ほかの条件を満たすアマチュア局の無線設備のうち、第三級アマチュア無線技士が操作できるものはどれか。

確認問題

無線通信規則の規定に照らし、禁止の対象になるものはどれか。

確認問題

21 MHz〜21.45 MHzをkHzで表したものはどれか。

STEP 6今日のまとめ

先生
先生

分配、資格の範囲、免許記録の順に照合。問題がどの段を聞いているかを見れば迷いません。

今日おぼえたこと

  • 日本は無線通信規則の第三地域。分配帯は単位をそろえて比べ、境目(18,052〜18,068 kHzなど)に注意。
  • 3アマの操作の範囲は空中線電力50 W以下で、18 MHz以上又は8 MHz以下(電波法施行令3条)。8〜18 MHzは範囲外。
  • すべての局に禁止:不要な伝送、虚偽・まぎらわしい信号、識別表示のない信号。虚偽・まぎらわしい識別表示も禁止。略語は禁止されない。
  • アマチュア業務(25条):意味を隠す符号化の禁止、モールス能力の実証は主管庁が決める、伝送中は短い間隔で呼出符号。

次回は、局の免許(免許記録)と人の免許(無線従事者免許証)を混同しないように、手続と期間を整理します。

本番の問題この回で取れるようになった問題

「例題No.」は公益財団法人日本無線協会が公表している CBT 方式の国家試験の例題、「過去問」は同協会の公表試験問題です(日本無線協会 試験問題。同協会の利用条件に基づき掲載)。「オリジナル」は当サイトの作問です。

日本無線協会 CBT例題 法規 No.1 問8 無線通信規則では、周波数分配のため、世界を地域的に区分しているが、日本は次のどれに属するか。 解く → 日本無線協会 CBT例題 法規 No.2 問8 無線通信規則の周波数分配表において、アマチュア業務に分配されている周波数帯は、次のどれか。 解く → 日本無線協会 CBT例題 法規 No.3 問8 無線通信規則の周波数分配表において、アマチュア業務に分配されている周波数帯は、次のどれか。 解く → 日本無線協会 CBT例題 法規 No.1 問14 次に掲げるもののうち、無線通信規則の規定に照らし、アマチュア局に禁止されていない伝送は、どれか。 解く → 日本無線協会 CBT例題 法規 No.3 問14 次の記述は、アマチュア局における呼出符号の伝送について、無線通信規則の規定に沿って述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号... 解く → ブートラボ オリジナル問題 法規 No.1 問8 次の記述は、異なる国のアマチュア局相互間の伝送について、無線通信規則の規定に沿って述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号... 解く → ブートラボ オリジナル問題 法規 No.2 問14 次の記述は、アマチュア業務について、無線通信規則の規定に沿って述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。 アマチュ... 解く → ブートラボ オリジナル問題 法規 No.1 問4 次の記述は、第三級アマチュア無線技士の操作の範囲について、電波法施行令の規定に沿って述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番... 解く →
次の回へ第5回 局の免許と人の免許を混同しない局と人の免許を取り違えずに、有効期間・再免許の申請期間・変更と廃止の手続・失効後の書類・免許証の扱いを問う問題が取れる。